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電気関係報告規則 第1条 — 定義

📊 概要

出題頻度: 🔥🔥(第1条単独では出にくいが、第3条の事故報告とセットで第2項の用語定義が問われる実績あり。「第3条を解くための前提知識」として重要)

重要度: B(第3条と一体運用・実出題実績あり/🔥🔥)

直近出題: R05上 問2(穴埋・第3条との複合)— (ア)せん絡=第2項四号「電気火災事故」/(イ)直ちに=第2項五号「破損事故」/(ウ)操作=第2項七号「供給支障事故」/(エ)に入院=第3条 表第1号(→ 6. 実問題分析)

電気関係報告規則 第1条は、本省令で使用する用語の意味を統一する定義条文。第1項で「電気事業法・施行令・施行規則の用語例による」と宣言し、第2項で本規則固有の14用語(主要電気工作物/電気火災事故/破損事故/供給支障事故/発電支障事故/放電支障事故/PCB含有電気工作物等)を定義する。R5上問2 で第2項の3用語が同時に穴埋め出題された実績があり、第3条と並んで実用論点。第3条以降の事故報告・公害報告・届出規定で使う 語彙の土台 に当たる。

💡 5秒で思い出す(試験直前の最終確認)

  • 第1条=定義(目的条文ではない/報告規則は目的条文を持たない)
  • 第1項=電気事業法/施行令/施行規則の用語の 「例による」("準用"ではない)
  • 第2項=本規則固有の 14用語 を号番号順に定義
  • R5上問2 直撃: (ア) せん絡(四号)/(イ) 直ちに(五号)/(ウ) 操作(七号)/(エ) に入院(第3条)
項目 内容
条文 電気関係報告規則 第1条
規定内容 本省令で使用する用語の定義(第1項=他法令の用語例参照/第2項=固有14用語の定義)
性格 定義規定(手続規定・数値規定ではない)
上位 電気事業法 第106条(報告の徴収)/本規則自体は 電気事業法に基づく省令
典拠(一次ソース) 電気関係報告規則(昭和40年通商産業省令第54号、令和5年改正版)第1条 / eGov法令検索 lawid=340M50000400054
照合日 2026-05-09(eGov 一次ソースで第1条 ArticleCaption=「定義」・第2項14号の用語と定義を全件照合)
隣接条文 (冒頭条文・前なし) / 第2条(記事未作成・本規則) / 第3条(事故報告) / 第4条(公害報告) / 第5条(自家用工作物届出) →
混同注意 同番号の 電気事業法第1条(目的)/電技省令第1条(目的)/電気工事士法第1条(目的)/解釈第1条(用語の定義)とは 別物。本条は「報告規則」第1条
重要訂正 旧版 jiko-1.md は本条を「目的」と誤記していたが、eGov 一次ソース照合の結果、本条は 「定義」 が正しい。報告規則は目的条文を持たない構造(→ 5. 因果理解)

★0. 隣接条文クラスタマップ — 電気関係報告規則の体系

なぜこのマップを冒頭に置くか

第1条は R05上問2 で第2項の用語定義が直接穴埋め出題 されており、第3条と一体の出題が現実に存在する。第3条以降の事故報告・公害報告で使う 「主要電気工作物」「電気火災事故」「破損事故」「供給支障事故」 の語彙が本条で定義されているため、第3条の論点を正しく理解するには、本条の定義語の射程を先に把握する必要がある。

報告規則 第1〜5条の役割分担

条文 内容 性格 試験での問われ方
第1条(本条) 定義(用語の意味) 定義規定 🔥🔥 R05上問2 で第2項用語が穴埋め出題(第3条との複合形式)
第2条 定義の補足 定義規定 単独出題ほぼなし
第3条 事故報告(速報24h・詳報30日) 手続規定 🔥🔥🔥🔥🔥 法規最頻出
第4条 公害報告 手続規定 🔥 中頻度
第5条 自家用電気工作物の届出 手続規定 🔥🔥 高頻度

第1条の独自性

  • 数値も手続も規定しない(「○時間以内」「○日以内」のような暗記要素は無し)
  • 第3条で使う用語の前提整備(例:第3条「電気火災事故」「破損事故」「供給支障事故」はすべて第1条第2項で定義)
  • 電気事業法・施行令・施行規則の用語例を継承(第1項で宣言・上位法との語彙統一)

