操作盤・表示灯¶
30秒まとめ¶
操作ボタンと表示灯の色は JIS / IEC 規格で決まっている。非常停止は赤(キノコ型)、起動は白または緑が基本。HMI 画面はアラームを画面上部・左側に配置し、重要情報が埋もれない設計にする。防爆エリアの操作機器は Ex 認証品を使用する。
操作ボタン配色規格¶
| 操作 | 色 | 規格の規定 |
|---|---|---|
| 起動・始動 | 白が最適(灰・黒・緑も可) | JIS C 0448:1997 6.1.3 は白・灰・黒のうち「最も適切な色は白」。JIS B 9960-1:2019 10.2.1 は白・灰・黒・緑が望ましく白が一番よい。赤を用いてはならない |
| 停止 | 黒が最適(灰・白も可) | JIS B 9960-1:2019 10.2.1(黒が一番よい)。緑は停止に使用禁止。赤は許容されるが非常用操作機器の近くでは推奨されない |
| 非常停止 | 赤(キノコ型ヘッド)+黄色背景プレート | JIS B 9960-1:2019 10.2.1(赤+黄背景の組合せは非常操作機器専用)。機器の製品規格は IEC 60947-5-5(機械的ラッチ付き非常停止機器) |
| リセット | 青・白・灰・黒のいずれか | JIS B 9960-1:2019 10.2.1 |
| 異常時の介入(自動サイクルの中断など) | 黄 | JIS B 9960-1:2019 10.2.1(黄は異常状態用に確保) |
色より先に、非常停止は「機能」の要件を満たすこと(無償の一次資料あり)
上表の色は有償の JIS に依る記述で原本未照合です(下記「根拠」)。一方、非常停止装置に求められる機能は、厚生労働省の機械の包括的な安全基準に関する指針(労働安全衛生法第28条の2第1項に基づく調査の指針)別表第4「付加保護方策の方法」1 に無償で公開されており、2026-09-19 に原典 PDF で照合しました。
| # | 指針 別表第4-1 の要件 |
|---|---|
| (1) | 明瞭に視認でき、かつ直ちに操作可能な位置に、必要な個数設けられていること |
| (2) | 操作されたとき、機械のすべての運転モードで他の機能よりも優先して実行され、リスクの増加を生じることなく、可能な限り速やかに停止できること |
| (3) | 解除されるまで停止命令を維持すること |
| (4) | 定められた解除操作が行われたときに限り、解除が可能であること |
| (5) | 解除されても、それにより直ちに再起動することがないこと |
色と形状が正しくても (3)〜(5) を満たさなければ非常停止にはなりません。 手を離すと復帰してしまう押しボタンや、解除操作と同時に再起動する回路は、赤いキノコ型でも要件を外します。盤の受入時は配色と併せてここを確認してください(機械的ラッチと復帰の要件は 制御回路 が正典です)。
同指針 別表第4 は色については規定していません(2026-09-19 に全文検索で確認)。色の根拠は上表のとおり JIS 側にあります。
「起動=白」は現行規格にすでにある規定(緑は許容)
「起動ボタンは白」は現行の JIS C 0448:1997 の 6.1.3 にすでにある規定です(望ましい色は白・灰・黒で、最も適切なのは白。緑はこの項の望ましい色に入っていません)。機械の電気装置では JIS B 9960-1:2019(IEC 60204-1:2016 対応)10.2.1 が白・灰・黒・緑を許容しつつ「白が一番よい」とし、起動への赤の使用を禁じています。緑の起動ボタンは表示灯の緑(正常・運転中)と紛れやすいため、新設では白を第一候補にし、既設設備との統一性を優先する場合は現場の基準に合わせます。なお、かつて本ページが根拠としていた「JIS C 0448:2011」という版は存在しません(JSA カタログでは 1997 年制定版が現行。下記「根拠」参照)。
表示灯の色規格(JIS C 0448 / IEC 60073)¶
| 色 | 意味 | 典型的な用途 |
|---|---|---|
| 赤 | 危険・警告・停止 | 異常・故障・非常停止動作中 |
| 黄(アンバー) | 注意・警戒 | 警告(軽度の異常)・予備加熱中 |
| 緑 | 正常・安全 | 運転中・電源 ON・弁開 |
| 青 | 強制・特定状態 | 遠隔モード中・手動選択中 |
| 白 | 電源・一般状態 | 電源投入中・その他 |
