保護装置の動作時間まとめ¶
対象条文: 電技解釈 第18条・第33条・第36条・第37条ほか 頻出度: ★★★★☆(法規の計算・選択問題で毎年出題)
1. 過電流遮断器(ヒューズ)の動作特性(解釈第33条)¶
1-1. ヒューズの種類¶
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 電流ヒューズ | 過電流により溶断 | 電路の過電流保護 |
| 温度ヒューズ | 周囲温度上昇により溶断 | 機器内部の過熱保護 |
電験3種では電流ヒューズ(溶断時間の数値)が主な出題対象。
1-2. 電流ヒューズの溶断時間(低圧電路用)¶
| 条件 | 規定 |
|---|---|
| ✅ 定格電流の 1.1倍 | 溶断しないこと(耐流条件) |
| ✅ 定格電流の 1.6倍 | 60分以内に溶断すること |
| ✅ 定格電流の 2倍 | 定格電流区分により異なる(下表) |
定格電流別・2倍電流での溶断時間(解釈第33条第1項第1号)
| 定格電流 | 2倍電流での溶断時間 |
|---|---|
| ✅ 30A 以下 | 2分以内 |
| ✅ 30A 超〜60A 以下 | 4分以内 |
| ✅ 60A 超〜100A 以下 | 6分以内 |
| ✅ 100A 超〜200A 以下 | 8分以内 |
| ✅ 200A 超〜400A 以下 | 10分以内 |
| ✅ 400A 超〜600A 以下 | 12分以内 |
| ✅ 600A 超 | 20分以内 |
落とし穴
ヒューズの「2倍での溶断時間」は定格電流が大きいほど長い。 配線用遮断器と混同しないこと(区分の刻み方が異なる)。
2. 配線用遮断器(MCCB)の動作特性(解釈第33条)¶
2-1. 1.25倍・2倍電流での動作時間(解釈第33条第1項第2号)¶
| 定格電流 | 1.25倍での動作時間 | 2倍での動作時間 |
|---|---|---|
| ✅ 30A 以下 | 60分以内に動作しないこと + 60分以内に動作 | 2分以内 |
| ✅ 30A 超〜50A 以下 | 60分以内に動作しないこと + 60分以内に動作 | 4分以内 |
| ✅ 50A 超〜100A 以下 | 120分以内に動作しないこと + 120分以内に動作 | 6分以内 |
| ✅ 100A 超〜225A 以下 | 120分以内に動作しないこと + 120分以内に動作 | 8分以内 |
読み方: 「1.25倍ではN分間動作してはならず、かつN分以内に動作すること」という上下限の二重規定。
2-2. 正確な規定まとめ表(4区分)¶
| 定格電流区分 | 1.25倍:不動作時間 | 1.25倍:動作上限 | 2倍:動作時間 |
|---|---|---|---|
| ✅ 30A 以下 | 60分 | 60分以内 | 2分以内 |
| ✅ 30A 超〜50A 以下 | 60分 | 60分以内 | 4分以内 |
| ✅ 50A 超〜100A 以下 | 120分 | 120分以内 | 6分以内 |
| ✅ 100A 超〜225A 以下 | 120分 | 120分以内 | 8分以内 |
暗記のコツ
2倍動作時間は 2・4・6・8 分(定格電流が大きいほど長い)。 50A 超えで「不動作・動作時間」が 60分 → 120分 に変わる境界に注意。
3. 漏電遮断器(地絡遮断装置)の動作特性(解釈第36条)¶
3-1. 感度電流と動作時間の組み合わせ¶
| 分類 | 感度電流(定格) | 動作時間 |
|---|---|---|
| ✅ 高感度型 × 高速型 | 30mA 以下 | 0.1秒以内 |
| ✅ 高感度型 × 時延型 | 30mA 以下 | 0.1秒超〜2秒以内 |
| ✅ 中感度型 × 高速型 | 30mA 超〜1A 以下 | 0.1秒以内 |
| ✅ 中感度型 × 時延型 | 30mA 超〜1A 以下 | 0.1秒超〜2秒以内 |
3-2. 感度電流の分類¶
| 区分 | 感度電流範囲 | 用途例 |
|---|---|---|
| ✅ 高感度型 | 30mA 以下 | 人体感電保護(一般住宅・湿気のある場所) |
| ✅ 中感度型 | 30mA 超〜1A 以下 | 電路の地絡保護(幹線系統など) |
