🌱 新エネルギー発電¶
太陽・風・水素・地熱などを電力に変換。出力変動が系統に与える影響と、各方式の変換原理が試験頻出。
📋 v0.7 — 過去問データ充填済み
出題実績(R01〜R07)を充填済み。公式・数値は参考書で必ず確認してください。
🧠 直感的理解¶
再生可能エネルギー発電は「何を電力に変換するか」が方式ごとに異なる。共通の課題は出力変動。
太陽光:光エネルギー → 直流電力(パワコンで交流変換)→ 系統
風 力:風の運動エネルギー → 機械エネルギー → 電力
地 熱:地中の熱エネルギー → 蒸気 → タービン → 電力
燃料電池:化学エネルギー → 直接電力(電気化学反応)
FIT制度(固定価格買取制度) が普及の原動力。電力会社が一定期間・固定価格で買い取る義務を負う(→買取義務は電力会社側)。
出力変動と系統安定性:太陽光・風力は天候依存で出力が変動 → 系統周波数変動の原因 → 蓄電池・揚水発電との組み合わせが重要。
🏭 設備を歩く¶
太陽光発電フロー
graph LR
A[太陽光] -->|光起電力効果| B[太陽電池パネル DC]
B -->|直流| C[パワーコンディショナ PCS]
C -->|MPPT制御・DC→AC変換| D[系統連系点]
D --> E[電力系統]
風力発電フロー
graph LR
A[風] -->|運動エネルギー| B[ブレード・ロータ]
B -->|低速回転| C[増速機]
C -->|高速回転| D[発電機]
D -->|変換・制御| E[電力変換装置]
E --> F[電力系統]
🔬 発電方式の比較表(最重要)¶
| 方式 | 変換原理 | 出力変動 | 設備利用率 | 特徴 | 試験頻出ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 太陽光 | 光起電力効果(p-n接合) | 大(昼夜・天候) | 約10〜15% | CO₂排出なし・保守容易 | 温度上昇で効率低下 |
| 風力 | 運動エネルギー変換 | 大(風速依存) | 約20〜30% | P∝v³(風速の3乗) | 3乗依存・誘導発電機 |
| 燃料電池 | 電気化学反応(H₂+O₂→H₂O) | 小(制御可能) | 高い | カルノー効率に非依存 | 蓄電池ではなく発電装置 |
| 地熱 | 地中熱エネルギー→蒸気 | 小(安定) | 約60〜80% | ベースロード向き・立地制限 | 設備利用率が高い |
| バイオマス | 燃焼または発酵 | 小(燃料次第) | 中程度 | カーボンニュートラル | CO₂は排出するが中立評価 |
| 潮力・波力 | 海の運動エネルギー | 中(予測可能) | 低め | 技術開発段階 | 概要のみ把握でよい |
☀️ 太陽光発電の詳細¶
変換原理¶
光起電力効果:p型半導体とn型半導体の接合(p-n接合)に光が当たると電子-正孔対が生成され、内部電界により電流が流れる。
温度特性(重要): - 温度上昇 → 開放電圧(Voc)低下 → 最大出力低下 - 「温度が高いほど効率が上がる」は誤り(夏は日射量は多いが効率は低下)
MPPT制御(最大電力点追従)¶
太陽電池の出力特性(I-V曲線)は日射量・温度で変化する。MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御で常に最大電力点で動作させる。
パワーコンディショナ(PCS)の役割¶
- DC→AC変換(インバータ)
- MPPT制御
- 系統連系保護(単独運転防止・過電圧・過電流保護)
- 系統への連系条件維持
設備利用率の計算:
年間発電量[kWh] = 設備容量[kW] × 設備利用率 × 8760[h/年]
例)1,000 kW × 0.12 × 8,760 = 1,051,200 kWh/年
💨 風力発電の詳細¶
風力エネルギーの公式(最重要)¶
$$P = \frac{1}{2} \rho A v^3$$
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| P | 風力エネルギー(出力) | W |
| ρ | 空気密度 | kg/m³ |
| A | 受風面積(= π r²) | m² |
| v | 風速 | m/s |
風速の3乗に比例(2乗ではない)
風速が2倍になると出力は 2³ = 8倍 になる。これは頻出誤答なので注意。
発電機の種類¶
| 種類 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 誘導発電機 | 構造シンプル・低コスト・系統と同期 | 定速風力(旧来型) |
| 同期発電機 | 高効率・励磁制御必要 | 直結型 |
| 可変速発電機(DFIG等) | 風速変化に対応・最大効率運転 | 現代の主流 |
⚡ 燃料電池の詳細¶
基本原理¶
水の電気分解の逆反応:
負極(燃料極):H₂ → 2H⁺ + 2e⁻
正極(空気極):½O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → H₂O