典型的な表示灯配置(ポンプ操作盤):
[電源 白] [運転中 緑] [停止中 白] [異常 赤点滅] [遠隔 青]
「停止中=赤」の現場慣行と規格の割当は別物
上表の規格上の意味では、赤の表示灯は「危険・異常」であり、単なる停止状態への赤の使用は本来の割当ではありません。一方、国内の受変電盤などには「入=赤・切=緑」(通電中=危険の意)という逆向きの慣行も広く残っています(この慣行の規格根拠番号は未確認)。同一現場に両方の流儀が混在すると誤認のもとになるため、盤の凡例(レジェンド)を必ず確認し、新設では規格の割当に揃えます。
タッチパネル HMI 画面設計のポイント¶
優先度別配置原則¶
| 優先度 | 情報種別 | 推奨配置 |
|---|---|---|
| 最高 | アラーム・異常 | 画面上部または常時表示エリア |
| 高 | 主要プロセス値(温度・圧力・流量) | 画面中央・大きな数値で表示 |
| 中 | 弁・機器の開閉状態 | プロセスフローに沿って配置 |
| 低 | 設定値・パラメータ | サブ画面に移動 |
設計チェックポイント¶
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 数値の視認性 | 最小文字サイズ 14pt 以上(現場の明るさを考慮) |
| 色だけで状態を区別しない | 色覚異常者への配慮:形・記号も使う |
| タッチターゲットサイズ | 最小 10mm × 10mm(作業用手袋着用を考慮) |
| アラームの優先付け | 設備重要度 A/B/C に連動したアラームレベル設定 |
| 操作確認ダイアログ | 重要操作(起動・停止)は確認ポップアップを挿入 |
IP 等級の選定¶
| 設置環境 | 推奨 IP 等級 | 根拠 |
|---|---|---|
| 屋内・乾燥 | IP42 以上 | 異物・水滴の侵入防止 |
| 屋外(雨ざらし) | IP65 以上 | 粉塵完全遮断・水噴流 |
| 腐食雰囲気(化学プラント) | IP55〜IP65 | SUS 製エンクロージャ推奨 |
| 洗浄あり(食品・薬品) | IP66〜IP69K | 高圧洗浄水への耐水 |
| 水没可能性 | IP67〜IP68 | 水中浸漬 |
IP 表記の読み方:IP X Y
- X(第 1 特性数字): 固体異物・粉塵に対する保護(0〜6)
- Y(第 2 特性数字): 水に対する保護(0〜9)
- 「IP69K」の「K」付き表記は IEC/JIS の IP コード体系ではなく、自動車分野の規格(ISO 20653)由来とされる表記です(海外製機器のカタログで見かける。原本未照合)
IP コードの規格番号は 2026 年に JIS C 0920 → JIS C 60529 へ移行し、高温高圧水噴流に対する IPX9 が追加されました。経緯と新旧番号の読み替えは 電気計装工事で押さえるJIS規格 を参照してください。
化学プラント固有:防爆エリアの操作機器¶
防爆エリアでは Ex 認証品を使用
危険場所(Zone 0/1/2、グループ II)に設置する操作機器・表示灯は防爆認証(Ex 認証)品を使用すること。認証なし機器の設置は法令違反(電技解釈第 176 条・労働安全衛生規則第 280 条等。法令の委任関係は 規格・法規 を参照)。
| 防爆構造 | 記号 | 特徴 | 適用 Zone |
|---|---|---|---|
| 耐圧防爆 | Ex d | 爆発を盤内に封じ込める | Zone 1, 2 |
| 安全増防爆 | Ex e | スパーク・高温部なし | Zone 1, 2 |
| 本質安全防爆 | Ex ia/ib | エネルギー制限 | ia: Zone 0/1/2、ib: Zone 1/2 |
| 粉塵防爆 | Ex t | 粉塵爆発環境 | Zone 21, 22 |
機器選定時の確認事項:
- 危険場所の区分(Zone 0/1/2)と温度クラス(T1〜T6)を確認
- 機器の Ex 認証証書(ATEX / JIS C 60079)を入手
- 設置後は「危険場所設置記録」に登録
- メンテナンス時は Ex 認証品と同等品でのみ交換
セキュリティで見るところ¶
盤を開けたときに見るもの
- 空きLANポートに何か刺さっていないか
- 用途不明のUSBメモリ・LANケーブル、後付けの無線AP・モバイルルータ・変換器
