コンテンツにスキップ

🧲 磁界

磁界の問題は「どの源か(点か線か)」を最初に確認する。それだけで距離依存がわかる。

⚡ 5秒で思い出す

「直線電流の磁界は 1/r(線だから2次元)、点電荷の電界は 1/r²(点だから3次元)」


🧠 概念・趣旨

無限長直線電流による磁界

電流が流れる無限長の直線導体の周りに磁界が生じる。磁界の大きさ H は次の関係で決まる。

  • 式の意味: 電流 I が大きいほど強く、導体からの距離 r が遠いほど弱くなる
  • 距離依存: 1/r — 距離が2倍になると磁界は半分になる
  • 公式: H = I ÷ (2πr) [A/m]
  • 向き: アンペアの右ねじの法則(電流の方向に右ねじを進めると、磁界はねじの回転方向)

右ねじの法則の使い方

右手の親指を電流の向きに合わせる。残りの4本指が磁界の向き(電流を囲む方向に回る)。 向きを決めてから大きさを計算するのが正解手順。

点電荷による電界(比較用)

静止した点電荷 Q の周りに電界 E が生じる。

  • 式の意味: 電荷 Q が大きいほど強く、電荷からの距離 r の2乗に反比例して弱くなる
  • 距離依存: 1/r² — 距離が2倍になると電界は1/4になる
  • 公式: E = Q ÷ (4πε₀r²) [V/m]

📊 磁界 vs 電界 距離依存 比較表

項目 直線電流の磁界 H 点電荷の電界 E
源の形 線(1次元の源) 点(0次元の源)
広がり方 2次元的(円筒面) 3次元的(球面)
距離依存 1/r 1/r²
公式 H = I/(2πr) E = Q/(4πε₀r²)
単位 A/m V/m
向きの法則 右ねじの法則 クーロンの法則(同符号で反発)

💡 なぜ距離依存が違うのか

「源の形」が違うから広がり方が変わる

  • 直線電流は「線」の源。場は線を中心とした円筒面に広がる。 円筒の表面積は半径 r に比例するので、磁界は 1/r で弱くなる。

  • 点電荷は「点」の源。場は点を中心とした球面に広がる。 球の表面積は半径 r の2乗に比例するので、電界は 1/r² で弱くなる。

結論: 線→円筒→1/r、点→球→1/r² この因果を言えれば暗記不要。


🔗 磁界と磁束密度の違い

H(磁界)と B(磁束密度)はセットで出題される別物。

記号 名称 意味 単位
H 磁界 コイルや電流が「磁気的な力を作り出す能力」 A/m
B 磁束密度 実際に空間を通り抜ける磁束の密度(媒質の影響を受ける) T (テスラ)
μ 透磁率 媒質が磁束を通しやすいかの係数 H/m

関係式: B = μH

μ(透磁率)の内訳

μ = μ₀ × μr(真空の透磁率 × 比透磁率)

  • 真空・空気: μr ≒ 1
  • 鉄・フェライト: μr = 数百〜数千(磁束が大幅に強まる)

同じ電流でも鉄心があると B が数百倍に増える。H は変わらない。


🚨 ひっかかりポイント

混同 No.1: 「磁界は1/r²では?」

誤パターン: 「距離が遠いと弱くなる → 電界の式 1/r² を磁界にも当てはめてしまう」

これは点電荷の電界の話。直線電流の磁界は 1/r(2乗ではない)。

瞬時に区別する方法:

  • (点電荷)→ 二乗(r²)」で統一して覚える
  • 直線電流は「線」だから2乗にならない、と源の形で判断する

混同 No.2: H と B を同じものと思う

「磁界が強い = 磁束密度が大きい」は真空・空気中だけ正しい。

鉄心を入れると B = μH の μ が数百倍になるため、H が同じでも B は桁違いに増える。 問題に「鉄心」「フェライト」が出たら B と H を分けて考える。

混同 No.3: 右ねじの法則の向きをミスする

計算を先にして向きを後で決めようとすると混乱する。

正しい手順: 向き(右ねじで確認)→ 大きさ(公式で計算)の順番を守る。 向きが決まってから符号と大きさを埋める。


📝 頻出論点と落とし穴

  1. 🎯 「無限長」の意味

    • 「無限長直線電流」は試験問題の定番条件。有限長だと端の影響で式が変わる。
    • 「無限長」と書いてあれば迷わず H = I/(2πr) を使ってよい。
  2. 🎯 磁界の重ね合わせ

    • 複数の直線電流がある場合、各電流が作る磁界をベクトルで加算する。
    • 向きが反対の場合は打ち消し合う。向きが同じ場合は強め合う。
    • 計算前に各電流の磁界の向きをすべて確認してから足し算する。
  3. 🎯 距離 r の取り方

    • r は電流が流れる導体の中心線からの距離(導体の表面からではない)。
    • 問題文の図で「距離」がどこを指しているか確認する。
  4. 🎯 単位のチェック

    • H の単位は A/m(アンペア毎メートル)。
    • B の単位は T(テスラ)= Wb/m²(ウェーバー毎平方メートル)。
    • 選択肢に「A/m²」「T/m」などのひっかけ単位が出ることがある。

🧠 正答者 vs 誤答者の視点差

観点 ❌ 誤答者 ✅ 正答者
距離依存 「遠いと弱くなる = 1/r²」と反射的に答える 源が「線」か「点」かを確認してから判断する
H と B H = B だと思っている(真空前提で思考が止まる) μ を介して別物と理解。媒質が変われば B だけ変わる
向きの計算 計算後に向きを決めようとして混乱 向き(右ねじ)→ 大きさ の手順を守る
公式の意味 H = I/(2πr) をそのまま暗記 円筒面の面積が 2πr に比例するから 1/r になると理解

🔗 関連テーマ

  • 電磁誘導 — 磁界の時間変化が起電力を生む(ファラデーの法則)
  • 静電容量 — 電界との対比で理解を深める

最終確認: 2026-04-01 | ステータス: v1.0 | バージョニング基準