電技解釈 第37条 — 避雷器等の施設¶
📜 一次ソース確認のお願い(2026-05-31 再照合)
本ページは電気設備の技術基準の解釈(経済産業省が省令の解釈として示すもの)を学習用に整理したものです。電技解釈は eGov 法令API に登録されていないため、本Wikiの品質保証は wiki内クロスリファレンスと過去問データベース(kakomon.yml)、および電験王(過去問解説)への照合に依存しています。重要な実務判断や試験直前の最終確認は、必ず経産省公式の最新告示PDF(電気設備の技術基準の解釈)に当たってください。誤記を発見された場合は GitHub Issues でご連絡ください。
📊 試験対策メタ
- 出題頻度: 🔥🔥(保護装置テーマの頻出条文)
- 重要度: B(重要)
- 直近出題: R03 問4(論説)/H27 問4(穴埋)
- 照合日: 2026-05-31(電験王 R3問4・条文一号〜四号を一次照合)
第37条は「どの箇所に避雷器を施設するか」を定める条文。線引きは機器ごとではなく施設の出入口(引込口・引出口)。発電所・蓄電所・変電所は引込口と引出口の両方、一定規模以上の需要場所は引込口のみが対象。
⚡ 5秒で思い出す¶
- 第37条は避雷器を「箇所」で指定する(機器ごとではない)
- 発電所・蓄電所・変電所:架空電線の引込口 と 引出口 の両方に避雷器
- 需要場所:引込口のみ(高圧は受電電力 500kW以上、特別高圧は電圧・規模の要件なしで対象)
- 配電用変圧器(第26条):高圧側・特別高圧側に避雷器
- 避雷器には A種接地工事(第37条第3項)
セルフチェック: 発電所・蓄電所・変電所と需要場所で、避雷器を施設する『口』はどう違う?
発電所・蓄電所・変電所=引込口と引出口の両方。電気が外から入る引込口だけでなく、外へ送り出す引出口にも架空電線がつながり雷サージの侵入経路になるため。需要場所=引込口のみ。需要場所は電気を受けるだけで外へ送り出さない(引出口がない)ため。R3問4はここを「引出口は不要」と誤らせる問題だった。
🚪 引込口と引出口の違い(最重要・R3問4の核心)¶
「引込口」「引出口」は、施設という箱に対して架空電線がどちら向きかだけの違い。
| 用語 | 向き | 意味 | どの施設にある? |
|---|---|---|---|
| 引込口 | 外 → 中 | 架空電線が施設に入ってくる端点(受電側) | 発電所・蓄電所・変電所・需要場所すべて |
| 引出口 | 中 → 外 | 架空電線が施設から出ていく端点(送電側) | 発電所・蓄電所・変電所のみ(需要場所にはない) |
なぜ需要場所に引出口がないのか:需要場所は電気を受けて使うだけで、架空電線路へ電気を送り出さない。送り出す電線がなければ引出口も存在しない。だから需要場所は引込口だけが第37条の対象になる。
なぜ発電所・蓄電所・変電所は両方必要か:外部架空線が誘導雷サージを「持ち込む」引込口はもちろん、内部の開閉サージが外部架空線へ流出する/外部サージが侵入する経路でもある引出口も、架空電線がつながる以上は保護が必要。
📜 条文原文¶
📜 条文原文 — 電技解釈 第37条 完全版(折り畳み・クリックで開く)
経済産業省告示「電気設備の技術基準の解釈」令和7年11月版 PDF p.44-45 から逐語転記(2026-07-30 一次照合)。
【避雷器等の施設】(省令第49条)
第37条 高圧及び特別高圧の電路中、次の各号に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には、避雷器を施設すること。
一 発電所、蓄電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く。)及び引出口
二 架空電線路に接続する、第26条に規定する配電用変圧器の高圧側及び特別高圧側
三 高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が500kW以上の需要場所の引込口
四 特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口
2 次の各号のいずれかに該当する場合は、前項の規定によらないことができる。
一 前項各号に掲げる箇所に直接接続する電線が短い場合
二 使用電圧が60,000Vを超える特別高圧電路において、同一の母線に常時接続されている架空電線路の数が、回線数が7以下の場合にあっては5以上、回線数が8以上の場合にあっては4以上のとき。これらの場合において、同一支持物に2回線以上の架空電線が施設されているときは、架空電線路の数は1として計算する。
