✅ 最終確認: 2026-04-04
LOTO(ロックアウト / タグアウト)¶
LOTOとは¶
LOTO(Lockout/Tagout)とは、設備のメンテナンス・修理作業中に、エネルギー源を物理的に遮断・施錠(ロックアウト)し、タグを掛けて(タグアウト)他者に知らせる安全手順。
目的は明確:誤起動・誤通電・残留エネルギーによる事故の防止。
LOTOを省略してはいけない
「すぐ終わるから」「誰もいないから」は理由にならない。LOTOを省略した状態での作業中に、別の操作員が起動スイッチを押す事故は国内外で繰り返し発生している。
電気エネルギーの隔離手順(6ステップ)¶
① 遮断(De-energize)
↓ 運転中の設備を正規の手順で停止し、
主回路の遮断器・断路器をOFFにする
② 施錠(Lockout)
↓ 遮断器のハンドルに**個人専用の南京錠**を掛ける
複数の錠が掛かる「ロックアウトハスプ」を使用
③ タグ掛け(Tagout)
↓ 「作業中 – 操作禁止」タグを施錠箇所に掛ける
タグには氏名・作業内容・日時・連絡先を記入
④ 検電(Verify de-energization)
↓ 検電器で作業箇所の全充電部(3相全て)が無電圧であることを確認
検電器を先に充電部に当てて「動作確認」してから使用
⑤ 放電・接地(Discharge residual energy)
↓ コンデンサ・インバータ等の**残留エネルギーを放電**
高圧ケーブルの場合は接地棒を使用
⑥ 再確認(Re-verify)
↓ 作業開始直前にもう一度検電
手順書・許可書と現場の状態を照合
複数作業者でのLOTO管理¶
一人が施錠した場合でも、同じ設備で別の作業者が作業する場合は全員が個人錠を追加する。
なぜ個人錠が重要か¶
| パターン | リスク |
|---|---|
| 1人の錠だけ → その人が先に終わって施錠解除 | 残りの作業者が作業中に通電される |
| 全員が個人錠 → 全員が解錠するまで設備は動かない | 最後の1人が解錠するまで安全が保証される |
LOTOステーション
複数人作業では「LOTOステーション」(ロックアウトボックス)を使う。 遮断器のキーをボックスに入れ鍵を掛け、各自が個人錠をボックスに追加掛けする方式。
タグの記載内容¶
タグは「誰が」「何のために」「いつまで」施錠しているかを伝える唯一の情報源。
| 記載項目 | 記入例 |
|---|---|
| 氏名 | 古舘 ○○ |
| 所属 | 電気計装課 |
| 作業内容 | インバータ盤内部点検 |
| 作業開始日時 | 2026-04-04 09:00 |
| 予定終了日時 | 2026-04-04 12:00 |
| 連絡先(内線) | ×××× |
タグだけでは不十分
タグは「操作しないでください」という警告。物理的に操作できない状態(施錠)と組み合わせて初めて有効。タグアウトのみ(施錠なし)は原則禁止。
復電前の全員確認手順¶
作業完了後、復電(通電再開)の前に以下を全員で確認する。
□ 全ての工具・測定器が設備内から取り出されている
□ 作業者が全員、設備から安全な距離に退避している
□ 全ての点検口・パネルが元通り閉じている
□ 全ての個人錠とタグが解錠・取り外されている(本人が取り外す)
□ 作業許可書に完了署名が記入されている
□ 設備管理者への連絡が完了している
錠の代理解錠は禁止
作業者本人以外が個人錠を解錠するのは原則禁止。本人が不在の場合は、緊急解錠手順(上長の立会・記録等)に従い、本人不在での解錠は最終手段とする。
化学プラント固有:高圧ガス設備のLOTO¶
化学プラントでは電気エネルギーだけでなく、複数種類のエネルギーが同時に存在する。
| エネルギー種別 | 隔離方法 | 担当 |
|---|---|---|
| 電気 | 遮断器OFF・LOTO | 電気担当 |
| 圧縮空気(制御用) | 空気元弁を閉じ・施錠 | 計装担当 |
| プロセスガス・液体 | ブロックバルブを閉じ・施錠 | 製造担当 |
| 水蒸気 | スチームバルブを閉じ・施錠 | 製造担当 |
| 残圧(配管内) | ベント・ドレンで圧抜き確認 | 作業前に全員確認 |
複合エネルギー隔離の注意点
電気の施錠が完了しても、配管内の残圧・残液が残っていれば作業できない。 電計担当は「電気だけ」の視点で判断せず、製造担当と連携してエネルギー隔離の完了を確認すること。
アクチュエータ付きバルブの注意¶
電動バルブ・空気圧バルブは電源または空気源を遮断するだけでは不十分な場合がある。
- 電動バルブ:電源を切っても手動操作で動かせる場合あり → バルブ本体に機械的施錠または物理的ストッパーを追加
- 空気圧バルブ(スプリングリターン型):空気源遮断後にスプリングで動作する → 動作方向(フェイルオープン/フェイルクローズ)を確認した上で安全状態を評価
参考¶
- 労働安全衛生規則 第339条〜344条(停電作業)
- OSHA 29 CFR 1910.147(エネルギー制御手順の国際標準)
- 関連記事:作業許可制度(PTW)
- 関連記事:リスクアセスメント