✅ 最終確認: 2026-04-04
作業許可制度(PTW)¶
目的と考え方¶
作業許可(Permit to Work: PTW)制度は、危険を伴う作業を開始する前に、安全措置の実施を組織として確認・承認する仕組み。
個人の判断ではなく、組織的なチェックを介在させることで:
- 作業前の安全確認の抜けを防ぐ
- 関係者(作業者・監督者・設備管理者)の認識を統一する
- 作業範囲・停電範囲の明確化により、第三者の誤操作・誤投入を防止する
PTWの本質
許可書は「書類を作る作業」ではない。安全措置が完了したことを関係者全員が確認した証拠。形式的な処理になった瞬間、事故リスクが跳ね上がる。
電気作業許可書の発行フロー¶
作業者 監督者 設備管理者(電気担当)
│ │ │
├── ①申請 ──────▶│ │
│ 作業内容・ │ │
│ 停電範囲記入 │ │
│ ├── ②審査 ─────────────▶│
│ │ 安全措置の確認 │
│ │ │
│ │◀───────── ③承認 ──────┤
│ │ 停電措置実施後に承認 │
│◀── ④許可書交付 ┤ │
│ │ │
├── ⑤作業実施 │ │
│ (許可書携帯)│ │
│ │ │
├── ⑥完了報告 ──▶│ │
│ ├── ⑦完了確認 ──────────▶│
│ │ │
│ │ 復電・
│ │ 許可書返却・保管
各ステップの詳細¶
① 申請(作業者)
- 作業前日までに申請が原則(緊急時を除く)
- 停電範囲・作業内容・作業者名・予定時刻を記入
- 必要な保護具・工具も事前確認
② 審査(監督者)
- 作業内容の安全性確認
- 停電範囲に他の作業・設備への影響がないか確認
- 同時作業の有無チェック
③ 承認(設備管理者)
- 停電措置(遮断器OFF・LOTO施錠)の実施確認
- 検電結果の確認
- 承認印・日時を記入
④ 許可書交付・作業実施
- 作業者は許可書を携帯して作業
- 許可書に記載された範囲外の作業は禁止
⑤ 完了・返却
- 作業完了後、許可書に完了時刻・署名を記入して返却
- 設備管理者が安全確認後に復電
許可書の必須記載事項¶
| 項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 作業内容 | 何を、どの設備で、何のために行うか | 「点検」だけでなく具体的に記載 |
| 作業場所 | 設備名・盤番号・エリア | 図面番号を記入すると明確 |
| 停電範囲 | 停電する遮断器名・回路番号 | 単線図の該当箇所をマーキング推奨 |
| 安全措置 | LOTO実施箇所・検電実施確認 | 実施者・実施時刻を必ず記入 |
| 作業者氏名 | 全員の氏名(応援者含む) | 途中で作業者が変わる場合は再申請 |
| 有効期限 | 作業開始〜終了の時刻 | 延長が必要な場合は再承認が必要 |
| 承認者氏名・印 | 設備管理者の承認 | 代理承認の場合は権限確認必須 |
停電範囲の明示と検電確認の義務¶
停電範囲の明示¶
- 単線図に停電範囲を赤ペンでマーキングして許可書に添付(推奨)
- 操作する遮断器・断路器の盤番号・機器番号を全て記載
- 「〇〇回路全停電」のような曖昧な記載は不可
検電確認¶
検電は義務
労働安全衛生規則第339条:停電作業開始前の検電は義務。「停電したはず」は理由にならない。
- 検電器の種類:対象電圧に適合したものを使用(低圧/高圧)
- 検電する箇所:作業する設備の全ての充電部(3相全て)
- 検電結果:許可書に記録(実施者・時刻・結果)
- 検電器の動作確認:検電前に充電部にあてて「動作OK」を確認してから無電圧確認
同時作業の制限¶
原則:1作業 = 1許可書
同一設備・同一回路への複数作業の同時実施は原則禁止。
| ケース | 対応 |
|---|---|
| 同一回路への複数作業 | 一方が完了してから次の許可書を発行 |
| 隣接回路への作業 | 相互干渉がないことを確認した上で別々の許可書 |
| 停電範囲が重なる作業 | 先行作業の許可書を返却後に後続作業を開始 |
鶴見工場での実運用ポイント¶
現場で重要なこと
許可書の携帯 - 作業者は許可書を作業中ずっと携帯する(ポケットに入れたまま現場に置いてくるのはNG) - 現場監督が確認に来た際すぐに提示できるようにしておく
緊急停電・計画外停電への対応 - プロセスの緊急停止に伴う電気作業は、通常フローを踏む時間がない場合がある - 緊急時フロー(口頭承認→事後書類整備)は社内手順書に従い、事後速やかに書類化
夜間・休日作業 - 承認者(設備管理者)の連絡先を事前確認 - 夜間当直体制での許可書フローを事前に確認しておく
複数業者が入る場合 - 外注業者の作業許可書と自社の停電許可書を分けて管理 - 外注作業の監督者(弊社側)が最終確認の責任を持つ
参考¶
- 社内保安規程(電気設備編)
- 労働安全衛生規則 第339条〜344条(停電作業)
- 関連記事:LOTO(ロックアウト/タグアウト)