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⚙️ RLC回路

📍 学習マップ上の現在地

前提交流回路基礎 → [RLC回路](現在地) → 交流電力

重要度 頻出論点 バージョン
S インピーダンス / 共振 / Q値 / 直並列 v0.7 ✅

RLC回路の解析手法。インピーダンス合成・共振条件・Q値を理解することで、フィルタ設計や電力品質の問題に対応できる。


🧠 原理(なぜ起きるか)

  • RLC回路はバネ(C)・質量(L)・ダンパー(Rの機械振動系と数学的に同型。共振はブランコが最大に揺れる状態。
  • 共振\(X_L = X_C\) のとき、インピーダンスが最小(直列)または最大(並列)になり、電流・電圧が極端な挙動を示す。
  • Q値:共振の「鋭さ」。Q大きい = 共振ピークが細く高い = 選択性が高い(ラジオのチューニングに利用)。

5秒で思い出す

共振条件は \(X_L = X_C\)、つまり \(\omega L = 1/(\omega C)\)。これを解くと \(\omega_0 = 1/\sqrt{LC}\)


📐 公式(どう計算するか)

レイヤーA:基本概念

公式 意味(日本語) 使える条件 使えない条件
\( Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2} \) 直列RLCの合成インピーダンス大きさ。RとリアクタンスはベクトルでZを作る 直列接続・正弦波定常 並列回路には直接使えない(逆数で考える)
\( \tan\varphi = \dfrac{X_L - X_C}{R} \) 位相角。正なら誘導性(電流遅れ)、負なら容量性(電流進み) 直列RLC 並列RLCでは分母・分子が変わる
\( f_0 = \dfrac{1}{2\pi\sqrt{LC}} \) 共振周波数L・Cだけで決まり、Rは無関係 直列・並列ともに同じ式

レイヤーB:応用変換

公式/手法 意味 使える条件 使えない条件
\( Q = \dfrac{\omega_0 L}{R} = \dfrac{1}{\omega_0 CR} \) 直列共振のQ値。共振時の電圧拡大率でもある(コイル・コンデンサの電圧が入力のQ倍に) 直列RLC共振 並列共振では \(Q = R/(\omega_0 L)\) と逆転する
\( I_{max} = V/R \) 直列共振時の電流。リアクタンス成分が相殺されRのみ残る 直列共振点のみ 共振点以外では \(I < V/R\)
\( \dot{Z} = R + j(X_L - X_C) \) 複素インピーダンス表示。フェーザー計算の基本形 直列接続・正弦波

📊 比較表

直列RLC vs 並列RLC

直列RLC 並列RLC
インピーダンス 共振時 最小(= R 共振時 最大(= R
電流 共振時 最大 共振時 最小
用途 直列共振回路(選択フィルタ) 並列共振回路(タンク回路)
Q値の定義 \(Q = \omega_0 L / R\) \(Q = R / (\omega_0 L)\)

誘導性 vs 容量性の見分け方

条件 回路の性質 電流の位相
\(X_L > X_C\) 誘導性 電圧より遅れ
\(X_L < X_C\) 容量性 電圧より進み
\(X_L = X_C\) 共振(純抵抗的) 電圧と同位相

直列共振 vs 並列共振(電圧・電流の振る舞い)

直列共振 並列共振
電流 最大(危険!) 最小
各素子電圧 \(V_L = V_C = QV_s\)(拡大) 共通電圧 = 印加電圧
実用上の注意 コイル・コンデンサに高電圧が発生する 電流は小さくなる

直列共振時の各素子電圧(R04上 問9 頻出)

「コイルの電圧 vs 抵抗の電圧の比を求めよ」系の問題で必要な計算手順。

共振時は \(X_L = X_C\) で電流は \(I = V_s / R\)(最大値)。このとき:

\[V_R = IR = \frac{V_s}{R} \cdot R = V_s\]
\[V_L = IX_L = \frac{V_s}{R} \cdot \omega_0 L = V_s \cdot \frac{\omega_0 L}{R} = Q \cdot V_s\]

したがって \(V_L / V_R = Q\) となる。コイルと抵抗の電圧比はそのままQ値

例:\(R = 10\,\Omega\)\(L = 10\,\text{mH}\)\(C = 10\,\mu\text{F}\) の直列RLC回路。 共振角周波数 \(\omega_0 = 1/\sqrt{LC} = 1/\sqrt{10 \times 10^{-3} \times 10 \times 10^{-6}} = 1/10^{-4} = 10^4\,\text{rad/s}\)\(Q = \omega_0 L / R = 10^4 \times 10 \times 10^{-3} / 10 = 10\)。 よって \(V_L = V_C = 10\,V_s\)(印加電圧の10倍)。

