接地(高圧)¶
30秒まとめ¶
A〜D種接地の目的と抵抗基準値を正確に覚えることが基本。接地抵抗測定は3電極法が標準。複数の接地極を「共用接地」とする場合は高電位上昇の影響が伝播しないか確認が必要。
A/B/C/D 種接地の定義・基準値¶
| 種別 | 接地抵抗 | 主な対象 | 目的 |
|---|---|---|---|
| A 種 | 10 Ω 以下 | 高圧・特高機器の鉄台・外箱 | 地絡時の感電保護、アーク放電防止 |
| B 種 | 150/Ig Ω 以下(条件により 300/Ig・600/Ig) | 変圧器低圧側中性点 | 高低圧混触時の低圧側電位上昇抑制 |
| C 種 | 10 Ω 以下(または 0.5秒で自動遮断なら 500 Ω) | 300V 超低圧機器の外箱 | 感電保護 |
| D 種 | 100 Ω 以下(または 0.5秒で自動遮断なら 500 Ω) | 300V 以下低圧機器の外箱 | 感電保護 |
Ig = 1線地絡電流(A)。B種は系統の1線地絡電流から算出する。
B 種接地抵抗値の条件(電技解釈 第17条)
B 種接地抵抗値は原則 150/Ig(Ω) ですが、高低圧混触時に自動的に高圧電路を遮断する装置の遮断時間により緩和されます。
- 混触時に 1 秒を超え 2 秒以内 に自動遮断する装置がある場合: 300/Ig(Ω)
- 混触時に 1 秒以内 に自動遮断する装置がある場合: 600/Ig(Ω)
- 上記いずれの装置もない場合: 150/Ig(Ω)
Ig は変圧器高圧側電路の 1 線地絡電流(A)。したがって「最大 600Ω」は Ig や遮断条件と無関係の固定上限ではなく、遮断時間の条件と Ig から定まる値です。
C 種・D 種を 500 Ω に緩和できる条件(電技解釈 第17条)
条文は C 種・D 種とも同じ書き方で、緩和の条件は1つだけです。
C 種(第3項第一号):
接地抵抗値は、10Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
D 種(第4項第一号)も同じ構文で、原則値が 100Ω である点だけが異なります。かっこ書きの緩和条件はまったく同じ文言です。
つまり判定軸は「その電路の地絡を 0.5 秒以内に自動遮断する装置があるか」だけです。「感度電流 30mA 以下」「動作時間 0.1 秒以内」といった数値は条文にありません(これらは漏電遮断器の製品仕様であって、緩和条件そのものではない)。
実務では、単に「漏電遮断器が付いている」だけでは足りません。その機器・電路の地絡を検出し、0.5 秒以内に遮断する構成であることを、銘板・整定値・回路図で確認してから 500Ω を適用してください。 確認できない場合は、緩和を適用せず本表の原則値(C 種・D 種それぞれの左側の値)で判定します。
出典: 電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月版)第17条第3項・第4項。2026-07-30 に原典 PDF で逐語照合。
接地線サイズ(電技解釈 第17条)¶
条文は軟銅線の直径(または引張強さ)で規定しています。断面積は換算値です。
| 接地種別 | 条文の規定(軟銅線) | 引張強さによる場合 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| A 種 | 直径 2.6 mm 以上(断面積 5.31 mm²) | 1.04 kN 以上 | 第1項第二号ロ |
| B 種(高圧と低圧を結合する変圧器) | 直径 2.6 mm 以上 | 1.04 kN 以上 | 第2項第三号ロ・17-3表 |
| B 種(上記以外) | 直径 4 mm 以上(断面積 12.57 mm²) | 2.46 kN 以上 | 同上 |
| C 種 | 直径 1.6 mm 以上(≒ 2 mm²) | 0.39 kN 以上 | 第3項第二号ロ |
| D 種 | 直径 1.6 mm 以上(≒ 2 mm²) | 0.39 kN 以上 | 第4項第二号(第3項第二号を準用) |
いずれも共通の前提として「故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること」が各号のイに定められています。表の値は下限であり、地絡電流に対して不足する場合はこれを上回る太さが必要です。
B 種は「直径 4 mm」であって「断面積 4 mm²」ではありません
