🧠 学習法

SQ3R / 暗記型との違い ← ダッシュボード

SQ3R メソッド

Survey → Question → Read → Recite → Review / 情報を効率よく頭に入れる5ステップ

本を「最初のページから最後まで黙読する」のをやめ、読む前に地図を作り、読む前に問いを立て、読んだ直後に本を閉じて自分の言葉で言い直す—— という順番に組み替えるだけの手法。5つのステップのうち、記憶定着に実際に効いているのは後半2つ(Recite / Review)です。

読む前の設計 3割 読む 3割 読んだ後の再生 4割
5つのステップ
1

Survey

01:34

本文を読む前に、目次・見出し・図表・まとめだけに目を通し、構成と全体像を先に掴む。

  • 目次を読み、章がどう積み上がっているかを把握する
  • 見出し・太字・図表・章末まとめだけを拾い読みする
  • 「この本はどこに向かう話か」を1〜2行で言えるようにする
電験3種でやるなら 新しい単元に入る前に、テキストの節見出しと例題の「問われ方」だけを5分で流し見る。理解しようとしない。どこに計算が来て、どこが暗記なのかの地図だけ作る。
2

Question

04:09

「なぜこのテーマが強調されているのか?」など、読む前に問いを立てる。答えを探す目的意識が生まれ、受け身の黙読にならない。

  • 見出しを疑問文に変換する(「三相交流」→「なぜ三相にするのか?」)
  • 自分が説明できない用語を、読む前に3つ書き出す
  • 問いは紙/メモに残す。頭の中だけだと消える
電験3種でやるなら 過去問を先に1問見てから解説を読む。これが最強の Question。「解けなかった問題」そのものが、最も精度の高い問いになる。
3

Read

05:41

立てた疑問への答えを探しながら読む。重要な箇所にはメモ・書き込みをして、手を動かしながら進める。

  • ステップ2の問いに答えている箇所を探す読み方をする
  • 線を引くだけで終えない。余白に「つまり何か」を自分の言葉で書く
  • 答えが見つからない問いは、そのまま残しておく(次の教材への宿題)
電験3種でやるなら 解説を読むときは、式変形を目で追わず必ず自分で手を動かして再現する。読んで分かった気になった計算は、試験本番でまず解けない。
4

Recite

06:29

読んだ内容を一度閉じ、自分の言葉で要約する/要点を声に出して説明する。この工程が記憶定着の本体。

  • 本・ノートを閉じてから行う。開いたままの要約は再読であって想起ではない
  • 思い出せなかった箇所こそが弱点。そこだけ開き直して確認する
  • 声に出す/誰かに説明するつもりで話すと、曖昧な理解が露出する
電験3種でやるなら 思い出せなかった項目は、その場で mistakes/weak_points.md に「何が弱いか/正しくはどう考えるか」の形式で書く。Recite の出力先を弱点集に固定すると、この工程が資産になる。
5

Review

07:31

当日・翌日・数日後と、間隔をあけて内容を振り返り、記憶を確実なものにする。

  • 復習は「読み返す」ではなく「白紙から思い出す」で行う
  • 間隔は当日 → 翌日 → 3〜4日後 → 1〜2週間後が目安
  • できた項目の間隔は伸ばし、落とした項目は間隔を戻す
電験3種でやるなら 復習日程を手帳で自作しないこと。このリポジトリのテスト記録(data/records.json)が既にレビュー予定を自動算出している。ダッシュボードの「今日のレビュー」に従うだけでよい。二重管理は破綻する。
その他の学習テクニック

平行読書法

08:50

知りたいテーマについて複数の本を同時に読む。同じ論点が本ごとにどう扱われるかを比べることで、多角的な視点が得られ、 「どの本にも必ず出てくる=本当に重要な点」が浮かび上がる。

電験3種でやるなら 本を増やすのではなく、テキスト × 過去問解説 × denken-wiki(分野別過去問から入る) の3系統で同じテーマを突き合わせる。教材の冊数を増やすのは、この試験では時間の浪費になりやすい。

アクティブリーディング

10:11

黙読で終わらせない読み方。常に疑問を持ちながら読む、読後に情報を3つのポイントに絞って要約するなど、 頭を動かし続ける状態を意図的に作る。

電験3種でやるなら 「3つに絞る」は学習方針の「今日やることを3つだけ決める」と同じ発想。1単元終えたら、要点を3行でメモする。3行に収まらないなら、まだ理解が整理されていない。
科目別・使いどころマップ

SQ3R は「文章を読んで理解する」ための手法。科目によって効きが大きく違うので、全科目に一律で適用しない。

科目相性使い方
法規 高い 条文・定義の文章が主戦場。Survey→Question→Read がそのまま機能する。Recite は条文を閉じて要件を言い直す形で。
電力・機械 部分的 用語・機器の原理説明パートには有効。計算問題は SQ3R ではなく反復演習で処理する。
理論 低い 読解ではなく手を動かす量で決まる領域。使うなら Recite(解法を閉本で再現)と Review(間隔復習)の2つだけ。
一般的な暗記型学習と、電験3種のやり方の違い

英単語・歴史・宅建のような暗記型と、電験3種は「勉強」という同じ言葉で呼ばれているだけで、 中身が別物です。暗記型のやり方をそのまま持ち込むと、時間を使っているのに点が伸びないという状態になります。 違いは8つの軸に整理できます。

