✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当
高圧モーター¶
30秒まとめ¶
6.6kV 高圧モーターは始動電流が大きく、電圧降下管理が重要。絶縁管理(PI 値)と軸受管理が予防保全の核心。始動方式の選定は「始動トルク要件」と「電圧降下許容値」のトレードオフで決まる。
始動方式比較¶
| 始動方式 | 始動電流(対直入れ) | 始動トルク(対直入れ) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 直入れ(DOL) | 100%(最大) | 100% | シンプル・低コスト。小〜中容量 |
| リアクトル始動 | 65〜75% | 42〜56% | リアクトルで電流を制限。トルク低下あり |
| コンドルファ始動 | 33〜50% | 33〜50% | スターデルタ原理で電流・トルクを低減 |
| インバータ始動(VFD) | 定格の 100〜150% 制御可 | 定格トルク確保 | 最も制御性が良い。高コスト |
インバータ始動が最良だが
インバータ(VFD)始動は始動電流・始動ショックが最小で速度制御も可能。 ただし高調波発生・絶縁への影響(サージ電圧)があるため、既設モーターに追加する場合は 絶縁確認と入力フィルタ(または出力リアクトル)の設置を検討する。
始動電流と電圧降下の確認¶
高圧モーターの始動電流は定格電流の5〜8倍に達する。これにより母線電圧が一時的に降下する。
電圧降下の簡易計算¶
ΔV(%) ≒ 始動電流(kA) × 系統インピーダンス(Ω)/ 母線電圧(kV) × 100
目安:母線電圧降下が定格の 85% 以下にならないよう設計する
電圧降下が許容値を超える場合
- リアクトル始動またはインバータに変更する
- 専用変圧器(モーター専用フィーダー)を設置する
- 始動時間を制限する(他の大型負荷との同時始動を避ける)
保護設定¶
| 保護機能 | 継電器 | 整定の考え方 |
|---|---|---|
| 過電流保護 | OCR | 定格電流の 110〜125%(限時)、短絡電流以下(瞬時) |
| 始動時保護 | OCR(タイマー付き) | 始動時間+余裕で時限を設定(始動中はOCRを一時的に延長または無効化) |
| 過負荷保護 | サーマルリレー | 定格電流の 115〜120%、熱時定数はモーター仕様による |
| 欠相保護 | 欠相継電器 | いずれか1相の電流が極端に低下したとき検出 |
| 差動保護 | 差動継電器(87) | 大容量モーター(1000kW以上)に適用。内部故障を高感度で検出 |
差動保護の必要性判断¶
| モーター容量 | 差動保護 |
|---|---|
| 300 kW 未満 | 通常不要 |
| 300〜1000 kW | ケースバイケース(重要度による) |
| 1000 kW 以上 | 推奨(内部地絡・相間短絡を高感度検出) |
絶縁管理¶
絶縁抵抗測定と PI 値¶
PI(Polarization Index:成極指数)はモーター巻線の絶縁状態を評価する指標。
PI = 10分後の絶縁抵抗値 / 1分後の絶縁抵抗値
| PI 値 | 判定 |
|---|---|
| 4.0 以上 | 優良 |
| 2.0〜4.0 | 良好 |
| 1.0〜2.0 | 要注意(清掃・乾燥を実施) |
| 1.0 以下 | 危険(運転禁止・巻線修理または交換) |
温度補正の必要性
絶縁抵抗値は温度に大きく依存する(温度が10℃上がると抵抗は約1/2に低下)。 測定値を標準温度(40℃)に換算して比較することが重要。
軸受管理¶
| 管理項目 | 基準 | 実施周期 |
|---|---|---|
| グリスアップ | メーカー推奨量・周期(例:3〜6ヶ月) | 定期点検時 |
| 振動測定 | ISO 10816 基準。速度 RMS 2.8 mm/s 以下(良好) | 月次またはオンライン監視 |
| 温度測定 | ベアリング外輪温度 80℃以下(目安) | 月次または定期点検時 |
| 異音確認 | 聴音棒・振動センサで確認 | 月次 |
グリスの入れ過ぎに注意
グリスを入れ過ぎると撹拌発熱でかえって軸受を傷める。 グリスニップルから押し込む量はメーカー指定量を守る(通常は古いグリスを少し押し出す程度)。