Excel Copilot 実践ガイド¶
対象読者: 電気担当 / 計装担当
30秒まとめ¶
Excel の Copilot が「使えない」と感じる原因の大半は、Copilot 側ではなくデータの置き方とプロンプトの出し方にあります。ファイルを OneDrive に置き、データをテーブルにし、「目的・使う列・出力の形」を毎回指定すれば、点検記録やトラブル記録の集計・分類はそのまま任せられます。
自由記述の故障記録を原因区分に分類する、といった今まで手作業だった仕事も、Copilot のチャットに列ごと渡せば一括で終わります。ただし出力は毎回わずかに揺れるため、集計値は必ず検算し、確定した結果は元データと分けて固定するのが作法です。
COPILOT 関数は提供終了
セル内で AI を呼ぶ COPILOT 関数は、Microsoft 公式ページによると 2026 年 9 月 14 日をもって Excel から利用できなくなりました(根拠節参照)。本ページの分類・抽出手順はすべて Copilot のチャット(作業ウィンドウ)経由で書いています。
先に読む
Copilot に渡してよい情報の範囲は 注意事項・情報セキュリティ が正典です。会社契約の M365 Copilot でも、入力可否の最終判断は社内規程と IT 部門によります。本ページは「使い方」だけを扱います。
1. 最初の壁を先に潰す¶
Copilot が反応しない・的外れな答えを返すときは、まず次の 4 点を確認します。ここで止まっている人が非常に多く、Copilot の性能とは無関係です。
| 確認項目 | なぜ必要か | 対処 |
|---|---|---|
| ファイルが OneDrive か SharePoint にあり、自動保存が ON | 以前は必須条件でした。現行の公式ページは自動保存の有無にかかわらず動くとしていますが、動かないときの最初の確認点です。変更履歴が残る点でも会社の OneDrive 保存が安全です | 会社の OneDrive へ移し、自動保存を ON にする |
| データが「テーブル」になっている | Copilot はテーブルを単位に理解します。ただの範囲は正しく読めません | 範囲を選んで Ctrl + T |
| 1 行目に見出し、結合セルなし、空行なし、日付は日付型 | 見た目重視の報告書レイアウトでは列の意味を取り違えます | 生データのシートと見せるシートを分ける |
| 列名が短く具体的 | Copilot は列名を手がかりに解釈します | 「値」ではなく「停止時間_分」「原因区分」のように |
生データと見せる表は分ける
Copilot に読ませるのは生データのテーブルだけにします。上司向けの体裁を整えた表は、生データから数式やピボットで作る別シートに置きます。予兆保全 の記録シートの列構成は、そのまま Copilot が読める形です。
2. 自由記述を構造化する(分類・抽出)¶
トラブル記録の「現象・処置」欄のような自由記述は、そのままでは集計できません。Copilot のチャットに列を指定して渡すと、区分を付けた新しい列として返してくれます。
「原因メモ の列を読んで、電気/機械/操作ミス/その他 のどれかに分類し、
『原因区分』という新しい列に入れて。区分名だけ入れて、理由は書かないで」
| できること | 電気計装での例 |
|---|---|
| 自由記述の分類 | トラブル記録の文章を原因区分に自動分類する |
| 項目の抽出 | 日報の文から作業種別・対象設備種別を抜き出して別列にする |
| 要約 | 長い特記事項を 1 行に要約して一覧化する |
| 表記ゆれの統一 | 「圧力伝送器」「圧力TX」「PT」を 1 つの表記に揃える |
数百行でも一度の依頼で処理できます。行数が多いときは、まず 20 行ほどで試して区分の付き方を確認してから全体に広げます。
分類させるときの 2 つの作法
- 選択肢をプロンプト内で固定する。 「分類して」だけでは毎回違う区分名が返り、集計できません。「電気/機械/操作ミス/その他 のどれか」「区分名だけ」と書きます。
- 結果は元データと分けて固定する。 分類結果は確率的で、同じ依頼でも次回は変わり得ます。返ってきた列を元データの列に上書きせず、確定したら別列として値のまま残し、再分類のときは新しい列に出します。
3. チャット側で効くプロンプトの型¶
「このデータを分析して」のような丸投げは弱い結果しか返しません。次の 3 点を毎回入れます。
- 目的: 何を判断したいか
- 使う列: どの列を見せるか
- 出力の形: 表かグラフか列追加か。値か数式か
悪い例:
「点検データを分析して」
良い例:
「どの設備種別に保全工数を寄せるか決めたい。
設備種別、停止時間_分、発生月 の列を使って、
月別×設備種別の停止時間合計をピボットで出して」
「数式で入れて」と言う癖¶
列を追加させるとき、「数式で入れて、値にしないで」と付けます。値で返されると中身を検証できません。数式で返させれば、参照している列と計算の中身を見て正誤を判断できます。
電気計装業務での依頼例¶
点検記録(設備種別・点検日・測定値・判定)やトラブル記録が入ったテーブルを開いた状態で:
| 場面 | 依頼例 |
|---|---|
| 傾向をつかむ | 「設備種別ごとの異常判定件数を月別に集計して」 |
| 抽出 | 「判定が『要注意』以上の行だけ抽出して、停止時間の多い順に並べて」 |
| 列を足す | 「前回測定値との変化率の列を数式で追加して」 |
| グラフ | 「絶縁抵抗の推移を設備種別ごとに折れ線で」 |
| 数式の解読 | セルを選んで「この数式を説明して」 |
段階的に深掘りする¶
一発で当てようとせず、「データの傾向を見せて」で全体像を出させ、気になった点を「〇〇の月別推移を折れ線で」と絞ります。
高度な分析¶
