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LOTO(ロックアウト / タグアウト)

30秒まとめ

LOTO はエネルギー源を物理的に遮断・施錠し、タグで他者に知らせる手順。目的は誤起動・誤通電・残留エネルギーによる事故の防止で、施錠は作業者本人が行い本人が外す。復電前には全員の退避を確認する。


LOTOとは

LOTO(Lockout/Tagout)とは、設備のメンテナンス・修理作業中に、エネルギー源を物理的に遮断・施錠(ロックアウト)し、タグを掛けて(タグアウト)他者に知らせる安全手順。

目的は明確:誤起動・誤通電・残留エネルギーによる事故の防止。

LOTOを省略してはいけない

「すぐ終わるから」「誰もいないから」は理由にならない。LOTOを省略した状態での作業中に、別の操作員が起動スイッチを押す事故は国内外で繰り返し発生している。


電気エネルギーの隔離手順(6ステップ)

① 遮断(De-energize)
   ↓ 運転中の設備を正規の手順で停止し、
     主回路の遮断器・断路器をOFFにする

② 施錠(Lockout)
   ↓ 遮断器のハンドルに**個人専用の南京錠**を掛ける
     複数の錠が掛かる「ロックアウトハスプ」を使用

③ タグ掛け(Tagout)
   ↓ 「作業中 – 操作禁止」タグを施錠箇所に掛ける
     タグには氏名・作業内容・日時・連絡先を記入

④ 検電(Verify de-energization)
   ↓ 検電器で作業箇所の全充電部(3相全て)が無電圧であることを確認
     既知の充電部で検電器の動作を確認 → 対象を検電 → **再度**既知の充電部で
     動作を確認(検電中に検電器が壊れていた場合を排除する)

⑤ 放電・短絡接地(Discharge residual energy)
   ↓ 電力ケーブル・電力コンデンサ・インバータ等の**残留電荷を確実に放電**
     開路した電路が**高圧または特別高圧**であったものは、
     検電器具で停電を確認したうえで**短絡接地器具**で確実に短絡接地する

⑥ 再確認(Re-verify)
   ↓ 作業開始直前にもう一度検電
     手順書・許可書と現場の状態を照合

法令上の根拠(労働安全衛生規則 第339条・2026-07-30 照合)

第1項各号が事業者に求めているのは次の3点です。

  • 第一号: 開路に用いた開閉器に、作業中、施錠し、若しくは通電禁止に関する所要事項を表示し、又は監視人を置くこと
  • 第二号: 開路した電路が電力ケーブル・電力コンデンサー等で残留電荷による危険を生ずるおそれのあるものは、安全な方法により残留電荷を確実に放電させること
  • 第三号: 開路した電路が高圧又は特別高圧であつたものは、検電器具により停電を確認し、かつ短絡接地器具を用いて確実に短絡接地すること

条文上、第一号は施錠・表示・監視人の選択制です。本ページが「タグのみは不可・個人錠必須」とするのは、 条文より厳しい社内基準・国際的な LOTO 実務としての要求であり、法定義務そのものではありません。 また短絡接地が明文で義務づけられるのは高圧・特別高圧であったものに限られます(低圧は条文上の義務ではない)。


複数作業者でのLOTO管理

一人が施錠した場合でも、同じ設備で別の作業者が作業する場合は全員が個人錠を追加する。

なぜ個人錠が重要か

パターン リスク
1人の錠だけ → その人が先に終わって施錠解除 残りの作業者が作業中に通電される
全員が個人錠 → 全員が解錠するまで設備は動かない 最後の1人が解錠するまで安全が保証される

LOTOステーション

複数人作業では「LOTOステーション」(ロックアウトボックス)を使う。 遮断器のキーをボックスに入れ鍵を掛け、各自が個人錠をボックスに追加掛けする方式。


タグの記載内容

タグは「誰が」「何のために」「いつまで」施錠しているかを伝える唯一の情報源。

記載項目 記入例
氏名 ○○ ○○(フルネーム)
所属 電気計装課
作業内容 インバータ盤内部点検
作業開始日時 2026-04-04 09:00
予定終了日時 2026-04-04 12:00
連絡先(内線) ××××

タグだけでは不十分

タグは「操作しないでください」という警告。物理的に操作できない状態(施錠)と組み合わせて初めて有効。タグアウトのみ(施錠なし)は社内基準として原則禁止とする。 法令(安衛則第339条第1項第一号)は施錠・表示・監視人の選択制だが、選択制に甘えず施錠を標準にするという運用上の上乗せである。


復電前の全員確認手順

作業完了後、復電(通電再開)の前に以下を全員で確認する。

□ 全ての工具・測定器が設備内から取り出されている
□ **短絡接地器具を取り外した**ことを確認している(安衛則第339条第2項)
□ 作業者が全員、設備から安全な距離に退避している
□ 全ての点検口・パネルが元通り閉じている
□ 全ての個人錠とタグが解錠・取り外されている(本人が取り外す)
□ 作業許可書に完了署名が記入されている
□ 設備管理者への連絡が完了している

短絡接地器具の外し忘れは投入と同時に三相短絡になる

安衛則第339条第2項は、通電しようとするときは、あらかじめ 「当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのないこと及び短絡接地器具を取りはずしたことを確認した後でなければ、行なつてはならない」と定めています。 ⑤で接地を取ったなら、外したことの確認までを1組の手順として扱ってください。

