☢️ 原子力発電¶
核分裂の連鎖反応で熱を発生→蒸気→タービン。「燃料・制御・冷却」の3点が試験の核心。
📋 v0.7 — 過去問データ充填済み
出題実績(R01〜R07)を充填済み。公式・数値は参考書で必ず確認してください。
🧠 直感的理解¶
火力発電との違いは「熱源が燃焼ではなく核分裂」という1点だけ。それ以外(蒸気→タービン→発電機)は同じ。
核燃料(核分裂)→ 熱エネルギー(冷却材)→ 蒸気(蒸気発生器 or 直接)→ タービン→ 発電機
試験の核心3点:
| 項目 | 火力との比較 |
|---|---|
| 燃料 | 化石燃料ではなく 核燃料(濃縮ウラン) |
| 出力制御 | 燃料調整ではなく 制御棒(挿入で減少・引抜で増加) |
| 冷却 | 崩壊熱があるため 冷却は停止後も必要 |
原子炉の4要素(必須暗記)
核燃料 · 減速材 · 制御棒 · 冷却材
この4要素の役割と具体的材料を押さえれば選択問題の大半は解ける。
🏭 設備を歩く¶
graph LR
A[核燃料集合体] -->|核分裂熱| B[原子炉圧力容器]
subgraph PWR一次系
B -->|高温高圧水| C[蒸気発生器]
C -->|熱交換後| B
end
subgraph BWR直接サイクル
B -->|蒸気直接| D2[タービン]
end
C -->|二次側蒸気| D[タービン]
D -->|排気| E[復水器]
D2 -->|排気| E
E -->|給水| F[給水ポンプ]
F --> B
D --> G[発電機]
D2 --> G
主要機器一覧
| 機器 | 役割 | 備考 |
|---|---|---|
| 核燃料集合体 | 核分裂反応で熱を発生 | UO₂ペレットを燃料棒に封入 |
| 減速材 | 高速中性子を熱中性子に減速 | 軽水・重水・黒鉛 |
| 制御棒 | 中性子を吸収して出力制御 | ハフニウム・ホウ素・カドミウム |
| 冷却材 | 核分裂熱を外部へ輸送 | 軽水・重水・液体ナトリウム |
| 圧力容器 | 炉心を収納・高圧維持 | 鋼製・数十cmの厚み |
| 格納容器 | 放射性物質の外部漏洩防止 | 最終バリア |
🔬 原子炉の種類比較表(最重要)¶
| 項目 | PWR(加圧水型) | BWR(沸騰水型) | CANDU(重水型) | 高速増殖炉 |
|---|---|---|---|---|
| 減速材 | 軽水 | 軽水 | 重水 | なし(高速中性子利用) |
| 冷却材 | 軽水 | 軽水 | 重水 | 液体ナトリウム |
| 冷却材圧力 | 約155 atm(高圧) | 約70 atm(中圧) | 約100 atm | 低圧 |
| 蒸気発生方法 | 蒸気発生器(二次側) | 炉内で直接沸騰 | 蒸気発生器(二次側) | 蒸気発生器 |
| 冷却水系統 | 2系統(一次・二次) | 1系統(直接) | 2系統 | 2系統以上 |
| 国内主流か | ○(関西電力等) | ○(東京電力等) | ×(国内未使用) | △(もんじゅは廃炉) |
| 燃料濃縮度 | 低濃縮ウラン(2〜5%) | 低濃縮ウラン(2〜5%) | 天然ウラン(0.7%) | 高濃縮プルトニウム |
| 特徴 | 安全性高・蒸気発生器必要 | 構造シンプル・放射性蒸気あり | 濃縮不要・燃料費安 | プルトニウム増殖可能 |
PWR vs BWR の最重要ポイント
- PWR:一次冷却水は沸騰しない(加圧して液相維持)→蒸気発生器で二次側を沸騰させる
- BWR:炉内で沸騰して直接タービンへ→放射性の蒸気がタービンを通る
♻️ 核燃料サイクルの要点¶
ウラン採掘 → 精錬 → 転換 → ウラン濃縮(U-235濃度を高める)→ 燃料加工(ペレット→燃料棒→集合体)
→ 原子炉 → 使用済み燃料 → 再処理(Pu抽出)→ MOX燃料 or 廃棄物処理
核反応の基礎
| 事象 | 内容 |
|---|---|
| U-235の核分裂 | 熱中性子を吸収して分裂→大量の熱エネルギーと2〜3個の中性子放出 |
| U-238の変換 | 中性子を吸収→Pu-239に変換(高速増殖炉の原理) |
| 連鎖反応 | 分裂で生じた中性子が次の核分裂を引き起こす |
燃料構造
ペレット(UO₂焼結体)→ 燃料棒(ジルカロイ被覆管)→ 燃料集合体(数百本束ねたもの)
🧮 公式マップ(知識テーマのため用語整理)¶
核反応の用語整理表
| 用語 | 意味 | 試験での扱い |
|---|---|---|
| 臨界 | 連鎖反応が一定の割合で持続する状態(増倍率k=1) | 通常運転の状態 |
| 未臨界 | 連鎖反応が減衰していく状態(k<1) | 停止・制御棒挿入時 |
