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電源トラブル

30秒まとめ

停電発生時はまず「全体か部分か」を確認し、製造部門へ即報。復電時は突入電流・起動順序・DCS状態確認を怠ると二次トラブルになる。


全停電の対応手順

全停電は最優先エスカレーション

全停電発生と同時に製造当直・上司・電気主任技術者へ連絡。 プロセスの緊急停止・危険物の封じ込め状態を製造担当と連携して確認すること。

初動チェックリスト

  • [ ] 非常照明・非常電源(UPS・発電機)が正常に起動しているか
  • [ ] 製造当直へ「全停電発生。原因調査中」の第一報
  • [ ] 受変電設備(6.6kV 受電盤)の保護継電器動作表示を確認
  • [ ] 電力会社への系統障害問い合わせ(構内事故か系統事故かの切り分け)
  • [ ] 危険物・高圧ガスの封じ込め状態の確認(製造担当と連携)

原因特定の流れ

全停電
  ├─ 受電遮断器 OCR 動作 → 構内の短絡・過負荷(6.6kV 系統を確認)
  ├─ 受電遮断器 GR / DGR 動作 → 構内の地絡
  │                              (DGR は方向判別付き。構内側地絡か系統側地絡かを表示で確認)
  ├─ 受電遮断器 正常(保護継電器の動作表示なし) → 電力会社系統側の問題
  └─ 発電機・非常電源も停止 → UPS バイパス回路・蓄電池確認

受電遮断器が開いていても構内事故とは限らない(不足電圧継電器)

不足電圧継電器(UVR)を備える設備では、系統側の停電でも UVR の動作で受電遮断器が自動開放されます。 UVR 単独の動作表示(過電流・地絡系の継電器の表示なし)は「構内事故の証拠」ではなく「電圧が失われた結果」です。 構内事故と即断して探し回る前に、電力会社の系統障害情報を確認してください。 復電後に再投入が必要かどうか(自動復帰/手動投入)は自設備の単線結線図・保安規程によります。

地絡は OCR では検出しない

OCR(過電流継電器)が検出するのは短絡・過負荷で、地絡を検出するのは GR / DGR です。 動作表示を読み違えると切り分けの方向を丸ごと間違えます。 整定・試験の詳細は保護継電器を参照してください。


部分停電の切り分け

停電範囲を絞り込んで原因箇所を特定する。

受変電(6.6kV)
  └→ 変圧器(6.6kV/440V または 6.6kV/200V)
       └→ 主幹 MCCB / 母線
            └→ 分電盤(分岐 MCCB)
                 └→ 末端負荷
停電範囲 疑うべき箇所
エリア全体 変圧器二次側 MCCB・変圧器本体
盤単位 主幹 MCCB・母線バー
特定回路のみ 分岐 MCCB・ヒューズ
単一機器 機器本体の MCCB・ヒューズ・制御回路

電圧確認の順序

テスターで電圧確認する際は受電側(一次)から負荷側(二次)へ順番に確認する。 電圧がある箇所から電圧がない箇所の間に原因がある。


瞬停・電圧低下の切り分け

系統問題 vs 自設備問題

判断材料 系統問題 自設備問題
影響範囲 構内全体または広範囲 特定エリアのみ
電力会社への確認 系統障害情報あり 系統障害情報なし
電圧記録 受電点で電圧低下あり 受電点は正常
発生パターン 不規則 特定操作と連動

瞬停の主な原因

  • 送電線への落雷(電力会社系統)
  • 構内大型モーターの起動時の電圧低下(自設備問題)
  • 接続不良・緩み端子の間欠的な接触不良

大型モーター起動時の電圧降下対策

起動時の電圧降下が大きい場合は、スターデルタ起動・インバータ起動・リアクトル起動を検討する。 6.6kV 高圧モーターの起動は電気主任技術者に相談すること。


MCCB / ELCB トリップの原因と確認手順

トリップ種別の判定

トリップ種別 手動リセット後の動作 原因
過負荷 しばらくするとまたトリップ 負荷過大・軸受ロック・相欠け
短絡 すぐにまたトリップ 配線短絡・機器内部短絡
地絡(ELCB) 繰り返しトリップ 絶縁低下・水分侵入
熱的原因 冷却後は復帰するがしばらくで再トリップ 周囲温度高・放熱不足

トリップした MCCB をすぐにリセットしない

原因を確認せずにリセットすると、短絡・地絡が継続したままになり機器損傷や火災の危険がある。 まず電流値・絶縁抵抗を確認してからリセットする。

確認手順

メガー印加前に電子機器を切り離す

インバータ・調節計・伝送器・PLC などの電子回路に 500 V メガーを印加すると回路が破壊されます。 「二次側ブレーカー OFF」だけでは同じ回路につながる電子機器が測定範囲に残ることがあります。 測定範囲に電子機器が含まれる場合は端子を外してから測定してください(絶縁抵抗管理)。

  1. 負荷を切り離す(二次側のブレーカーをすべて OFF)
  2. 絶縁抵抗測定(対地絶縁:500 V メガー。200 V 回路は 1 MΩ 以上が実務管理値の目安。法定下限は電技省令第58条の 0.2 MΩ で、印加電圧・判定値の正典は絶縁抵抗管理)
  3. 絶縁 OK の場合:負荷を1つずつ接続して再現する負荷を特定
  4. 絶縁 NG の場合:絶縁不良箇所をさらに切り分け(配線 vs 機器)

