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🛡️ 保護装置(過電流・地絡)

出題頻度: 11年間で6回 ★★★★☆ 関連条文: 省令第14条, 第15条 / 解釈第33条〜第37条の2 過去問: R03問5, H30問8, H28問5, H28問11, H25問6


まず「正答者はどう考えているか」のゴールを見てから詳細に入ると効率が良い。

🧠 正答者 vs 誤答者の視点差

観点 正答者の思考 誤答者の思考
動作時間 「定格電流の区分→動作時間」とセットで判断 「1.25倍=60分」だけ覚えて全区分に適用
省略条件 省略できる条件を全て確認してから判断 「乾燥した場所ならOK」と単純化
保護対象 過電流=設備保護、地絡=人体保護と区別 「ブレーカーが落ちる」で一括り

法的根拠ピラミッド

🟥 電気事業法 第39条        ← 技術基準への適合義務
🟨 省令第14条(過電流からの保護)← 過電流による危険防止
🟨 省令第15条(地絡に対する保護)← 地絡時の感電・火災防止
🟩 解釈第33条(過電流遮断器の施設)← 遮断器の具体的要件
🟩 解釈第34条(低圧幹線の施設)   ← 幹線保護の具体的数値
🟩 解釈第36条(地絡遮断装置の施設)← 地絡保護の設置要件
🟩 解釈第37条(漏電遮断器の施設)  ← 漏電遮断器の感度・動作時間
🟩 解釈第37条の2              ← 特殊ケースの保護要件
🟦 JIS C 8201(低圧開閉装置) ← 具体的な試験方法・数値

📐 WHYから理解する(法令の必然性)

法令 問いかけ 答え
🔴 法律 電気事業法 第39条 なぜ規制するのか 過電流・地絡による焼損・感電死亡を防止するため
🟠 政令 電気事業法施行令 規制の範囲は? 事業用電気工作物の電路・機器全般
🟡 省令 電技 第14条(過電流)・第15条(地絡) 何を守るか 過電流からの電路保護 / 地絡時の感電・火災防止(数値は解釈に委任)
🟢 告示 電技解釈 第33条・第36条・第37条 どうやって守るか 過電流遮断器の施設義務・漏電遮断器の設置場所・感度電流30mA・動作時間0.1秒以内
🔵 規格 JIS C 8201(低圧開閉装置)/ JIS C 8371(漏電遮断器 実務では? 遮断器の定格・動作特性・試験方法

🧠 線の記憶ポイント: 電技14条「過電流保護」→解釈33条「遮断器を施設せよ」。電技15条「地絡保護」→解釈36条「ELBを施設せよ」→解釈37条「30mA・0.1秒」。C種・D種接地はELBがあれば500Ωに緩和(接地工事と連動)。

🧠 概念・趣旨

誰の何を守るか: 電路・機器を過電流(短絡・過負荷)による焼損💥から守り、人を地絡(漏電)による感電😱から守る

この法令がなかったら: 短絡電流で電線が溶融→火災🔥、漏電に気づかず→感電死💀

👑 王道の考え方: 保護装置は「異常を検知して回路を切る」仕組み。過電流保護と地絡保護は守る対象が違う(設備 vs 人)ことを常に意識する。

⚡ 5秒で思い出す

過電流=設備を守る、地絡=人を守る 「1.25倍で60分、2倍で2分」(30A以下)✅ 漏電遮断器: 30mA・0.1秒 が人体保護の基本 ✅ 省略条件: 乾燥 / 低電圧+水気なし / 低接地抵抗 / 二重絶縁 ✅

セルフチェック①: 定格電流50A超の過電流遮断器が「定格の1.25倍の電流」で動作するまでの時間は何分以内か?

