🔌 開閉装置・保護継電器¶
電力系統の「交通整理と救急体制」。故障を検出して系統から瞬時に切り離す仕組みが試験の核心。
📋 v0.7 — 過去問データ充填済み
出題実績(R01〜R07)を充填済み。公式・数値は参考書で必ず確認してください。
🧠 直感的理解¶
3つの役割分担をアナロジーで理解する:
| 機器 | アナロジー | 実際の役割 |
|---|---|---|
| CT・PT(計器用変成器) | センサー・監視カメラ | 大電流・高電圧を計器用の小さな値に変換して検出 |
| 保護継電器 | 判断装置・救急隊指令 | 異常を検出して「切れ」の指令を発する |
| 遮断器(CB) | 実際に切る刃 | 指令を受けて負荷電流・事故電流を実際に遮断する |
| 断路器(DS) | 工事用バルブ | 無負荷時のみ開放(保守・点検用) |
操作順序(最重要): - 投入時:DS(断路器)→ CB(遮断器)の順 - 開放時:CB(遮断器)→ DS(断路器)の順
理由:DSは電流が流れている状態で開放できないため、必ず先にCBで電流を切ってからDSを開ける。
🏭 設備を歩く(保護システムの流れ)¶
graph LR
A[電力系統・送電線] -->|大電流・高電圧| B[CT 変流器]
A -->|高電圧| C[PT 計器用変圧器]
B -->|縮小した電流| D[保護継電器]
C -->|縮小した電圧| D
D -->|トリップ指令| E[遮断器 CB]
E -->|事故回線切り離し| F[事故点]
E -->|切り離し後| G[健全系統へ継続供給]
検出から遮断までの時間:数十〜数百ミリ秒(高速遮断が求められる)
🔧 開閉装置の比較表(最重要)¶
| 機器 | 略称 | 負荷電流遮断 | 事故電流遮断 | 機能 | 用途・特記 |
|---|---|---|---|---|---|
| 断路器 | DS | × | × | 無負荷時のみ開放可能 | 保守・点検時の電路分離 |
| 遮断器 | CB | ○ | ○ | 負荷電流・事故電流の両方遮断 | 系統保護の中心機器 |
| 負荷開閉器 | LBS | ○ | × | 負荷電流は開放可能 | 事故電流は遮断不可 |
| 高圧交流負荷開閉器 | PAS | ○ | × | 柱上設置 | 高圧需要家の引込口 |
| 地絡継電器付き開閉器 | UGS | ○ | × | 地絡検出機能内蔵 | 地中線引込・波及事故防止 |
断路器の誤操作は厳禁
負荷電流が流れている状態でDSを開放するとアーク放電が発生し、機器破損・感電の危険がある。必ずCBで電流を遮断してからDSを操作すること。
⚡ 遮断器の種類比較¶
| 種類 | 略称 | 消弧媒体 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 油遮断器 | OCB | 絶縁油 | 旧来型・火災リスクあり | 既存設備の一部に残存 |
| 空気遮断器 | ABB/ACB | 圧縮空気 | 騒音大・大型 | 大容量変電所(旧来型) |
| ガス遮断器 | GCB/GIS | SF₆ガス | 絶縁性能が高い・小型化可能 | 都市型変電所・GIS(ガス絶縁開閉装置) |
| 真空遮断器 | VCB | 真空 | 保守容易・環境負荷小・小型 | 変電所・工場の主流 |
現在の主流
新設備は VCB(真空遮断器) または GCB(SF₆ガス遮断器) が主流。GISは複数機器を一体化したガス絶縁の総合開閉装置。
GIS(ガス絶縁開閉装置):CB・DS・LA等を金属容器に収め、SF₆ガスで絶縁。コンパクト・高信頼性・都市部変電所に最適。
🛡️ 保護継電器の比較表(最重要)¶
| 継電器 | 略称 | JIS番号 | 検出対象 | 動作条件 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 過電流継電器 | OCR | 51 | 過電流(短絡等) | 整定値以上の電流 | 線路・変圧器の短絡保護 |
| 地絡過電流継電器 | OCGR | 51G | 地絡電流 | 地絡電流が整定値以上 | 非接地系の地絡保護 |
| 地絡方向継電器 | DGR | 67G | 地絡の方向 | 地絡電流の流入方向判定 | 自家用構内の地絡・波及防止 |
| 不足電圧継電器 | UVR | 27 | 電圧低下 | 電圧が整定値以下 | 停電検出・系統解列 |
| 過電圧継電器 | OVR | 59 | 電圧上昇 | 電圧が整定値以上 | 単独運転防止・地絡検出 |
| 差動継電器 | 87 | 87 | 変圧器内部故障 | 入出力電流の差 | 変圧器・発電機の内部保護 |
