コンテンツにスキップ
⚡ 電気担当

仕様書の書き方

30秒まとめ

良い仕様書は「誰が読んでも同じ機器が発注できる」こと。曖昧な表現(「適切な」「一般的な」)は後のトラブルの種。電気仕様書と計装仕様書それぞれに必須項目があり、RFQ は Q&A サイクルを含む工程を確保することが重要。


電気仕様書の必須項目

項目 記載内容の例 曖昧にしやすい点
電源 AC 3相 3線 200V ±10%、50Hz 電圧変動許容値を必ず記載
容量 定格出力 15kW、力率 0.85 以上 「大型」「中型」などの表現は使わない
保護等級 IP65(屋外設置)、SUS304 外箱 環境条件(腐食性・洗浄)を明記
接地 接地工事の種別と接地端子の有無を明記(種別ごとの抵抗値は接地点検が正典) 接地方式の明示
防爆要否 Ex d IIB T4 Gb(Zone 1 設置) 危険場所区分を必ず明記
配線方式 CV 3.5sq × 3C、端子台接続(ネジ式 M4) ケーブル種類と接続方式
制御電源 DC 24V(UPS 経由)、消費電流 5A 以下 UPS 経由か否かを明記
通信 MODBUS RTU、RS-485 2 線式 プロトコル・物理層の両方
周囲条件 周囲温度 0〜60℃、相対湿度 90% 以下(結露なし) —

計装仕様書の必須項目

項目 記載内容の例
測定対象 液体流量(濃硫酸 98%、密度 1.84 g/cm³)
測定範囲 0〜1,000 L/h
精度 ±0.5% of span(フルスケールに対して)
プロセス条件 温度 20〜80℃、圧力 0〜500 kPaG
材質 流体接触部:PTFE ライニング、フランジ:SUS316
信号出力 4〜20mA DC(2 線式)、HART 対応
防爆 Ex d IIB T4(Zone 1 設置)
設置方法 フランジ配管挿入型、管径 50A(JIS 10K)
電源 DC 24V、ループ電源(外部電源不要)
認証 CE マーキング、ATEX 認証

曖昧な仕様書が引き起こすトラブル事例

事例 1:防爆認証の確認漏れ

状況: 仕様書に「屋外設置、腐食雰囲気」とだけ記載。防爆要否を明記しなかった。

結果: メーカーが一般品(非防爆)を納品。Zone 1 エリアへの設置が不可となり、納期 3 ヶ月遅延。

教訓: 危険場所区分と防爆構造を仕様書に必ず明記する。

事例 2:「一般的な精度」の解釈の違い

状況: 圧力計の仕様書に「精度 1%」とだけ記載。

結果: メーカーは「フルスケール比」で 1% と解釈。実測値はスパンの最小領域で 5% 誤差となり使用不可。

教訓: 精度は「% of span」「% of reading」「% of full scale」のどれかを明示する。

事例 3:通信仕様の不一致

状況: 「MODBUS 対応」とだけ記載。

結果: 機器は MODBUS TCP(Ethernet)対応品を納品。既設 DCS は MODBUS RTU(RS-485)のみ対応で接続不可。

教訓: 物理層(RS-232/RS-485/Ethernet)とプロトコル(RTU/ASCII/TCP)を両方明記する。


RFQ(見積依頼書)のポイント

RFQ に含める項目

  1. 仕様書本体(上記必須項目を網羅)
  2. 数量・納期(希望納期と現場工事日程の関係)
  3. 提出書類一覧(技術資料・外形図・回路図・認証書)
  4. Q&A 期間(質問締切日・回答期限を明記)
  5. 比較評価軸(価格・納期・技術力・保守体制の重み付け)
  6. 見積有効期限(30〜90 日)

Q&A サイクルの工程確保

RFQ 発行 → 質問締切(2 週間後)→ 回答期限(さらに 1 週間後)
                                      → メーカーから見積提出(1〜2 週間後)
                                            → 技術評価・比較(1 週間)
                                                  → 発注

