分散型電源の連系区分早見表
電技解釈第220〜232条 に基づく連系要件リファレンス
1. 連系区分の一覧
| 連系区分 |
電圧レベル |
代表例 |
根拠条文 |
| 低圧連系(単相3線式) |
100V / 200V |
住宅用太陽光(10kW未満) |
第220条 |
| 低圧連系(三相3線式) |
200V |
小規模風力・小型水力 |
第220条 |
| 高圧連系 |
6.6kV |
産業用太陽光・バイオマス(数百kW〜数MW) |
第221〜224条 |
| スポットネットワーク連系 |
6.6kV(ネットワーク母線) |
都市部大規模ビル向け太陽光 |
第225条 |
| 特別高圧連系(22kV) |
22kV |
大規模太陽光・風力(数MW〜) |
第226〜229条 |
| 特別高圧連系(66kV) |
66kV |
大規模風力・メガソーラー |
第226〜229条 |
| 特別高圧連系(154kV以上) |
154kV〜 |
超大型風力・大規模水力 |
第230〜232条 |
2. 主要要件比較表
| 要件 |
低圧連系 |
高圧連系 |
特別高圧連系 |
| 逆潮流(売電) |
✅ 可(契約による) |
✅ 可 |
✅ 可 |
| 逆潮流なし運用 |
✅ 対応可(逆電力リレー RPR で管理) |
✅ 対応可 |
✅ 対応可 |
| 単独運転防止(受動的) |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
| 単独運転防止(能動的) |
✅ 必須(受動的と併用) |
✅ 必須(受動的と併用) |
✅ 必須(受動的と併用) |
| OVR(過電圧リレー) |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
| UVR(不足電圧リレー) |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
| OFR(過周波数リレー) |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
| UFR(不足周波数リレー) |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
| RPR(逆電力リレー) |
✅ 逆潮流なしの場合に必須 |
✅ 逆潮流なしの場合に必須 |
✅ 逆潮流なしの場合に必須 |
| OCR(過電流リレー) |
— |
✅ 必須 |
✅ 必須 |
| DSR(短絡方向リレー) |
— |
— |
✅ 必須(場合による) |
| 解列トリガ |
電圧・周波数異常 / 系統停電 |
電圧・周波数異常 / 系統停電 / 地絡 |
電圧・周波数異常 / 系統停電 / 地絡 / 短絡 |
| 解列後の復帰条件 |
系統電圧・周波数の正常確認後 |
同左 + 一定時限待機 |
同左 + 系統側解列確認 |
3. 単独運転防止装置の方式
3-1. 受動的方式(系統からの変化を検出)
| 方式 |
検出対象 |
概要 |
| 電圧位相跳躍検出 |
電圧位相の急変 |
系統解列時に生じる位相の不連続を検出 |
| 周波数変化率検出(df/dt) |
周波数の時間変化率 |
急激な周波数変化(単独運転時は加速/減速が顕著)を検出 |
| 第3次高調波電圧歪検出 |
3次高調波成分 |
系統連系時は抑制されているが、単独運転時に増大する特性を利用 |
受動的方式は負荷バランスが偶然一致した場合に検出困難(不感帯が存在)→ 単独で使用不可
3-2. 能動的方式(意図的な外乱を印加して応答を確認)
| 方式 |
動作原理 |
特徴 |
| 周波数シフト方式 |
インバータ出力周波数に微小シフトを与え続ける |
系統連系時は系統が周波数を固定するため影響なし。単独時は周波数が逸脱して検出 |
| 有効電力変動方式 |
有効電力出力に周期的な微小変動を与える |
単独運転時は電圧変動として現れる |
| 無効電力変動方式 |
無効電力出力に周期的な微小変動を与える |
単独運転時は周波数変動として現れる |
