コンテンツにスキップ
✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当 🔧 保全担当

PLC/DCS トラブル

30秒まとめ

PLC/DCS トラブルは「物理配線 → ネットワーク設定 → ハードウェア → ソフト」の順で切り分ける。プログラム変更を伴う場合は MOC(変更管理)手続きが必須。


通信断の切り分け

切り分けフロー

PLC/DCS との通信が切れた
  ├─ 物理配線の確認
  │    ├─ ケーブル断線・コネクタ抜け
  │    ├─ HUB/スイッチの電源 ON
  │    └─ リンクランプ点灯確認
  ├─ ネットワーク設定の確認
  │    ├─ IP アドレスの重複・誤設定
  │    ├─ サブネットマスク設定
  │    └─ 通信プロトコル設定(Modbus/Ethernet IP 等)
  └─ ノイズの確認
       ├─ ケーブルが動力線と近接していないか
       └─ シールドの接地状態

ネットワーク確認コマンド(エンジニアリング PC から)

確認内容 コマンド例
疎通確認 ping [PLC/DCS の IP アドレス]
接続機器一覧 arp -a
ルーティング確認 tracert [対象 IP]

通信断は再起動で解決する場合がある

通信ハードウェアの内部的なフリーズは、電源再投入で解消することがある。 ただし再起動前に「再起動の影響範囲(どのプロセスが止まるか)」を製造担当に確認すること。


I/O 点が読めない

確認手順

  1. 現場配線の確認
  2. ターミナルへの配線接続(緩み・断線)
  3. フィールド機器への電源供給(24VDC など)

  4. ヒューズ確認

  5. I/O カード専用ヒューズが断線していないか
  6. 電源分配盤のヒューズ確認

  7. I/O カードのステータス確認

  8. DCS エンジニアリングツールでカード診断を実施
  9. I/O ランプの状態(正常:緑 / 異常:赤・橙)

  10. ソフト設定確認

  11. I/O タグのアドレス設定が実機と一致しているか
  12. I/O スキャン設定(スキャン周期・有効/無効)
症状 有力な原因
特定の1点だけ読めない 配線断線・ヒューズ断
カード単位で全点読めない I/O カード故障・ヒューズ断
全点が 0 になる カード電源喪失・ラック電源喪失
値が固定値のまま変化しない スキャン停止・ソフト設定ミス

プログラムが意図通り動かない

インターロック条件の確認

「起動ボタンを押しても動かない」「指令を出しても弁が動かない」などの場合、 インターロック条件(起動許可条件)が成立していない可能性が高い。

確認手順:

  1. DCS/PLC のラダー・ファンクションブロックでロジックを確認
  2. 起動許可条件を一つずつリスト化する
  3. 各条件の入力信号が正しい状態かを確認
  4. 入力信号の物理値(現場)と DCS 表示が一致しているかを確認

タイムチャートで動作を追う

DCS のトレンド機能でインターロック入力信号と出力指令を同時に記録する。 「何時何分に何が変化したか」をタイムチャートで追うと原因特定が速い。

プログラムの問題箇所を絞り込む

  • 入力は正常、出力は異常 → ラダー・ロジックの問題
  • 入力が異常 → フィールド信号・配線の問題
  • 出力は出ているが現場機器が動かない → 出力先の配線・機器の問題

バッテリー低下アラームの対応

バッテリー低下アラームは早急に対応する

バッテリーが完全放電すると、停電復帰後にプログラムが消失する機種がある。 アラーム発生後 1〜2 週間以内に交換することを推奨。

バッテリー交換手順

  1. 事前準備
  2. バッテリー品番を確認(機種・メーカーにより異なる)
  3. バッテリー交換中にプログラムを保持できるか確認(通電状態での交換が原則)
  4. プログラムのバックアップを PC に保存

  5. 交換作業

  6. 通電状態のまま交換(電源を切るとプログラムが消える機種あり)
  7. 交換時間の上限内(通常数分以内)で作業完了

  8. 交換後確認

  9. プログラムが正常に動作しているか確認
  10. バッテリーアラームが消灯したか確認

CPU 異常時の対応(冗長系への切替)

冗長 CPU の切替作業はプロセスに直接影響する

切替前に必ず製造担当に報告し、切替のタイミングと影響を確認すること。

冗長 CPU 切替手順(一般的な手順)

  1. 待機系 CPU が正常状態であることを確認
  2. 製造担当に切替を通知し、実施許可を得る
  3. 現行系(アクティブ)→ 待機系への切替操作(DCS エンジニアリングツール or ハードスイッチ)
  4. 切替後、全 I/O が正常に動作しているか確認
  5. 異常系 CPU を切り離して原因調査(メーカーサポートへ連絡)

定修での DCS 設定変更手順(MOC)

DCS 設定変更は必ず MOC(変更管理)手続きを踏む

製造プロセスに影響する設定変更は MOC(Management of Change)が必要。 「少し変えるだけだから」で MOC を省略すると重大事故の原因になる。

MOC の基本フロー

変更内容の提案
  └→ 影響評価(安全・品質・生産への影響)
       └→ 関係者承認(製造・安全・電計担当)
            └→ 変更実施(定修中)
                 └→ 変更後確認試験
                      └→ 記録・更新(図面・設定バックアップ)

変更後の確認事項

  • [ ] 変更した設定が意図通りに動作しているか
  • [ ] 関連するインターロックが正常に機能しているか
  • [ ] DCS の設定バックアップを更新したか
  • [ ] 図面(計装図・制御ロジック図)を最新版に更新したか

SIS との違い

DCS と SIS は独立したシステム。混同しない

項目 DCS SIS(安全計装システム)
目的 プロセス制御 安全機能(緊急遮断)
故障時の動作 可用性を優先 安全側(フェールセーフ)を優先
変更管理 MOC SIL 評価を含む厳格な変更管理
テスト 通常運転中に確認可能 定期的な機能テスト(TÜV 等の基準)
電源 共通電源から供給可 独立した電源系統

SIS の設定変更・信号確認には DCS とは別の手続きが必要。 SIS に関わる作業は SIS 担当者・安全担当者を必ず関与させること。