NPN/PNP 選定¶
30秒まとめ¶
センサの出力タイプ(NPN/PNP)とPLCのDI入力タイプ(シンキング/ソーシング)の組み合わせが合わないと接続できない。日本製センサはNPN出力が多く、欧州製はPNP出力が多い。既設PLCのDI仕様を先に確認してからセンサを選定するのが原則。混在する場合はリレーかフォトカプラで変換する。
基本概念¶
NPN・PNPはトランジスタの型名であり、センサの出力信号の電流方向を表す。
NPN出力(シンク型)¶
信号ONのとき、出力端子からGNDへ電流を引き込む(シンク)。
+24V ──────── 負荷(PLCのDI入力)── 出力端子 ─[NPN Tr]─ GND
ON時:電流がGNDへ流れる
- 出力端子はON時に「LOW(GND電位)」になる
- 日本製センサに多い(国内標準)
- PLC側は「ソース型入力(+COM)」と接続する(PLC側が電流を供給=ソーシングする)
PNP出力(ソース型)¶
信号ONのとき、出力端子からDI入力へ電流を供給する(ソース)。
+24V ─[PNP Tr]─ 出力端子 ── 負荷(PLCのDI入力)──── GND
ON時:電流が+24Vから流れ出す
- 出力端子はON時に「HIGH(+24V電位)」になる
- 欧州製センサに多い(欧州市場の事実上の標準)
- PLC側は「シンク型入力(−COM)」と接続する(PLC側が電流を吸い込む=シンキングする)
PLC DI入力タイプとの対応表¶
| センサ出力 | 電流方向 | 対応するPLC DI入力 | 国内の多数派 |
|---|---|---|---|
| NPN(シンク型) | 負荷→センサ→GND | ソース型入力(+COM) | ✅ 多い |
| PNP(ソース型) | +24V→センサ→負荷 | シンク型入力(-COM) | ─ 少ない |
用語の混乱に注意
「シンク型センサ = ソース型入力に接続する」というセンサとPLC入力で呼称が逆転する。 メーカーカタログの表現がまちまちなため、配線図で電流の流れを確認するのが確実。
選定フロー¶
flowchart TD
S["① DI 入力ユニット仕様書で<br>入力タイプを確認"]
S --> T["② 上の対応表でセンサ出力を決める<br>+COM → NPN / −COM → PNP<br>両対応 → NPN 優先"]
T --> C["③ センサカタログで<br>出力タイプを確認"]
C --> M["④ 混在する場合は<br>リレー or フォトカプラで変換"]
既設側の DI 入力タイプが先に決まっているため、センサを PLC に合わせるのが原則です。
- PLC の DI 入力ユニットを「NPN/PNP 両対応タイプ」で指定する
- センサは NPN 出力で統一する
- 将来 PNP 機器が混入しても COM 配線の変更のみで対応できる
仕様書への明記
発注仕様書に「DI入力:NPN/PNP両対応、DC24V、16点」と明記する。 「汎用DI」だけだと片方専用品が納入されることがある。
新設PLCでNPNを選ぶ理由¶
新設PLCであれば入力タイプを自由に決められるが、それでもNPN統一を推奨する理由は以下の3点。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 国内PLCとの整合 | 国内メーカーのDI入力はNPNセンサ接続(+COM結線)を標準例として示すものが多い |
| 調達性 | 国内市場の近接・光電センサはNPN標準品が主流。緊急調達しやすい |
| 既設設備との統一 | 増設・改造時に混在が起きない |
地絡時の挙動はPNPのほうが安全側
NPN系(+COM入力)は信号線が地絡(0Vに接触)すると入力が誤ONする方向に働く。PNP系(−COM入力)は同じ地絡で入力OFF(安全側)になる。欧州で安全関連用途にPNPが選ばれる理由の1つであり、NPN統一の場合は誤ONの可能性を設計・保全で意識しておく。
NPN/PNP両対応ユニットの見分け方¶
「両対応」の実現方法はメーカー・シリーズごとに異なり、大きく次の2方式がある。型番だけで判断せず、必ず最新カタログの入力回路図(内部のフォトカプラが双方向か、COM/S/S端子の扱い)で確認する。
| 方式 | 切替のしかた | 確認ポイント |
|---|---|---|
| COM極性フリー(双方向フォトカプラ内蔵) | COM端子を+24Vにつなげば+COM、0Vにつなげば−COMとして動く | 入力回路図でフォトカプラ(LED)が双方向表記になっているか |
| 切替端子式(三菱FXシリーズのS/S端子など) | S/S端子の接続先(24V側/0V側)で入力全点を一括切替 | S/S(サービス電源選択)端子の有無 |