120分以内。30A以下は60分以内、30A超〜50A以下も60分以内だが、50A超は120分以内と区分が異なる。

セルフチェック②: 漏電遮断器の施設を省略できる条件を4つ挙げよ。

①乾燥した場所に施設、②対地電圧150V以下で水気のない場所、③C種・D種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下、④二重絶縁構造の機器。すべてを満たす場合のみ省略可(1条件だけでは省略不可)。


🔍 技術翻訳表

条文の表現 現場で言うと 物理で言うと
過電流遮断器を施設しなければならない(解釈第33条) ブレーカーを付けろ 電流 > 定格 → トリップ(熱動式 or 電磁式)
定格電流の1.25倍で60分以内に動作 ✅ じわじわ過負荷なら1時間以内に落ちる I²t特性による発熱と応答
定格電流の2倍で2分以内に動作 ✅ 明らかな過電流なら2分で落ちる 大電流→急速発熱→高速トリップ
地絡を生じた時に自動的に電路を遮断する(省令第15条) 漏電したら自動で切れ 零相変流器(ZCT)で漏れ電流を検出→トリップ
感度電流 ✅ 何mAの漏れで反応するか 人体通過電流の安全限界から逆算
金属製外箱を有する使用電圧60V超の機械器具(解釈第36条)✅ 金属ケースの電気機器(100Vコンセント機器など) 絶縁劣化時に外箱が充電→接触で感電経路形成

📊 比較表

過電流遮断器の動作特性 ✅

定格電流 1.25倍の動作時間 2倍の動作時間 備考
30A以下 ✅ 60分以内 2分以内 住宅用が多い
30A超〜50A以下 ✅ 60分以内 4分以内
50A超 ✅ 120分以内 6分以内 動力回路等

漏電遮断器の種類 ✅

種類 感度電流 動作時間 主な用途
高感度・高速形 ✅ 30mA以下 0.1秒以内 人体保護(一般回路)
高感度・時延形 ✅ 30mA以下 0.1〜2秒 不要動作防止
中感度形 ✅ 50〜1000mA 設備保護(漏電火災防止)

地絡遮断装置が省略できる条件 ✅

条件 根拠条文 理由
機械器具を乾燥した場所に施設 ✅ 解釈第36条 漏電しても感電リスクが低い
対地電圧150V以下で水気のない場所 ✅ 解釈第36条 電圧が低く環境も乾燥
C種・D種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下 ✅ 解釈第36条 接地で十分に電圧降下できる
二重絶縁構造の機器 ✅ 解釈第36条 漏電経路が形成されない

🕳️ 頻出論点と落とし穴

危険度ランク: 🔴致命(連鎖失点リスク)/ 🟡要注意(単発失点)/ 🟢安心(加点要素)

🕳️ 落とし穴1: 動作時間と定格電流の関係

🟡要注意 定格電流の区分によって動作時間が変わる。「1.25倍=60分」は30A以下の場合。50A超は120分以内 ✅。定格の区分を問う問題に注意

🕳️ 落とし穴2: 地絡遮断装置の省略条件

🔴致命 「省略できる=不要」ではない。省略条件をすべて満たす必要がある。特に「乾燥した場所」「水気のない場所」の使い分けに注意 ✅。

🕳️ 落とし穴3: 過電流遮断器と漏電遮断器の混同

🔴致命 過電流遮断器は過負荷・短絡から保護、漏電遮断器は地絡(漏電)から保護。守る対象が違う。問題文で「どちらの保護か」を見極める。

🕳️ 落とし穴4: 幹線の過電流遮断器の定格

🟢安心 低圧幹線の過電流遮断器の定格電流は、電線の許容電流以下が原則。ただし電動機回路では特例あり(解釈第34条)。


📝 出題実績

年度 形式 何が問われたか 条文
R03 問5 択一 過電流遮断器の動作時間・定格 解釈第33条
R03 問4 択一 過電流遮断器の施設義務・省略条件(低圧幹線への接続点からの距離) 解釈第149条・第150条
H30 問8 択一 地絡遮断装置の設置要件 解釈第36条
H30 問4 択一 地絡遮断装置の施設と省略条件 解釈第36条
H29 問4 択一 過電流遮断器の種類と定格(低圧電路) 解釈第33条・第34条
H28 問5 択一 過電流遮断器の施設 解釈第33条
H28 問11 択一 漏電遮断器の感度電流・動作時間 解釈第37条
H27 問4 択一 過電流遮断器の施設・ヒューズの定格 解釈第33条・第34条
H25 問6 択一 地絡保護の省略条件 解釈第36条


