⚡ 直流回路(オーム・キルヒホッフ・テブナン)¶
📍 学習マップ上の現在地
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| 重要度 | 頻出論点 | バージョン |
|---|---|---|
| S | オーム則 / キルヒホッフ / テブナン / 重ね合わせ | v0.7 ✅ |
直流回路の問題は「どこに何Vかかり、何Aが流れるか」を求める問題。オーム・KVL・KCL・テブナンの4本柱で9割が解ける。
🧠 原理(なぜ起きるか)¶
電流は水流、電圧は水圧、抵抗は管の細さ。管が細いほど流れにくく、太い管が並列にあれば水(電流)は太い方に多く流れる。この3つの対応が直流回路全体の直感的基盤になる。
5秒で思い出す
V = IR ── 電圧=抵抗×電流。蛇口を絞ると(R↑)、圧力差(V)が生まれる
📐 公式(どう計算するか)¶
レイヤーA:基本3則(全回路に共通)¶
| 公式 | 意味(日本語) | 使える条件 | 使えない条件 |
|---|---|---|---|
| \( V = IR \)(オームの法則) | 抵抗に電流が流れると電圧降下が生じる | 線形抵抗素子 | 非線形素子(ダイオード・白熱電球等) |
| KVL: \( \sum V = 0 \) | 閉ループを一周すると電圧の代数和はゼロ | 直流・低周波の集中定数回路 | 高周波・電磁誘導が無視できない回路 |
| KCL: \( \sum I = 0 \) | 節点に流入する電流の和=流出する電流の和 | 直流・低周波の集中定数回路 | 高周波(変位電流が無視できない回路) |
抵抗の材料公式と抵抗温度係数(R02問5・R04下問7・H23問5で繰り返し出題)
電線の抵抗の大きさを求める公式:
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| \(\rho\) | 抵抗率(材質で決まる) | \(\Omega \cdot \text{m}\) |
| \(l\) | 電線の長さ | m |
| \(A\) | 断面積 | m² |
「断面積が2倍になると抵抗は半分」「長さが2倍になると抵抗は2倍」を直感で使えることが重要。
抵抗温度係数(温度が上がると抵抗が変わる):
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| \(R_0\) | 基準温度(通常 \(0\,\text{°C}\) or \(20\,\text{°C}\))での抵抗 |
| \(\alpha\) | 抵抗温度係数(銅は正の値:温度↑→抵抗↑) |
| \(T\) | 基準温度からの温度差 |
試験での引っかかり: \(\alpha\) は「基準温度を何度にするか」で値が変わる。問題文の「\(\alpha\) は \(0\,\text{°C}\) 基準」か「\(20\,\text{°C}\) 基準」かを確認すること。変化率を問われる場合は:
レイヤーB:応用変換(特定条件で使う)¶
| 手法 | 意味(日本語) | 使える条件 | 使えない条件 |
|---|---|---|---|
| テブナンの定理 \( V_{th}, R_{th} \) | 複雑な回路を「電圧源+直列抵抗」1つに等価変換 | 線形回路・特定負荷に着目する場合 | 非線形回路 |
| 直列合成: \( R_s = R_1 + R_2 \) | 直列抵抗は単純に足し算 | 同一電流が流れる直列接続 | 並列接続 |
| 並列合成: \( \dfrac{1}{R_p} = \dfrac{1}{R_1} + \dfrac{1}{R_2} \) | 逆数の和を取り、最後に逆数に戻す | 同一電圧がかかる並列接続 | 直列接続 |
| ミルマンの定理 \( V_{ab} = \dfrac{\sum E_k/R_k}{\sum 1/R_k} \) | 複数電圧源の並列回路を節点電圧で一発計算 | 各枝が「電圧源+直列抵抗」の形 | 電流源が混在・直列回路 |
電流源を含む回路の扱い方(R05上問6・H24問5対策)
電流源は「電圧源とは逆の存在」。扱い方を間違えると計算が全部崩れる。
電流源の基本ルール:
| 操作 | 電圧源 | 電流源 |
|---|---|---|
| 等価変換でゼロにする | 短絡(導線でつなぐ) | 開放(切り離す) |