3 高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には、A種接地工事を施すこと。ただし、高圧架空電線路に施設する避雷器(第1項の規定により施設するものを除く。)のA種接地工事を日本電気技術規格委員会規格 JESC E2018(2015)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗値は、第17条第1項第一号の規定によらないことができる。(関連省令第10条、第11条)
📌 改正注意(古い過去問の条文引用に注意)
本記事の条文は令和7年11月版で逐語照合済み(照合日 2026-07-30)。現行の一号は「発電所、蓄電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所」——蓄電所という法令用語自体が R3問4 出題当時(2021年)は存在しない。古い問題集・過去問解説の条文引用と字句が異なるので、号立て・数値は上の現行原文で確認すること。
✅ 数値検証 PASS(一次ソース照合済 2026-07-30)¶
数値検証 PASS — 本記事に記載した第37条の規定値・キーワードを、経産省告示「電気設備の技術基準の解釈」令和7年11月版 PDF(p.44-45・scripts/cache/kaishaku-meti-2025-11.pdf)と逐語照合した結果、すべて一次ソース通り。
| 値・規定語 | 出典条項 | 一次ソース該当箇所 |
|---|---|---|
| 受電電力500kW以上(高圧の需要場所) | 第1項三号 | 「受電電力が500kW以上の需要場所の引込口」 |
| 特別高圧の需要場所は規模要件なし | 第1項四号 | 「特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口」(規模の限定なし) |
| 引込口・引出口の両方(発電所・蓄電所・変電所) | 第1項一号 | 「架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く。)及び引出口」 |
| 60,000V超+母線接続の架空電線路数 5以上/4以上 | 第2項二号 | 「回線数が7以下の場合にあっては5以上、回線数が8以上の場合にあっては4以上」 |
| A種接地工事 | 第3項 | 「避雷器には、A種接地工事を施すこと」 |
| 接地抵抗30Ω以下(緩和) | 条文外(JESC E2018) | 第3項ただし書は「JESC E2018 により施設する場合は第17条第1項第一号によらないことができる」とのみ規定(30Ωという数値は JESC 規格内の値) |
📋 第37条の施設箇所マトリクス(一号〜四号)¶
第37条第1項は「高圧及び特別高圧の電路中、次の各号に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には、避雷器を施設すること」と定める。
| 号 | 施設 | 避雷器を施設する箇所 | 引込口 / 引出口 |
|---|---|---|---|
| 一号 | 発電所・蓄電所・変電所・これに準ずる場所 | 架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く)及び引出口 | 両方 |
| 二号 | 架空電線路に接続する配電用変圧器(第26条) | 高圧側・特別高圧側 | (変圧器端子) |
| 三号 | 高圧架空電線路から受電する受電電力 500kW以上の需要場所 | 引込口 | 引込口のみ |
| 四号 | 特別高圧架空電線路から受電する需要場所 | 引込口 | 引込口のみ |
一号の『需要場所の引込口を除く』に注意
一号は発電所・蓄電所・変電所の引込口・引出口が対象だが、需要場所の引込口は一号から除かれ、三号・四号で別に規定される。高圧の需要場所は 500kW以上という規模要件があるのに対し、特別高圧の需要場所は電圧・規模の要件なしで引込口が対象。この非対称が穴埋め・論説の差し替えポイント。
🚫 避雷器を施設しないことができる場合(第2項)¶
第2項は、第1項の箇所でも所定の条件を満たせば避雷器の施設を要しないと定める(告示本文・種別共通の規定)。
| 号 | 条件(原典要旨) | 趣旨 |