観点 一般的な暗記型 電験3種
問われる能力 再認。選択肢を見て「知っている」と気づければ正解できる。 再構成。その場で条件を式に落とし、最後まで計算し切って初めて1点。知っていても完走しなければ0点。
知識の単位 独立した項目の集合。1個覚えれば1個ぶん点が増える。 公式そのものは少ない。本体は公式どうしの関係と適用条件。覚える量は少なく、使える状態にするコストが高い。
失点の主因 忘却。対策は反復回数。 忘却より解法選択のミス・条件の読み落とし・単位と桁のミス。反復では減らない。誤りを分類しないと同じ穴に落ち続ける。
伸び方 やった分だけ線形に伸びる。 理解が繋がるまで停滞し、その後に跳ねる非線形。停滞期を「向いていない」と誤読するのが最大の失敗。
教材の順序 テキスト → 問題集。インプットが先で機能する。 過去問 → テキストの逆順が効率的。過去問が試験の仕様書で、テキストは辞書として引く。
「わかった」の判定 言える・選べれば合格。 白紙から解けるで判定。解説を読んで納得した状態は、本番でほぼ再現できない。
復習1回のコスト 数秒〜十数秒。カードをめくれば済む。 1問あたり数分〜十数分。全範囲を均等に回せないので、復習対象の絞り込みが必須になる。
網羅の是非 網羅が有効。覚えた分だけ得点になる。 科目ごとに合否が決まり、合格した科目は一定期間免除される。捨て問の設計が戦略の中心で、均等配分は落ちる。

違いを行動に翻訳すると

✕ 暗記型の処方解けなかった → もう一度テキストを読み直す
→
○ 電験の処方解けなかった → なぜ解けなかったかを分類する(知識がない/解法を選び違えた/条件を読み落とした/計算ミス)。処方は分類ごとに違う
✕ 暗記型の処方公式を一覧で覚える
→
○ 電験の処方公式はいつ使えて、いつ使えないかとセットで覚える。前提を落とした公式は本番で誤用の元になる
✕ 暗記型の処方ノートをきれいにまとめる
→
○ 電験の処方まとめる時間を演習に回す。残すのは間違えた記録だけ(mistakes/weak_points.md)
✕ 暗記型の処方全範囲を均等に回す
→
○ 電験の処方頻出テーマと弱点に寄せる。捨てる範囲を先に決める。60点(年度により調整あり)が目標で、満点は要らない
✕ 暗記型の処方「答えを見て納得したので次へ」
→
○ 電験の処方納得は通過点。その場で閉じて解き直す。ここを飛ばした問題は、翌週まず解けない

ただし「暗記は不要」ではない

電験3種でも純粋な暗記が効く領域はあります。法規の条文・数値、機械や電力の用語と機器の分類がそれで、 ここは暗記型のやり方(カード・反復)がそのまま最適です。学習方針にある「理解 > 暗記。ただし法規は暗記も必要」は正しい。 危険なのは逆方向の持ち込み——理論の計算問題を暗記のやり方で処理しようとすることです。 領域ごとに手法を切り替えるのが正解で、どちらか一方に統一するのは両方とも間違いになります。

採用前に知っておくこと

⚠️ この手法をそのまま信じない

  1. 効いているのは5ステップ全部ではない 記憶定着に強い根拠があるのは Recite(想起練習)と Review(間隔反復)。Survey / Question / Read の3つは「読み方が丁寧になる」効果はあるが、ここを作り込みすぎると、準備に時間を使って演習量が落ちるという典型的な失敗に入る。迷ったら4と5に時間を寄せる。
  2. 電験3種の得点源は「読む」ではなく「解く」 SQ3R は教科書の散文を対象にした読解法。理論・電力・機械の得点は演習量で決まる。読書法を整えることが勉強した気分を生むが、点数に直結するのは過去問を解いた回数。SQ3R の導入が演習時間を削るなら、導入しないほうが強い。
  3. 復習スケジュールを新規に作らない 「当日・翌日・数日後」は正しいが、このリポジトリには既にレビュー予定の自動算出がある。学習方針の「二重管理しない」に従い、復習日程は既存ダッシュボードに一本化する。手帳やNotionに別の復習表を作った時点で、どちらも続かなくなる。
  4. 平行読書法は「完璧を目指さない」方針と衝突しうる 複数冊の同時並行は理解が深まる一方、コストが跳ね上がる。「完璧を目指さず、合格ライン60点を確実に越える(目標65点)」方針の下では、教材は増やさず同一テーマを別の切り口(過去問・wiki)で当たる形に留めるのが妥当。
明日からの最小運用
学習前 5分 見出しを流し見て、答えられない用語を3つ書き出す Survey + Question をまとめて済ませる。ここに時間をかけない。
法規の入口 denken-wiki の分野別過去問から入る。条文ページは解けなかった問題の分だけ辞書として引く Question。テーマページ・条文ページを頭から読まない。
学習中 解説の式は必ず自分の手で再現する Read。目で追った計算は本番で解けない。
単元終了直後 テキストを閉じ、要点を3行で言い直す Recite。ここが本体。詰まった項目は次の行へ。
つまずいたら mistakes/weak_points.md に弱点として記録する 何が弱いか/どこで間違えたか(事実だけ)/正しくはどう考えるか(どの条件で何を判定するか)。
翌日以降 ダッシュボードの「レビュー予定」に出た項目だけ復習する Review。自前の復習表は作らない。