| 直列につながった素子 | 意味あり | 電流源の電流は変わらない(直列の抵抗は無関係) |
| 並列につながった素子 | 電圧源の電圧は変わらない | 意味あり |
電圧源↔電流源の等価変換(H24問5の核心):
変換の方向: - 電圧源 \(E\) と直列抵抗 \(r\) → 電流源 \(I_s = E/r\) と並列抵抗 \(r\) - 電流源 \(I_s\) と並列抵抗 \(r\) → 電圧源 \(E = I_s \cdot r\) と直列抵抗 \(r\)
引っかかりポイント: 電流源に直列に抵抗がつながっていても、電流源の電流値は変わらない。抵抗にかかる電圧が変わるだけ。
重ね合わせの原理の使い方(H30問7対策)
複数の電源がある回路では、各電源を「1つずつ生かして残りをゼロ」にした場合の電流を求め、最後に足し合わせる。
手順: 1. 電源が \(n\) 個あれば \(n\) 回計算する 2. 各回で「着目する電源以外をゼロ」にする:電圧源→短絡、電流源→開放 3. 各回の電流に方向(符号)を付けて足し合わせる
重ね合わせが使える条件: 回路が==線形==であること(オームの法則が成り立つ抵抗のみ)。
試験パターン: 「2つの電圧源を持つ回路の抵抗 \(R\) に流れる電流を求めよ」 → 片方の電源だけで計算した電流 \(I_1\) と、もう片方だけで計算した \(I_2\) を求め、方向に注意して \(I = I_1 + I_2\)(または \(I_1 - I_2\))を計算する。
分圧の法則と電位計算(R01問5・H23問6対策)
分圧の法則:直列接続された抵抗の両端電圧は、抵抗値に比例して分配される。
電位(電圧)の計算:グランド(基準点 = 0V)を定めて、そこからの電位差を求める。
手順: 1. 基準点(グランド)を決める(通常は電源の負極または問題文で指定) 2. 基準点からの電圧を順番に追う 3. 抵抗を通過するたびに \(V_{\text{降下}} = IR\) を引く(電流と同方向の場合)
試験での典型: 「点Aの電位を求めよ」→ グランドから点Aまでの経路を1つ選び、電位差を積み上げる。どの経路を選んでも答えは同じになる(KVLの別表現)。
📊 比較表¶
直列 vs 並列¶
| 項目 | 直列接続 | 並列接続 |
|---|---|---|
| 電流 | 全素子で同じ \( I \) | 各素子で分流(幹線電流の和) |
| 電圧 | 各素子で分圧(和が全体電圧) | 全素子で同じ \( V \) |
| 合成抵抗 | \( R_s = R_1 + R_2 + \cdots \)(増える) | \( \dfrac{1}{R_p} = \dfrac{1}{R_1} + \dfrac{1}{R_2} + \cdots \)(減る) |
| 覚え方 | 数珠つなぎ → 電流は一本道 | 複数の道 → 電圧は共通 |
キルヒホッフ vs テブナン¶
| 観点 | キルヒホッフ(KVL/KCL) | テブナン等価 |
|---|---|---|
| 使い場面 | 回路全体の電流・電圧を全部求めたい | 特定の負荷抵抗に流れる電流だけ求めたい |
| 計算量 | 方程式が多い(素子数に比例) | 2ステップ(\( V_{th} \) と \( R_{th} \) のみ) |
| 向き不向き | 複数の未知電流が絡む複雑な回路 | 「この端子の特性を知りたい」問題 |
| 試験での頻度 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
消費電力の3つの表現を使い分ける(R02問6・H28問5・H22問5などで頻出)
同じ「消費電力 \(P\)」でも、何が既知かによって使う式が変わる。
$\(P = VI = I^2 R = \frac{V^2}{R}\)$
| 既知の量 | 使う式 | 典型的な場面 |
|---|---|---|
| 電圧 \(V\) と電流 \(I\) | \(P = VI\) | 回路計算後に電力を求める |
| 電流 \(I\) と抵抗 \(R\) | \(P = I^2 R\) | 直列回路(電流が共通) |
| 電圧 \(V\) と抵抗 \(R\) | \(P = V^2/R\) | 並列回路(電圧が共通) |
引っかかりポイント: 「抵抗が大きいほど消費電力が大きい」は直列か並列かで逆になる。 - 直列(電流一定): \(P = I^2 R\) → 抵抗が大きいほど \(P\) が大きい - 並列(電圧一定): \(P = V^2/R\) → 抵抗が大きいほど \(P\) が小さい