| 低感度型 | 1A 超〜 | 大型設備(電験3種での出題は少ない) |
3-3. 電動機・医療機器等の特例¶
| 対象 | 特例内容 |
|---|---|
| ✅ 電動機(始動電流大) | 高感度型では誤動作するため、中感度型・時延型の使用が認められる場合がある |
| ✅ 医療機器(生命維持) | 突然の遮断が危険な機器は、別途設計上の対策が必要 |
落とし穴
「漏電遮断器があれば過電流保護も不要」は誤り。 漏電遮断器は地絡電流のみを検出する。過電流保護は別途配線用遮断器等が必要。
4. B種接地の遮断時間と抵抗値の関係(解釈第18条)¶
B種接地抵抗値の上限は、高圧側の地絡電流(Ig) と 遮断時間 によって決まる。
| 遮断時間の条件 | B種接地抵抗値の上限 |
|---|---|
| ✅ 1秒超(2秒以内を含む) | 150 / Ig [Ω] |
| ✅ 1秒以内 | 300 / Ig [Ω] |
| ✅ 0.5秒以内 | 600 / Ig [Ω] |
Ig = 高圧電路の1線地絡電流 [A]
4-1. 計算例¶
高圧側 Ig = 5A、遮断時間 = 0.5秒以内 の場合:
RB ≤ 600 / 5 = 120 Ω
4-2. 公式の覚え方¶
暗記
遮断時間が短い(素早く切る)ほど、地絡電流が流れている時間が短く、
接地抵抗値を大きく設定できる(= 分母の定数が大きい)。
0.5秒 → 600・1秒 → 300・2秒 → 150 の逆比関係で覚える。
5. 地絡遮断装置の省略条件(解釈第36条)¶
以下の条件を満たす場合、漏電遮断器(地絡遮断装置)の設置を省略できる。
| # | 省略条件 | 要件 |
|---|---|---|
| ✅ 1 | 乾燥した場所 | 機械室・電気室など、人が触れにくく乾燥した場所に設置する機器 |
| ✅ 2 | 対地電圧 150V 以下 かつ 乾燥した場所 | 住宅・事務所等の乾燥した場所で使用する 150V 以下の機器 |
| ✅ 3 | 非接地電路に接続 | 絶縁変圧器(二次側が非接地)で保護されている電路 |
| ✅ 4 | 電気用品安全法の適用品 | 二重絶縁構造など、電安法で保護が確保されている機器 |
落とし穴
「乾燥した場所なら何でも省略可」ではない。 対地電圧 150V 超の機器は、乾燥した場所でも省略不可の場合があるため、 条件の組み合わせを正確に覚えること。
6. 頻出落とし穴まとめ¶
| # | 落とし穴 | 正しい理解 |
|---|---|---|
| ✅ 1 | 過電流遮断器と漏電遮断器を混同 | 過電流遮断器は過負荷・短絡保護。漏電遮断器は地絡保護。役割が異なる |
| ✅ 2 | ヒューズと配線用遮断器の区分の刻みを混同 | ヒューズは 30/60/100/200/400/600A。MCCBは 30/50/100/225A の4区分 |
| ✅ 3 | 省略条件の「乾燥した場所」を万能と思う | 対地電圧 150V 超では適用外。電圧条件と場所条件の両方を確認 |
| ✅ 4 | B種接地の公式で分子を逆に覚える | 遮断時間が短い → 分子が大きい(600/300/150 の順)。感覚と逆になりがち |
| ✅ 5 | 漏電遮断器があれば過電流保護不要と思う | 漏電遮断器は地絡専用。過電流保護は別途 MCCB 等が必要 |
| ✅ 6 | 高感度型 30mA と中感度型 1A の境界を曖昧に覚える | 高感度 = 30mA 以下。中感度 = 30mA 超〜1A 以下。境界値の帰属に注意 |
クイックリファレンス(試験直前確認用)¶
【ヒューズ溶断時間(2倍電流)】
30A以下:2分 / 30〜60A:4分 / 60〜100A:6分
100〜200A:8分 / 200〜400A:10分 / 400〜600A:12分 / 600A超:20分
【配線用遮断器(2倍電流)】
30A以下:2分 / 30〜50A:4分 / 50〜100A:6分 / 100〜225A:8分
【B種接地抵抗】
0.5秒以内:600/Ig / 1秒以内:300/Ig / 2秒以内:150/Ig
【漏電遮断器 感度電流】
高感度:30mA以下 / 中感度:30mA超〜1A以下
【漏電遮断器 動作時間】
高速型:0.1秒以内 / 時延型:0.1秒超〜2秒以内