よくある混同

「報告規則は何の法律に基づくか」(H24 問3)という出題は、第1条の論点ではなく規則全体の上位法の論点。第1条本文には電気事業法を上位法と明示する文言は無い(第1項は施行規則等の 用語例による との宣言のみ)。詳しくは 6. ひっかけ参照。


1. 全体像と要点

  • 第1項: 電気事業法・電気事業法施行令・電気事業法施行規則 で使う用語の 例による(用語の継承宣言)
  • 第2項: 本規則固有の 14用語 を号番号順に定義
  • 性格: 定義条文(手続も数値も含まない)
  • 第3条で頻出: 第2項の 三号「主要電気工作物」・四号「電気火災事故」・五号「破損事故」・七号「供給支障事故」・十二/十三号「PCB含有電気工作物」 が事故報告対象として参照される
  • 実出題実績: R05上 問2 で第2項の 四号「電気火災事故」(せん絡)/五号「破損事故」(直ちに)/七号「供給支障事故」(操作) が同一問題内で3空欄穴埋め(第3条と複合)。「第1条は出ない」前提の対策は危険
  • R08 出題予測: 第2項の 他の号 にシフトする可能性中程度。主要電気工作物(三号)/PCB高濃度(十三号・0.5%超)/発電支障事故(十号)/放電支障事故(十一号) の用語定義が新規穴埋め対象になりうる

① 全体像 — 第1条の構造(第1項=継承/第2項=固有14定義)

第1条 — 定義条文の二層構造 第1項=他法令の用語を継承/第2項=本規則固有の14用語を定義 報告規則 第1条 定義(用語の意味) 第1項 — 用語の継承 他法令の用語を「例による」 ・電気事業法 ・電気事業法施行令 ・電気事業法施行規則 → 上位法と語彙統一 → 重複定義を回避 第2項 — 固有14用語 本規則だけで使う用語を定義 ・主要電気工作物(三号) ・電気火災事故(四号) ・破損事故(五号) ・供給支障事故(七号) ・PCB含有電気工作物(十二号) → 第3条以降で参照

読み解き: 第1条は「用語のハブ」。報告規則を読むときに「電気事業者」「自家用電気工作物」のような 電気事業法側で既に定義済み の用語は第1項経由で継承し、「電気火災事故」のような 報告手続上で新たに区切る必要がある 用語は第2項で本規則として独自に定義する。これにより本規則の各条文(第3〜5条)は 定義の重複や齟齬を生まずに手続だけを規定 できる。

② 要点(試験前30秒復習用)

観点 内容
性格 定義規定(数値・手続なし)
第1項の核心 電気事業法・施行令・施行規則 の用語例による
第2項の核心 本規則固有の 14用語 を定義(号番号順)
試験頻度 第1条単独では出にくいが、第3条の事故報告とセットで第2項の用語定義(電気火災事故・破損事故・供給支障事故)が問われる(R5上問2 実績)。第3条を解くための前提知識 として重要
よくある誤解 「第1条=目的」「第1条=制定根拠」 → どちらも 誤り(本条は定義条文)
セルフチェック: 報告規則第1条第1項が、自前で用語を定義せず「電気事業法等の例による」とわざわざ宣言しているのは何のためか。

上位法(電気事業法)で既に定義済みの語彙をそのまま継承し、報告規則の中で定義が重複・矛盾するのを防ぐため。 だから第1項は、電気事業法/電気事業法施行令/電気事業法施行規則の3法令の用語の例によると宣言し、報告規則固有に区切りたい用語だけを第2項で独自定義する。「参照3法令の暗記」ではなく"なぜ継承するのか(定義の齟齬回避)"が核心。

セルフチェック: 「電気火災事故」「破損事故」などの用語が、第1項で継承せず報告規則 第1条第2項で独自定義されているのはなぜか。

これらは"どこからを報告対象とするか"という報告手続上の区切りを新たに引く必要がある用語で、上位法には対応する定義が無いから第2項で独自に定義する。 「主要電気工作物」「電気火災事故」「破損事故」はすべて報告規則 第1条第2項(三号・四号・五号)。第3条で「事故が発生したら報告する」と書ける前提として、本条が報告対象の射程を確定している。「第2項という場所の暗記」ではなく"なぜ第1項の継承で済まないのか"が核心。


2. 条文原文

電気関係報告規則 第1条(定義)

第1項:この省令において使用する用語は、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号。以下「法」という。)、電気事業法施行令(昭和四十年政令第二百六号。以下「令」という。)及び電気事業法施行規則(平成七年通商産業省令第七十七号。以下「施行規則」という。)において使用する用語の例による。