ジュール熱との関係: \(Q = Pt = I^2 R t\)(単位は J または cal)。H29問7「消費電力量」は \(W \cdot h\)(ワット時)で問われることもある。\(1\,\text{kWh} = 3600\,\text{kJ}\) を覚えておく。
🕳️ よくある勘違いTOP3¶
1. 並列合成抵抗で「逆数に戻すのを忘れる」¶
❌ こう思いがち: \( \frac{1}{R_p} = \frac{1}{4} + \frac{1}{4} = \frac{1}{2} \) だから \( R_p = \frac{1}{2} \, \Omega \)
✅ 実際は: \( \frac{1}{R_p} = \frac{1}{2} \) を逆数に戻して \( R_p = 2 \, \Omega \)。最後に必ずひっくり返す。
2. KVLの符号で「電圧降下の正負を間違える」¶
❌ こう思いがち: ループを一方向に回るとき、抵抗を通過したら常にプラスを足せばいい。
✅ 実際は: 電流と同じ方向に抵抗を通過するときは「電圧降下(-)」、逆方向なら「電圧上昇(+)」。ループ方向と電流方向の関係を図に矢印で書いてから式を立てること。
3. テブナンで「\( R_{th} \) 求める操作を間違える」¶
❌ こう思いがち: \( V_{th} \) を求めるときと同じ回路のまま抵抗を計算すればいい。
✅ 実際は: \( R_{th} \) を求めるときは==電圧源を短絡(0V)、電流源を開放(0A)==にしてから端子間の合成抵抗を計算する。電源を「生かしたまま」が最大のミス。
4. 「内部抵抗がある電池」の端子電圧を間違える(H18問5・R04下問5対策)¶
❌ こう思いがち: 電池の電圧 = 端子電圧(起電力)だから、どこで測っても同じ。
✅ 実際は: 電流が流れると内部抵抗 \(r\) で電圧降下が生じるため、端子電圧は起電力より小さくなる。
$\(V_{\text{端子}} = E - Ir\)$
- 電流を多く取るほど端子電圧が下がる(バッテリーが弱ると電圧が低下する現象そのもの)
- 「起電力を求めよ」なら \(E = V_{\text{端子}} + Ir\) で逆算する
- 開放状態(\(I = 0\))では \(V_{\text{端子}} = E\)(端子電圧 = 起電力)
5. スイッチ切り換え問題で「切り換え前後で何が変わるかを整理しない」(R05下問7・H20問6対策)¶
❌ こう思いがち: 回路が変わったら一から全部計算し直す。
✅ 実際は: スイッチの前後で変わらないもの(電源電圧 \(E\)・固定抵抗)と変わるもの(接続の組み合わせ)を分けて整理するのが最速。
手順: 1. スイッチ前の回路で電流・電圧を計算する 2. スイッチ後に変わる部分(合成抵抗など)だけを再計算する 3. 「電流が変化した」ことを利用して未知抵抗を求める(2式の連立)
🔄 解法フローチャート¶
問題を読む
├─ 「特定の端子/素子の電圧・電流を求めよ」
│ └─ テブナン等価回路を使う
│ ① 着目端子を開放して Vth を計算
│ ② 電源ゼロ(短絡/開放)にして Rth を計算
│ ③ I = Vth / (Rth + RL)
└─ 「回路全体の電流・電圧を求めよ」
├─ 分岐が少ない → 直列/並列の合成抵抗で解く
└─ 複数のループ → KVL/KCL で連立方程式を立てる
ループ電流を仮定 → 各ループにKVL → 解く
📝 出題実績¶
出典: 電験王3(denken-ou.com)H18〜R07上期の過去問一覧より収集(2026-03-30)
| 年度 | 問 | 形式 | 何が問われたか |
|---|---|---|---|
| R07上 | 問6 | 計算 | 直流回路の抵抗を繋ぎ変えた際の電流値 |
| R07上 | 問7 | 計算 | 直流回路の電流変化からの未知抵抗値の導出 |
| R06下 | 問6 | 計算 | 直流電源と抵抗を直並列させた回路の抵抗に流れる電流 |
| R06下 | 問7 | 計算 | 既知の抵抗と合成抵抗値からの未知の抵抗の抵抗値の導出 |
| R06上 | 問5 | 計算 | 2つの電源から構成される回路の抵抗で消費される電力 |
| R06上 | 問6 | 計算 | 3つの電源と抵抗を直並列した回路 |
