コンテンツにスキップ
⚡ 電気担当

DCS(分散制御システム)

30秒まとめ

DCS はフィールド計器からHMIまでを統合制御する。変更管理(MOC)なしの設定変更は絶対禁止。安全計装(SIS)は DCS とは物理的に独立させることが IEC 61511 の要求事項(SIL・投票構成・プルーフテストは 機能安全(SIS/SIL) を参照)。


DCS の基本構成

flowchart TB
    A[フィールド計器\n4-20mA/HART/フィールドバス] --> B[I/O カード\nAI/AO/DI/DO]
    B --> C[コントローラ\nPID演算・ロジック処理]
    C --> D[通信バス\nイーサネット/光ファイバ]
    D --> E[HMI サーバ\nデータ収集・履歴管理]
    E --> F[オペレータステーション\nトレンド・グラフィック・操作]
    C --> G[エンジニアリングステーション\nロジック変更・設定]

主要 I/O 種別

カード種別 略称 用途
Analog Input AI 4-20mA 入力(伝送器)
Analog Output AO 4-20mA 出力(調節弁・インバータ)
Digital Input DI ON/OFF 入力(リミットスイッチ・流量スイッチ)
Digital Output DO ON/OFF 出力(電磁弁・モーター起動)
Pulse Input PI パルス入力(流量積算)

ファンクションブロック図の読み方

DCS のロジックはファンクションブロック(FB)で記述される。

ブロック 機能
PID PID 演算
AND 複数入力の論理積(全て TRUE で出力 TRUE)
OR 複数入力の論理和(1つでも TRUE で出力 TRUE)
HS(Selector) 複数入力から最大値・最小値・手動値を選択出力
DELAY 一定時間の遅延
RAMP 設定値の速度制限(SU/SD レート)
INTLK インターロック条件を評価してトリップ信号を出力

FB 図の確認手順

DCS のロジック変更前は必ず「上流のブロックの出力が何か」「下流に何が繋がっているか」を追いかける。 特に INTLK(インターロック)ブロックの入力条件を全て確認してから変更する。


冗長化の考え方

化学プラントの DCS は運転継続性の観点から冗長化が基本。

対象 冗長化方式 切替方式
コントローラ 1+1 二重化 バンプレス自動切替
電源 二重化(UPS ×2系統) 無瞬断自動切替
通信バス 二重化リング構成 自動バイパス
I/O カード 一部設備は二重化(SIS 連携部) —

冗長化されていない箇所の確認

現場の DCS で冗長化が省かれている I/O カードが存在する場合がある。 カード故障時は対象ループが全て手動となるため、影響範囲を事前に把握しておく。


変更管理(MOC: Management of Change)

MOC なしの変更は絶対禁止

DCS のロジック・設定値・I/O の変更は必ず MOC(変更管理)プロセスを経ること。 緊急の場合でも事後承認で記録を残す。

MOC で確認すべき事項: 1. 変更の目的と内容 2. 影響を受けるループ・インターロックの確認 3. 変更前後の設定値記録 4. 試験手順と確認者 5. ロールバック手順


化学プラント固有:SIS と DCS の分離原則

IEC 61511(機能安全:プロセス産業向け。上位に汎用規格 IEC 61508)は、SIS を BPCS(DCS)から独立させることを要求しています(要旨。該当条番号は原本未照合=下記「根拠」参照)。

理由:DCS に障害が発生した際に、安全機能(緊急停止・インターロック)が道連れで停止しないようにするため。SIS 側の SIL 定義・SIF・投票構成・プルーフテストの実務は 機能安全(SIS/SIL) を参照。

項目 DCS SIS
目的 プロセス制御 安全機能(ESD・インターロック)
規格 — IEC 61511 / IEC 61508
独立性 — DCS と物理的に分離
検証 運転中変更可 SIL 検証・変更手順が厳格
センサ共用 可 原則不可(別センサ使用)

根拠

  • SIS と BPCS(DCS)の独立: 2026-09-19 に無償の一次資料で裏付けを得ました。 厚生労働省告示第353号「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(平成28年9月26日)3-1(1) が、安全関連システムについて「検出部(センサー)等の入力部、論理処理部及びアクチュエータ等の出力部が含まれるものであり、機械等の運転制御のためのシステムから独立していることが望ましいこと」と定めています(原典 PDF で照合)。

    「望ましい」であって義務ではありません。 ただし同指針 3-2(5)イ は、独立していない場合は作動要求モードの扱いが変わることを明示しています(非常停止ボタンの例で、運転用の制御システムから独立していない場合は高頻度の作動要求モードの適用が妥当)。独立させないなら、要求される安全度水準の判定がより厳しい側の表に移るということです。モードと SIL の対応は SIS・SIL が正典です。

    なお、プロセス産業向けの体系(IEC 61511、対応 JIS は JIS C 0511 系。上位に IEC 61508=JIS C 0508 系)については該当する条文・箇条の番号は原本未照合のため、本ページでは挙げません。 - 法定義務ではない事項: DCS の冗長化構成(コントローラ二重化・UPS 2系統・バスの二重化リング)、I/O カードの種別分類、ファンクションブロックの名称・記法、タグ命名は、法令・規格の要求として照合したものではなく、実務慣行とメーカー仕様(ベンダごとの実装差あり)です。自プラントの構成は納入仕様書・システム構成図で確認してください。 - 変更管理(MOC): MOC のプロセス自体を直接義務付ける単一の条文を本ページは根拠として持ちません(プロセス安全管理の一般実務であり、国内では保安規程・社内規定のレベルで定めるのが通例です)。SIS に関わる変更管理の考え方は 機能安全(SIS/SIL) を参照してください。 - 限界の明示: 本ページは DCS の構成と運用の考え方の整理であり、SIS の設計・SIL 判定・センサ共用可否の最終判断の根拠にしてはなりません。それらは IEC 61511 系規格の原本・SIL 検証・MOC の対象です。


関連ページ

  • 機能安全(SIS/SIL) — SIL・投票構成・プルーフテスト・バイパス管理
  • アラーム管理 — DCS が出すアラームの合理化・ベンチマーク指標・不良アラーム対策
  • PLC/DCS トラブル — 通信断・I/O 異常・冗長系切替・アラーム氾濫の現場切り分け
🤖 この記事をChatGPTに渡す(プロンプト生成)
↗ ChatGPTを開く

使い方: コピー → ChatGPT で貼り付け → 質問を追記して送信。