⚡ 電線・ケーブルの選定¶
出題頻度: 11年間で3回 ★★★☆☆ 関連条文: 省令第5条〜第7条 / 解釈第3条〜第12条 過去問: H27問2, H25問3, R02問7
まず「正答者はどう考えているか」のゴールを見てから詳細に入ると効率が良い。
🧠 正答者 vs 誤答者の視点差¶
| 観点 | ||
|---|---|---|
| 引込線の定義 | 「電柱から建物の中まで全部引込線」と曖昧 | 「分岐点→引込口」と区間を明確に意識 |
| 許容電流 | カタログ値(低減率なし)で判断 | 低減率を考慮した実効許容電流で判断 |
| 電線の用途 | 「電線は電線」で記号の意味を区別しない | 電線の記号→用途・施設場所を照合してから判断 |
| CVとIVの違い | 「どちらもケーブル・電線」と同一視 | 耐熱温度の差(90℃ vs 60℃)が許容電流の差になると理解 |
| ビニルコードの扱い | 「細い電線なら何でも使える」と思い込む | 移動電線専用・固定配線不可の制約を即答できる |
| 低減率の計算 | 管内本数を数えずに許容電流をそのまま使う | 問題文で管内本数を確認してから低減率を掛ける |
法的根拠ピラミッド¶
🟥 電気事業法 第39条 ← 技術基準への適合義務
🟨 省令第5条(電路の絶縁) ← 電路は大地から絶縁すること
🟨 省令第6条(電線等の断線の防止)← 電線に十分な強度を持たせること
🟨 省令第7条(電線の接続) ← 接続部の安全確保
🟩 解釈第3条(電線の種類) ← 使用できる電線の種類を規定
🟩 解釈第5条〜第8条(電線の強度)← 電線の引張強さ・安全率の具体値
🟩 解釈第9条〜第12条 ← 許容電流・電線の施設方法
🟦 JIS C 3307(VVFケーブル)等 ← 電線規格の具体的数値
🧠 概念・趣旨¶
誰の何を守るか: 電路を構成する電線・ケーブルの品質を確保し、断線💥・過熱🔥・絶縁破壊😱による感電・火災を防止する
この法令がなかったら: 細すぎる電線で大電流→過熱→被覆溶融→短絡→火災🔥、強度不足→断線→送電不能 or 落下→感電💀
👑 王道の考え方: 電線選定は「許容電流」「引張強度」「絶縁性能」の3要素。用途(固定配線/移動電線/引込線)によって要求仕様が変わる。
⚡ 5秒で思い出す¶
「IV屋内管入れ・HIV耐熱・VVF住宅配線・CV大電流幹線」 許容電流の大小:CV(90℃)> IV(60℃)。耐熱温度が高いほど大電流を流せる 低減率:管内3本以下→0.70、4本→0.63、5〜6本→0.56 ✅ 1.6mm→19A、2.0mm→24A、2.6mm→33A ✅ ビニルコード=固定配線禁止(移動電線専用)
セルフチェック①: IV電線(1.6mm)を同一管内に4本収納した場合の実効許容電流は何Aか?
19A × 0.63 ≒ 12A。管内3本以下なら0.70倍だが、4本は0.63倍に下がる点がポイント。問題文で本数を確認する癖をつけること。
セルフチェック②: ビニルコードを屋内の固定配線に使用することはできるか?
