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分析計トラブル

⚡ まず確認(数秒)

  1. サンプリング流量が出ているか(流量計・ロタメータを目視)。流量ゼロ=指示は過去値のまま止まっている
  2. 校正期限を確認(前回校正日・標準液/校正ガスのロット期限)
  3. DCS 指示と現場表示器が一致しているか(不一致なら伝送・信号系、一致なら分析計本体・サンプル系)

⚠️ センサや配管を触る前に製造担当へ連絡。サンプル弁の開閉でプロセス側に影響が出る場合があります。

30秒まとめ

分析計トラブルは「センサ本体か・サンプリング系か・校正か」の3方向で切り分けます。分析計はセンサが消耗品であり、多くの異常は「校正で直る」「センサ交換が必要」「サンプル系の詰まり・流量低下」のいずれかに収束します。指示ドリフト・応答鈍化はまずサンプル流量と校正から疑うのが近道です。技術原理・校正手順の詳細は 分析計 を参照してください。


症状逆引き — 分析計種別

pH計

症状 最初に確認 よくある原因 対処
指示がドリフトする 現場標準液で校正、スロープ値を確認 電極汚染・被毒、基準液(KCl)消耗、比較電極の液絡部詰まり 電極洗浄→再校正。スロープ 95% 未満は劣化兆候、洗浄・再校正でも 90% 以下なら交換
応答が鈍い(2分以上) 純水リンス後の応答時間を測定 ガラス膜の汚れ・被毒、電極寿命 洗浄で戻らなければ電極交換(応答 30秒以内が正常)
校正でスパンが合わない 2点校正でスロープ実測 スロープ低下(90% 以下)、標準液の期限切れ・汚染 新しい緩衝液で再校正。それでも 90% 以下なら電極交換
指示が一定値で動かない サンプル流量・電極の乾燥を確認 サンプル停止、電極の空焚き(乾燥)、液絡部完全閉塞 流量回復・電極水和後に再校正

pH校正の要点(2点校正)

純水リンス → pH 7.00 でゼロ点 → pH 4.00 または 9.18 でスパン。スロープ 95〜105% が正常、90% 以下は要交換。温度補償(ATC)が有効か必ず確認します(Nernst 勾配は 25 ℃ で 59.16 mV/pH、温度で変化)。校正記録に日時・標準液ロット・スロープ値を残します。

導電率計

症状 最初に確認 よくある原因 対処
指示が高め/低めにずれる セル定数の設定値と校正液指示を照合 セル定数ずれ、電極(極板)の汚れ、温度補償係数の誤設定 標準液で校正しセル定数を再設定。温度補償係数(通常 2 %/℃ 前後)を確認
指示がふらつく・跳ねる 測定部の気泡混入を目視 セル内の気泡、流量不足、配線・接地不良 流量確保・気泡抜き。誘導型(トロイダル)は付着物洗浄
純水系で反応しない セル種別と測定レンジを確認 2電極式の汚染、低導電率レンジ不適合 洗浄・4電極式/適正レンジへ見直し

酸素濃度計(ジルコニア式 / 隔膜ガルバニ式)

症状 最初に確認 よくある原因 対処
応答不良・指示が動かない センサ設置年数・サンプル流量を確認 センサ寿命、隔膜劣化、電解液消耗、サンプリング詰まり 校正で戻らなければセンサ/隔膜・電解液交換
スパンが合わない 基準ガス(空気 20.9% 等)で校正 センサ感度低下、校正ガス期限切れ 校正ガスを更新して再校正。改善しなければセンサ交換
ジルコニア指示が乱高下 センサヒータ温度・参照空気を確認 ヒータ劣化、参照空気側の詰まり ヒータ・参照空気ライン点検

酸素センサは消耗品(寿命 1〜2 年)

隔膜ガルバニ式・電気化学式センサは電解液が消耗するため寿命が概ね 1〜2 年で計画交換します(使いきり・修理不可)。製造日から管理し、応答不良は寿命を第一に疑います。

ガス分析計 / ガスクロマトグラフ

症状 最初に確認 よくある原因 対処
指示が出ない・遅い サンプルガス流量・フィルタ差圧を確認 サンプルフィルタ詰まり、ドレン滞留、流量低下 フィルタ交換・ドレン抜き・流量再設定
校正が合わない 校正ガスボンベの期限・残圧を確認 校正ガス期限切れ、ボンベ残圧不足 校正ガス更新・再校正
ガスクロのピークが出ない/ずれる キャリアガス圧・残量を確認 キャリアガス切れ・リーク、カラム劣化、注入系詰まり キャリアガス補充・リーク点検・カラム/注入部点検
可燃性ガス検知器の感度低下 校正ガスで感度確認 触媒被毒(シリコン・硫黄・鉛化合物) 感度確認を定期化。被毒素子は交換(被毒しても正常動作に見えるため危険)