🔗 混同注意

混同しやすいペア 違い
過電流遮断器 vs 漏電遮断器 過電流=電流の大きさで動作 / 漏電=漏れ電流(零相電流)で動作
地絡遮断装置 vs 漏電遮断器 地絡遮断装置は総称、漏電遮断器はその一種 ✅
省令第14条 vs 省令第15条 14条=過電流保護 / 15条=地絡保護
感度電流 vs 定格電流 感度電流=漏電遮断器が反応する漏れ電流 / 定格電流=通常使用時の電流
接地工事 地絡保護と接地は密接に関連。接地抵抗値で漏電遮断器の省略可否が変わる
絶縁性能 絶縁劣化が地絡の原因。絶縁と保護は表裏一体
分散型電源・系統連系 連系時の保護協調設計
電気使用場所の施設 分岐回路の保護装置設計

Level 2: 物理的背景 🔬

過電流遮断の原理: - 熱動式(バイメタル): I²Rt の発熱でバイメタルが湾曲→トリップ。過負荷保護向き - 電磁式(ソレノイド): 大電流で電磁力発生→瞬時トリップ。短絡保護向き - 実際のブレーカーは両方を組み合わせた「熱動-電磁式」が主流 ✅

地絡検出の原理: - 零相変流器(ZCT): 行き電流と帰り電流の差=漏れ電流を検出 - 正常時: 行き=帰り → ZCT出力ゼロ - 地絡時: 行き ≠ 帰り → ZCT出力あり → トリップ信号

Level 3: 設計パラメータ 📐

遮断容量の選定: 短絡電流を計算し、それ以上の遮断容量を持つ遮断器を選定する ✅ 協調(保護協調: 上位と下位の遮断器で動作時間に差をつけ、故障点に最も近い遮断器だけが動作するようにする ✅ 感度電流の選定根拠: 人体の感電安全限界(心室細動電流)から逆算。30mA×体のインピーダンス→安全電圧 ✅


最終確認: 2026-03-30 | ステータス: v1.0 完全版 | バージョニング基準


🕳️ 試験での出題パターン

よくある聞かれ方

  • 「過電流遮断器の施設が省略できる条件はどれか」
  • 「地絡遮断装置の施設義務がある場所・条件」
  • 「漏電遮断器の動作時間・感度電流の基準値」
  • 「保護協調の考え方(上位・下位の遮断器の動作時間の関係)」

典型ひっかけ

  • ❌ 「すべての低圧幹線に過電流遮断器が必要」→ ⭕ 省略できる条件がある(分岐点から3m以内など)
  • ❌ 「地絡遮断装置は全回路に施設必須」→ ⭕ 対地電圧150V以下の条件により不要なケースあり
  • ❌ 「漏電遮断器の感度電流は30mA固定」→ ⭕ 場所・条件により15mA、30mAが使い分けられる
  • ❌ 「上位遮断器の方が動作時間が短い」→ ⭕ 保護協調では上位を遅くして選択遮断を実現

🧠 なぜこの保護装置が必要か(物理的直感)

  • 過電流(過負荷・短絡)は電線のジュール熱による絶縁劣化・火災の原因 → 電流を遮断して守る
  • 地絡電流は人体感電・火災の原因。ただし地絡電流は小さいことが多く過電流遮断器では検出できない → 専用の地絡検出が必要
  • 漏電遮断器30mAは人体の心室細動を起こす最小電流(約50mA)に対して安全率を確保した値
  • 保護協調は「故障点に最も近い遮断器だけが動く」設計 → 健全部分への波及停電を防ぐ

✏️ このページを読んだら解く過去問

  • R07 問6 — 地絡遮断装置の施設義務
  • R05 問7 — 過電流遮断器の省略条件
  • R01 問8 — 漏電遮断器の感度電流・動作時間