🏭 特殊場所の施設¶
出題頻度: 11年間で4回 ★★★☆☆ 関連条文: 解釈第175条〜第180条(粉じん/可燃性/爆発), 解釈第181条〜第199条(特殊機器) 過去問: R03問7, H27問8, R02問8
まず「正答者はどう考えているか」のゴールを見てから詳細に入ると効率が良い。
🧠 正答者 vs 誤答者の視点差¶
| 観点 | ||
|---|---|---|
| 場所の区分 | 「危険な場所は全部同じ扱い」と一括り | 「連続→0種、通常→1種、異常→2種」と定義で即判断 |
| 防爆構造の選定 | 防爆構造なら何でもOKと考える | 「場所の区分→許される構造」の2段階で判断。0種は ia のみ |
| ガス vs 粉じん | 区別せず同じ区分体系で解答してしまう | 問題文で「粉じん」か「ガス」かを確認し、分類体系を切り替える |
| 腐食性ガスの扱い | 腐食性ガスも爆発危険→防爆構造が必要と思い込む | 腐食性ガスは「防腐食」の規定。防爆とは別の条文・別の目的と認識 |
法的根拠ピラミッド¶
🟥 電気事業法 第39条 ← 技術基準への適合義務
🟨 省令第68条〜第69条 ← 特殊場所での電気設備の原則
🟩 解釈第175条(粉じん危険場所) ← 粉じんによる爆発・火災防止
🟩 解釈第176条(可燃性ガス等の存在する場所)← 可燃性ガスの爆発防止
🟩 解釈第177条〜第178条(危険物の存在する場所)← 引火性・可燃性危険物
🟩 解釈第179条(腐食性ガスの発生する場所) ← 腐食による設備劣化防止
🟩 解釈第180条(火薬庫) ← 火薬類の爆発防止
🟩 解釈第181条〜第199条(特殊機器) ← 電気さく・プール照明等
🟦 JIS C 60079シリーズ(防爆) ← 防爆構造の具体的規格
🧠 概念・趣旨¶
誰の何を守るか: 爆発性雰囲気💥・粉じん・腐食性ガスなど特殊環境下の作業者と設備を、電気火花・高温部による着火😱🔥から守る
この法令がなかったら: ガスが充満した場所で普通のスイッチをON→火花→爆発💀、粉じん雰囲気で電気機器が発熱→粉じん爆発💥
👑 王道の考え方: 「危険な場所の区分」→「その区分で許される防爆構造」の2段階で考える。場所の区分が先、機器の選定が後。
⚡ 5秒で思い出す¶
場所の区分が先、防爆構造の選定が後 0種(常時)→本質安全防爆のみ ✅ 1種(通常)→耐圧/内圧/安全増/本質安全 等 ✅ 2種(異常)→上記 + 非点火防爆 等 ✅ 数字が小さい=危険度が高い=選択肢が少ない 粉じんはZone 20/21/22(ガスの0/1/2種と別体系!) 腐食性ガス=防爆じゃなく「防腐食」、火薬庫=ケーブル配線のみ
セルフチェック①: 爆発性ガス危険場所の0種場所で使用が許容される防爆構造は何か?
本質安全防爆(ia)のみ。0種場所は連続的に爆発性雰囲気が存在する最も危険な区分であり、エネルギーを着火限界以下に制限する本質安全防爆構造だけが許される。
セルフチェック②: 腐食性ガスが発生する場所(解釈第179条)で必要なのは「防爆構造」か「防腐食措置」か?