禁止。ビニルコードは移動電線専用。機械的強度が弱く、固定配線に使用すると過熱・断線リスクがある。固定配線にはVVFケーブルやIV電線を使用する。
🔍 技術翻訳表¶
| 条文の表現 | 現場で言うと | 物理で言うと |
|---|---|---|
| 電線は通常の使用状態で断線のおそれがないこと(省令第6条) | 電線が切れちゃダメ | 想定荷重(自重+風+氷雪)に対し安全率を確保 |
| 電線の接続部で電気抵抗を増加させないこと(省令第7条)✅ | つなぎ目で熱を持たせるな | 接続部の抵抗≦電線本体の抵抗 |
| 許容電流 | その電線に流していい最大電流 | 導体温度が絶縁体の耐熱温度を超えない電流値 |
| 600Vビニル絶縁電線(IV) | 管に入れて使う屋内配線用の定番電線 | 耐熱温度60℃・PVC被覆。管内で放熱が制限される前提の電線 |
| 600V耐熱ビニル絶縁電線(HIV) | 高温環境(照明器具内部・発熱機器周辺)向け電線 | 耐熱温度75℃ ✅。IVより許容電流が大きい |
| 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形(VVF) | 住宅の壁や床に直接貼って使えるケーブル | シース(外装)付きで管なしで施設可。耐熱温度60℃ ✅ |
| 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV) | 幹線・大電流回路に使う高性能ケーブル | 架橋ポリエチレン絶縁で耐熱温度90℃ ✅。IVより許容電流が大きい |
| 移動電線 ✅ | 電気機器に接続する可動ケーブル(コードリール等) | 曲げ・摩耗・引張を繰り返し受ける電線。固定配線には使用不可 |
| 引込線 ✅ | 電柱から建物に引き込む電線 | 架空配電線路の分岐点から需要場所の引込口まで |
| 引込口配線 ✅ | 建物の引込口からメーターまでの電線 | 引込線の屋内側延長部分 |
| 電線の低減率 ✅ | 同じ管に何本も入れると流せる電流が減る | 電線の放熱が悪くなり温度上昇が大きくなる |
📊 比較表¶
主な電線の種類と用途 ✅¶
| 電線の種類 | 記号 | 用途 | 許容温度 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 600Vビニル絶縁電線 | IV | 屋内配線(管内) | 60℃ ✅ | 最も基本的な絶縁電線 |
| 600V耐熱ビニル絶縁電線 | HIV | 高温環境・照明器具内 | 75℃ ✅ | IVより許容電流が大きい |
| 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 | VVF | 屋内配線 | 60℃ ✅ | 住宅配線の定番 |
| 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | CV | 幹線・高電流回路 | 90℃ ✅ | 許容電流が大きい |
| 屋外用ビニル絶縁電線 | OW | 架空引込線 | — | 屋外用(耐候性あり) |
| 引込用ビニル絶縁電線 | DV | 架空引込線 | — | 引込線専用 |
| ビニルコード | — | 移動電線(小型機器) | — | 機械的強度が弱い(固定配線禁止) |
許容電流の代表値(周囲温度30℃、単線)✅¶
| 電線サイズ | IV電線(管内) | VVF(2心) | CV(管内) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1.6mm | 19A ✅ | 19A ✅ | — | 15A/20A分岐回路用 |
| 2.0mm | 24A ✅ | 24A ✅ | — | 20A分岐回路用 |
| 2.6mm | 33A ✅ | 33A ✅ | — | 30A分岐回路用 |
| 5.5mm² | 39A ✅ | — | 49A ✅ | CVの優位性が顕著 |
| 8mm² | 46A ✅ | — | 61A ✅ | 40A分岐回路用 |
| 14mm² | 61A ✅ | — | 88A ✅ | 50A分岐回路用 |
| 22mm² | 75A ✅ | — | 115A ✅ | 幹線で使用頻度高い |
| 38mm² | 100A ✅ | — | 152A ✅ | 大容量幹線 |
CV vs IV の差のポイント: 同じ断面積でCVはIVより約25〜50%大きい許容電流を持つ(耐熱温度90℃ vs 60℃の差)✅
CVとIVの主な違い¶
| 比較項目 | IV(600Vビニル絶縁電線) | CV(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル) |
|---|---|---|
| 絶縁材料 | ポリ塩化ビニル(PVC) | 架橋ポリエチレン(XLPE) |
| 耐熱温度 | 60℃ | 90℃ |
| 許容電流(同サイズ) | 小さい | 大きい(約25〜50%大) ✅ |
| シース(外装) | なし | あり(ビニルシース) |
| 管への収納 | 要管(CD管・PF管等) | 単独敷設可 |
| 主な用途 | 屋内配線・分岐回路 | 幹線・大電流回路・ケーブルラック |
| コスト | 低い | 高い |
許容電流の低減率 ✅¶
| 同一管内の電線数 | 低減率 |
|---|---|
| 3本以下 | 0.70 ✅ |
| 4本 | 0.63 ✅ |
| 5〜6本 | 0.56 ✅ |
