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✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当

制御弁

30秒まとめ

制御弁の選定は Cv 値計算・流量特性・フェールポジションの3点が核心。化学プラントでは「プロセスが異常になったとき弁はどうあるべきか」を先に決め、FC/FO/FL を選定する。


Cv 値計算

Cv 値(流量係数)は弁の口径・開度に応じた流量能力を表す。

液体の Cv 計算式

Q = Cv × √(ΔP / SG)

Q:流量(US gal/min)、ΔP:弁前後差圧(psi)、SG:比重(水=1.0)

SI 単位系での換算

Q[m³/h] = Kv × √(ΔP[bar] / SG)
Kv = 0.865 × Cv  (Cv ↔ Kv 換算)

計算例

条件:水(SG=1.0)、流量 10 m³/h、弁前後差圧 0.3 bar のとき

Kv = 10 / √(0.3 / 1.0) = 10 / 0.548 = 18.2
Cv = 18.2 / 0.865 = 21.0

→ Cv ≥ 21 の弁を選定。ただし通常は定格の70〜80%開度で設計流量が流れるよう余裕を持たせる。


流量特性

弁の開度(リフト)と流量の関係。

特性 開度-流量関係 使い分け
リニア 開度に比例して流量増加 ΔP が一定(ポンプ制御等)
イコールパーセンテージ 開度 1% 増加でその時点の流量の一定割合増加 ΔP が変化する系(最も一般的)
クイックオープン 少し開くだけで最大流量 ON/OFF 用途・緊急遮断

イコールパーセンテージが多い理由

プロセス配管系ではポンプ吐出圧と配管圧損の関係で弁前後 ΔP が開度によって変化する。 この変化をイコールパーセンテージ特性が補正し、実際の流量とリフトの関係をリニアに近づけてくれる。


フェールポジション(FC/FO/FL)

電源・空気圧が失われたとき(フェール時)弁がどの位置に行くかを定義する。

記号 意味 選定基準
FC(Fail Close) フェール時に閉 緊急遮断が必要な箇所(冷却水遮断→過熱防止)
FO(Fail Open) フェール時に開 緊急開放が必要な箇所(冷却水開放→冷却継続)
FL(Fail Last) フェール時に最後の開度を保持 どちらでもない箇所(精度より安定優先)

化学プラントでの選定原則

FC と FO は「失った場合にプロセスが安全側に向かうか」で決める。 例: - 反応器への原料供給弁 → FC(反応暴走防止) - 反応器への冷却水弁 → FO(冷却を確保) - 製品移送弁 → FC(製品漏洩防止)


ポジショナ

調節計の出力信号(4-20mA)を受け、弁開度を正確にフィードバック制御する機器。

種類 入力信号 特徴
空気式(I/P変換器付き) 4-20mA → 空気圧 シンプル・防爆対応容易
電気式(スマートポジショナ) 4-20mA(HART通信) 診断機能・部分ストロークテスト可
デジタル式(フィールドバス) FF/Profibus DCSとの統合管理

スマートポジショナの活用

HART 通信対応のスマートポジショナは以下の診断情報が取得できる: - 実際の弁開度フィードバック値 - 弁ストローク回数(予知保全に活用) - 部分ストロークテスト(PST):弁を少し動かして動作確認(運転中に実施可能)


キャビテーション

液体が弁の絞り部で圧力が下がり気泡が発生し、下流で圧力が回復する際に気泡が崩壊する現象。弁体・弁座を著しく損傷させる。

キャビテーション指数 σ

σ = (P2 - Pv) / (P1 - P2)

P1:弁入口圧(kPa abs)、P2:弁出口圧(kPa abs)、Pv:液体の飽和蒸気圧(kPa abs)

σ ≥ 1.5〜2.0 程度が安全目安。σ が低いほどキャビテーション発生リスクが高い。

キャビテーション防止策

対策 方法
多段絞り弁 差圧を複数段に分割して各段の圧力降下を小さくする
背圧弁の追加 下流に背圧弁を設置して P2 を高く保つ
弁出口の拡径 出口側の流速を下げて圧力回復量を減らす

選定チェックリスト

  • [ ] 設計流量・最大流量・最小流量を確認
  • [ ] 流体の種類・温度・圧力・比重・蒸気圧を確認
  • [ ] Cv 値計算(70〜80% 開度で設計流量が通ること)
  • [ ] フェールポジション(FC/FO/FL)をプロセス安全から決定
  • [ ] 流量特性(リニア/イコールパーセンテージ)を選択
  • [ ] キャビテーション指数 σ を確認(液体の場合)
  • [ ] 防爆区域の場合 Ex 認証を確認
  • [ ] ポジショナ選定(スマート型の診断機能が必要か確認)