電位・電界・磁界(ローレンツ力)¶
荷電粒子が磁界の中を動くと力を受ける。その「力の向き」と「軌道の形」を混同するのが最大の落とし穴。
5秒で思い出す¶
「ローレンツ力は向きを決めるだけ。仕事はしない。だから速さは変わらず、軌道は円になる。」
フレミング左手則の指の割当て:
| 指 | 意味 |
|---|---|
| 人差し指 | 磁束密度 B(磁界の方向) |
| 中指 | 電流(正電荷の速度 v の方向) |
| 親指 | 力 F(ローレンツ力の方向) |
ローレンツ力の本質¶
何が起きているか: 荷電粒子が磁界の中を速度 v で動くとき、磁界 B から力 F を受ける。
力の大きさ¶
$$F = qvB\sin\theta$$
- q: 電荷量(C)
- v: 粒子の速さ(m/s)
- B: 磁束密度(T)
- θ: v と B のなす角
θ=0° の場合は力がゼロ
粒子が磁界と平行に動いているとき(θ=0°)は sin0°=0 → 力が働かない。 磁界と垂直なとき(θ=90°)に力が最大(F=qvB)。
力の向き¶
- 速度 v と磁束密度 B の両方に垂直な方向
- 正電荷: フレミング左手則で決まる
- 負電荷(電子など): 正電荷と逆向きになる
符号を間違えないコツ
「フレミング左手則は正電荷(または電流の方向)の話」と覚える。 電子(負電荷)の場合は、速度の方向を逆にしてからフレミング左手則を使う。
磁界に垂直に入射したときの軌道¶
等速円運動になる理由¶
- ローレンツ力の向きは常に速度と垂直
- 力が垂直 → 仕事をしない(W = F·v·cosθ、θ=90° なので cos90°=0)
- 仕事がゼロ → 運動エネルギー不変 → 速さは変わらない
- 速さ一定 + 常に垂直な力 = 等速円運動
ローレンツ力は速さを変えられない
力を受けても「速さ(スカラー)」は変わらない。変わるのは「速度(ベクトル)の方向」だけ。 これがローレンツ力の最大の特徴。
円運動の半径¶
ローレンツ力(qvB)が遠心力(mv²/r)とつり合うため:
$$r = \frac{mv}{qB}$$
- 速さ v が大きいほど → 円が大きい
- 磁束密度 B が強いほど → 円が小さい(きつく曲がる)
- 質量 m が重いほど → 円が大きい
混同の核心:「力の向き」と「軌道の形」は別の話¶
力の向き = その瞬間、どの方向に力がかかるか(右ねじ則・フレミング左手で決まる)
軌道の形 = その力が時間をかけて積み重なった結果の形(円になる)
正しい解き方の順序:
- Step 1: フレミング左手則でその瞬間の力の向きを確定する
- Step 2: その力が「常に進行方向と垂直」であることを確認する
- Step 3: → 仕事ゼロ → 速さ不変 → 等速円運動と結論づける
よくある間違いパターン
「磁界が右向きだから、粒子は右向きに加速する」→ 間違い。
磁界の方向と力の方向は違う。力の方向は「v × B」で決まり、v と B の両方に垂直。 磁界の方向に力がかかることはない。
ひっかかりポイント¶
ひっかかり1: 磁界の方向=力の方向ではない
磁界 B が紙面の表向き(手前方向)でも、力は B の方向(手前)には向かない。 力は v と B の両方に垂直な方向に働く。
ひっかかり2: 等速円運動でも「力はかかっている」
等速 = 力がゼロ、ではない。等速「円」運動は速さが一定なだけで、向きは変化し続けている。 その向き変化を引き起こしているのがローレンツ力。
ひっかかり3: 負電荷の向きを忘れる
電子(e⁻)の場合、フレミング左手則をそのまま使うと向きが逆になる。 「電子の速度方向を逆にしてから」左手則を使う、または右手則を使う(慣れた方で)。
問題の解き順テンプレ
- 電荷の符号(正/負)を確認 → 中指の方向を決める
- 磁界 B の方向を確認 → 人差し指の方向を決める
- 親指が指す方向 = 力の向き(正電荷の場合)
- 問われているのが「軌道の形」なら → 「等速円運動」と答える
正答者 vs 誤答者の視点差¶
| 観点 | ||
|---|---|---|
| 力の向き | 磁界の方向に力がかかると思う | v × B で両方に垂直と判断する |
| 軌道の形 | 力がかかり続けるから加速すると思う | 仕事ゼロ → 速さ不変 → 円と判断する |
| 負電荷 | フレミング左手則をそのまま適用する | 電流方向(v と逆)に変換してから適用する |
| θの扱い | sinθを無視して qvB で計算する | 平行成分(cosθ)はゼロなので sinθだけ残ると判断する |
関連テーマ¶
最終更新: 2026-04-01 | ステータス: v1.0 | e-log混同パターン「ローレンツ力で力の向きと軌道の形を混同」より作成