Q&A なしで発注すると

仕様の解釈違いを発注前に解消できず、納品後に設計変更が発生する。Q&A サイクルを工程に組み込むことで手戻りを防ぐ。


セキュリティで見るところ

仕様書に入れる4行

  • OS・ファームウェアのサポート期限(納入時点で残り何年か)
  • 初期パスワードの変更可否、アカウントを個人別に分けられるか
  • 操作・変更のログを取得できるか、取り出せるか
  • リモート接続の方式と、こちら側で遮断できる手段があるか

→ 7場面の全体は 制御セキュリティの現場チェック を参照してください。


根拠

本ページの表は「記載例」であり規定値ではありません

必須項目表の記入例(電圧・容量・IP・材質・測定範囲・精度など)は、仕様書に何を書くべきかを示すためのサンプルです。個々の数値に規格・法令の裏付けはありません。実際の値は対象機器・プロセス条件から決めてください。

正典参照(本ページでは数値を再記述しない)

是正の記録

かつて測定対象の記入例を「稀硫酸 98%、密度 1.84 g/cm³」としていましたが、98 %・密度 1.84 g/cm³ は濃硫酸の値であり「稀(希)」と矛盾していました。2026-08-01 に「濃硫酸 98%」へ是正しています。仕様書では流体名と濃度・密度が整合しているかを必ず確認してください(材質選定を誤ります)。

認証欄の注意(国内設置の防爆機器)

記入例に挙げた ATEX・CE は EU の制度です。国内の危険場所に設置する電気機械器具は、労働安全衛生規則第280条第1項により防爆性能を有するものでなければ使用できません。海外認証だけを仕様に書くと国内で使えない機器を調達しかねません。

防爆構造電気機械器具は型式検定の対象です(2026-09-19 に e-Gov で照合)。労働安全衛生法第44条の2第1項が、別表第四に掲げる機械等のうち政令で定めるものを製造・輸入した者に型式検定を受けることを求め、労働安全衛生法施行令第14条の2第1項第三号が「防爆構造電気機械器具(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるものを除く。)」を名指ししています。仕様書の認証欄には、国内の型式検定合格品であること(または国際整合技術指針に対応した検定品であること)が分かる書き方をしてください。詳細は 防爆 の根拠節を参照してください。

限界の明示

  • RFQ の工程日数(質問締切2週間・回答1週間・見積1〜2週間等)と見積有効期限 30〜90 日は実務慣行の目安であり、法令・社内規程の定めではありません。自社の購買規程が優先します
  • トラブル事例3件は仕様の書き方を説明するための構成例であり、特定の事故報告を出典とするものではありません

照合日: 2026-09-19(防爆機器の型式検定の根拠条〔安衛法第44条の2第1項・同施行令第14条の2第1項第三号〕を e-Gov で照合し追加。記入例の数値が規定値でないことの整理は 2026-08-01 から変わらず)。


セキュリティ観点の節について(2026-09-17 追加)

本ページの「セキュリティで見るところ」節は運用上のチェック観点であり、法令・規格の逐語照合を持ちません。チェック項目の網羅性はなく、リスクアセスメントの代替にもなりません。限界の明示は 制御セキュリティの現場チェック の根拠節にあります。

条文リンク(e-Gov 法令検索・2026-09-19 閲覧)

本節で引用した条文の所在です。e-Gov のリンクは現行条文で、2026-09-19 に e-Gov 法令 API(v1)で取得した本文と本節の引用内容が一致することを再確認しました。アンカー ID は e-Gov 法令 API の XML 階層(章・節・款)から算出しています。ただし e-Gov は読み込み直後に該当条まで自動でスクロールしないことがあります。その場合は画面左の目次または法令内検索で条番号へ移動してください。

  • 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号): 第280条

関連ページ

🤖 この記事をChatGPTに渡す(プロンプト生成)
↗ ChatGPTを開く

使い方: コピー → ChatGPT で貼り付け → 質問を追記して送信。