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✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当

PID制御

30秒まとめ

P は現在の偏差に反応、I は過去の積み上がりを解消、D は変化の速度を先読みする。ハンチング(振動)の原因はほとんどゲイン過大か積分時間が短すぎる。チューニングは「P だけで落ち着かせてから I を入れる」が基本手順。


P / I / D の直感的な説明

パラメータ 見ているもの 役割 強くすると
P(比例ゲイン) 現在の偏差 偏差に比例した操作量を出す 応答が速くなる。過大でハンチング
I(積分時間 Ti) 過去の偏差の積み上がり 定常偏差(オフセット)を消す 遅くすると残留偏差が残る。短すぎるとハンチング
D(微分時間 Td) 偏差の変化速度 変化の先読みでオーバーシュートを抑制 ノイズを増幅する。一般的には0または小さめに設定

PID 演算式(位置型)

MV = Kp × [ e + (1/Ti) × ∫e dt + Td × de/dt ]

MV:操作量、Kp:比例ゲイン、e:偏差(SP-PV)、Ti:積分時間、Td:微分時間

ステップ応答法によるチューニング

最も現場で使いやすい方法。

手順

1. 制御ループを手動(Manual)にする
2. MV(操作量)を現在値から 10% ステップ変化させる
3. PV(測定値)のステップ応答を記録する
4. 応答曲線から以下を読み取る:
   - むだ時間(L):MV 変化後 PV が反応し始めるまでの時間
   - 時定数(T):応答が最終変化量の 63.2% に達するまでの時間
   - プロセスゲイン(Kp_process):PV変化量 / MV変化量
5. Ziegler-Nichols 式でパラメータ計算

Ziegler-Nichols ステップ応答法(参考値)

制御 Kp Ti Td
P 制御 T / (Kp_process × L)
PI 制御 0.9 × T / (Kp_process × L) 3.3 × L
PID 制御 1.2 × T / (Kp_process × L) 2.0 × L 0.5 × L

Ziegler-Nichols はあくまで出発点

計算値をそのまま使うと応答が振動的になることが多い。Kp を計算値の 50〜70% から始めて調整するのが実務的。


ハンチング(振動)の3大原因と対処

原因 症状 対処
比例ゲイン過大 規則的な振動。振幅が一定 Kp を 50〜70% に下げる
積分時間が短すぎる 振幅が徐々に拡大する Ti を 2〜3 倍に延ばす
むだ時間が大きい 低周波の遅い振動 フィルタ追加・D 成分追加・カスケード制御を検討

カスケード制御

1つの制御ループの出力が別のループの目標値(SP)になる構成。

flowchart LR
    A[SP(温度)] --> B[Primary Controller\n温度調節計]
    B -- Secondary SP --> C[Secondary Controller\n流量調節計]
    C --> D[制御弁]
    D --> E[プロセス]
    E -- 流量 PV --> C
    E -- 温度 PV --> B

適用場面:外乱の多い流量・圧力を内側ループで素早く抑制し、外側ループの温度や液位を安定させたい場合。


ワインドアップ(積分飽和)と防止策

制御弁が全開/全閉(飽和状態)になっているとき、I(積分)項は偏差を積み続けて大きな値になる(ワインドアップ)。弁が飽和から解放された瞬間に、蓄積した積分分が一気に放出されてオーバーシュートが発生する。

防止策

機能 内容
アンチリセットワインドアップ(ARW) 出力が飽和したとき積分計算を停止する
出力リミット(HL/LL) MV の上下限をリミットして積分の蓄積を制限する
バックキャルキュレーション 弁の実開度をフィードバックして積分値を補正する

主要メーカーのパラメータ表記対応表

パラメータ 横河 CENTUM ABB 800xA Emerson DeltaV
比例帯(PB)または比例ゲイン PB(%) GAIN GAIN
積分時間 TI(min) RESET(min) RESET(min)
微分時間 TD(min) RATE(min) RATE(min)

比例ゲインと比例帯の関係

比例帯 PB(%)= 100 / Kp PB が小さいほどゲインが高い(応答が敏感)。 例:PB=50% → Kp=2.0