全体 :H₂ + ½O₂ → H₂O + 電気エネルギー + 熱エネルギー
カルノー効率の制約を受けない:熱機関を経由しないため、熱力学的なカルノー効率の上限がない(直接電気化学変換)。
燃料電池の種類比較¶
| 種類 | 電解質 | 動作温度 | 効率 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| PEFC(固体高分子) | 固体高分子膜 | 60〜90℃ | 35〜45% | 家庭用(エネファーム)・FCV |
| PAFC(リン酸) | リン酸 | 150〜220℃ | 35〜45% | 業務用分散電源 |
| MCFC(溶融炭酸塩) | 溶融炭酸塩 | 約650℃ | 45〜55% | 大型発電 |
| SOFC(固体酸化物) | 固体酸化物 | 700〜1000℃ | 45〜60% | 業務用・コジェネ |
コジェネレーションとの組み合わせ:発電と同時に発生する熱(温水・蒸気)を給湯・暖房に利用 → 総合効率80%以上も可能。
💡 勘違いTOP3¶
1. 風力は風速の「3乗」に比例(2乗ではない) P = ½ρAv³ の「3乗」を忘れて「2乗」と書くのが典型誤答。風速が2倍で出力は8倍になる。
2. 燃料電池は「蓄電池」ではなく「発電装置」 燃料(水素等)を供給し続ける限り発電する。蓄電池は充電した電気エネルギーを放出するが、燃料電池は化学反応で発電する。燃料が切れたら発電停止。
3. FIT制度の買取義務の主体 「固定価格での売電ができる」制度だが、買取義務を負うのは電力会社(一般送配電事業者等)側。発電事業者が義務を負うのではない。
⚡ 正誤判定の急所¶
| 文章 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 「太陽電池の変換効率は温度が上昇すると向上する」 | 誤 | 温度上昇で開放電圧が低下し、効率は低下する |
| 「燃料電池はカルノー効率の制約を受けない」 | 正 | 熱機関を経由しない電気化学反応のため |
| 「風力発電の出力は風速の2乗に比例する」 | 誤 | 3乗に比例(P = ½ρAv³) |
| 「FIT制度では発電事業者が電力会社に買取を強制できる」 | 正 | 電力会社に買取義務が課される |
| 「地熱発電はベースロード電源として利用できる」 | 正 | 出力変動が少なく設備利用率が高い |
| 「燃料電池のSOFCは動作温度が最も低い」 | 誤 | SOFCは700〜1000℃で最も高い。最低温はPEFC(60〜90℃) |
| 「バイオマス発電はCO₂を排出しない」 | 誤 | CO₂は排出するが、植物が吸収したCO₂の再放出であるためカーボンニュートラル(排出しないわけではない) |
| 「太陽光発電のMPPT制御は系統の電圧を安定させるための制御である」 | 誤 | MPPTは太陽電池の最大電力点を追従するための制御。系統電圧制御は別の機能 |
📊 出題実績¶
| 年度 | 問 | タイトル | 問題タイプ | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| R07下 | 問5 | 水力・風力発電用誘導発電機の特徴 | 論説 | ★★★★☆ |
| R07上 | 問5 | バイオマス発電の特徴や性質 | 穴埋 | ★★☆☆☆ |
| R06下 | 問5 | 地熱発電及びバイオマス発電 | 穴埋 | ★★☆☆☆ |
| R06上 | 問5 | 燃料電池の原理や特徴 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R05下 | 問5 | さまざまな分散型電源の特徴 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R05上 | 問5 | 風力発電の特徴 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R04下 | 問5 | 各新エネルギー発電の得失 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R04上 | 問5 | 風力発電の構造と特徴 | 穴埋 | ★★★☆☆ |
| R03 | 問6 | 分散型電源として設置される新エネルギー発電の特徴 | 論説 | ★★☆☆☆ |
| R02 | 問5 | 太陽光発電設備の構成及び特徴 | 穴埋 | ★★★☆☆ |
| H30 | 問5 | 風力発電所の軸出力 | 計算 | — |
| H29 | 問5 | 地熱発電及びバイオマス発電 | 穴埋 | — |
詳細解説: 電験王 新エネルギーカテゴリ
学習の優先順位
- 風速の3乗比例(P = ½ρAv³)→ 最頻出誤答
- 太陽電池の温度特性(温度上昇→効率低下)
- 燃料電池はカルノー効率に非依存
- 各方式の設備利用率の大小関係(地熱 > 風力 > 太陽光)