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✅ 最終確認: 2026-04-04
⚡ 電気担当 🔧 保全担当

計装信号トラブル

⚡ まず確認(3秒)

  1. DCS表示値が0mAか4mAかを確認(0=断線、4=ゼロスケール)
  2. フィールド機器の電源が入っているか確認
  3. 端子台の接続が外れていないか目視確認

⚠️ ループを切り離す前に製造担当へ確認。制御が切れる場合あり。

30秒まとめ

4-20mA 信号トラブルは「0mA か 4mA か」で断線かゼロスケールかを区別するのが最初のステップ。現場でループ電流を直接測定することで DCS 表示の信頼性を確認できる。


4-20mA ループ基本チェック

ループ電流の実測方法

計装ループを切り離す前に製造担当に確認

ループを切断すると DCS にアラームが発生し、制御が切れる場合がある。 計測・制御の影響を確認してから作業すること。

測定手順:

  1. 伝送器の出力端子に電流計(クランプメーター or 直列挿入)を接続
  2. ループ電流値を実測(単位:mA)
  3. DCS 表示値と比較
実測値 判定
0 mA 断線(ループ回路が完全に開放)
3.6 mA 以下 断線警報(フィールド機器の断線検出)
4 mA ゼロスケール(正常最小値、センサは生きている)
4〜20 mA 正常範囲
20 mA を超える スケールオーバー(センサが測定範囲を超えている)
21 mA 以上 フィールド機器の異常出力(エラー出力)

0mA と 4mA の違いを理解する

  • 0mA = 断線(電流が流れていない)
  • 4mA = ゼロスケール(センサは動作しているが測定値が最小)

DCS が「0」を示していても、実態は断線なのかゼロなのかを区別することが重要。 4mA と表示されていれば センサは生きている。


ドリフトの種類と原因

ドリフト種別 症状 主な原因
ゼロドリフト 全体的に上下にシフト(スパン比は変わらない) 伝送器の温度係数・電源変動
スパンドリフト スケールの傾きが変わる(ゼロ点は正常) 一次側センサの感度変化
片方向ドリフト 徐々に一方向へずれていく 詰まり・ダイヤフラム損傷
間欠的なドリフト ランダムにふらつく ノイズ・接触不良

ドリフト確認の手順

  1. 既知の基準と比較(現場のゲージ圧・温度計と DCS 値を照合)
  2. 伝送器の現場表示器を確認(表示器とDCS 値が一致するか)
  3. ゼロ点確認(計測入力を最小値にして 4mA 出力されるか)
  4. スパン確認(計測入力を最大値にして 20mA 出力されるか)

HART 通信できない場合のチェックポイント

HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信は 4-20mA に重畳した通信信号。

通信できない場合の確認順序

  1. 250Ω 抵抗の確認
  2. HART 通信には回路に 250〜500Ω の抵抗が必要
  3. DCS I/O カードに内蔵されている場合とされていない場合がある
  4. 抵抗がない or 小さすぎると通信できない

  5. ループ電流の確認

  6. ループ電流が 4mA 未満(断線状態)では HART 通信不可
  7. まず電流ループを正常にしてから通信を試みる

  8. 配線の確認

  9. シールド線が適切に接地されているか
  10. ハンドヘルドターミナル(HART 機器)の接続位置(伝送器端子 or ループ途中)

  11. ハンドヘルド設定

  12. タグ番号・デバイスアドレスの設定が正しいか
  13. マルチドロップ接続の場合はアドレスが重複していないか

HART 通信確認の最短手順

伝送器端子に直接ハンドヘルドターミナルを接続して通信確認する。 これで通信できれば配線経路の問題。できなければ伝送器本体の問題。


ノイズによる信号暴れ

ノイズ診断の手順

  1. ノイズの周期を観察(DCS のトレンドで確認)
  2. インバータのキャリア周波数と一致する周期 → インバータが原因
  3. 電源周波数(50Hz)と一致 → 誘導ノイズが原因
  4. ランダム → 接触不良・グラウンドループ

  5. ループを物理的に切り離して確認

  6. 現場の伝送器を切り離して DCS 側がノイズを出すかを確認
  7. 切り離してノイズが消えれば現場側が原因

  8. シールド確認

  9. 計装ケーブルのシールドが片端接地になっているか
  10. 両端接地になっているとグラウンドループが発生する
ノイズ原因 対策
グラウンドループ シールドを片端接地に変更
インバータ放射ノイズ 計装ケーブルと動力ケーブルを離隔・シールド管に変更
電源ライン アイソレータ(絶縁型変換器)を介挿
静電誘導 シールドケーブルを使用・接地確認

DCS 側のアラーム設定確認

計装信号が正常でも、DCS のアラーム設定が適切でないと問題が見えにくくなる。

アラーム設定の確認事項

アラーム 意味 確認方法
HH(高々) 緊急停止レベル 設定値が最大測定範囲の 90〜95% 程度か確認
H(高) 注意アラーム プロセス正常運転範囲の上限を確認
L(低) 注意アラーム プロセス正常運転範囲の下限を確認
LL(低々) 緊急停止レベル 設定値が最小測定範囲の 5〜10% 程度か確認
デッドバンド アラームのヒステリシス 小さすぎるとアラームが頻繁に出る

安全計装(SIS)入力信号の確認手順

SIS への入力信号確認は特別な手順が必要

安全計装システム(SIS)は緊急遮断(ESD)に直結している。 SIS の入力信号を誤操作するとプロセスが緊急停止する可能性がある。

SIS 信号確認の手順

  1. 製造担当・安全担当と事前確認(確認作業の実施許可を得る)
  2. バイパス設定(SIS のバイパス機能を使って確認中のトリップを防止)
  3. 信号確認(伝送器の出力値・配線の導通確認)
  4. バイパス解除(確認完了後は必ずバイパスを解除する)

SIS のバイパスは限定的に使用

SIS バイパス中は安全機能が一部無効になる。 バイパス時間を最小限にし、バイパス中は別の安全対策(人による監視など)を実施する。 バイパスの開始・解除は必ず記録に残す(高圧ガス保安法の管理記録)。