| 負荷変動方式 |
並列する抵抗負荷を周期的に切り替えて外乱を与える |
単独運転時は電圧降下として現れる |
実際の装置は受動的 + 能動的の2方式を組み合わせて使用する。どちらか一方のみでは不適切。
4. 逆潮流に関する要件
4-1. 逆潮流あり・なしで変わる主要要件
| 項目 |
逆潮流あり |
逆潮流なし |
| RPR(逆電力リレー) |
不要 |
✅ 必須(逆潮流を検出して解列) |
| 電力品質維持義務 |
✅ あり(発電継続するため) |
✅ あり(構内発電としての品質) |
| 高調波抑制 |
✅ 必須(系統汚染防止) |
✅ 必須 |
| 力率管理 |
✅ 力率0.85以上(一般的な条件) |
緩和される場合あり |
| 単独運転防止 |
✅ 必須 |
✅ 必須(逆潮流の有無に関わらず) |
4-2. 電力品質の維持義務
| 品質項目 |
維持基準 |
根拠 |
| 電圧 |
低圧: 101±6V(単相)/ 202±20V(三相) |
電気事業法施行規則 |
| 周波数 |
50Hz±0.2Hz または 60Hz±0.2Hz(連系時) |
電技解釈 第220条 |
| 高調波電流 |
総合歪率 5%以下(低圧)、3%以下(高圧以上) |
高調波抑制対策ガイドライン |
| フリッカ |
電圧変動が規定値以下 |
電技解釈 各連系条文 |
5. 頻出落とし穴
落とし穴 1: 「単独運転」の定義
単独運転 = 電力系統から切り離された状態にもかかわらず、分散型電源が発電を継続し、構内負荷に電力供給し続けること
- 系統が停電 → 解列しないと単独運転
- 系統が切り離されても 自動で解列されなければ違反
- 解列後は一定時間が経過し、系統の正常回復を確認してから再並列
落とし穴 2: 保護リレーの英字記号
| 記号 |
正式名称 |
動作条件 |
| OVR |
Over Voltage Relay(過電圧リレー) |
電圧が上限値を超えたとき |
| UVR |
Under Voltage Relay(不足電圧リレー) |
電圧が下限値を下回ったとき |
| OFR |
Over Frequency Relay(過周波数リレー) |
周波数が上限値を超えたとき |
| UFR |
Under Frequency Relay(不足周波数リレー) |
周波数が下限値を下回ったとき |
| RPR |
Reverse Power Relay(逆電力リレー) |
電力が逆方向(受電→発電)に流れたとき |
| OCR |
Over Current Relay(過電流リレー) |
電流が上限値を超えたとき |
| DGR |
Directional Ground Relay(地絡方向リレー) |
地絡電流が特定方向に流れたとき |
RPR は「逆電力」であって「逆電圧」ではない。 試験では「逆電圧リレー」という引っかけ選択肢が出ることがある。
落とし穴 3: 受動的方式だけでは不十分
- 受動的方式は負荷バランスが偶然一致すると検出できない(不感帯問題)
- 法規上、受動的 + 能動的の両方を装備することが要求される
- 「受動的方式のみで単独運転防止は完結する」→ 誤り
落とし穴 4: スポットネットワーク連系の特殊性
- 複数の変圧器バンクから供給されるネットワーク方式に適用
- 通常の高圧連系と保護協調の考え方が異なる
- ネットワークプロテクタ(NWP)の動作と分散型電源の解列タイミングに注意
6. 連系区分の判定フロー
発電設備の接続電圧は?
│
├─ 低圧(100V/200V)
│ └─ → 低圧連系(第220条)
│
├─ 高圧(6.6kV)
│ ├─ スポットネットワーク方式?
│ │ └─ Yes → スポットネットワーク連系(第225条)
│ └─ No → 高圧連系(第221〜224条)
│
└─ 特別高圧(22kV以上)
├─ 22kV〜66kV → 特別高圧連系(第226〜229条)
└─ 154kV以上 → 特別高圧連系(第230〜232条)
最終更新: 2026-03-30 | v1.0 | 頻出数値一覧 | 分散型電源テーマ