SQ3R メソッド
本を「最初のページから最後まで黙読する」のをやめ、読む前に地図を作り、読む前に問いを立て、読んだ直後に本を閉じて自分の言葉で言い直す—— という順番に組み替えるだけの手法。5つのステップのうち、記憶定着に実際に効いているのは後半2つ(Recite / Review)です。
Survey
調査 — 全体像を俯瞰する 01:34本文を読む前に、目次・見出し・図表・まとめだけに目を通し、構成と全体像を先に掴む。
- 目次を読み、章がどう積み上がっているかを把握する
- 見出し・太字・図表・章末まとめだけを拾い読みする
- 「この本はどこに向かう話か」を1〜2行で言えるようにする
Question
質問 — 読む前に疑問を作る 04:09「なぜこのテーマが強調されているのか?」など、読む前に問いを立てる。答えを探す目的意識が生まれ、受け身の黙読にならない。
- 見出しを疑問文に変換する(「三相交流」→「なぜ三相にするのか?」)
- 自分が説明できない用語を、読む前に3つ書き出す
- 問いは紙/メモに残す。頭の中だけだと消える
Read
読む — 答えを探しながら能動的に 05:41立てた疑問への答えを探しながら読む。重要な箇所にはメモ・書き込みをして、手を動かしながら進める。
- ステップ2の問いに答えている箇所を探す読み方をする
- 線を引くだけで終えない。余白に「つまり何か」を自分の言葉で書く
- 答えが見つからない問いは、そのまま残しておく(次の教材への宿題)
Recite
暗唱 — 本を閉じて自分の言葉で 06:29読んだ内容を一度閉じ、自分の言葉で要約する/要点を声に出して説明する。この工程が記憶定着の本体。
- 本・ノートを閉じてから行う。開いたままの要約は再読であって想起ではない
- 思い出せなかった箇所こそが弱点。そこだけ開き直して確認する
- 声に出す/誰かに説明するつもりで話すと、曖昧な理解が露出する
mistakes/weak_points.md に「何が弱いか/正しくはどう考えるか」の形式で書く。Recite の出力先を弱点集に固定すると、この工程が資産になる。
Review
復習 — 間隔をあけて振り返る 07:31当日・翌日・数日後と、間隔をあけて内容を振り返り、記憶を確実なものにする。
- 復習は「読み返す」ではなく「白紙から思い出す」で行う
- 間隔は当日 → 翌日 → 3〜4日後 → 1〜2週間後が目安
- できた項目の間隔は伸ばし、落とした項目は間隔を戻す
data/records.json)が既にレビュー予定を自動算出している。ダッシュボードの「今日のレビュー」に従うだけでよい。二重管理は破綻する。
平行読書法
08:50知りたいテーマについて複数の本を同時に読む。同じ論点が本ごとにどう扱われるかを比べることで、多角的な視点が得られ、 「どの本にも必ず出てくる=本当に重要な点」が浮かび上がる。
アクティブリーディング
10:11黙読で終わらせない読み方。常に疑問を持ちながら読む、読後に情報を3つのポイントに絞って要約するなど、 頭を動かし続ける状態を意図的に作る。
SQ3R は「文章を読んで理解する」ための手法。科目によって効きが大きく違うので、全科目に一律で適用しない。
| 科目 | 相性 | 使い方 |
|---|---|---|
| 法規 | 高い | 条文・定義の文章が主戦場。Survey→Question→Read がそのまま機能する。Recite は条文を閉じて要件を言い直す形で。 |
| 電力・機械 | 部分的 | 用語・機器の原理説明パートには有効。計算問題は SQ3R ではなく反復演習で処理する。 |
| 理論 | 低い | 読解ではなく手を動かす量で決まる領域。使うなら Recite(解法を閉本で再現)と Review(間隔復習)の2つだけ。 |