| R06上 | 問7 | 計算 | 抵抗から発生するジュール熱が最大となる条件 |
| R05下 | 問5 | 計算 | 直流回路において未知の抵抗で消費される電力 |
| R05下 | 問6 | 計算 | 直流回路における抵抗に加わる端子電圧 |
| R05下 | 問7 | 計算 | スイッチ切換時の電流値からの未知の抵抗値の導出 |
| R05上 | 問5 | 計算 | 2つの電源から構成される回路の抵抗で消費される電力 |
| R05上 | 問6 | 計算 | 電圧源と電流源を含む回路の抵抗に流れる電流 |
| R05上 | 問7 | 計算 | 温度により抵抗値が変化する抵抗を含む回路 |
| R04下 | 問5 | 計算 | 直流回路の端子電圧からの電源電圧の導出 |
| R04下 | 問7 | 計算 | 抵抗温度係数からの抵抗値の変化率の導出 |
| R04上 | 問5 | 計算 | 直並列の直流回路における電流値の導出 |
| R04上 | 問7 | 計算 | 合成抵抗値からの未知の抵抗の導出 |
| R03 | 問6 | 計算 | 直流安定化電源を利用した制御 |
| R03 | 問7 | 計算 | 可変抵抗で消費される最大電力 |
| R02 | 問5 | 計算 | 断面積と材質の異なる電線の抵抗の大きさの比較 |
| R02 | 問6 | 計算 | 抵抗で消費される電力 |
| R01 | 問5 | 計算 | 直流回路の電位計算 |
| R01 | 問6 | 計算 | 直流回路の抵抗で消費される電力 |
| H30 | 問5 | 計算 | 抵抗器の許容電力 |
| H30 | 問7 | 計算 | 重ね合わせの理を用いた抵抗値の算出 |
| H29 | 問5 | 計算 | 直流回路の回路計算 |
| H29 | 問6 | 計算 | 直流回路の定常状態 |
| H29 | 問7 | 穴埋 | 直流回路の消費電力量 |
| H28 | 問5 | 計算 | 抵抗での消費電力 |
| H28 | 問6 | 計算 | 直並列回路の電流比 |
| H27 | 問4 | 計算 | 直流回路の回路計算 |
| H27 | 問6 | 計算 | 直流回路の平衡条件 |
| H26 | 問6 | 計算 | 直流回路の回路計算 |
| H26 | 問7 | 計算 | 直流回路の消費電力 |
| H25 | 問5 | 計算 | キルヒホッフの法則 |
| H25 | 問6 | 計算 | 抵抗で消費される電力の導出 |
| H25 | 問8 | 計算 | 複雑な直並列回路 |
| H24 | 問5 | 計算 | 電圧源と電流源の等価変換 |
| H24 | 問6 | 計算 | 回路に流れる電流の導出 |
| H23 | 問5 | 計算 | 抵抗温度係数の変化率の導出 |
| H23 | 問6 | 計算 | 分圧の法則を用いた直流回路の電位の導出 |
| H23 | 問7 | 計算 | 直流回路の抵抗に流れる電流 |
| H22 | 問5 | 計算 | 直流回路の抵抗での消費電力からの未知抵抗の導出 |
| H22 | 問6 | 計算 | 抵抗を繋ぎ変えた場合の直流回路の電流値 |
| H21 | 問6 | 計算 | 直並列した回路の電流値から抵抗値を求める |
| H20 | 問6 | 計算 | スイッチ切換時の電流値からの未知の抵抗値の導出 |
| H20 | 問7 | 計算 | 直流電源と抵抗を直並列させた回路の各抵抗に流れる電流 |
| H19 | 問5 | 計算 | 抵抗から発生するジュール熱が最大となる条件 |
| H18 | 問5 | 計算 | 内部抵抗を含む電池の起電力の導出 |
| H18 | 問6 | 計算 | 既知の抵抗と電流値からの未知の抵抗の抵抗値の導出 |
→ 出題頻度: ★★★★★(毎年度2〜3問出題)
確認問題
問題: 10Ωと40Ωが並列接続された回路に100Vが印加されている。合成抵抗と全電流を求めよ。
解答
答え: 合成抵抗 = 8Ω、全電流 = 12.5A ポイント: 並列の合成抵抗は逆数の和の逆数。1/R = 1/10 + 1/40 = 5/40 → R = 8Ω
Level 2: 数学的背景 🔬
テブナンの定理の証明(線形代数的観点)
テブナンの定理は線形回路における重ね合わせの原理から導かれる。任意の線形回路網は、開放端電圧 \( V_{th} \) と内部インピーダンス \( Z_{th} \) の直列接続として等価表現できる。これはノルトン等価回路(電流源+並列インピーダンス)と双対の関係にある。
