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✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当

変圧器

30秒まとめ

化学プラントでは火災リスクからモールド変圧器を屋内に採用し、屋外・大容量には油入変圧器を使う。絶縁油管理(フルフラール・酸価)と保護継電器(ブッフホルツ)の理解が保全の核心。


油入変圧器 vs モールド変圧器

比較項目 油入変圧器 モールド変圧器
絶縁・冷却方式 絶縁油 エポキシ樹脂
設置場所 屋外または防爆室 屋内(電気室)
火災リスク あり(絶縁油可燃) 低い(難燃性)
容量範囲 大容量まで対応 〜数 MVA
保守コスト 絶縁油管理が必要 比較的低い
化学プラントでの用途 屋外・大容量受変電所 屋内電気室・プロセスエリア近傍

容量選定

計算手順

1. 負荷設備の合計容量(kVA)を積み上げる
2. 需要率を掛けて最大需要 kVA を求める
3. 将来増設余裕を加算(20〜30%)
4. 標準容量(JIS:100/200/300/500/750/1000/1500/2000 kVA)から上位の容量を選定

選定時の注意点

  • 力率の考慮:負荷の力率が低い(0.8未満)場合は有効電力 kW を力率で割って kVA に換算する
  • 高調波を含む負荷:インバータ・UPS が多い場合は変圧器の高調波許容値(K ファクタ)を確認
  • 始動電流:大型モーターの直入れ始動があると突入電流で電圧降下が大きくなる

保護方式

OCR(過電流継電器)

変圧器の一次側に設置。整定値は変圧器定格電流の110〜125%で限時動作、150〜200% で瞬時動作を設定するのが一般的。

過熱継電器(温度継電器)

変圧器の油温・巻線温度が異常上昇したときに警報・トリップを発報。 - 警報設定:油温 85〜90℃ - トリップ設定:油温 95〜105℃(機種による)

ブッフホルツ継電器(油入変圧器専用)

内部故障(アーク・局所過熱)で発生するガスが絶縁油中に浮上し、ブッフホルツ継電器のフロートを動作させる。

動作段階 原因 アクション
1段(警報) 軽微なガス発生 運転継続しながら点検
2段(トリップ) 大量のガス・油流 即時遮断

ガスの採取と分析

ブッフホルツ継電器で採取したガスを分析することで内部故障の種類を推定できる。 水素(H₂):電気アーク、アセチレン(C₂H₂):高温アーク、メタン(CH₄):局所過熱


絶縁油管理

定期サンプリング

項目 測定周期 判定基準(参考)
絶縁耐圧 年1回 30 kV/2.5mm 以上
酸価 年1回 0.2 mgKOH/g 以下(要注意:0.2〜0.4 / 要交換:0.4 以上)
水分 年1回 30 ppm 以下
フルフラール 3〜5年ごと 4 mg/L 以下(超えると固体絶縁の劣化進行)

フルフラール分析の意義

フルフラールはセルロース系絶縁物(絶縁紙)の熱劣化で生成する。絶縁油中のフルフラール濃度から固体絶縁の劣化度を間接的に評価できる唯一の方法。


%インピーダンスと短絡電流

変圧器の%インピーダンス(%Z)は短絡電流の大きさを決める重要パラメータ。

短絡電流(変圧器二次側)= 定格電流 / (%Z / 100)

例:1000 kVA、440V、%Z=5% の変圧器の定格電流と短絡電流
定格電流 = 1000kVA / (√3 × 0.44kV) = 1312 A
短絡電流 = 1312 / 0.05 = 26,240 A

%Z が小さいほど短絡電流が大きくなり、保護機器(遮断器・ヒューズ)の遮断容量の確認が重要になる。


励磁突入電流

変圧器投入時に定格電流の6〜10倍の突入電流が流れることがある(継続時間:数サイクル〜0.1秒程度)。

OCR との協調確認

変圧器を投入したとき OCR が誤動作トリップしないよう、OCR の時限設定と励磁突入電流の継続時間を確認し、励磁突入電流を無視できる時限に設定する。 または、変圧器用 OCR に「第2高調波抑制機能」付きを選定する(突入電流に含まれる第2高調波を検出して動作を抑制する)。