✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当
絶縁管理¶
30秒まとめ¶
絶縁測定の要点は「測定前の残留電荷放電」と「測定後の放電」の徹底。測定値は温度補正して基準温度 20℃ 換算で比較する。単点の値より「経年トレンド」で判断することが早期劣化検出の核心。
メガーの種類と測定電圧の選定¶
| 測定電圧 | 対象設備 | 根拠 |
|---|---|---|
| 250V | 低圧機器(AC100V 以下) | 過電圧による絶縁破壊を防ぐ |
| 500V | 低圧電路(AC200V 級)・計装ケーブル | 内線規程・電技解釈標準 |
| 1000V | 低圧動力設備・電動機 | 電技解釈第 14 条 |
| 5000V | 高圧設備(6.6kV 級)・高圧ケーブル | 電技解釈 |
| 10000V | 特別高圧設備・発電機 | 特別高圧用 |
測定電圧の誤選定は機器を損傷させる
電子回路(PLC・DCS・伝送器)は 500V 以上のメガーをかけると回路が破壊される。電子機器の測定前は必ず電子回路側の端子を外してから測定する。
測定手順¶
Step 1: 対象設備の停電確認(検電器で確認)
Step 2: 残留電荷の放電
- コンデンサ・ケーブルには残留電荷が蓄積している
- 接地棒で十分に放電(最低 5 分以上経過後に測定)
Step 3: メガーを接続
- LINE 端子 → 測定対象(導体)
- EARTH 端子 → 接地(設備外箱または接地線)
- GUARD 端子 → 表面漏れ電流の除去(高精度測定時)
Step 4: 測定
- 電圧印加後 1 分間の値を記録(IR₁)
- 10 分間の値も測定する場合は IR₁₀ を記録
Step 5: 測定終了後の放電
- メガーの放電スイッチで放電し、接地棒でも確認放電
Step 6: 記録
- 測定値・周囲温度・湿度・天候を記録
温度補正(基準温度 20℃ への換算)¶
絶縁抵抗は温度が上がると低下し、下がると増加する。異なる温度での測定値を比較するために補正が必要。
R₂₀ = Rt × K_T
R₂₀ : 20℃ 換算絶縁抵抗 [MΩ]
Rt : 測定温度 t℃ での絶縁抵抗 [MΩ]
K_T : 温度補正係数
温度補正係数(CV ケーブル・ビニル絶縁の目安)¶
| 測定温度 | 補正係数 K_T |
|---|---|
| 10℃ | 0.5 |
| 15℃ | 0.7 |
| 20℃ | 1.0 |
| 25℃ | 1.4 |
| 30℃ | 2.0 |
| 40℃ | 4.0 |
高温時に測定した場合は補正係数で割ると 20℃ 換算値が得られる。
判定基準表¶
低圧設備(200V 系)¶
| 設備 | 良(合格) | 要注意 | 危険(要修理) |
|---|---|---|---|
| 幹線ケーブル | 1MΩ 以上 | 0.1〜1MΩ | 0.1MΩ 以下 |
| 電動機(200V) | 1MΩ 以上(新品 5〜10MΩ) | 0.5〜1MΩ | 0.5MΩ 以下 |
| 制御回路 | 1MΩ 以上 | 0.5〜1MΩ | 0.5MΩ 以下 |
| 電熱器 | 0.1MΩ 以上 | — | 0.1MΩ 以下 |
高圧設備(6.6kV 系)¶
| 設備 | 良(合格) | 要注意 |
|---|---|---|
| 高圧ケーブル(新品) | 100MΩ 以上 | — |
| 高圧ケーブル(使用中) | 10MΩ 以上 | 1〜10MΩ |
| 変圧器一次側 | 100MΩ 以上 | 10〜100MΩ |
| 高圧電動機 | 設備電圧 [kV] + 1 [MΩ] 以上 | — |
トレンド管理(絶縁抵抗の経年変化グラフ)¶
絶縁管理で最も重要なのは単点の合否判定ではなく、経年変化(トレンド)の監視。
良好なトレンド:
絶縁抵抗
│
100MΩ ─┼────────── ← 比較的安定
│ 微緩やかに低下
10MΩ ─┼──────────
│
1MΩ ─┼──────────
└─────────────── 年数(点検ごと)
危険なトレンド(交換・修理を検討):
絶縁抵抗
│
100MΩ ─┼──
│ ↘
10MΩ ─┼ ↘ ← 急激な低下傾向 → 劣化進行中
│ ↘
1MΩ ─┼────────↘← 要注意ライン
└─────────────── 年数
トレンドグラフの更新
測定ごとにグラフ(または表)に追記する。「前回比 50% 以上低下」が見られたら交換・点検を計画する。絶対値が良好でも急激な低下は要注意のサイン。