Copilot が Python in Excel でコードを書き、相関・予測・外れ値検出を行う機能があります。Python を書けなくても、結果とコードの両方が残るので、何をしたかを後から追えます(利用可否はライセンスと更新状態によります)。
4. 検算の作法¶
Copilot の答えを一度は自分で検算します。特に集計値です。
- 別の方法で同じ数を出す。 テーブルの SUBTOTAL や別のピボットで突き合わせる
- 件数を数える。 元データの行数と、集計結果の合計件数が合うか
- 数式で返させたものは参照範囲を見る。 テーブル全体を参照しているか、途中で切れていないか
信頼できる範囲が分かってきたら、そこだけ検算を省きます。最初から省いてはいけません。検証の考え方は 注意事項・情報セキュリティ の「AI出力の検証義務」が正典です。
5. 上達を速める練習法¶
- 自分の実データで毎日 10 分。 サンプルではなく、手元の点検記録やトラブル記録を使います。判断できる素材でないと「合っているか」が分からず、上達しません
- 効いたプロンプトを 1 シートに貯める。 ブックに「プロンプト帳」シートを作り、うまくいった文をそのまま貼ります。次から流用でき、書き方が定型化していきます
- 失敗も残す。 「この言い方では列を取り違えた」という記録が、同僚に教えるときの教材になります
6. できないことを知っておく¶
| できないこと | 代わりに使うもの |
|---|---|
| 開いているブックの外を見る | 別ファイルの結合は Power Query で先に済ませる |
| VBA マクロを書く | 公式に確認できていません。自動化は Office スクリプトか Power Automate を第一候補に |
| 機密・個人名を含むデータの無条件な処理 | 注意事項・情報セキュリティ の判断フローに従う。個人名は記号化、設備は種別レベルまで |
根拠¶
本ページが正典の範囲¶
本ページは「Excel における Copilot の使い方と作法」の正典です。M365 Copilot 全体の位置づけと他アプリでの使い方は M365 Copilot活用、プロンプトの一般則は プロンプトの書き方、情報の取り扱いは 注意事項・情報セキュリティ が正典で、本ページはそれらに従います。
実務慣行(規格・法令の裏付けなし)¶
「テーブル化」「目的・使う列・出力の形」「数式で返させる」「値として固める」「検算してから省く」は、実務で効果を確認した慣行です。規格・法令の裏付けはありません。
一次照合済み(Microsoft 公式サポートページ・2026-09-17 閲覧)¶
- COPILOT 関数の提供終了: COPILOT Function に「Starting September 14, 2026, the COPILOT function is no longer available in Microsoft Excel.」と明記。代替として Copilot の作業ウィンドウで同じ作業(要約・分類・生成)ができるとしている
- 自動保存の要否: Format data for Copilot in Excel に「Copilot in Excel runs in workbooks with autosave enabled or disabled」とある。§1 の「以前は必須条件」はこれを受けた記述
原本未照合(honest-hold)¶
- 「データはテーブルにする」「結合セル・空行を避ける」は実務慣行です。公式ページに逐語で確認できた要件ではありません
- 高度な分析(Python in Excel を使う分析)は 公式ページ が存在することまで確認しました。操作手順は逐語照合していません。利用可否はライセンスと更新チャネルによります
- VBA マクロを生成できるかは公式に確認できていません
- 各画面の名称・操作手順は改定が速いため、実際の操作は使用中のバージョンの画面と公式ヘルプに従ってください
- ライセンス体系・料金は本ページでは扱いません
是正の記録(2026-09-17)¶
- 初版(同日公開)は「セル内で AI を呼ぶ COPILOT 関数」を第 2 節の主役にしていました。公式ページとの照合で 2026-09-14 に提供終了と判明したため、同日中に第 2 節をチャット経由の分類・抽出手順へ書き換えました。公開から照合までの間に読んだ方は、関数ではなくチャットで同じ作業をしてください
- 「ローカル保存のブックでは Copilot がほぼ動きません」と断定していましたが、現行の公式ページは自動保存の有無にかかわらず動くとしているため、「以前は必須条件。動かないときの最初の確認点」に改めました
限界の明示¶
- 本ページの手順は会社契約テナントの M365 Copilot を前提にしています。個人アカウントの Copilot には当てはまりません
- 分類・抽出の結果は確率的で、同じ入力でも毎回同じとは限りません。集計の根拠にする列は必ず固定してから使ってください
- 生成物の技術的な正確性・数値の検証義務は利用者にあります
正典参照¶
| 項目 | 正典 |
|---|---|
| 入力禁止情報・ツール別の判断・AI出力の検証義務 | 注意事項・情報セキュリティ |
| M365 Copilot の位置づけ・他アプリでの活用 | M365 Copilot活用 |
| プロンプトの一般則・テンプレート | プロンプトの書き方 |
| 点検記録シートの列構成 | 予兆保全 |
照合日: 2026-09-17(初版公開後、同日に Microsoft 公式サポートページ 2 件を逐語照合し、COPILOT 関数の提供終了と自動保存の要否を反映。テーブル化・VBA は未照合のまま実務慣行として残置)。
参考¶
- 関連記事:M365 Copilot活用
- 関連記事:プロンプトの書き方
- 関連記事:注意事項・情報セキュリティ
- 関連記事:予兆保全
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