| 超臨界 | 連鎖反応が増加していく状態(k>1) | 出力上昇中(制御された状態) |
| 反応度 | 臨界からのずれを表す量(k-1)/k | 制御の指標 |
| 熱中性子 | 減速材で減速された低エネルギー中性子 | U-235を効率よく核分裂させる |
| 高速中性子 | 核分裂直後の高エネルギー中性子 | 高速増殖炉が利用 |
⚡ 正誤判定の急所(知識テーマの核心)¶
| 文章 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 「PWRでは一次冷却水が直接タービンを回す」 | 誤 | 蒸気発生器で二次側の水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回す |
| 「BWRでは一次冷却水が直接タービンを回す」 | 正 | 炉内で発生した蒸気が直接タービンへ(放射性蒸気に注意) |
| 「制御棒の材料にはウランが使われる」 | 誤 | ハフニウム・ホウ素・カドミウムなど「中性子を吸収しやすい材料」を使う |
| 「重水炉では重水が減速材と冷却材を兼ねる」 | 正 | CANDUはD₂Oが減速材・冷却材の両方 |
| 「CANDUは天然ウランを燃料に使用できる」 | 正 | 重水は中性子吸収が少ないため、濃縮不要の天然ウランで臨界維持可能 |
| 「国内の商業用原子炉はPWRとBWRのみ」 | 正 | 黒鉛炉(GCR)・重水炉(CANDU)は国内商業運転なし |
| 「制御棒を挿入すると原子炉出力が上昇する」 | 誤 | 挿入すると中性子吸収が増え出力低下。引き抜くと出力上昇 |
| 「PWRの冷却水系統はBWRより多い」 | 正 | PWR=2系統(一次・二次)、BWR=1系統(直接サイクル) |
💡 勘違いTOP3¶
1. 「超臨界」は危険な爆発状態ではない 超臨界とは「出力が増加しつつある制御された状態」。起動時は必ず超臨界を経て定格出力に達する。原子炉の「爆発」は超臨界ではなく「即発超臨界」(制御不能状態)。
2. PWRとBWRの冷却水系統数 PWR=2系統(放射性の一次冷却水と蒸気発生器で分離された非放射性の二次側)、BWR=1系統(直接サイクルのため蒸気自体が放射性)。保守作業のしやすさが異なる。
3. 制御棒の操作と出力の方向 「制御棒挿入 → 中性子吸収 → 核分裂減少 → 出力低下」 「制御棒引抜 → 中性子吸収減少 → 核分裂増加 → 出力上昇」 緊急停止(スクラム)は「全制御棒を一斉挿入」。
📊 出題実績¶
| 年度 | 問 | タイトル | 問題タイプ | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| R07下 | 問4 | 将来に向けた新型炉の検討 | 論説 | ★★★★☆ |
| R07上 | 問4 | 原子力発電における核燃料サイクル | 穴埋 | ★★☆☆☆ |
| R06下 | 問4 | 原子力発電で使用される燃料と原理 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R06上 | 問4 | ウランの核分裂エネルギーと石炭の発熱量の比較 | 計算 | ★★★☆☆ |
| R05下 | 問4 | 軽水炉で使用される原子燃料 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R05上 | 問4 | ウランの発生エネルギーと重油量の比較 | 計算 | ★★★★☆ |
| R04下 | 問4 | 日本で採用されている原子炉の型と特性 | 穴埋 | ★★★☆☆ |
| R04上 | 問4 | 沸騰水型原子炉(BWR)の特徴 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R03 | 問5 | 日本で使用されている原子力発電の構造や特徴 | 論説 | ★★★☆☆ |
| R02 | 問4 | ウラン235など原子燃料に使用される物質 | 穴埋 | ★★☆☆☆ |
| R01 | 問4 | ウランと石炭の燃料消費量の違い | 計算 | ★★★☆☆ |
| H24 | 問4 | ウランと重油の燃料消費量の違い | 計算 | — |
| H23 | 問4 | ウラン235が核分裂により発生するエネルギー | 計算 | — |
詳細解説: 電験王 原子力カテゴリ
学習の優先順位
- PWR vs BWR の違い(冷却水系統数・蒸気発生方法)
- 原子炉4要素の材料(特に制御棒はハフニウム・ホウ素・カドミウム)
- 臨界・未臨界・超臨界の区別
- CANDU・高速増殖炉は概要のみ