|---|---|---|
| 一号 | 第1項各号の箇所に直接接続する電線が短い場合 | 短ければ配線インダクタンスによる電圧上昇が小さく、保護の必要性が下がるため |
| 二号 | 使用電圧が 60,000Vを超える特別高圧電路で、同一の母線に常時接続されている架空電線路の数が規定数以上の場合(回線数7以下→5以上/回線数8以上→4以上。同一支持物に2回線以上あるときは架空電線路の数を1として計算) | 多数の架空電線路が同一母線に並列につながっていれば、侵入した雷サージが分流して1線路あたりのサージが小さくなるため |
境界の整理(混同注意)
四号は特別高圧の需要場所の引込口に避雷器を要求する(電圧の上限はない。R3問4(5)で問われたのは 60,000V以下のケース)。一方、第2項二号の免除は 60,000Vを超える特別高圧で所定条件を満たす場合に働く。つまり 60,000Vを境に「第2項の免除余地が出てくる」 と理解する。
🧷 避雷器の接地(第37条第3項)¶
高圧・特別高圧の電路に施設する避雷器には、A種接地工事を施す(第37条第3項)。A種接地工事の接地抵抗値は原則 10Ω以下(第17条)。
なぜA種(最も低い接地抵抗クラス)なのか¶
避雷器は雷・開閉サージの大電流(数kA級)を大地へ逃がす装置。放電の瞬間、接地点の電位は V = サージ電流 I × 接地抵抗 R だけ跳ね上がる。
- 接地抵抗 R が大きいと、機器にかかる電圧 = 避雷器の制限電圧 + 接地電位上昇。避雷器をいくら良くしても接地が高抵抗なら保護効果が台無しになる。
- さらに接地点・近接金属の電位上昇で、逆フラッシオーバ(健全相・他機器への放電)や感電の危険が生じる。
→ だから電位上昇を抑えられる最も低抵抗クラスのA種(原則10 Ω 以下)が要求される。「避雷器 = A種接地」はこの理由とセットで押さえる。
なぜB種・C種・D種ではないのか
- B種 = 変圧器の高低圧混触対策(低圧側の電位上昇抑制)。目的が別。
- C種・D種 = 低圧機器用。避雷器は高圧・特別高圧側で大電流サージを逃がすので A種。
参考(発展):接地抵抗の緩和
高圧架空電線路の避雷器で、B種接地工事を施した変圧器に近接して施設し連接接地する等の条件では、JESC E2018 により接地抵抗を 30Ω以下 まで緩和できる。3種では「原則A種10Ω以下」を押さえれば十分で、緩和は参考レベル。
🎯 R3 問4 で問われたこと(引出口の罠)¶
R3 問4 は「誤っているもの」を選ぶ論説問題。正解は選択肢(2)。
| 選択肢 | 内容(要約) | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| (1) | 発電所・変電所の引込口(需要場所の引込口を除く)に避雷器が必要 | ◯ | 一号 |
| (2) | 発電所・変電所の引出口には避雷器を要しない | ✕(誤り) | 一号は引出口も対象 |
※選択肢の要約は R3 出題当時の文言に合わせ「発電所・変電所」のまま(「蓄電所」は R3 当時の条文に存在しない・下の改正注意参照)。 | (3) | 高圧で受電電力 50kW の需要場所の引込口には要しない | ◯ | 三号は500kW以上が対象 | | (4) | 高圧で受電電力 500kW の需要場所の引込口に必要 | ◯ | 三号 | | (5) | 60000V以下の特別高圧から受電する需要場所の引込口に必要 | ◯ | 四号(電圧制限なし) |
間違える理由トップ:引込口(外→中)だけを意識して、引出口(中→外)にも架空電線がつながることを忘れる。発電所・蓄電所・変電所は両方が鉄則。
🕳️ 頻出落とし穴¶
- 🔴 「発電所・蓄電所・変電所は引込口だけでよい」 → 誤り。引出口も対象(R3問4(2)の罠)。
- 🔴 「需要場所にも引出口の避雷器が要る」 → 誤り。需要場所は送電しないので引込口のみ。
- 🟡 高圧需要場所の規模要件を取り違える → 高圧は 500kW以上。50kWなどでは対象外。
- 🟡 「特別高圧の需要場所にも500kW要件がある」 → 誤り。特別高圧は規模・電圧の要件なしで引込口が対象(四号)。
- 🟡 「引込線」と「引込口」の混同 → 第117条は引込線(電線そのもののスペック)、第37条は引込口(避雷器を置く端点)。「線」と「口」は別物。
- 🟢 避雷器の接地を忘れる → A種接地工事(第3項)。
避雷器の性能値について