なお片方専用ユニットも現役で多い(例:三菱QシリーズのDC入力にはプラスコモン専用とマイナスコモン専用の別型番がある)。「DC24V入力」の表記だけでは両対応とは限らない。
切替コストは配線変更のみ
両対応ユニットでNPN↔PNP切替はCOM(またはS/S)端子の接続先を変えるだけ。 片方専用ユニットを誤発注した場合はユニット交換(数万円)になる。
配線例¶
2つの図の違いは COM をどちらの電位につなぐか、そしてその結果 信号線を流れる電流がどちら向きになるか の一点です。
NPN出力 + ソース型DI入力(国内標準)¶
- DI入力の COM は +24 V に接続(ソース型の特徴)
- PLC 内部の電流は COM(+24 V)→ IN回路 → DI端子 の向きに流れ、DI端子から外へ出てセンサに吸い込まれる
PNP出力 + シンク型DI入力(欧州機器の場合)¶
- DI入力の COM は 0 V に接続(シンク型の特徴)
- PLC 内部の電流は DI端子 → IN回路 → COM(0 V) の向きに流れ、センサから押し込まれる
NPN/PNP 混在時の対処¶
既設設備に別メーカーのセンサを追加する際、NPN/PNPが混在することがある。
方法1:リレーで変換(推奨)¶
NPN出力センサ → 中間リレー → PLC DI入力(任意タイプ)
- コスト: 1,500〜3,000円/点
- メリット: 絶縁できる、電圧変換も同時に可能
- デメリット: 盤スペースが必要
方法2:フォトカプラで変換¶
- コスト: 500〜1,500円/点
- メリット: 小型・省スペース
- デメリット: 設計工数がかかる(定格計算が必要)
方法3:NPN/PNP切替可能なPLC入力ユニット使用¶
三菱MELSEC・オムロンCJ/NX等の上位機種では、DI入力のCOM結線を変えるだけでNPN/PNP両対応になる機種がある。新規設計時に採用すると混在問題が起きない。
新規盤設計での推奨
DI入力ユニットは「NPN/PNP両対応タイプ」を標準化しておくと、将来的な機器追加・変更時の柔軟性が高い。
センサ出力電流定格の確認¶
センサのNPN/PNP出力トランジスタには定格電流がある。DI入力の消費電流がこれを超えると出力素子が破損する。
| センサ種別 | 一般的な出力電流定格 | DI入力消費電流の目安 |
|---|---|---|
| 近接センサ(小型) | 100 mA | 5〜10 mA |
| 近接センサ(汎用) | 200 mA | 5〜10 mA |
| 光電センサ | 100〜200 mA | 5〜10 mA |
| リードスイッチ | — | — |
通常のPLC DI入力(5〜10 mA)であれば定格内。ただし以下のケースは要注意。
並列接続・複数DI入力への分岐
1つのセンサ出力を複数のDI入力に並列接続すると電流が加算される。 DI入力2点並列(10mA×2=20mA)でも多くの場合問題ないが、定格を確認してから設計すること。
リレーコイルの直接駆動
センサ出力でリレーコイルを直接駆動する場合、コイル電流(50〜100mA)が定格に近い。 サージ電圧によるトランジスタ破損防止のためフライバックダイオードを必ず追加する。
センサの出力タイプ確認方法¶
- カタログの出力回路図を見る — 「NPN」「PNP」「シンク」「ソース」の表記を確認
- 型番から判断 — 末尾の英数字でNPN/PNPを区別する機種が多いが、同じ末尾記号がNO/NC(a接点/b接点)の区別に使われているメーカーもある。型番規則はメーカーごとに違うため、必ずカタログの型番一覧と出力回路図で突き合わせる
- テスターで実測 — センサON時に出力端子とGND間の電圧を測定:0V近ければNPN、+24V近ければPNP
国産主要メーカーのデフォルト出力¶
| メーカー系統 | 傾向 | 備考 |
|---|---|---|
| 国内メーカー(オムロン・パナソニック・キーエンス等) | NPNが標準品、PNPは別型番 | 型番末尾の記号でNPN/PNPを区別する機種が多い(記号の意味はメーカーごとに要確認) |
| 欧州メーカー(シーメンス・IFM等) | PNPが標準品 | NPN型を選択できる機種もある |
(個別の型番規則は各社カタログで確認する。ここでは傾向のみ示す)
よくある誤配線・トラブル¶
OUT端子が「常にON」または「反応しない」
NPN出力センサをシンク型DI入力(-COM)に接続した場合。電流が正しく流れず、常時ON/OFFになる。 → PLCのCOM配線を+24Vに変更(ソース型に切替)するか、センサをPNP型に交換。
センサの出力端子がすぐ故障する