17-3表の区分は次のとおりです(第17条第2項第三号ロ)。
- 高圧電路(または第108条に規定する特別高圧架空電線路の電路)と低圧電路とを結合する変圧器の場合: 引張強さ 1.04 kN 以上、または直径 2.6 mm 以上の軟銅線
- 上記以外の場合: 引張強さ 2.46 kN 以上、または直径 4 mm 以上の軟銅線
一般的な高圧受電(高圧 → 低圧の変圧器)では 2.6 mm 側が適用されます。直径 4 mm は断面積に直すと約 12.6 mm² で、「4 mm²」とは 3 倍以上違います。 また、接地線の太さは上表で決まるものであり、計算で求めるのは接地抵抗値(150/Ig 等)のほうです。両者を混同しないでください。
より線に読み替えるときも注意が要ります。 直径 2.6 mm の断面積は 5.31 mm² で、より線では公称 5.5 mm² が相当します(直径 4 mm は 12.57 mm² で公称 14 mm² 相当)。公称断面積は実断面積そのものではありません。 条文が定めているのは軟銅線の直径か引張強さなので、より線を使う場合は「引張強さ」側で満たすか、メーカーの等価表で確認してください。 なお可とう性を必要とする部分(移動して使用する機器)は、A 種・B 種ともキャブタイヤケーブルの心線等で断面積 8 mm² 以上という別規定です。
接地抵抗測定(3電極法)¶
機器と接続方法¶
被測定極(E)── 測定器 ── 補助電流極(C)
|
補助電圧極(P)
E: 被測定接地極
P: E から 10m 程度離した補助電圧極
C: P からさらに 10m 程度離した補助電流極(E から 20〜30m)
測定手順¶
1. 測定器(接地抵抗計)の電池容量を確認
2. E・P・C 端子を上図の通り接続
3. 測定器の操作スイッチを押して測定
4. 表示値を読み取り記録(温度・天候も記録)
5. P 極の位置を変えて(±10%)再測定し、安定した値を採用
近傍の地中金属による誤差
近くに埋設配管・アース板が多い場合、補助極との間に影響が出て誤差が大きくなる。 複数方向に補助極を設置して測定し、ばらつきの少ない値を採用する。
共用接地 vs 独立接地¶
| 項目 | 共用接地 | 独立接地 |
|---|---|---|
| コスト | 低い | 高い |
| 電位上昇の影響 | 他の機器に伝播する | 伝播しない |
| 本安バリアの IS アース | 共用不可(独立が必要) | 必要 |
| 計測器アース | 信号系は独立が望ましい | 推奨 |
| 一般接地 | 共用可 | — |
本安バリアの IS アースは独立させる
本質安全防爆回路(ツェナーバリア)の IS アース(IS グラウンド)は、通常のアースや建屋接地と共用してはいけない。
非絶縁セイフティバリヤ(ツェナーバリヤ)の接地端子の接続方法は、原典では次のいずれかと定められています。
- (a) 実施可能な最短経路で、等電位ボンディングシステムに接続する
- (b) TN-S 方式の場合、接続点から主電源システムの接地点までのインピーダンスが確実に 1Ω 未満になるように接続する(電気室の接地母線への接続、または独立した接地極の使用によって達成される)
接地極そのものは A 種接地工事(10Ω 以下)とし、これに上記のいずれかの方法で確実に接続します。年1回、独立性と接続状態を確認してください。
出典: 労働安全衛生総合研究所技術指針「ユーザーのための工場防爆設備ガイド」(平成24年11月)3.9.2.4「本安回路の接地方法」。2026-08-01 に原典 PDF で逐語照合。詳細は 防爆 が正典です。 従来一部で用いられた「40Ω以下」はバリア製品仕様書の外部配線抵抗パラメータとの混同に由来する誤りで、接地抵抗の規格値ではない。
接地電位上昇と感電保護¶
地絡事故発生時、接地極周辺に電位勾配が生じる(ステップ電圧)。足の位置によって電位差が生じ感電する危険がある。
対策¶
- 接地極の周囲に等電位メッシュを施工する(大型変電所)
- 接地極周囲の地表面に絶縁性材料(砂利・アスファルト)を敷設する
- 事故発生時は接地極から 2m 以内に近づかない(手順書への明記)
根拠¶
一次照合済み(電気設備の技術基準の解釈 令和7年11月版・原典PDF)¶
すべて 2026-08-01 に原典 PDF で逐語照合しています(第17条第3項・第4項の緩和条件のみ 2026-07-30 に照合済み)。
