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✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当 🔧 保全担当 🏭 製造担当

トラブル対応の基本

30秒まとめ

化学プラントのトラブル対応は「安全確保 → 情報収集 → 切り分け → 対処・記録」の4ステップが基本。まず現場の安全を確認してから動く。焦って触ると二次災害になる。


化学プラント特有の注意事項

防爆エリアでの作業前確認

可燃性ガス・蒸気が存在する防爆エリアでは、電気作業前にガス検知を行うこと。 火花・アーク発生が引火源になるリスクがある。防爆対応工具・防爆対応機器以外を持ち込まない。

高圧ガス保安法上の義務

トラブル対応作業の内容・結果は記録として残す義務がある。 「直ったからいい」で終わらせると、次の自主検査時に指摘を受ける。 作業後は必ずトラブルログ(factory/trouble-log.md 相当)に残すこと。

単独作業の禁止

6.6kV 高圧系統や密閉空間付近での作業は必ず2名以上で実施すること。 保護具(絶縁手袋・絶縁長靴・保護メガネ)の着用を怠らない。


トラブル対応4ステップ

STEP 1 — 安全確保

  1. 現場の状況を目視確認(異臭・煙・異音・火花がないか)
  2. ガス検知(防爆エリアの場合、検知器で可燃性ガス濃度を確認)
  3. プロセスへの影響確認(製造担当に現在のプロセス状態を確認)
  4. 停電作業が必要な場合はロックアウト・タグアウト実施

安全確保前に機器へ触れない。状況が把握できない段階での操作は厳禁。


STEP 2 — 情報収集

対応が速くなる情報収集の優先順位:

優先 確認項目 確認方法
いつ発生したか(発生時刻) DCS趨勢・アラームログ
何が変化した直前に起きたか 製造担当へのヒアリング
アラームの種類・内容 DCS画面・現場盤のランプ
最後の正常状態はいつか 設備台帳・点検記録
最近の変更作業 作業報告書・MOC記録
過去の同じ症状の履歴 トラブルログ

製造担当への第一報

プロセスへの影響が不明な段階で、まず製造当直に連絡を入れること。 「電気設備のトラブルを確認中。プロセスへの影響を調査しています」と伝えるだけでよい。 放置して後から「なぜ早く言わなかった」と言われる方が問題になる。


STEP 3 — 切り分け

基本原則:「計器を疑う」

実際のプロセス異常ではなく、計測・制御系の問題である可能性を常に念頭に置く。 切り分けの順序:

センサ(一次側)
  └→ 伝送器(変換・増幅)
       └→ 配線(断線・ノイズ)
            └→ 制御システム(DCS/PLC設定・ソフト)

現場で直接測定できるものから確認する。DCS表示だけを信用しない。

系統別の分類

系統 確認ポイント
電源系 電圧・電流・MCCB状態・ヒューズ
信号系 4-20mA値・配線導通・シールド
機械系 軸受温度・振動・カップリング
制御系 PLCラダー・DCS設定値・インターロック条件

切り分けの鉄則

一度に複数箇所を変更しない。1点変更 → 確認 → 次の変更。 複数点を同時に変更すると、どれが効いたかわからなくなる。


STEP 4 — 対処・記録

対処の判断基準

  • 応急処置で対応可能:バイパス運転・手動操作・部品交換で継続できる場合
  • 定修まで保留:プロセスを止めずに監視継続できる場合(部品調達・計画修理)
  • 緊急停止が必要:安全に関わる場合・悪化が予見される場合

記録に残す内容

・発生日時・発見者
・症状の詳細(アラームコード・現場の様子)
・実施した切り分け手順と結果
・暫定対処の内容
・恒久対策の予定または実施内容
・プロセスへの影響

高圧ガス保安法では、設備の異常と対処の記録を保管する義務がある。 記録は「自分が覚えているから不要」ではなく、組織の資産として残す意識を持つこと。


よくある思い込みと正しい考え方

思い込み 実際
「さっきまで動いていたから電気じゃない」 間欠的な接触不良・熱膨張による影響は突然現れる
「アラームが出ていないから問題ない」 アラーム設定が甘い・センサ自体が壊れている可能性
「リセットしたら直った。もう大丈夫」 根本原因が残っている。再発する可能性が高い
「電気じゃなくて機械の問題だ」 電気と機械は相互に影響する。分野をまたいで確認する
「前回もこうやって直した」 症状が似ていても原因が違うことがある。先入観で動かない

エスカレーション判断

以下のいずれかに該当する場合は、上司・電気主任技術者・製造長へ即エスカレーション:

  • [ ] 6.6kV 高圧系統に関連するトラブル
  • [ ] 火災・爆発・感電の危険がある
  • [ ] プロセスの緊急停止が必要
  • [ ] 原因の特定に30分以上かかっている
  • [ ] 暫定対処でも継続運転の見通しが立たない

電気主任技術者への報告義務

電気事業法に基づき、電気主任技術者が選任されている設備では、 重大な事故・異常は電気主任技術者への報告が必要。 「軽微だと思ったので報告しなかった」は通用しない。