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✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当

DCS(分散制御システム)

30秒まとめ

DCS はフィールド計器からHMIまでを統合制御する。変更管理(MOC)なしの設定変更は絶対禁止。安全計装(SIS)は DCS とは物理的に独立させることが IEC 61511 の要求事項。


DCS の基本構成

flowchart TB
    A[フィールド計器\n4-20mA/HART/基礎フィールドバス] --> B[I/O カード\nAI/AO/DI/DO]
    B --> C[コントローラ\nPID演算・ロジック処理]
    C --> D[通信バス\nイーサネット/光ファイバ]
    D --> E[HMI サーバ\nデータ収集・履歴管理]
    E --> F[オペレータステーション\nトレンド・グラフィック・操作]
    C --> G[エンジニアリングステーション\nロジック変更・設定]

主要 I/O 種別

カード種別 略称 用途
Analog Input AI 4-20mA 入力(伝送器)
Analog Output AO 4-20mA 出力(調節弁・インバータ)
Digital Input DI ON/OFF 入力(リミットスイッチ・流量スイッチ)
Digital Output DO ON/OFF 出力(電磁弁・モーター起動)
Pulse Input PI パルス入力(流量積算)

ファンクションブロック図の読み方

DCS のロジックはファンクションブロック(FB)で記述される。

ブロック 機能
PID PID 演算
AND 複数入力の論理積(全て TRUE で出力 TRUE)
OR 複数入力の論理和(1つでも TRUE で出力 TRUE)
HS(Selector) 複数入力から最大値・最小値・手動値を選択出力
DELAY 一定時間の遅延
RAMP 設定値の速度制限(SU/SD レート)
INTLK インターロック条件を評価してトリップ信号を出力

FB 図の確認手順

DCS のロジック変更前は必ず「上流のブロックの出力が何か」「下流に何が繋がっているか」を追いかける。 特に INTLK(インターロック)ブロックの入力条件を全て確認してから変更する。


冗長化の考え方

化学プラントの DCS は運転継続性の観点から冗長化が基本。

対象 冗長化方式 切替方式
コントローラ 1+1 二重化 バンプレス自動切替
電源 二重化(UPS ×2系統) 無瞬断自動切替
通信バス 二重化リング構成 自動バイパス
I/O カード 一部設備は二重化(SIS 連携部)

冗長化されていない箇所の確認

現場の DCS で冗長化が省かれている I/O カードが存在する場合がある。 カード故障時は対象ループが全て手動となるため、影響範囲を事前に把握しておく。


変更管理(MOC: Management of Change)

MOC なしの変更は絶対禁止

DCS のロジック・設定値・I/O の変更は必ず MOC(変更管理)プロセスを経ること。 緊急の場合でも事後承認で記録を残す。

MOC で確認すべき事項: 1. 変更の目的と内容 2. 影響を受けるループ・インターロックの確認 3. 変更前後の設定値記録 4. 試験手順と確認者 5. ロールバック手順


化学プラント固有:SIS と DCS の分離原則

IEC 61511(機能安全:プロセス産業向け)の要求:

Safety Instrumented System(SIS)は DCS とは物理的に独立した別システムで構成すること。

理由:DCS に障害が発生した際に、安全機能(緊急停止・インターロック)が道連れで停止しないようにするため。

項目 DCS SIS
目的 プロセス制御 安全機能(ESD・インターロック)
規格 IEC 61511 / IEC 61508
独立性 DCS と物理的に分離
検証 運転中変更可 SIL 検証・変更手順が厳格
センサ共用 原則不可(別センサ使用)