錠の代理解錠は禁止

作業者本人以外が個人錠を解錠するのは原則禁止。本人が不在の場合は、緊急解錠手順(上長の立会・記録等)に従い、本人不在での解錠は最終手段とする。


化学プラント固有:高圧ガス設備のLOTO

化学プラントでは電気エネルギーだけでなく、複数種類のエネルギーが同時に存在する。

エネルギー種別 隔離方法 担当
電気 遮断器OFF・LOTO 電気担当
圧縮空気(制御用) 空気元弁を閉じ・施錠 計装担当
プロセスガス・液体 ブロックバルブを閉じ・施錠 製造担当
水蒸気 スチームバルブを閉じ・施錠 製造担当
残圧(配管内) ベント・ドレンで圧抜き確認 作業前に全員確認

複合エネルギー隔離の注意点

電気の施錠が完了しても、配管内の残圧・残液が残っていれば作業できない。 電計担当は「電気だけ」の視点で判断せず、製造担当と連携してエネルギー隔離の完了を確認すること。

アクチュエータ付きバルブの注意

電動バルブ・空気圧バルブは電源または空気源を遮断するだけでは不十分な場合がある。

  • 電動バルブ:電源を切っても手動操作で動かせる場合あり → バルブ本体に機械的施錠または物理的ストッパーを追加
  • 空気圧バルブ(スプリングリターン型):空気源遮断後にスプリングで動作する → 動作方向(フェイルオープン/フェイルクローズ)を確認した上で安全状態を評価

根拠

  • 停電作業時の法定措置: 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第339条。e-Gov 法令検索の現行条文で 2026-08-01 に逐語再照合しました(初回照合 2026-07-30)。本ページの6ステップとの対応は次のとおりです。
    • ② 施錠・③ タグ掛け → 第1項第一号(開路に用いた開閉器に、作業中、施錠し、若しくは通電禁止に関する所要事項を表示し、又は監視人を置くこと)。条文は施錠・表示・監視人の選択制で、「個人錠必須・1人1錠・タグのみ不可」は条文より厳しい社内基準・国際的な LOTO 実務であり、法定義務そのものではありません
    • ⑤ 放電 → 第1項第二号(電力ケーブル・電力コンデンサー等を有する電路の残留電荷を安全な方法で確実に放電させること)
    • ④ 検電・⑤ 短絡接地 → 第1項第三号。検電器具による停電確認と短絡接地が義務になるのは高圧又は特別高圧であった電路に限られます(低圧の検電・接地は条文上の義務ではなく安全側の実務)
    • 復電前の全員確認 → 第2項(通電しようとするときは、感電の危険が生ずるおそれのないこと及び短絡接地器具を取りはずしたことを確認した後でなければ行ってはならない)
  • 断路器等の誤操作防止: 同第340条(負荷電流を遮断するためのものでない開閉器の開路時、パイロットランプ・タブレット等で無負荷を確認させる。無負荷でなければ開路できない緊錠装置がある場合を除く)。同日照合。
  • 第341条以降は活線作業・活線近接作業の規定(第341条 高圧活線作業、第342条 高圧活線近接作業、第343条 絶縁用防具の装着等、第344条 特別高圧活線作業)で、停電作業の条文ではありません。停電作業の根拠として、第339条より後ろの条番号までを一続きの範囲でまとめて引くのは誤りです(2026-07-30 照合)。
  • 法定でない実務事項(社内基準・LOTO 実務): 個人錠・ロックアウトハスプ・LOTOステーション、タグの記載項目、「本人施錠・本人解錠」と代理解錠の禁止、検電器の使用前後の動作確認、複合エネルギー(計装空気・プロセス流体・蒸気・残圧)の隔離分担表、アクチュエータ付きバルブへの機械的ストッパー追加は、いずれも法令の要求ではなく実務・社内基準です。プロセス側のバルブ施錠・ベント/ドレン手順について、高圧ガス保安法・労働安全衛生法側の個別条文への照合は行っていません(honest hold)。
  • LOTO という枠組みの由来: 米国 OSHA 29 CFR 1910.147(The control of hazardous energy)。米国の連邦規則であり、日本国内で直接の法的拘束力はありません。本ページは同規則の逐語照合を行っておらず、LOTO 実務の参照元としてのみ挙げています(honest hold)。
  • 停電作業の全体手順の正典: 停電申請から復電までのフロー・検電器の種類・短絡接地器の選定は 停電作業 が正典です。本ページは LOTO(施錠・タグ・複数作業者管理)に特化し、数値・手順の重複記載を避けています。

条文リンク(e-Gov 法令検索・2026-09-17 閲覧)

本節で引用した条文の所在です。e-Gov のリンクは現行条文で、2026-09-17 に e-Gov 法令 API(v1)で取得した本文と本節の引用内容が一致することを再確認しました。アンカー ID は e-Gov 法令 API の XML 階層(章・節・款)から算出し、実ページで要素の存在を確認しました。ただし e-Gov は読み込み直後に該当条まで自動でスクロールしないことがあります。その場合は画面左の目次または法令内検索で条番号へ移動してください。

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