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✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当

防爆

30秒まとめ

防爆は「着火源をなくす」または「着火しても爆発が伝播しない構造にする」の2つのアプローチ。化学プラントの計装担当として最低限押さえるべきは:危険区域分類・防爆構造の種類・本安バリアとアイソレータの使い分け。


危険区域の分類

IEC 60079 / TIIS(電気機械器具防爆構造規格)による分類。

区域 定義 化学プラントでの例
Zone 0 可燃性ガスが常時または長時間存在 タンク内部・排液ピット内
Zone 1 通常運転中に可燃性ガスが存在する可能性あり ポンプ周囲・圧縮機室
Zone 2 異常時にのみ可燃性ガスが存在する可能性あり 一般プロセスエリア・屋外プラント
非危険区域 ガスが存在しない 中央制御室・電気室

HAZ 図(危険区域分類図)の活用

プラント建設時に作成した HAZ 図を参照し、設備設置場所の区域分類を確認する。 HAZ 図がない場合は安全部門と確認してから機器を選定する。


防爆構造の種類比較表

防爆構造 記号 原理 Zone 適用 主な用途
耐圧防爆 d 爆発しても外部に伝播しない容器 Zone 1/2 ジャンクションボックス・スイッチ
本質安全防爆 ia ia 火花や熱がガスに着火しないレベルに制限 Zone 0/1/2 センサ・伝送器
本質安全防爆 ib ib 1故障でも安全 Zone 1/2 センサ・伝送器
内圧防爆 p 内部を清浄空気または不活性ガスで陽圧に保つ Zone 1/2 大型盤・分析計ハウジング
油入防爆 o 火花を発生する部品を絶縁油に浸漬 Zone 1/2 一部の開閉器
粉体充填防爆 q 粉体でスパーク部分を充填 Zone 1/2 特殊機器
増安防爆 e 正常時に電弧・スパークを発生しない構造で確実性を高める Zone 1/2 端子箱・モーター

本安バリア vs アイソレータ

どちらも危険区域の本質安全機器(伝送器等)を安全区域の DCS と接続するために使用する。

項目 本安バリア(Zenerバリア) アイソレータ
動作原理 ツェナーダイオードで電圧・電流を制限 変換・絶縁して信号を伝達
接地 DCS 側の IS アース(40Ω以下)が必須 不要(電気的に絶縁されている)
精度 やや落ちる 高い
コスト 低い 高い
故障モード 接地不良で機能しない より安定
推奨場面 IS アースが確保できる場合 IS アースが確保できない・精度重視

IS アースの管理

本安バリアは IS(Intrinsically Safe)アース抵抗が 40Ω以下でないと機能しない。 IS アースは通常アースと独立させ、年1回の抵抗測定を必ず実施する。


防爆機器選定手順

flowchart TD
    A[設置場所の Zone 区域確認] --> B[対象可燃性ガスの EPL グループ確認\nIIA / IIB / IIC]
    B --> C[温度クラス確認\nT1〜T6]
    C --> D[必要な防爆構造を選定]
    D --> E[機器の Ex 認証マークを確認\nTIIS / ATEX / IECEx]
    E --> F[認証書の適合内容を確認\nZone / ガスグループ / 温度クラス]
    F --> G[選定完了]

ガスグループの目安

グループ 代表的なガス 最小着火エネルギー
IIA プロパン・ブタン 高い(着火しにくい)
IIB エチレン・シクロプロパン
IIC 水素・アセチレン 低い(最も着火しやすい)

IIC 認定機器は IIA・IIB にも使用できる(上位互換)。


施工注意事項

グランドの締め付け

ケーブルグランドは規定のトルクで締め付ける。緩みは防爆性能の喪失につながる。使用後はシーリングコンパウンド(グランドシール材)で充填する機種もある。

シールフィッティング

Zone 1 以上のエリアでは、耐圧防爆ボックスへのケーブル引き込み部にシールフィッティング(防爆シーリング)を設置して、管路を通じた爆発伝播を防止する。

防爆性能を損なう改造の禁止

防爆認証を取得した機器の本体に穴を開けたり、別の部品を追加したりすることは認証失効となる。 改造が必要な場合はメーカーに確認する。