| 距離継電器 | 21 | 21 | 線路インピーダンス | インピーダンス整定値以下 | 長距離送電線の保護 |
差動継電器(87)の原理¶
入力電流(CT1) ─┐
├→ 差動比較 → 差が整定値超 → トリップ
出力電流(CT2) ─┘
正常時:入力≒出力 → 差≒0 → 動作しない
内部故障時:入力≠出力 → 差大 → 動作してトリップ
CT・PT の変成比¶
| 変成器 | 変成比 | 変換内容 |
|---|---|---|
| CT(変流器) | 一次電流 / 二次電流 = 変流比 | 大電流(例:1000A)→ 5A(計器用) |
| PT(計器用変圧器) | 一次電圧 / 二次電圧 = 変圧比 | 高電圧(例:6600V)→ 110V(計器用) |
CTの二次側開放禁止
CTの二次側を開放すると異常高電圧が発生し危険。PTと逆の注意事項。
💡 勘違いTOP3¶
1. 断路器(DS)は「無負荷でないと開放できない」 「断路器は事故電流を遮断できる」という選択肢は誤り。DSは電流ゼロ(無負荷)のときのみ安全に操作できる。電流遮断は遮断器(CB)の役割。
2. 投入・開放の操作順序を逆に覚えない - 投入:DS先 → CB後(先に道を開けてからスイッチON) - 開放:CB先 → DS後(先にスイッチOFFしてから道を閉じる) 「開放時はCB→DS」を確実に覚える。逆にするとアーク事故の原因。
3. GISはSF₆ガス絶縁(空気絶縁ではない) GIS(Gas Insulated Switchgear)はSF₆(六フッ化硫黄)ガスを封入した気密容器。空気絶縁より絶縁性能が約3倍高く、コンパクト化が可能。
⚡ 正誤判定の急所¶
| 文章 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 「断路器は事故電流を遮断できる」 | 誤 | 断路器は電流遮断能力なし。遮断器(CB)が担当 |
| 「真空遮断器の消弧媒体は真空である」 | 正 | VCBは真空中でアークを消弧する |
| 「差動継電器は変圧器の内部故障を検出する」 | 正 | 87番継電器が変圧器の巻線内部故障の主保護 |
| 「遮断器投入時はCB→DSの順で操作する」 | 誤 | 投入時はDS→CBの順。開放時がCB→DS |
| 「GISは圧縮空気を絶縁媒体に使用する」 | 誤 | GISはSF₆(六フッ化硫黄)ガスを使用 |
| 「距離継電器は送電線の事故点のインピーダンスで動作する」 | 正 | 事故点までのインピーダンスが整定値以下になると動作 |
| 「CTの二次側を開放しても問題ない」 | 誤 | 二次側開放により異常高電圧が発生し危険 |
| 「地絡方向継電器(DGR)は電流の大きさだけで地絡を判定する」 | 誤 | 電流の大きさに加え方向(位相)も判定する |
📊 出題実績¶
| 年度 | 問 | タイトル | 問題タイプ | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| R07下 | 問8 | 変電所の機器に関する記述 | 論説 | ★★★☆☆ |
| R07上 | 問8 | 変電所の遮断器・断路器・保護継電器 | 穴埋 | ★★★☆☆ |
| R06下 | 問8 | 変電所における遮断器の種類と特徴 | 論説 | ★★★★☆ |
| R06上 | 問8 | 保護継電器の種類と用途 | 穴埋 | ★★★☆☆ |
| R05下 | 問8 | GISに使用される断路器と遮断器の操作順序 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R05上 | 問8 | 変電所で使用する機器の特徴 | 穴埋 | ★★☆☆☆ |
| R04下 | 問8 | CTとVTの特徴と二次側開放禁止 | 論説 | ★★★☆☆ |
| R04上 | 問8 | 距離継電器と差動継電器の動作原理 | 論説 | ★★★★☆ |
| R03 | 問8 | 真空遮断器とGIS(SF₆)の特徴比較 | 穴埋 | ★★★☆☆ |
| R02 | 問8 | 開閉機器の種類と特徴 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R01 | 問8 | 保護継電器方式の種類 | 論説 | ★★★★☆ |
詳細解説: 電験王 開閉・保護カテゴリ
学習の優先順位
- 断路器 vs 遮断器の違い(遮断能力の有無)
- 投入・開放の操作順序(DS→CB / CB→DS)
- 主要継電器の略称と用途(OCR・DGR・87・21)
- GISはSF₆ガス(空気絶縁との混同に注意)
- CTの二次側開放禁止