| 7本以上 | — |
引込線と引込口配線の比較 ✅¶
| 項目 | 引込線 | 引込口配線 |
|---|---|---|
| 区間 | 電柱の分岐点 → 建物の引込口 | 引込口 → メーター(引込開閉器) |
| 場所 | 屋外(架空 or 地中) | 建物の壁面・屋内 |
| 使用電線 | DV線・OW線等 ✅ | IV電線・ケーブル等 ✅ |
| 最小太さ | 直径2.6mm(銅)以上 ✅ | 引込線と同等以上 ✅ |
🕳️ 頻出論点と落とし穴¶
危険度ランク: 🔴致命(連鎖失点リスク)/ 🟡要注意(単発失点)/ 🟢安心(加点要素)
-
🔴致命
許容電流はカタログ値ではなく「低減後の実効値」で判断する
- 同一管内に複数電線を入れると放熱が悪化し、許容電流が下がる
- 管内3本以下→0.70倍、4本→0.63倍、5〜6本→0.56倍 ✅
- 例: 1.6mm(19A)を4本入り管に使う → 実効許容電流 = 19A × 0.63 ≒ 12A ✅
- 問題文で「管内の電線本数」を確認する癖をつける
-
🔴致命
電線の種類と使用できる場所・用途は1対1で決まっている
- OW線(屋外用)を屋内配線に使う → 不適切 ✅
- DV線(引込用)を一般の架空電線路に使う → 不適切 ✅
- ビニルコードを固定配線に使う → 禁止(移動電線専用)
- 「この電線はどこで使えるか」を先に確認する
-
🟡要注意
引込線と引込口配線の定義を混同しない
- 引込線 = 電柱の分岐点 → 建物の引込口(屋外)
- 引込口配線 = 引込口 → メーター(屋内)✅
- 「引込線」を問われているのに「引込口配線」の知識で答えてしまうミスが頻出
-
🔴致命
CVとIVの許容電流の違い — 耐熱温度が根拠
- IV:耐熱温度60℃ → 許容電流が小さい
- CV:耐熱温度90℃ → 許容電流が大きい(同じサイズでもCVの方が流せる)✅
- 幹線設計でCVを選ぶ理由は「許容電流の余裕」が主な理由
- 「温度が高いほど大電流OK」という物理直感を持つ
-
🟡要注意
電線サイズと分岐回路の対応を覚えているか
- 1.6mm → 15A・20A回路用(19A)✅
- 2.0mm → 20A回路用(24A)✅
- 2.6mm → 30A回路用(33A)✅
- サイズ→許容電流→回路定格の3点セットで暗記
📝 出題実績¶
| 年度 | 問 | 形式 | 何が問われたか | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| R05 | — | — | — | — |
| R04 | — | — | — | — |
| R03 | — | — | — | — |
| R02 | 問7 | 択一 | 電線・ケーブルの種類と施設方法 | 解釈第3条〜 |
| R01 | — | — | — | — |
| H30 | — | — | — | — |
| H29 | — | — | — | — |
| H28 | — | — | — | — |
| H27 | 問2 | 択一 | 電線の許容電流・低減率 | 解釈第9条〜 |
| H26 | — | — | — | — |
| H25 | 問3 | 択一 | 引込線の施設・電線の種類 | 解釈第5条〜 |
🔗 混同注意¶
| 混同しやすいペア | 違い |
|---|---|
| 引込線 vs 引込口配線 | 引込線=屋外(電柱→引込口)/ 引込口配線=屋内(引込口→メーター) |
| IV電線 vs VVFケーブル | IV=絶縁電線(管に入れて使う)/ VVF=ケーブル(シース付きでそのまま使える) |
| OW線 vs DV線 | OW=屋外用一般 / DV=引込専用 ✅ |
| 許容電流 vs 低減後許容電流 | カタログ値 vs 管内電線数を考慮した実際の値 |
| コード vs ケーブル | コード=移動電線用(柔らかい)/ ケーブル=固定配線可(外装あり) |
| IV vs HIV | 耐熱温度60℃ vs 75℃ ✅。HIVは高温環境・照明器具内部向け |
| → 配線工事 | 電線の選定結果が配線工事の設計に直結 |
| → 保護装置 | 電線の許容電流と過電流遮断器の定格は整合が必要 |
Level 2: 物理的背景 🔬
許容電流の決まり方: - 電流→ジュール熱(I²R)で導体が発熱→被覆(絶縁体)の温度上昇 - 絶縁体の耐熱温度を超えない最大の電流=許容電流 - IVの耐熱温度60℃、CVの耐熱温度90℃ → CVの方が許容電流が大きい ✅
低減率の物理的理由: - 管内に電線が密集→互いの発熱が重畳→放熱しにくい - 本数が増えるほど中心部の温度が上がりやすい→許容電流を下げる必要
接続部の発熱: - 接続部の抵抗が電線本体より大きい→局所的な発熱→最悪の場合は溶断・火災 - だから省令第7条で「電気抵抗を増加させない」ことを要求
Level 3: 設計パラメータ 📐
電圧降下の計算: 配電線路では末端の電圧降下が規定値以内であることを確認する。電圧降下 = 2 × I × R × L(単相2線式の場合)✅ 安全率: 架空電線の引張強さに対する安全率は2.5以上(硬銅線の場合)✅。安全率 = 引張強さ / 想定荷重 ケーブルの選定フロー: 負荷電流の算出 → 許容電流表から電線サイズ選定 → 低減率の適用 → 電圧降下の確認 → 短絡電流に対する熱的強度の確認 ✅
最終確認: 2026-03-30 | ステータス: v1.0 完全版 | バージョニング基準