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✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当 🔧 保全担当

モータートラブル

⚡ まず確認(3秒)

  1. サーマルリレーがトリップしていないか → 現場盤を目視
  2. 電源電圧(3相)は正常か → テスターで確認
  3. インターロックが解除されているか → DCS画面を確認

🔇 異臭・煙・異音があれば即停止・退避。一人で触らない。

30秒まとめ

「起動しない・過熱する・振動・絶縁低下」の4パターンが大半。防爆エリアでの作業は事前のガス検知と防爆工具の使用が必須。


起動しない場合の切り分けフロー

モーターが起動しない
  ├─ 電源系確認
  │    ├─ 電源電圧 OK? → NO → 電源トラブル記事へ
  │    └─ YES → 次へ
  ├─ 制御回路確認
  │    ├─ 起動指令が出ているか(DCS/操作盤)
  │    ├─ インターロック条件が成立しているか(DCS ラダー確認)
  │    ├─ サーマル・過電流リレーがトリップしていないか
  │    └─ 制御電源ヒューズは OK か
  └─ 機械系確認
       ├─ 手で軸を回せるか(回らない → 機械ロック・軸受焼付)
       └─ カップリング・負荷設備の状態確認
確認項目 確認方法 異常サイン
電源電圧(3相) テスター 相欠け・著しい電圧不均衡
制御電源 テスター 制御ヒューズ断
インターロック DCS 画面・ラダー インターロック未解除
サーマルリレー 現場盤 トリップ表示
絶縁抵抗 メガー(500V) 低圧モーター:1MΩ 未満は要注意

DCS インターロック確認の手順

DCS 画面でモーターが「起動禁止」状態になっている場合、 インターロック条件(吸入側バルブ開・冷却水流量確認など)を1つずつ確認する。 製造担当に「どのインターロックが成立していないか」を伝えることで連携が速くなる。


過電流・サーマルトリップ

主な原因と確認方法

原因 症状の特徴 確認方法
過負荷 負荷増加に伴い電流上昇 電流計・クランプメーター
相欠け 電流不均衡・うなり音 3相電流を個別に測定
電圧低下 全体的に電流増加 電源電圧測定
軸受劣化・ロック 起動電流が下がらない 空転で確認(負荷を切り離して試運転)
巻線短絡 絶縁抵抗が極端に低い メガー測定

サーマルリレーの整定値確認

サーマルリレーの整定電流値がモーターの定格電流に合っているか確認する。 整定値が高すぎると保護機能が働かない。低すぎると頻繁にトリップする。 整定値 = モーター定格電流 × 0.9〜1.0 が一般的な目安。


振動・異音の切り分け

振動・異音の原因分類

症状 疑われる原因 確認方法
低周波のうなり・振動 電磁的問題(電圧不均衡・相欠け) 電流3相測定
高周波の金属音 軸受劣化・グリース不足 軸受温度・振動測定
起動時のみ振動 カップリングアンバランス・ミスアライメント カップリング確認
特定回転数で共振 固有振動数との共鳴 回転数を変えて確認(インバータ制御の場合)
不規則な衝撃音 異物混入・インペラ損傷 分解点検
キャビテーション音(ポンプ) 吸入側圧力不足 吸入圧力・液面確認

軸受劣化の早期発見

軸受温度が周囲温度 +40℃ 以上になっていたら劣化の可能性がある。 振動測定値(速度実効値)は 4.5mm/s を超えたら要注意、7.1mm/s を超えたら早急に対応する。


絶縁抵抗低下

判定基準

測定結果 判定 対応
100MΩ 以上 良好 定期点検を継続
10〜100MΩ 注意 次の定修で詳細点検
1〜10MΩ 要注意 原因調査・早期対応
1MΩ 未満 不良 使用停止・点検修理
0.1MΩ 未満 危険 即時使用停止

※ 測定は 500V メガー使用(低圧モーター)。高圧モーターは 1000V メガー。

絶縁低下の主な原因

  • 水分侵入:グランドパッキン劣化・雨水浸入・洗浄水侵入
  • 経年劣化:絶縁材の熱劣化・化学物質による侵食
  • 巻線汚染:油・ダスト・腐食性ガスの付着

乾燥処理で回復する場合がある

水分侵入による絶縁低下は、乾燥炉での加熱乾燥(約 80〜100℃ で 8〜24 時間)で 回復するケースがある。ただし、乾燥処理後に再測定して確認すること。


相欠け運転の見分け方

相欠けは気づきにくく、モーターに深刻なダメージを与える。

見分けるポイント: - 3相の電流値に著しい不均衡(一相が他の2倍以上など) - 低音のうなり音(正常時より重く、脈動する音) - 運転は続くが出力が落ちている(負荷を引けていない) - 巻線温度が異常に高い

相欠け運転を放置すると焼損する

相欠け状態でモーターを運転し続けると短時間で巻線が焼損する。 電流不均衡が確認されたら即停止して原因(ヒューズ断・接触不良・MCCB 片相動作)を調査する。


防爆エリアでのモーター作業注意点

防爆エリアでの電気作業は特別な注意が必要

  • 作業前にガス検知を実施(可燃性ガス濃度が爆発下限界の 25% 未満であること)
  • 防爆対応工具を使用(鉄製工具の打撃は火花の原因になる)
  • 防爆性能を損なう改造・修理は行わない(防爆構造の維持が法的義務)
  • モーター交換時は防爆仕様の確認(耐圧防爆・内圧防爆・安全増防爆の種別を確認)
  • 端子箱の開放は通電状態で行わない

防爆モーターの修理

防爆モーターを修理・改造する場合は、修理後の防爆性能を確認する必要がある。 構造を変更する修理は防爆検定証書が失効する場合があるためメーカーに確認すること。


原因候補の確率表(経験則)

症状 第1候補(最多) 第2候補 第3候補
起動しない インターロック未成立 サーマルトリップ 制御ヒューズ断
サーマルトリップ 過負荷(負荷増) 相欠け 整定値不適切
振動増大 軸受劣化 アンバランス ミスアライメント
絶縁低下 水分侵入 経年劣化 巻線汚染
異音 軸受グリース不足 異物混入 ファン破損