引っかかりポイント: 共振時でも \(V_L\)\(V_C\) は消えているわけではない。大きさは \(QV_s\) でも位相が逆なので打ち消し合い、回路全体として純抵抗的に見えるだけ。


🕳️ よくある勘違いTOP3

❌ 直列インピーダンスを \(Z = R + X_L + X_C\) とスカラーで足す ✅ RとリアクタンスはベクトルでZを合成する。 \(Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2}\)。直角三角形を思い出す。

❌ 共振条件 \(X_L = X_C\) と共振周波数の公式 \(f_0 = 1/(2\pi\sqrt{LC})\) を別々に暗記して混乱する ✅ 前者から後者を自分で導けるようにする。\(X_L = X_C \Rightarrow \omega L = 1/(\omega C) \Rightarrow \omega^2 = 1/(LC)\)。式の導出が最強の記憶術。

❌ Q値は「大きいほど良い回路だ」と思い込む ✅ 用途次第。通信フィルタはQ大きい方が選択性高い。電力設備では共振時にコイル・コンデンサに \(Q\) 倍の過電圧が発生し危険。

❌ 並列共振でも直列と同じ公式 \(Q = \omega_0 L/R\) を使う ✅ 並列共振では \(Q = R/(\omega_0 L)\)。直列と逆数の関係。並列回路ではRが大きいほど電流を制限してQが上がる(直列とは逆)。問題文で「並列」と書いてあれば必ず確認する。

❌ RC回路(コンデンサのみ)で「共振」を考えてしまう ✅ 共振はLとCが両方ないと起きない。RC回路はコンデンサのインピーダンスが周波数で変わるだけ。電流は \(I = V/\sqrt{R^2 + X_C^2}\) で、周波数が高くなると \(X_C = 1/(\omega C)\) が下がり電流が増える(R06下 問9 の論点)。


🔄 解法フローチャート

RLC回路の問題を見たら
├─ 「直列か並列か」を確認
│   ├─ 直列RLC: Z = √(R² + (XL - XC)²)
│   └─ 並列RLC: Y = √(G² + (BL - BC)²) → Z = 1/Y
├─ 「共振条件を求めよ」
│   → XL = XC → ωL = 1/(ωC) → f₀ = 1/(2π√LC)
├─ 「共振時の電流/電圧」
│   直列共振: I = V/R(最大)
│   並列共振: I = V×G(最小)
└─ 「Q値を求めよ」
    直列: Q = ωL/R = 1/(ωCR)
    → Q大 = 共振ピーク鋭い = 帯域幅狭い

📖 出題パターン別補足解説

並列共振時の等価抵抗(R06上 問13 頻出)

「LC並列回路の等価抵抗の値を導出せよ」という問題は、アドミタンスの考え方が必須。

並列RLC:共振時のインピーダンス(等価抵抗)導出

並列回路はアドミタンス \(Y\) で考える方が自然。

\[Y = \frac{1}{R} + j\left(\omega C - \frac{1}{\omega L}\right) = G + jB\]

共振条件は \(B = 0\)、つまり \(\omega C = 1/(\omega L)\)。これは直列と同じ \(\omega_0 = 1/\sqrt{LC}\)

共振時は \(Y = G = 1/R\) だけ残るので、インピーダンスは:

\[Z_{共振} = \frac{1}{Y} = R \quad \text{(最大値)}\]

コイルに巻線抵抗 \(r\) が直列に入っている実際の回路(コイルが \(r + j\omega L\))では:

\[Z_{共振} \approx \frac{L}{Cr} \quad \text{(高Q近似)}\]

この式は「\(L/Cr\) が等価並列抵抗」として電力問題で頻出。\(r\) が小さいほど並列共振インピーダンスが大きくなる(電流が最小になる)ことが直感と合う。

引っかかりポイント: コイルに直列抵抗 \(r\) がある場合、「共振時でも純抵抗になるか」という問いに注意。厳密には純抵抗にならない(高Q近似でのみ純抵抗とみなせる)。電験3種では高Q近似を前提とした出題がほとんど。

エネルギー関連の計算(R07上 問5 / H23 問16 / R06上 問15 頻出)

RLC回路のエネルギー計算パターン

エネルギーに関する問題は3種類に分かれる。

① 抵抗の消費エネルギー(R07上 問5 / H19 問7 と同型)

正弦波電圧を加えたときに1周期で抵抗が消費するエネルギー \(W\)

\[W = P \cdot T = \frac{V^2}{Z^2} \cdot R \cdot \frac{1}{f}\]

ここで \(P = I^2 R\)\(I = V/Z\)。手順:まず \(Z\) を求め、\(I\) を求め、\(P = I^2 R\) を求め、\(T = 1/f\) を掛ける。

② コンデンサ・コイルに蓄えられるエネルギー(R06上 問15)

