コンテンツにスキップ
✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当 🔧 保全担当

接地・ノイズトラブル

30秒まとめ

計器が暴れる原因の8割はノイズかグラウンドループ。まずシールドの片端接地を確認し、次にインバータとの近接を疑う。


ノイズの3種類と対策

ノイズは「どこから来るか」で対策が変わる。まず種類を特定する。

発生源: 大電流を流す動力ケーブル・モーター・変圧器

特徴: - 動力ケーブルに平行して配線した計装ケーブルに影響しやすい - インバータの PWM スイッチング磁界が特に強い

対策: - 計装ケーブルと動力ケーブルの離隔確保(最低 300mm 以上、交差は直角) - ツイストペアケーブルの使用(ツイストにより磁界の打ち消し効果) - シールド付きケーブルを使用してシールドを適切に接地

発生源: 高電圧導体・静電気帯電物体

特徴: - 高インピーダンス回路に影響しやすい - 熱電対信号(mV レベル)に出やすい

対策: - シールド付きケーブルを使用してシールドを接地 - 電界発生源(高圧ケーブル)との距離を取る

発生源: インバータ・開閉器・モーター起動機

特徴: - 電源ラインを伝わって広範囲に影響する - インバータのキャリア周波数(数 kHz〜数十 kHz)が特徴的

対策: - ノイズフィルタ(ラインフィルタ)の設置 - 計装電源と動力電源の分離(トランスによる絶縁) - アイソレータ(信号絶縁器)の介挿


グラウンドループの発生原因と検出方法

グラウンドループとは

シールドケーブルを両端接地すると、2点間の電位差により「ループ電流」が流れる。 このループ電流が信号に重畳してノイズになる。

機器A ─── シールドケーブル ─── 機器B
  │                              │
接地点 A(電位 VA)        接地点 B(電位 VB)

VA ≠ VB の場合 → ループ電流が発生 → ノイズになる

検出方法

  1. シールドの一端を外す(片端接地にする)
  2. ノイズが減少 → グラウンドループが原因だった
  3. ノイズが変わらない → 別の原因

接地点間の電位差を測定する

テスターで「2つの接地点間の電圧」を測定する。 数百 mV 以上の差がある場合、グラウンドループが発生しやすい環境。


シールドの正しい接地

計装ケーブルのシールド接地原則

計装ケーブルのシールドは原則として片端接地

接地方式 特徴 適用
片端接地(フィールド端を浮かす) グラウンドループ防止に有効 計装信号(4-20mA・熱電対)
片端接地(制御室端を浮かす) 現場側の感電防止になる 長距離配線・屋外配線
両端接地 高周波ノイズには有効だが DC ループが発生 特殊な高周波対応が必要な場合のみ

接地が「浮いている」状態の確認

  1. ケーブルのシールド端とケーブル本体(信号線)の絶縁を確認
  2. テスターの抵抗モードでシールドと接地間の抵抗を測定
  3. 低抵抗(数Ω 以下)→ 接地されている / 高抵抗(MΩ オーバー)→ 浮いている

インバータ起動時の計器誤動作

インバータを起動したタイミングで計器の値が跳んだり、暴れたりする場合:

確認手順

  1. インバータ起動と計器誤動作のタイミングを確認(DCS トレンドで時刻を照合)
  2. インバータのアース確認(PE 端子が確実に接地されているか)
  3. キャリア周波数の確認(キャリア周波数が低いとノイズが減ることがある)
  4. 配線ルートの確認(インバータ出力ケーブルと計装ケーブルが並走していないか)

インバータノイズ対策の優先順位

優先度 対策
1 インバータの PE(アース)を確実に接地
2 計装ケーブルと動力ケーブルを別ルートへ
3 インバータ入出力にノイズフィルタを設置
4 計装信号にアイソレータを介挿
5 インバータのキャリア周波数を下げる

メガー測定手順と判定基準

測定前の注意事項

測定前に機器・電源を切り離すこと

メガーは高電圧(500V〜5000V)を印加する。 通電状態・IC チップを含む精密機器に対して測定すると機器破損や感電の危険がある。

  • [ ] 測定対象の電源を切り、開路状態にする
  • [ ] 測定対象に接続された精密機器(インバータ・PLC 等)を切り離す
  • [ ] 測定後は必ず「放電」を実施してからケーブルに触れる

測定手順

  1. メガー電圧の選択(低圧回路:500V、高圧回路:1000V)
  2. L 端子をケーブル・機器に接続、E 端子を大地(アース)に接続
  3. 測定ボタンを押し、指針が安定するまで 1 分程度測定
  4. 読み値を記録(単位:MΩ)
  5. 測定後は放電スイッチで放電、または 10 秒以上待ってから接続を外す

判定基準(目安)

回路電圧 メガー電圧 良好 注意 不良
200V 低圧 500V 1MΩ 以上 0.5〜1MΩ 0.5MΩ 未満
440V 低圧 500V 1MΩ 以上 0.5〜1MΩ 0.5MΩ 未満
6600V 高圧 1000V 10MΩ 以上 1〜10MΩ 1MΩ 未満

化学プラント固有:迷走電流による腐食対策

迷走電流とは

複数の接地点間に電位差がある場合、土中・配管・構造物を通って電流が流れる。 この「迷走電流」は金属の電解腐食を引き起こす。

発生しやすい場所: - 直流電流を使用する電解設備・電気防食設備の近傍 - 接地点が複数あり電位差が生じやすい大型プラント

対策: - 接地系統の電位均等化(等電位ボンディング) - 絶縁フランジの設置(配管での迷走電流遮断) - 定期的な配管腐食点検(電位測定・肉厚測定)

等電位ボンディングの確認

設備の金属部(タンク・配管・構造物)が接地されていて、 かつ接地点間の電位差が少ない状態を「等電位ボンディング」という。 定期検査で等電位ボンディングの導通確認を行うこと。