防腐食措置。腐食性ガスの場所は爆発危険ではなくガスによる電線・機器の劣化防止が目的。防爆構造とは別の条文・別の目的であり混同に注意。
🔍 技術翻訳表¶
| 条文の表現 | 現場で言うと | 物理で言うと |
|---|---|---|
| 爆発性ガスが滞留するおそれのある場所 ✅ | ガスが溜まりやすい場所(タンク周り・ピット内等) | 可燃性ガス濃度が爆発下限界(LEL)を超え得る空間 |
| 0種場所 ✅ | 常時ガスがある場所(タンク内部等) | 連続的に爆発性雰囲気が存在 |
| 1種場所 ✅ | 通常運転でガスが出る場所(開放ベント付近等) | 正常運転中に爆発性雰囲気が周期的に生成 |
| 2種場所 ✅ | 異常時にだけガスが出る場所(フランジ周辺等) | 異常時のみ爆発性雰囲気が短時間生成 |
| 防爆構造の電気機械器具 | 防爆仕様の機器 | 点火源を封じ込める or 排除する構造 |
| 粉じん危険場所 ✅ | 粉が舞う場所(穀物サイロ・炭鉱等) | 可燃性粉じんが爆発濃度に達し得る空間 |
| 20種(Zone 20)✅ | 粉じんが常時舞っている場所(サイロ内部・粉砕機内部等) | 連続的に爆発性粉じん雲が存在する空間 |
| 21種(Zone 21)✅ | 作業中に粉じんが出る場所(充填口・排出口付近等) | 正常運転中に周期的に爆発性粉じん雲が生成 |
| 22種(Zone 22)✅ | 通常は問題ないが堆積粉じんが舞い上がる場所 | 異常時・清掃時のみ爆発性粉じん雲が短時間生成 |
| 腐食性ガスの発生する場所(解釈第179条) | メッキ工場・蓄電池室・化学プラント等 | 硫酸ガス・塩酸ガス等が電線・端子の金属を化学腐食 |
| 腐食性ガス場所での電線 ✅ | 防腐食被覆の電線を使う | 金属表面の酸化・硫化により導体が劣化→抵抗増・断線 |
| 火薬庫(解釈第180条)✅ | 火薬・爆薬の保管場所 | 微小火花・静電気でも起爆し得る極めて低い点火エネルギー |
| 火薬庫内の電気工事 ✅ | ケーブル配線のみ・金属管配線は不可 | 電気火花の発生を構造的に最小化し、摩擦・衝撃でも着火しない配線 |
📊 比較表¶
爆発性ガス危険場所の区分と防爆構造 ✅¶
| 場所の区分 | 爆発性雰囲気の存在 | 許容される防爆構造 |
|---|---|---|
| 0種場所 | 連続的・長時間 | 本質安全防爆(ia)のみ ✅ |
| 1種場所 | 正常運転中に発生 | 耐圧防爆(d), 内圧防爆(p), 安全増防爆(e), 本質安全防爆(ia/ib) 等 ✅ |
| 2種場所 | 異常時のみ | 上記 + 非点火防爆(n) 等、より広い選択肢 ✅ |
防爆構造の種類 ✅¶
| 記号 | 名称 | 原理 | イメージ |
|---|---|---|---|
| d | 耐圧防爆 | 容器内で爆発しても外に火炎が出ない | 頑丈な箱に閉じ込める |
| p | 内圧防爆 | 容器内にクリーンエアを加圧充填 | きれいな空気で追い出す |
| e | 安全増防爆 | 火花・高温が発生しない構造 | そもそも火花を出さない |
| ia/ib | 本質安全防爆 | エネルギーを着火限界以下に制限 | 微弱な電気だけ使う |
| n | 非点火防爆 | 正常時に点火源を生じない | 通常運転なら安全 |
| o | 油入防爆 | 火花発生部を油中に浸漬 | 油で火花を消す |
| q | 砂詰防爆 | 充填材(砂・石英粉)で火花を抑制 | 砂で窒息させる |
粉じん危険場所の区分 ✅¶
| 場所の区分 | 粉じんの存在状態 | 対応 |
|---|---|---|
| 20種(Zone 20) | 連続的に粉じん雲が存在 | 最も厳しい防爆構造が必要 ✅ |
| 21種(Zone 21) | 正常運転中に発生 | ✅ |
| 22種(Zone 22) | 異常時のみ | ✅ |
危険場所の種類 × 工事種類マトリクス ✅¶
| 場所の種類 | ケーブル工事 | 金属管工事 | 合成樹脂管工事 | がいし引き工事 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 粉じん危険場所(20〜22種) | ○ ✅ | ○ ✅ | ✕ ✅ | ✕ ✅ | 防じん性のある工事のみ ✅ |
| 可燃性ガス危険場所(0〜2種) | ○ ✅ | ○(厚鋼) ✅ | ✕ ✅ | ✕ ✅ | 金属管は厚鋼電線管が原則 ✅ |
| 腐食性ガスの場所(解釈第179条) | ○(防食措置) ✅ | ○(耐食処理) ✅ | ○ ✅ | ○ ✅ | 防爆ではなく防腐食が目的 ✅ |
| 火薬庫(解釈第180条) | ○ ✅ | ✕ ✅ | ✕ ✅ | ○ ✅ | 火花・摩擦・衝撃を生じない工事のみ ✅ |
| 通常場所(比較参照) | ○ | ○ | ○ | 制限あり | — |
上記マトリクスは概要整理。詳細は電技解釈の各条文を優先すること。試験では「できる/できない」を問う選択肢に注意。
特殊機器の施設 ✅¶