キルヒホッフの法則を行列で表現すると: [ [A][I] = [V] ] ここで \([A]\) はインシデンス行列、\([I]\) は枝電流ベクトル、\([V]\) は電圧源ベクトル。クラメールの公式で各電流を解くことがテブナン/キルヒホッフの本質。
Level 3: 実務との接点 🏭
工場の配電系統設計でテブナン等価回路は不可欠。電源側の短絡容量(= \( V_{th}^2 / Z_{th} \))から、遮断器の遮断容量を選定する。現場では「電源インピーダンス」と呼ぶ。
⚡ 最大有能電力(最大電力定理)¶
過去問頻出: R03問7「可変抵抗で消費される最大電力」/ H19問5「ジュール熱が最大となる条件」など複数回出題
定理の内容¶
内部抵抗 \( r \) を持つ電圧源 \( V \) に外部抵抗(負荷)\( R \) を接続したとき、==\( R = r \) のとき負荷が受け取る電力が最大==になる。
$\(P_{\max} = \frac{V^2}{4r}\)$
導出の考え方¶
負荷電流と負荷消費電力はそれぞれ:
\( \frac{dP}{dR} = 0 \) を解くと \( R = r \) が得られる。
条件別の比較表¶
| 条件 | 負荷電力 \( P \) | 電源効率 \( \eta \) |
|---|---|---|
| \( R \ll r \)(ほぼ短絡) | \( \approx 0 \) | \( \approx 0\% \) |
| \( R = r \)(整合) | \( V^2/4r \)(最大) | \( 50\% \) |
| \( R \gg r \)(ほぼ開放) | \( \approx 0 \) | \( \approx 100\% \) |
注意点¶
「最大電力」≠「最大効率」
- 電力が最大になるのは \( R = r \) のとき(効率は 50%)
- 効率が最大(≈ 100%)になるのは \( R \to \infty \) のとき(電力はほぼ0)
- テブナン等価回路を先に求めてから適用するのが定石(\( V \to V_{th} \)、\( r \to R_{th} \))
典型問題パターン¶
| 問われ方 | 解法 |
|---|---|
| 「可変抵抗 \( R \) を何Ωにすると最大電力か」 | \( R = R_{th} \)(テブナン内部抵抗)を答える |
| 「最大電力の値を求めよ」 | \( P_{\max} = V_{th}^2 / (4R_{th}) \) を計算する |
🔄 ノートンの定理¶
定理の内容¶
テブナンの等価回路(電圧源+直列抵抗)と双対の関係にある定理。
任意の線形回路を 「電流源 \( I_N \) と並列抵抗 \( R_N \)」 の等価回路に変換できる。
変換手順¶
STEP1:着目端子を短絡 → 短絡電流 I_N を求める
STEP2:電源をゼロにして端子間の合成抵抗 R_N(= R_th)を求める
STEP3:I_N と R_N を並列接続した等価回路に変換
テブナン vs ノートン 比較表¶
| 項目 | テブナンの定理 | ノートンの定理 |
|---|---|---|
| 等価回路 | 電圧源 \( V_{th} \) + 直列抵抗 \( R_{th} \) | 電流源 \( I_N \) + 並列抵抗 \( R_N \) |
| 着目操作 | 端子を開放 → \( V_{th} \) を求める | 端子を短絡 → \( I_N \) を求める |
| 抵抗の求め方 | \( R_{th} \)(電源ゼロで計算) | \( R_N = R_{th} \)(同じ) |
| 相互関係 | \( V_{th} = I_N \times R_N \) | \( I_N = V_{th} / R_{th} \) |
| 使いやすい場面 | 負荷電圧・電流を求める | 電流源主体の回路・最大電力 |
試験での出題傾向¶
電験3種での位置づけ
- テブナン→ノートン変換の理解が問われることがある
- R03問7(最大電力)などテブナン/ノートンを活用する問題が増加傾向
- 最大電力定理との組み合わせ:テブナン等価 → \( R_N = R_{th} \) → \( P_{\max} = I_N^2 R_N / 4 \) の流れで解ける
最終確認: 2026-04-01 | ステータス: v0.7(構造・公式・数値検証済み) | バージョニング基準