- 見つけてもその場で抜かないこと。現に制御に使われていれば停止・誤動作します。写真を撮って用途を確認してから処置します
→ 7場面の全体は 制御セキュリティの現場チェック を参照してください。
根拠と適用上の注意¶
- 押しボタンの色: JIS C 0448:1997「表示装置(表示部)及び操作機器(操作部)のための色及び補助手段に関する規準」(IEC 60073:1991 対応)6.1.3(始動/オンは白・灰・黒が好ましく、最も適切な色は白)と、JIS B 9960-1:2019「機械類の安全性-機械の電気装置-第1部」(IEC 60204-1:2016 対応)10.2.1(起動=白・灰・黒・緑が望ましく白が一番よい・赤禁止/停止=黒・灰・白が望ましく黒が一番よい・緑禁止・赤は許容だが非常用操作機器の近くでは非推奨/非常停止=赤+背後は黄・この組合せは非常操作機器専用/リセット=青・白・灰・黒/黄は異常状態用)。いずれも原本未照合・二次資料のみです(2026-08-01 の確認は非公式な全文転載サイトによるもので、出典として扱いません。条項番号・文言は JSA 発行の原本で確認してから引用してください)。
- 「JIS C 0448:2011」の是正: かつて本ページは起動=白の根拠を「JIS C 0448:2011」としていましたが、この版年は存在しません。JSA カタログ(2026-08-01 確認)では JIS C 0448 は 1997-11-20 制定・2023-10-20 確認が現行で、2011 年版はありません。起動=白の規定は 1997 年版 6.1.3 に最初からあるものです。
- 表示灯の色の意味: JIS C 0448:1997 表4(安全関連: 赤=危険・黄=注意・緑=安全・青=強制・白/灰/黒=特定の意味なし)・表5(工程状態: 赤=非常・黄=異常・緑=正常)。原本未照合・二次資料のみ(表番号は原本で未確認。以前の確認は非公式な全文転載サイトによるもので、出典として扱いません)。
- 非常停止機器: IEC 60947-5-5(機械的ラッチ付き非常停止機器)は規格番号・主題を二次資料で確認したのみで、原本未照合です。本文に同規格の個別数値は書いていません。
- 防爆の Zone 適用: 防爆構造と Zone の対応の正典は 防爆(ia=Zone 0/1/2・ib=Zone 1/2 の区別を含む)。法令の委任関係(消防法→危険物政令→電気工作物に係る法令、電技解釈第 176 条・安衛則第 280 条)の正典は 規格・法規。
- 限界の明示: HMI 画面設計の数値(文字サイズ 14pt・タッチターゲット 10 mm 角など)と IP 等級選定表は規格の規定値ではなく設計目安です。「IP69K」の由来(ISO 20653)は二次資料によるもので原本未照合。「入=赤・切=緑」の受変電盤慣行は広く知られた実務慣行であり、規格根拠番号は未確認です。調達仕様・安全設計に使う際は最新版の規格本文を確認してください。
- 非常停止の機能要件: 厚生労働省「機械の包括的な安全基準に関する指針」別表第4「付加保護方策の方法」1 の (1)〜(5)。原典 PDF で 2026-09-19 に逐語照合しました。同指針は労働安全衛生法第28条の2第1項に基づく危険性等の調査の指針であり、無償で公開されています。同別表は色については規定していません(同日に全文検索で確認)。配色の根拠は上表のとおり有償の JIS 側にあり、原本未照合のままです
照合日: 2026-09-19(非常停止の機能要件を厚労省指針の原典 PDF で照合。配色の JIS〔C 0448・B 9960-1〕は有償・原本未照合のまま変わらず)。
セキュリティ観点の節について(2026-09-17 追加)¶
本ページの「セキュリティで見るところ」節は運用上のチェック観点であり、法令・規格の逐語照合を持ちません。チェック項目の網羅性はなく、リスクアセスメントの代替にもなりません。限界の明示は 制御セキュリティの現場チェック の根拠節にあります。
関連ページ¶
- 制御回路 — 盤内の展開接続図と操作回路
- 防爆 — 防爆エリアに設置する盤の要求
- 低圧カテゴリ — より広い低圧知識へ
- 制御セキュリティの現場チェック — 操作盤で見る制御セキュリティの観点
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