出力端子を+24Vまたは0Vに直結してしまった場合(過電流)。センサ出力端子は必ずDI入力経由で使うこと。 → DI入力なしにテスターで導通確認するのも危険。ループキャリブレータ等を使う。
漏れ電流によるON誤検知
OFF状態でも漏れ電流が流れる2線式センサでは、DI入力の感度(OFF電流のしきい値)によってはOFFなのにONと誤判定されることがある。これはNPN/PNPの別ではなく2線式センサ固有の問題。 → ブリーダ抵抗を並列に入れて漏れ電流を逃がすか、漏れ電流の小さい3線式センサに変更する。 また信号線の地絡による誤ONはNPN系(+COM入力)で起こる(PNP系は地絡でOFF=安全側)。長距離配線では地絡・絶縁劣化の点検も併せて行う。
NAMUR出力は別物
欧州製の防爆センサでよく使われる「NAMUR出力」はNPN/PNPとは異なる(電流変化で伝達)。 NAMUR対応のバリア・アンプが別途必要。混同しないよう注意。
実務チェックリスト¶
計器選定・工事前に以下を確認する。
- [ ] PLCのDI入力ユニット仕様書でNPN/PNP対応タイプを確認した
- [ ] PLCのCOM端子が+24V接続(ソース型)か GND接続(シンク型)かを確認した
- [ ] センサカタログで出力タイプ(NPN/PNP)を確認した
- [ ] 既設センサと追加センサで出力タイプが混在しないか確認した
- [ ] 混在する場合の変換方法(リレー等)を設計に含めた
- [ ] 防爆エリアのセンサはNAMUR出力の有無を確認した
- [ ] センサ出力電流定格 ≥ DI入力消費電流(並列接続時は合算)を確認した
- [ ] リレーコイル直接駆動の場合はフライバックダイオードを設計に含めた
- [ ] 仕様書に「DI入力:NPN/PNP両対応、DC24V」と明記した(新設PLCの場合)
根拠¶
本ページが正典の範囲¶
- センサ出力タイプ(NPN=シンク出力/PNP=ソース出力)とPLC DI入力(ソース型=+COM/シンク型=−COM)の対応関係、電流の向き、混在時の変換方針。
一次計算で検算済み¶
- 配線図2枚の電流の向き(NPN:PLCのDI端子→信号線→センサ内Tr→0V / PNP:センサ内Tr→信号線→PLCのDI端子→COM→0V)を回路として追跡し、本文・SVGの
<title>・figcaption・矢印の向きが一致することを確認(2026-08-06)。 - 地絡時の挙動(NPN系=信号線地絡で誤ON/PNP系=地絡でOFF)を+COM/−COM入力回路の電流経路から導出。
是正の記録(2026-08-06)¶
- 「NPN出力→シンキング(ソース型)入力」「PNP出力→ソーシング(シンク型)入力」という用語の自己矛盾(シンキング≠ソース型)を、対応表と一致する「NPN→ソース型入力(+COM)/PNP→シンク型入力(−COM)」に是正。
- 「NPNはPNPより漏れ電流による誤ON検知が起きにくい」という向きの逆転した記述を撤去。信号線地絡での誤ONはむしろNPN系で起こり、PNP系は地絡でOFF(安全側)になる。漏れ電流由来の誤ONは2線式センサ固有の問題としてNPN/PNPから切り離した。
- PNP出力の説明にあった「NAMUR等欧州規格準拠機器」の括弧書きを撤去(本文後段で「NAMUR出力はNPN/PNPとは別物」と明記しており内部矛盾だった)。
- 一次資料(カタログ)で未照合の具体型番の断定(両対応ユニット型番例・センサ型番末尾記号の例・「岩田電気」を含むメーカー別デフォルト表)を撤去し、確認方法(入力回路図・S/S端子の有無・型番一覧との突き合わせ)に置き換えた。三菱QシリーズDC入力がコモン極性別の専用型番である点・FXシリーズのS/S端子切替は広く知られた仕様だが、原本カタログ未照合のため「例」の粒度に留めた。
実務慣行(規格・法令の裏付けなし)¶
- 「日本製センサはNPNが多い/欧州製はPNPが多い」「国内PLCのDI標準例は+COM結線」は市場慣行であり、規格が定めるものではない。
- リレー・フォトカプラ変換のコスト目安、DI入力消費電流の目安(5〜10 mA)、センサ出力電流定格の代表値は実務目安。個別機器は必ずカタログ定格で確認する。
限界の明示¶
- 本ページの型番規則・デフォルト出力の記述は「傾向」であり、選定の最終確認は必ず各社最新カタログの出力回路図・入力回路図で行うこと。
- NAMURセンサ(DIN EN 60947-5-6系)の詳細は本ページの射程外。
正典参照¶
照合日: 2026-08-06(配線図2枚の電流方向・地絡時挙動を回路追跡で検算し、本文・SVG・figcaptionの整合を確認。未照合の型番断定を撤去)。
関連ページ¶
🤖 この記事をChatGPTに渡す(プロンプト生成)
使い方: コピー → ChatGPT で貼り付け → 質問を追記して送信。