英単語・歴史・宅建のような暗記型と、電験3種は「勉強」という同じ言葉で呼ばれているだけで、 中身が別物です。暗記型のやり方をそのまま持ち込むと、時間を使っているのに点が伸びないという状態になります。 違いは8つの軸に整理できます。
| 観点 | 一般的な暗記型 | 電験3種 |
|---|---|---|
| 問われる能力 | 再認。選択肢を見て「知っている」と気づければ正解できる。 | 再構成。その場で条件を式に落とし、最後まで計算し切って初めて1点。知っていても完走しなければ0点。 |
| 知識の単位 | 独立した項目の集合。1個覚えれば1個ぶん点が増える。 | 公式そのものは少ない。本体は公式どうしの関係と適用条件。覚える量は少なく、使える状態にするコストが高い。 |
| 失点の主因 | 忘却。対策は反復回数。 | 忘却より解法選択のミス・条件の読み落とし・単位と桁のミス。反復では減らない。誤りを分類しないと同じ穴に落ち続ける。 |
| 伸び方 | やった分だけ線形に伸びる。 | 理解が繋がるまで停滞し、その後に跳ねる非線形。停滞期を「向いていない」と誤読するのが最大の失敗。 |
| 教材の順序 | テキスト → 問題集。インプットが先で機能する。 | 過去問 → テキストの逆順が効率的。過去問が試験の仕様書で、テキストは辞書として引く。 |
| 「わかった」の判定 | 言える・選べれば合格。 | 白紙から解けるで判定。解説を読んで納得した状態は、本番でほぼ再現できない。 |
| 復習1回のコスト | 数秒〜十数秒。カードをめくれば済む。 | 1問あたり数分〜十数分。全範囲を均等に回せないので、復習対象の絞り込みが必須になる。 |
| 網羅の是非 | 網羅が有効。覚えた分だけ得点になる。 | 科目ごとに合否が決まり、合格した科目は一定期間免除される。捨て問の設計が戦略の中心で、均等配分は落ちる。 |
違いを行動に翻訳すると
mistakes/weak_points.md)ただし「暗記は不要」ではない
電験3種でも純粋な暗記が効く領域はあります。法規の条文・数値、機械や電力の用語と機器の分類がそれで、 ここは暗記型のやり方(カード・反復)がそのまま最適です。学習方針にある「理解 > 暗記。ただし法規は暗記も必要」は正しい。 危険なのは逆方向の持ち込み——理論の計算問題を暗記のやり方で処理しようとすることです。 領域ごとに手法を切り替えるのが正解で、どちらか一方に統一するのは両方とも間違いになります。
⚠️ この手法をそのまま信じない
- 効いているのは5ステップ全部ではない 記憶定着に強い根拠があるのは Recite(想起練習)と Review(間隔反復)。Survey / Question / Read の3つは「読み方が丁寧になる」効果はあるが、ここを作り込みすぎると、準備に時間を使って演習量が落ちるという典型的な失敗に入る。迷ったら4と5に時間を寄せる。
- 電験3種の得点源は「読む」ではなく「解く」 SQ3R は教科書の散文を対象にした読解法。理論・電力・機械の得点は演習量で決まる。読書法を整えることが勉強した気分を生むが、点数に直結するのは過去問を解いた回数。SQ3R の導入が演習時間を削るなら、導入しないほうが強い。
- 復習スケジュールを新規に作らない 「当日・翌日・数日後」は正しいが、このリポジトリには既にレビュー予定の自動算出がある。学習方針の「二重管理しない」に従い、復習日程は既存ダッシュボードに一本化する。手帳やNotionに別の復習表を作った時点で、どちらも続かなくなる。
- 平行読書法は「完璧を目指さない」方針と衝突しうる 複数冊の同時並行は理解が深まる一方、コストが跳ね上がる。「完璧を目指さず、合格ライン60点を確実に越える(目標65点)」方針の下では、教材は増やさず同一テーマを別の切り口(過去問・wiki)で当たる形に留めるのが妥当。
mistakes/weak_points.md に弱点として記録する
何が弱いか/どこで間違えたか(事実だけ)/正しくはどう考えるか(どの条件で何を判定するか)。