  • コンデンサ:\(W_C = \frac{1}{2}CV^2\)(最大値に注目。実効値電圧 \(V_{rms}\) なら最大値は \(\sqrt{2}V_{rms}\)
  • コイル:\(W_L = \frac{1}{2}LI^2\)(最大値の電流)

引っかかりポイント: 実効値 \(V\) が与えられた場合、最大瞬時エネルギーを求めるには最大値 \(\sqrt{2}V\) を代入する。「実効値をそのまま使うと \(\frac{1}{2}\) 倍の誤差」になる。

③ LC回路の振動(H23 問16)

コンデンサに初期電荷を与えてスイッチを入れるとLC振動が発生。 周期 \(T = 2\pi\sqrt{LC}\)、最大電流 \(I_{max} = V_0 \sqrt{C/L}\)(初期電圧 \(V_0\))。

エネルギー保存則:\(\frac{1}{2}CV_0^2 = \frac{1}{2}LI_{max}^2\) から最大電流を導出できる。これを変形すると \(I_{max} = V_0\sqrt{C/L}\)

📝 出題実績

出典: 電験王3(denken-ou.com)H18〜R07上期の過去問一覧より収集(2026-03-30) ※ 電気回路(単相交流)の中から共振・インピーダンス・RLC回路に関する問題を抽出。

年度 形式 何が問われたか
R07上 問5 計算 RLC回路において抵抗で消費されるエネルギー
R06上 問8 計算 接続が異なるLC回路における共振周波数の大小関係
R06下 問9 計算 周波数が変化したときにRC回路に流れる電流
R06上 問13 計算 LC並列回路における等価抵抗の値の導出
R06上 問15 計算 回路に接続されている素子と蓄えられるエネルギー
R05下 問8 計算 RLC直列回路の共振周波数
R05上 問8 穴埋 RLC直列共振回路の特徴
R04上 問8 計算 インダクタンス接続前後の交流電力の変化
R04上 問9 計算 直列共振回路におけるコイルと抵抗の電圧の比
R03 問9 論説 RLCの直列及び並列共振回路の特徴
R02 問8 計算 交流回路に流れる電流からの抵抗値の導出
R01 問9 計算 RLC並列回路の角周波数変化に対する電流値の変動
H30 問9 計算 交流回路の共振現象
H29 問8 計算 交流回路の回路計算
H28 問9 計算 共振周波数
H27 問7 論説 直流回路のインピーダンス
H26 問8 計算 交流回路の並列接続
H26 問9 計算 共振周波数
H25 問7 計算 交流回路での周波数特性
H25 問9 計算 RLC並列回路の電圧電流波形
H25 問10 計算 RLC直列回路の特性
H24 問10 計算 交流回路の電流比
H23 問9 計算 抵抗とコンデンサを直列接続した交流回路
H23 問16 計算 LC回路における振動電流の波形・最大値・周期
H20 問8 計算 LC並列回路に流れる電流が零となる角周波数
H19 問7 計算 RLC回路において抵抗で消費されるエネルギー
H19 問9 計算 RLC並列回路のインピーダンスの大小比較

→ 出題頻度: ★★★★★(毎年度1〜3問、問8・問9中心に出題)


確認問題

問題: R=10Ω、XL=20Ω、XC=12Ωの直列RLC回路のインピーダンスの大きさと位相角を求めよ。

解答

答え: Z = √(10²+(20-12)²) = √(100+64) = √164 ≈ 12.8Ω、tanφ = 8/10 → φ ≈ 38.7°(誘導性) ポイント: インピーダンスはベクトル合成。(XL-XC)が正なら誘導性(電流遅れ)

Level 2: 数学的背景 🔬

共振と微分方程式

直列RLC回路の微分方程式: [ L\frac{d^2i}{dt^2} + R\frac{di}{dt} + \frac{1}{C}i = \frac{dv}{dt} ]

特性方程式の解は減衰係数 \( \alpha = R/(2L) \) と共振角周波数 \( \omega_0 = 1/\sqrt{LC} \) で決まる。 - \( \alpha < \omega_0 \)(不足制動):振動しながら収束 - \( \alpha = \omega_0 \)(臨界制動):最速収束、振動なし - \( \alpha > \omega_0 \)(過制動):ゆっくり収束

Q値は \( Q = \omega_0 / (2\alpha) = \omega_0 L / R \)。Q大 = 共振が鋭く、過渡振動が長く続く。

Level 3: 実務との接点 🏭

電力系統の高調波フィルタ(特定周波数の高調波を除去するLC回路)はRLC共振の直接応用。工場のインバータ機器が発生する高調波対策として設置する。

最終確認: 2026-04-01 | ステータス: v0.7(構造・公式・数値検証済み) | バージョニング基準