サンプリング系共通の落とし穴

分析計の異常の多くはセンサではなくサンプリング系にあります。

  • サンプルライン詰まり: 固形物・スケール・結晶析出でフィルタやサンプル弁が閉塞。差圧監視で早期発見
  • 凝縮・ドレン滞留: 導管の低所で液が凝縮・滞留し、流路を塞ぐ。保温・トレースで対策
  • トレース不良: スチーム/電気トレースの停止で結晶化・凝固。冬季に顕在化
  • 流量低下=指示遅れ: 流量が落ちるとセンサへの到達が遅れ、指示が実プロセスから遅延する。「指示が古い」症状はまず流量を疑う
詰まり発生箇所 原因 対策
フィルタ 固形物・スケール堆積 定期洗浄・差圧監視
サンプル弁 結晶・重合物の析出 スチームトレース・加温
流量計 ゲル状物の付着 洗浄ラインの設置
導管 液の凝固・凝縮 保温・トレース

「校正で直るか / センサ交換か」の判断軸

判断 目安
校正で回復する ドリフトが小さく、標準液/校正ガスで所定値へ追い込める。pH スロープ 95〜105% に収まる
洗浄で回復する 汚れ・付着が原因。洗浄後の再校正で正常範囲に戻る
センサ交換が必要 pH スロープ 90% 以下、応答 2分以上、酸素センサが寿命(1〜2 年)到達、被毒素子
サンプル系対応 流量低下・詰まり・凝縮。センサは正常でも指示異常が出る

メーカー校正周期の目安

校正周期は流体条件で大きく変わりますが、目安として pH は週〜月次、導電率は月次、酸素・ガス分析計はメーカー推奨(多くは月次〜四半期)で管理します。確定値は自工場の点検基準書・メーカー取説が正です。汚れやすい流体ほど短周期にします。


根拠

本ページが正典の範囲

  • 本ページは「症状 → 切り分け → 対処」の逆引きです。原理・校正手順・電極寿命の判定値の正典は 分析計(スロープ 95〜105% 正常/90% 以下交換、ゼロ点 ±20 mV、応答 30 秒以内、電気化学式センサ寿命 1〜2 年)。本ページの判定値はその再掲であり、2026-08-06 に正典と一致することを確認しました(改訂時は正典側を先に更新すること)。
  • 分析計出力(4-20 mA)の伝送側の切り分けは 計装信号トラブル、故障判定閾値の数値は 計装基礎 が正典です。本ページでは再記述しません。

一次計算で検算済み

  • Nernst 勾配 59.16 mV/pH(25 ℃): 2.303RT/F を R = 8.314 J/(mol·K)・T = 298.15 K・F = 96485 C/mol で再計算し 59.16 mV/pH と一致(2026-08-06 検算)。

是正の記録(2026-08-06)

  • スロープ判定の内部矛盾: pH計の表の1行目が「スロープ 95〜105% 外れは電極劣化として交換」となっており、同じページの3行目・判断軸表の「90% 以下で交換」と閾値が矛盾していました。正典(分析計 の電極寿命表=95% 未満は劣化兆候・90% 以下は要交換)に合わせ、「95% 未満は劣化兆候、洗浄・再校正でも 90% 以下なら交換」に統一しました。
  • 誤記: 「ジルコニア指示が乱高調」→「乱高下」。

実務慣行(規格・法令の裏付けなし)

  • 導電率の温度補償係数「2 %/℃ 前後」、校正周期の目安(pH 週〜月次等)、酸素センサ寿命 1〜2 年はメーカー資料・実務慣行の目安であり、法定値・規格値ではありません。確定値は自工場の点検基準書・メーカー取説が正です。
  • 標準緩衝液の公称値(pH 7.00・4.00・9.18)は市販標準液の代表値です。製品により公称値が異なる(中性りん酸塩系は 6.86 表記など)ため、校正時は使用する標準液のラベル値を設定してください。
  • 空気の酸素濃度「20.9%」は乾き空気の代表値(スパン校正の慣用基準)です。

限界の明示

  • 本ページの周期・閾値はいずれも切り分けの入口の目安です。防爆エリアでの電極・センサ交換の可否や活線作業条件は 防爆・本安 と自工場の防爆管理基準によります。

正典参照

照合日: 2026-08-06(正典 03-keiso/analyzer.md との判定値一致確認・Nernst 勾配の再計算・内部矛盾2件の是正まで。法令条文の照合対象なし)。


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