避雷器の保護レベル・制限電圧などの性能値は第37条本文では規定していない(JIS等の別系統で規定)。第37条で試験に問われるのは (1)施設する箇所(引込口/引出口・需要場所の規模) と (2)A種接地 の2点。数値の暗記より「箇所の線引き」を優先する。
📈 過去問実績¶
| 年度 | 問 | 形式 | 論点 |
|---|---|---|---|
| R03 | 問4 | 論説 ✅ | 施設箇所の正誤判定(引込口/引出口・500kW・特別高圧) |
| H27 | 問4 | 穴埋 ✅ | 避雷器等の施設(一号〜四号の空欄) |
出題予測
保護装置テーマの定番条文。論説(正誤判定)と穴埋めの両形式で出題実績あり。
頻出論点:
- 引込口/引出口の区別(発電所・蓄電所・変電所は両方)
- 需要場所の規模要件(高圧500kW以上/特別高圧は要件なし)
- A種接地工事(第3項)
📒 解いたら記録 → 間違えたら間違えノートへ(PDCAを回す)¶
各過去問の「理解した/曖昧/間違えた」ボタンで解答結果を残せます
上の過去問の各ブロック下に出る 理解度ボタン(〇理解した/△曖昧/×間違えた) とメモ欄で、解いた結果がブラウザの localStorage に保存されます(Do→Check)。
- ×間違えた を押した問題は間違えノートに 自動集約 され、間違えた問題だけ抽出して再演習できる(Check→Act)
- メモ欄に「なぜ間違えたか」を残すと、次回復習時に文脈ごと復元される
- 同一オリジン(kfurufuru.github.io)配下なので、本Wiki/法規Wiki/理論Wiki のチェック記録は すべて同じ間違えノートに集約(横断PDCA)
🔗 関連ページ¶
- 保護装置総論 — 過電流・地絡・雷サージ保護の体系図
- A種接地工事 第17条 — 避雷器に施すA種接地(接地抵抗 10Ω以下)
- 第117条(高圧架空引込線) — 「引込線」と「引込口」の違いを押さえる
最終確認: 2026-07-30 | ステータス: v1.4(原典逐語の条文原文節を新設・蓄電所追従) | 典拠: 電気設備の技術基準の解釈 令和7年11月版 告示PDF p.44-45 | 照合日: 2026-07-30 | バージョニング基準
監修ログ¶
- 2026-07-30 v1.4 告示PDF(令和7年11月版 p.44-45)と逐語照合し、条文原文節を新設。
- 修正①: 一号の施設を「発電所・変電所」→「発電所・蓄電所・変電所」へ現行条文に追従(蓄電所は R3問4 出題当時に存在しない語のため、R3問4 選択肢の要約は当時の文言のまま残し注記で区別)。
- 修正②: 第2項二号の要約「複数回線で1回線が故障しても給電を継続でき、避雷器に相当する保護がある等」は原典と乖離 → 正: 「同一の母線に常時接続されている架空電線路の数が規定数以上(回線数7以下→5以上/8以上→4以上・同一支持物2回線以上は1として計算)」。趣旨もサージ分流へ是正。
- 追加: 数値検証 PASS 表(500kW・60,000V・5以上/4以上・A種接地)。JESC E2018 の 30Ω は条文外の規格内数値であることを明示。
- 2026-05-31 v1.3 A種接地の「理由」(サージ電流×接地抵抗の電位上昇→保護破綻の因果)と「なぜB/C/D種でないか」を追記。第37条第2項の除外条件(電線が短い場合/60,000V超で所定条件)セクションを第1項と第3項の間に挿入。接地抵抗緩和(JESC E2018・30Ω・B種連接)は参考扱いで明示。過去問回数は2回(H27問4・R03問4)で据置(H28問5避雷器は電験1種であり3種DBに追加しない旨を確認)。
- 2026-05-31 v1.2 全面正常化:第37条本文に根拠のない記述を除去し条文準拠に再構成。(1)「機器ごとに施設」「保護レベル Uc×1.5倍」「機器ごとの施設例」など創作・典拠不明セクションを削除、(2)条文一号〜四号の施設箇所マトリクス・引込口/引出口の違い・R3問4の正誤解説・A種接地(第3項)を追加、(3)SVG模式図(発電所/変電所=引込口+引出口、需要場所=引込口のみ)を追加。電験王 R3問4解説・条文一号〜四号を一次照合(2026-05-31)。admonition abstract→note・装飾マーカー→bold も併せて整理。
- 2026-05-10 v1.1 Phase D緊急修正:致命誤参照修正(『シージ保護 第33条』削除→『A種接地 第17条』に置換・カナ誤記『シージ/セージ→サージ』修正・L51 OFF→ON訂正・典拠不明箇所に要再確認フラグ追加)