✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当
🔧 保全担当
🏭 製造担当
電源トラブル¶
30秒まとめ¶
停電発生時はまず「全体か部分か」を確認し、製造部門へ即報。復電時は突入電流・起動順序・DCS状態確認を怠ると二次トラブルになる。
全停電の対応手順¶
全停電は最優先エスカレーション
全停電発生と同時に製造当直・上司・電気主任技術者へ連絡。 プロセスの緊急停止・危険物の封じ込め状態を製造担当と連携して確認すること。
初動チェックリスト¶
- [ ] 非常照明・非常電源(UPS・発電機)が正常に起動しているか
- [ ] 製造当直へ「全停電発生。原因調査中」の第一報
- [ ] 受変電設備(6.6kV 受電盤)の保護継電器動作表示を確認
- [ ] 電力会社への系統障害問い合わせ(構内事故か系統事故かの切り分け)
- [ ] 危険物・高圧ガスの封じ込め状態の確認(製造担当と連携)
原因特定の流れ¶
全停電
├─ 受電遮断器 OCR 動作 → 構内地絡・短絡(6.6kV 系統を確認)
├─ 受電遮断器 正常 → 電力会社系統側の問題
└─ 発電機・非常電源も停止 → UPS バイパス回路・蓄電池確認
部分停電の切り分け¶
停電範囲を絞り込んで原因箇所を特定する。
受変電(6.6kV)
└→ 変圧器(6.6kV/440V または 6.6kV/200V)
└→ 主幹 MCCB / 母線
└→ 分電盤(分岐 MCCB)
└→ 末端負荷
| 停電範囲 | 疑うべき箇所 |
|---|---|
| エリア全体 | 変圧器二次側 MCCB・変圧器本体 |
| 盤単位 | 主幹 MCCB・母線バー |
| 特定回路のみ | 分岐 MCCB・ヒューズ |
| 単一機器 | 機器本体の MCCB・ヒューズ・制御回路 |
電圧確認の順序
テスターで電圧確認する際は受電側(一次)から負荷側(二次)へ順番に確認する。 電圧がある箇所から電圧がない箇所の間に原因がある。
瞬停・電圧低下の切り分け¶
系統問題 vs 自設備問題¶
| 判断材料 | 系統問題 | 自設備問題 |
|---|---|---|
| 影響範囲 | 構内全体または広範囲 | 特定エリアのみ |
| 電力会社への確認 | 系統障害情報あり | 系統障害情報なし |
| 電圧記録 | 受電点で電圧低下あり | 受電点は正常 |
| 発生パターン | 不規則 | 特定操作と連動 |
瞬停の主な原因¶
- 送電線への落雷(電力会社系統)
- 構内大型モーターの起動時の電圧低下(自設備問題)
- 接続不良・緩み端子の間欠的な接触不良
大型モーター起動時の電圧降下対策
起動時の電圧降下が大きい場合は、スターデルタ起動・インバータ起動・リアクトル起動を検討する。 6.6kV 高圧モーターの起動は電気主任技術者に相談すること。
MCCB / ELCB トリップの原因と確認手順¶
トリップ種別の判定¶
| トリップ種別 | 手動リセット後の動作 | 原因 |
|---|---|---|
| 過負荷 | しばらくするとまたトリップ | 負荷過大・軸受ロック・相欠け |
| 短絡 | すぐにまたトリップ | 配線短絡・機器内部短絡 |
| 地絡(ELCB) | 繰り返しトリップ | 絶縁低下・水分侵入 |
| 熱的原因 | 冷却後は復帰するがしばらくで再トリップ | 周囲温度高・放熱不足 |
トリップした MCCB をすぐにリセットしない
原因を確認せずにリセットすると、短絡・地絡が継続したままになり機器損傷や火災の危険がある。 まず電流値・絶縁抵抗を確認してからリセットする。
確認手順¶
- 負荷を切り離す(二次側のブレーカーをすべて OFF)
- 絶縁抵抗測定(対地絶縁:500V メガー。200V 回路は 1MΩ 以上が目安)
- 絶縁 OK の場合:負荷を1つずつ接続して再現する負荷を特定
- 絶縁 NG の場合:絶縁不良箇所をさらに切り分け(配線 vs 機器)
UPS 正常切替確認手順¶
UPS の定期確認を怠ると停電時に使えない
蓄電池の容量劣化は通常運転では分からない。定期的な放電試験が必要。
| 確認項目 | 正常値・状態 | 異常時の対応 |
|---|---|---|
| 入力電圧 | 定格範囲内 | 電源側を確認 |
| バッテリー電圧 | 仕様値 ±5% 以内 | バッテリー交換を検討 |
| インバータ出力電圧 | 定格 ±2% 以内 | UPS メーカーへ連絡 |
| バイパス回路 | 切替可能状態 | 配線・スイッチ確認 |
| アラームランプ | 全消灯 | アラームコード確認 |
復電時の注意事項¶
復電手順を誤ると機器損傷・プロセス異常を引き起こす
復電前確認¶
- [ ] 停電原因が除去されたことを確認
- [ ] 停電中に開放した全機器の状態確認
- [ ] 製造担当と復電のタイミングを確認・合意
復電手順の原則¶
- 上位から順番に投入(受電 → 変圧器 → 主幹 → 分岐 → 末端)
- 大型モーターは個別に起動(同時起動による電圧降下・突入電流を避ける)
- DCS のリセット・再起動確認(停電でメモリクリアされている場合がある)
- インターロック条件の確認(停電前のプロセス状態に依存するインターロック)
化学プラント固有の確認事項¶
- 反応器・蒸留塔の状態:停電中の状態変化(温度・圧力)を製造担当に確認
- 冷却水・スチームの再供給タイミング:製造プロセスの起動シーケンスと連携
- 非常用設備の復帰:消火設備・排気設備が正常に復帰しているか確認
- プロセス停止による連鎖影響:停電で停止したポンプ・攪拌機・コンプレッサーは復電しても自動起動しない設計が多い。製造担当と一緒に手順書に従って再起動を確認すること。