⚡ 電気担当
負荷計算¶
30秒まとめ¶
変圧器容量算定は「設備容量合計 × 需要率 × 不等率」で最大需要電力を求め、力率・効率を考慮して kVA 換算する。将来負荷は 15〜20% の余裕を見込む。需要率の見込み違いが変圧器の過負荷・容量不足の主因。
定義と関係式¶
| 用語 | 定義 | 単位 |
|---|---|---|
| 設備容量 | 機器の定格出力(銘板値)の総和 | kW または kVA |
| 需要率 | 最大需要電力 / 設備容量 | 無次元(0〜1) |
| 需要電力(最大需要電力) | ある期間中の最大電力 = 設備容量 × 需要率 | kW |
| 負荷率 | 平均電力 / 最大需要電力 | 無次元(0〜1) |
| 不等率 | 各設備の個別最大需要電力の合計 / 合成最大需要電力 | ≥ 1.0 |
合成最大需要電力 = 設備容量合計 × 需要率 ÷ 不等率
変圧器必要容量 [kVA] = 合成最大需要電力 [kW] ÷ 力率
変圧器容量算定の手順(計算例付き)¶
前提条件¶
| 負荷種別 | 設備容量(出力) | 需要率 | 力率 | 効率 |
|---|---|---|---|---|
| 電動機(動力) | 150kW | 0.65 | 0.85 | 0.90 |
| 照明 | 10kW | 0.90 | 0.95 | ―(換算不要) |
| 計装電源 | 5kW | 0.85 | 0.90 | ―(換算不要) |
| 空調 | 20kW | 0.75 | 0.85 | ―(換算不要) |
計算¶
Step 1: 各負荷の最大需要電力を計算
電動機は「入力 = 出力 ÷ 効率」で電源側入力に換算してから需要率を掛ける
動力: (150 ÷ 0.90) × 0.65 = 167 × 0.65 = 108.3 kW
照明: 10 × 0.90 = 9.0 kW
計装: 5 × 0.85 = 4.25 kW
空調: 20 × 0.75 = 15.0 kW
合計: 136.55 kW
Step 2: 不等率を考慮(工場動力の不等率 = 1.1 が目安)
合成最大需要電力 = 136.55 ÷ 1.1 = 124.1 kW
Step 3: kVA 換算(総合力率 = 0.85 と仮定)
必要変圧器容量 = 124.1 ÷ 0.85 = 146.0 kVA
Step 4: 将来余裕 20% を確保
選定容量 = 146.0 × 1.20 = 175.2 kVA → 200kVA を選定
電動機の効率換算について
銘板の定格出力(kW)は軸出力のため、電源側から見た入力電力は「出力 ÷ 効率」で割り増す(本ページ「動力・電灯・計装負荷の集計方法」参照)。照明・計装・空調は消費電力(入力)で表記されるのが一般的なため、ここでは効率換算不要としています。
動力・電灯・計装負荷の集計方法¶
集計シートの構成¶
| 設備 TAG | 設備名 | 定格出力 [kW] | 効率 | 力率 | 需要率 | 最大需要電力 [kW] | 備考 |
集計ポイント:
- 電動機は「定格出力 [kW]」ではなく「電源側からの入力電力 [kW]」で計算(入力 = 出力 ÷ 効率)
- インバータ付き電動機は可変速による実効需要率を設定(定速より低い需要率)
- 将来増設予定設備は「将来負荷」として別欄に記載
需要率の目安¶
| 負荷種別 | 需要率の目安 |
|---|---|
| 連続運転ポンプ・コンプレッサー | 0.85〜1.0 |
| 間欠運転ポンプ(バックアップ含む) | 0.50〜0.70 |
| ファン・換気 | 0.70〜0.85 |
| 照明(全灯時) | 0.90〜1.0 |
| 計装・制御電源 | 0.80〜0.90 |
| 空調 | 0.65〜0.80 |
| 工事用・点検用電源 | 0.30〜0.50 |
将来負荷の見込み(15〜20% の余裕)¶
| 状況 | 余裕の取り方 |
|---|---|
| 新設プラント | 現時点の最大需要電力に 20% 加算して変圧器選定 |
| 既設プラント改造 | 既設変圧器の余裕容量を確認し、追加負荷が収まるか確認 |
| 長期(10 年先) | さらに 10〜15% を追加余裕として見込む |
変圧器の過負荷は寿命を縮める
変圧器を 110% 超で長時間使用すると絶縁が劣化し寿命が著しく短くなる。増設・改造時は変圧器容量の空き確認を必ず行う。
根拠と適用上の注意¶
- 計算例の算術(2026-09-19 再計算): 本ページの計算例 6 ステップをすべて再計算し、掲載値と一致することを確認しました(動力 (150 ÷ 0.90) × 0.65 = 108.33/合計 136.55/÷1.1 = 124.17/÷0.85 = 146.08/×1.20 = 175.29)。表示は各段で丸めた値を次段に渡す連鎖になっており、丸めずに通すと合計が 136.58 kW・最終 175.3 kVA になります。選定容量(200 kVA)は変わりません。
- 計算ツール集 の変圧器容量の例とは条件が違います。 向こうは効率換算なし・空調なしで 142.1 kVA、本ページは効率換算あり・空調ありで 175.2 kVA です。式(設備容量 × 需要率 ÷ 不等率 ÷ 力率)は同じで、需要率・不等率・将来余裕の正典は本ページです。
- 定義式(需要率・負荷率・不等率):電験・配電設計で標準化された教科書定義であり、法令・JIS の規定値ではありません。需要率 = 最大需要電力 ÷ 設備容量、負荷率 = 平均電力 ÷ 最大需要電力、不等率 = 個別最大需要電力の合計 ÷ 合成最大需要電力(常に 1 以上)。定義の相互整合とページ内計算例の算術は 2026-07-30 に再確認済みです(需要率の分子は瞬時値と紛らわしい旧表記を改め「最大需要電力」に統一)。
- 需要率の目安表・不等率 1.1・将来余裕 15〜20%:すべて設計慣行値であり、法令・規格による裏付けはありません。負荷種別・運転形態で大きく変わるため、実プラントでは類似設備の実績デマンド(30 分デマンド値)から決めるのが最も確実です。契約電力・デマンドの制度面は デマンド管理 を参照してください。
- 変圧器の過負荷と寿命:「110% 超の長時間使用で寿命が縮む」は油入変圧器の一般的傾向の説明であり、定量的な許容過負荷は変圧器の種類・冷却方式・負荷サイクル・周囲温度で決まります(負荷指針類の規格番号は原本未照合のため記載しません。適用時はメーカーおよび該当規格の負荷指針を参照)。
- 効率換算:電動機の銘板出力は軸出力で表記される慣行のため、「入力 = 出力 ÷ 効率」の換算は本ページの計算前提です。照明・空調等を入力表記とみなす扱いも機器仕様により異なるため、集計時は各機器の銘板・データシートで表記の別を確認してください。
関連ページ¶
- 短絡電流計算 — 変圧器二次側の遮断容量確認に必要な短絡電流の算定
- 電圧降下計算 — 負荷電流を基にしたケーブルサイズ選定の確認
- 幹線サイズと過電流遮断器 — 集計した ΣI_M・ΣI_H から幹線太さと MCCB 定格を求める次段
- 盤設計 — 算定した負荷電流をもとにした MCCB・MCC の設計
- 仕様書の書き方 — 負荷計算結果を反映した電源仕様書の書き方
- 寿命管理 — 変圧器の寿命目安と更新計画の考え方
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