UPS 正常切替確認手順

UPS の定期確認を怠ると停電時に使えない

蓄電池の容量劣化は通常運転では分からない。定期的な放電試験が必要。

確認項目 正常値・状態 異常時の対応
入力電圧 定格範囲内 電源側を確認
バッテリー電圧 仕様値 ±5% 以内 バッテリー交換を検討
インバータ出力電圧 定格 ±2% 以内 UPS メーカーへ連絡
バイパス回路 切替可能状態 配線・スイッチ確認
アラームランプ 全消灯 アラームコード確認

復電時の注意事項

復電手順を誤ると機器損傷・プロセス異常を引き起こす

復電前確認

  • [ ] 停電原因が除去されたことを確認
  • [ ] 停電中に開放した全機器の状態確認
  • [ ] 製造担当と復電のタイミングを確認・合意

復電手順の原則

  1. 上位から順番に投入(受電 → 変圧器 → 主幹 → 分岐 → 末端)
  2. 大型モーターは個別に起動(同時起動による電圧降下・突入電流を避ける)
  3. DCS のリセット・再起動確認(停電でメモリクリアされている場合がある)
  4. インターロック条件の確認(停電前のプロセス状態に依存するインターロック)

化学プラント固有の確認事項

  • 反応器・蒸留塔の状態:停電中の状態変化(温度・圧力)を製造担当に確認
  • 冷却水・スチームの再供給タイミング:製造プロセスの起動シーケンスと連携
  • 非常用設備の復帰:消火設備・排気設備が正常に復帰しているか確認
  • プロセス停止による連鎖影響:停電で停止したポンプ・攪拌機・コンプレッサーは復電しても自動起動しない設計が多い。製造担当と一緒に手順書に従って再起動を確認すること。

根拠

本ページが正典の範囲

  • 本ページは停電・瞬停・トリップの初動切り分けと復電の運用手順の正典です。保護継電器の種類・整定・試験は保護継電器、絶縁抵抗の印加電圧・判定値は絶縁抵抗管理、UPS 機器そのものはUPS・無停電電源が正典で、本ページでは数値を再記述しません。

一次照合済みの条項(正典側で照合済みの値の再掲)

  • 本文の「法定下限は電技省令第58条の 0.2 MΩ」は、正典絶縁抵抗管理が e-Gov 現行条文で逐語照合済みの値(300 V 以下・対地電圧 150 V 超 = 0.2 MΩ)の再掲です。2026-08-06 に正典側の表と一致することを確認しました(三相 200 V 級の動力回路を想定した記述。対地電圧 150 V 以下の回路の下限は 0.1 MΩ。区分の正典は同ページ)。

是正の記録(2026-08-06)

  • UVR による受電遮断器開放の注記を追加: 原因特定の流れが「遮断器が開いた=構内事故」「遮断器正常=系統側」の2択に読め、UVR 付き設備で系統停電時に遮断器が自動開放されるケースを構内事故と誤読する危険側の欠落があったため、warning を追加しました。
  • メガー印加前の電子機器切り離し警告を追加: 確認手順が「二次側ブレーカー OFF → 500 V メガー」と読め、測定範囲に残る電子機器(インバータ・調節計・PLC 等)を破壊しうる危険側の欠落だったため、正典絶縁抵抗管理の注意(電子回路への 500 V 以上の印加禁止)に合わせて danger を追加しました。

実務慣行(規格・法令の裏付けなし)

  • 「200 V 回路は 1 MΩ 以上」の実務管理値(正典の経験的管理値と同じ)、UPS 確認表の許容幅(バッテリー電圧 ±5%・インバータ出力 ±2%)、トリップ種別判定表、復電の投入順序(上位から順に・大型モーターは個別起動)、ウォームアップの目安は、いずれも実務慣行・目安であり法定値ではありません。確定値は機器仕様書・自設備の保安規程・操作手順書が正です。

原本未照合(honest-hold)

  • UVR の器具番号・整定値(電圧・時限)には本ページでは触れません(名称のみ)。整定は自設備の保護協調資料・保安規程が正です。
  • 「瞬停」「電圧低下」の継続時間による定義区分(瞬時電圧低下の定義など)は一次資料を照合しておらず、本ページでは定義しません。

限界の明示

  • 復電の可否判断・高圧側の再投入は電気主任技術者の指示・保安規程が正であり、本ページは一般的な原則のみを示します。
  • 危険物・高圧ガス設備の封じ込め確認は製造部門の緊急時手順が正です。

正典参照

照合日: 2026-08-06(省令第58条値の正典一致確認・UVR とメガーの危険側欠落2件の是正まで。新規の法令照合なし)。

条文リンク(e-Gov 法令検索・2026-09-18 閲覧)

本節で引用した条文の所在です。e-Gov のリンクは現行条文で、2026-09-18 に e-Gov 法令 API(v1)で取得した本文と本節の引用内容が一致することを再確認しました。アンカー ID は e-Gov 法令 API の XML 階層(章・節・款)から算出しています。ただし e-Gov は読み込み直後に該当条まで自動でスクロールしないことがあります。その場合は画面左の目次または法令内検索で条番号へ移動してください。

  • 電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号): 第58条

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