| 対象 | 主な解釈条文 | ポイント |
|---|---|---|
| 電気さく ✅ | 解釈第181条付近 | 電源装置の種類・感電防止の表示義務 |
| プール・噴水の照明 ✅ | 解釈の特殊機器規定 | 水中照明の絶縁変圧器・接地・漏電遮断器 |
| パイプライン等の電熱装置 ✅ | 解釈の特殊機器規定 | 過熱防止・温度制御 |
🕳️ 頻出論点と落とし穴¶
危険度ランク: 🔴致命(連鎖失点リスク)/ 🟡要注意(単発失点)/ 🟢安心(加点要素)
-
🔴致命
危険場所の区分(0種/1種/2種)と防爆構造の対応を混同しない
- 0種場所=最も危険→本質安全防爆(ia)のみ ✅
- 1種→耐圧(d)/内圧(p)/安全増(e)/本質安全(ia/ib) 等、複数OK
- 2種→上記 + 非点火防爆(n) 等、さらに選択肢が広がる
- 数字が小さいほど危険度が高い=選べる防爆構造が少ない
-
🔴致命
粉じん危険場所とガス危険場所の分類体系は別物
- ガスは0種/1種/2種(旧JIS体系)、粉じんはZone 20/21/22(IECに合わせた体系)✅
- 問題文で「粉じん」か「可燃性ガス」かを最初に確認する。体系を混ぜて答えると即アウト
-
🟡要注意
「防爆構造」の名称・記号・原理を正確に対応付ける
- 耐圧防爆=d(爆発を封じ込める)、安全増防爆=e(火花を出さない構造)、本質安全防爆=ia/ib(エネルギー制限)
- 記号だけ or 名前だけの出題どちらも対応できるよう両方で覚える ✅
- 内圧防爆=p(ガスを追い出す)と耐圧=d(爆発を封じ込める)を特に混同しやすい
-
🔴致命
腐食性ガスの場所は「防爆」ではなく「防腐食」の規定
- 解釈第179条は爆発危険ではなく、ガスによる電線・機器の劣化防止が目的 ✅
- 「腐食性ガス→防爆構造が必要」は誤り。防腐食被覆の電線・耐食性機器を使う
-
🟡要注意
火薬庫(解釈第180条)での工事種類制限
- 火薬庫内および付近での電気工事はケーブル配線・がいし引き配線等に限定 ✅
- 金属管配線・合成樹脂管配線の可否を問う選択肢に注意(金属管✕・合成樹脂管✕ ✅)
- 電気機器は「防爆構造」に加え「火花を発しない構造」であることが求められる
📝 出題実績¶
| 年度 | 問 | 形式 | 何が問われたか | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| R05 | — | — | — | — |
| R04 | — | — | — | — |
| R03 | 問7 | 択一 | 爆発性ガス危険場所の区分と施設要件 ✅ | 解釈第176条 |
| R02 | 問8 | 択一 | 特殊場所の電気設備施設 ✅ | 解釈第175条〜 |
| R01 | — | — | — | — |
| H30 | — | — | — | — |
| H29 | — | — | — | — |
| H28 | — | — | — | — |
| H27 | 問8 | 択一 | 防爆構造の種類と適用 ✅ | 解釈第176条 |
🔗 混同注意¶
| 混同しやすいペア | 違い |
|---|---|
| 0種場所 vs 1種場所 | 0種=連続的にガスあり / 1種=通常運転で発生 |
| 耐圧防爆(d) vs 内圧防爆(p) | 耐圧=爆発を封じ込める / 内圧=ガスを追い出す |
| 安全増防爆(e) vs 本質安全防爆(ia) | 安全増=火花を出さない構造 / 本質安全=エネルギーを制限 |
| 粉じん危険場所 vs ガス危険場所 | 分類体系・Zone番号・許容構造が異なる ✅ |
| → 接地工事 | 危険場所での接地は特に重要。接地要件が通常より厳しくなる場合あり |
| → 配線工事 | 危険場所での配線方法は通常と異なる。ケーブル配線が原則 |
Level 2: 物理的背景 🔬
爆発の3要素: 可燃物(ガス/粉じん)+ 酸素(空気)+ 点火源(火花/高温面) 3つが揃わなければ爆発しない。防爆の考え方は「点火源を排除する」こと。
爆発下限界(LEL)と上限界(UEL): ガス濃度がLEL〜UELの範囲にあるときのみ爆発性雰囲気となる ✅ - 水素: LEL ≈ 4%, UEL ≈ 75% ✅(非常に広い) - メタン: LEL ≈ 5%, UEL ≈ 15% ✅
粉じん爆発: 粉体が微細になると表面積が激増→空気との反応速度が急上昇→爆発的燃焼。穀物サイロ・炭鉱で実際に発生してきた歴史あり。
Level 3: 設計パラメータ 📐
危険場所の範囲決定: 漏洩源からの距離・換気条件・ガスの比重(空気より重い/軽い)で危険場所の範囲を決定する ✅ 温度等級: 防爆機器は表面温度の最高値を等級(T1〜T6)で表示。ガスの発火温度との照合が必要 ✅ 防爆グループ: ガスの種類によりグループ分け(IIA/IIB/IIC)。IICが最も危険(水素・アセチレン等)✅
最終確認: 2026-03-30 | ステータス: v1.0 完全版 | バージョニング基準