- 第17条第1項第一号(A種の接地抵抗値 10Ω 以下)・第二号ロ(引張強さ 1.04 kN 以上 または直径 2.6 mm 以上の軟銅線)・第二号ハ(可とう部はキャブタイヤケーブルの心線等で断面積 8 mm² 以上)
- 第17条第2項第一号(B種の接地抵抗値=17-1表)・第二号(1線地絡電流の算出)・第三号ロ・17-3表(接地線。高圧と低圧を結合する変圧器は直径 2.6 mm 以上、それ以外は直径 4 mm 以上)
- 第17条第3項第一号(C種 10Ω。0.5 秒以内に自動遮断する装置を施設するときは 500Ω)・第二号ロ(引張強さ 0.39 kN 以上 または直径 1.6 mm 以上の軟銅線)
- 第17条第4項第一号(D種 100Ω/同条件で 500Ω)・第二号(接地線は第3項第二号を準用)
- 第17条第5項(C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が原則値以下である場合は、C種接地工事を施したものとみなす)
- 第17条第6項(D種についても同旨。原則値は本ページ上部の基準値表を参照)
是正の記録¶
| 項目 | before → after |
|---|---|
| B 種の接地線 | 「4 mm²(計算値による)」→ 条文は軟銅線の直径で規定。高圧と低圧を結合する変圧器は直径 2.6 mm 以上、それ以外が直径 4 mm 以上(≒ 12.6 mm²)。断面積 4 mm² とは 3 倍以上異なる |
| B 種の根拠条 | 「詳細は電技解釈 第24条」→ 接地線は第17条第2項第三号ロ・17-3表、1線地絡電流の算出は第17条第2項第二号。第24条は【高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設】であって接地線の太さの規定ではない |
| 表の見出し | 「電気設備技術基準による」→ 実体は解釈第17条(省令第11条の委任先) |
| 本安バリアの IS 接地 | 「バリア接地端子から主接地点までの抵抗を 1Ω 以下(IEC/JIS C 60079-14)」→ 原典どおり「(a) 最短経路で等電位ボンディングシステムに接続、または (b) TN-S 方式の場合、インピーダンスが確実に 1Ω 未満」。以下/未満・抵抗/インピーダンス・TN-S 条件・(a) の代替手段の4点が原文と相違していた |
IS 接地の是正は、防爆 で同じ誤りを是正した際の水平展開です。
原本未照合(honest-hold)¶
- IEC / JIS C 60079-14 の規格本文は未照合です。本安回路の接地について本ページが根拠とするのは、公開されている労働安全衛生総合研究所技術指針「ユーザーのための工場防爆設備ガイド」(平成24年11月)3.9.2.4 です。規格そのものの節番号・要求文言は引用していません
- 工場電気設備防爆指針(JNIOSH-TR-46-6)も原本未照合です
実務慣行・一般的手法(法令の要求ではない)¶
- 3電極法の補助極間隔(E–P 約 10 m、P–C さらに約 10 m)と、P 極を ±10 % ずらして再測定する手法は測定実務の一般的なやり方で、条文の規定ではありません。測定手順の正典は 接地抵抗測定 です
- 共用接地/独立接地の比較表は設計上の整理であり、法令が種別ごとに共用可否を定めているものではありません(本安接地の独立は上記の原典指針によります)
- 等電位メッシュ・砂利/アスファルト敷設・接地極から 2 m 以内に近づかないは感電保護の実務対策です。2 m という距離に法令の裏付けはありません
照合日: 2026-09-19(第17条の全項を原典 PDF で再照合。第2項第一号 17-1表〔150/Ig・1秒超2秒以下 300/Ig・1秒以下 600/Ig〕、第二号 17-2表〔実測値または計算式。小数点以下切り上げ・2A 未満は 2A〕、第三号ロ 17-3表〔高圧と低圧を結合する変圧器は引張強さ 1.04 kN 以上または直径 2.6 mm 以上、それ以外は 2.46 kN 以上または直径 4 mm 以上、可とう部は断面積 8 mm² 以上〕を含め条番号・数値の異同なし。初回照合 2026-08-01)。
関連ページ¶
- 接地(低圧) — D種接地・低圧側の接地種別
- グランド(GND)と接地(アース) — 計装の GND と保安接地の区別
- 接地抵抗測定 — 測定手順と判定
- 高圧カテゴリ — より広い高圧知識へ
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