モータートラブル¶
⚡ まず確認(3秒)
- サーマルリレーがトリップしていないか → 現場盤を目視
- 電源電圧(3相)は正常か → テスターで確認
- インターロックが解除されているか → DCS画面を確認
🔇 異臭・煙・異音があれば即停止・退避。一人で触らない。
30秒まとめ¶
「起動しない・過熱する・振動・絶縁低下」の4パターンが大半。防爆エリアでの作業は事前のガス検知と防爆工具の使用が必須。
起動しない場合の切り分けフロー¶
モーターが起動しない
├─ 電源系確認
│ ├─ 電源電圧 OK? → NO → 電源トラブル記事へ
│ └─ YES → 次へ
├─ 制御回路確認
│ ├─ 起動指令が出ているか(DCS/操作盤)
│ ├─ インターロック条件が成立しているか(DCS ラダー確認)
│ ├─ サーマル・過電流リレーがトリップしていないか
│ └─ 制御電源ヒューズは OK か
└─ 機械系確認
├─ 手で軸を回せるか(回らない → 機械ロック・軸受焼付)
└─ カップリング・負荷設備の状態確認
| 確認項目 | 確認方法 | 異常サイン |
|---|---|---|
| 電源電圧(3相) | テスター | 相欠け・著しい電圧不均衡 |
| 制御電源 | テスター | 制御ヒューズ断 |
| インターロック | DCS 画面・ラダー | インターロック未解除 |
| サーマルリレー | 現場盤 | トリップ表示 |
| 絶縁抵抗 | メガー(500V) | 低圧モーター:1MΩ 未満は要注意 |
DCS インターロック確認の手順
DCS 画面でモーターが「起動禁止」状態になっている場合、 インターロック条件(吸入側バルブ開・冷却水流量確認など)を1つずつ確認する。 製造担当に「どのインターロックが成立していないか」を伝えることで連携が速くなる。
過電流・サーマルトリップ¶
主な原因と確認方法¶
| 原因 | 症状の特徴 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 過負荷 | 負荷増加に伴い電流上昇 | 電流計・クランプメーター |
| 相欠け | 電流不均衡・うなり音 | 3相電流を個別に測定 |
| 電圧低下 | 全体的に電流増加 | 電源電圧測定 |
| 軸受劣化・ロック | 起動電流が下がらない | 空転で確認(負荷を切り離して試運転) |
| 巻線短絡 | 絶縁抵抗が極端に低い | メガー測定 |
サーマルリレーの整定値確認
サーマルリレーの整定電流値がモーターの定格電流に合っているか確認する。 整定値が高すぎると保護機能が働かない。低すぎると頻繁にトリップする。 整定値 = モーター定格電流 × 0.9〜1.0 が一般的な目安。
振動・異音の切り分け¶
振動・異音の原因分類¶
| 症状 | 疑われる原因 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 低周波のうなり・振動 | 電磁的問題(電圧不均衡・相欠け) | 電流3相測定 |
| 高周波の金属音 | 軸受劣化・グリース不足 | 軸受温度・振動測定 |
| 起動時のみ振動 | カップリングアンバランス・ミスアライメント | カップリング確認 |
| 特定回転数で共振 | 固有振動数との共鳴 | 回転数を変えて確認(インバータ制御の場合) |
| 不規則な衝撃音 | 異物混入・インペラ損傷 | 分解点検 |
| キャビテーション音(ポンプ) | 吸入側圧力不足 | 吸入圧力・液面確認 |
軸受劣化の早期発見
軸受温度が周囲温度 +40℃ 以上になっていたら劣化の可能性がある。 振動測定値(速度実効値)は 4.5mm/s を超えたら要注意、7.1mm/s を超えたら早急に対応する。
絶縁抵抗低下¶
判定基準¶
| 測定結果 | 判定 | 対応 |
|---|---|---|
| 100MΩ 以上 | 良好 | 定期点検を継続 |
| 10〜100MΩ | 注意 | 次の定修で詳細点検 |
| 1〜10MΩ | 要注意 | 原因調査・早期対応 |
| 1MΩ 未満 | 不良 | 使用停止・点検修理 |
| 0.1MΩ 未満 | 危険 | 即時使用停止 |
※ 測定は 500V メガー使用(低圧モーター)。高圧モーターは 1000V メガー。
絶縁低下の主な原因¶
- 水分侵入:グランドパッキン劣化・雨水浸入・洗浄水侵入
- 経年劣化:絶縁材の熱劣化・化学物質による侵食
- 巻線汚染:油・ダスト・腐食性ガスの付着
乾燥処理で回復する場合がある
水分侵入による絶縁低下は、乾燥炉での加熱乾燥(約 80〜100℃ で 8〜24 時間)で 回復するケースがある。ただし、乾燥処理後に再測定して確認すること。
相欠け運転の見分け方¶
相欠けは気づきにくく、モーターに深刻なダメージを与える。
見分けるポイント: - 3相の電流値に著しい不均衡(一相が他の2倍以上など) - 低音のうなり音(正常時より重く、脈動する音) - 運転は続くが出力が落ちている(負荷を引けていない) - 巻線温度が異常に高い
相欠け運転を放置すると焼損する
相欠け状態でモーターを運転し続けると短時間で巻線が焼損する。 電流不均衡が確認されたら即停止して原因(ヒューズ断・接触不良・MCCB 片相動作)を調査する。
防爆エリアでのモーター作業注意点¶
防爆エリアでの電気作業は特別な注意が必要
- 作業前にガス検知を実施(可燃性ガス濃度が爆発下限界の 25% 未満であること)
- 防爆対応工具を使用(鉄製工具の打撃は火花の原因になる)
- 防爆性能を損なう改造・修理は行わない(防爆構造の維持が法的義務)
- モーター交換時は防爆仕様の確認(耐圧防爆・内圧防爆・安全増防爆の種別を確認)
- 端子箱の開放は通電状態で行わない
防爆モーターの修理
防爆モーターを修理・改造する場合は、修理後の防爆性能を確認する必要がある。 構造を変更する修理は防爆検定証書が失効する場合があるためメーカーに確認すること。
原因候補の確率表(経験則)¶
| 症状 | 第1候補(最多) | 第2候補 | 第3候補 |
|---|---|---|---|
| 起動しない | インターロック未成立 | サーマルトリップ | 制御ヒューズ断 |
| サーマルトリップ | 過負荷(負荷増) | 相欠け | 整定値不適切 |
| 振動増大 | 軸受劣化 | アンバランス | ミスアライメント |
| 絶縁低下 | 水分侵入 | 経年劣化 | 巻線汚染 |
| 異音 | 軸受グリース不足 | 異物混入 | ファン破損 |