第2項:この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

黄色マーカー = R05上 問2で実際に穴埋め出題された、または今後選択肢で狙われやすい重要キーワード。第1項単独の穴埋め実績は乏しいが、第2項の用語定義は第3条との複合形式で実出題あり。

第2項 — 14号の定義一覧

号 用語 定義の核心(要約)
一 再生可能エネルギー電気 FIT特別措置法に規定する再エネ電気
二 インバランス 一般送配電・配電事業者が小売事業者から受電した電気の差分等
三 主要電気工作物 小規模発電設備+施行規則別表第三の電気工作物のうち告示で定めるもの
四 ⭐R5上 電気火災事故 漏電・短絡・せん絡その他の電気的要因 で建造物等に火災が発生
五 ⭐R5上 破損事故 電気工作物の 変形・損傷・破壊 により電気工作物の機能が 直ちに 低下又は喪失
六 主要電気工作物の破損事故 別告示の主要電気工作物を構成する設備の破損事故
七 ⭐R5上 供給支障事故 破損事故又は誤操作 により電気の供給が停止
八 供給支障電力 供給支障事故発生時の供給電力の差
九 供給支障時間 供給支障事故発生から終了までの時間
十 発電支障事故 発電所の電気工作物の故障により 発電設備の運転が停止
十一 放電支障事故 蓄電所 の電気工作物の故障により運転を停止
十二 PCB含有電気工作物 別告示の電気工作物で PCB含有絶縁油 を使用するもの
十三 高濃度PCB含有電気工作物 PCB含有電気工作物のうち絶縁油中PCB重量割合が 0.5%超
十四 非化石電源 エネルギー供給事業者法に規定する環境適合利用電源

第3条と直結する用語(試験での重み付け)

太字の号(三・四・五・七・十二・十三) は第3条「事故報告」の対象事故と直結。第3条の論述問題で「電気火災事故とは何を指すか」「破損事故と供給支障事故の違いは」と問われた場合、本条 第2項 各号の定義 がそのまま解答の根拠になる。

⭐R5上 マーク: R05上 問2 で実際に穴埋め出題された箇所。黄色マーカー部分が空欄。せん絡(四号)/直ちに(五号)/操作(七号)の3点が同一問題内で問われた。

用語解説:「せん絡(閃絡・flashover)」とは

R5上問2 (ア) の正解。読みづらい漢字なので意味と他用語との違いを正確に押さえる。

字義と読み方

  • 漢字表記: 「閃絡」(条文では平仮名 せん絡)
  • 読み方: せんらく
  • 英語: flashover(フラッシュオーバー)
  • 字解: 「閃」=閃光(一瞬の光)、「絡」=つながる → 閃光を伴って電気的に繋がる現象

物理現象として何が起きているか

本来は絶縁されているはずの2点間で、空気や絶縁体の表面を経由したアーク放電 が発生し、瞬間的に閃光を伴って導通する現象。

観点 内容
発生条件 電気設備の絶縁性能が劣化(汚損・湿潤・劣化・氷結)/過電圧(雷サージ・開閉サージ)/空気の絶縁破壊
典型的な発生場所 碍子(がいし) の表面、変圧器ブッシング、避雷器、断路器の極間
見た目 一瞬の閃光(青白いアーク放電)と轟音
時間スケール マイクロ秒〜ミリ秒オーダー

「せん絡」と紛らわしい3用語の違い(電気火災事故の3原因の整理)

第1条第2項四号で電気火災事故の電気的要因として並列される 「漏電・短絡・せん絡」 はそれぞれ別物。混同すると失点する。

用語 読み方 物理現象 発生場所のイメージ
漏電 ろうでん 絶縁劣化により本来流れるべきでない経路に電流が漏れる 屋内配線・機器の絶縁劣化部
短絡 たんらく 異なる電位の導体同士が 直接接触 して低抵抗経路ができる(ショート) ケーブル損傷・端子の接触
せん絡 せんらく 空気や絶縁物表面を経由したアーク放電 で導通(直接接触はしない) 高電圧設備の碍子表面・空中放電

覚え方:3用語の使い分け

  • 漏電 = 「漏れる」(こっそり流れ出す)
  • 短絡 = 「直接ショート」(接触している)
  • せん絡 = 「閃いて絡む」(離れているのに空中/表面放電で繋がる)

試験で「せん絡」を見たら、碍子の表面汚損や空気絶縁破壊によるアーク放電 をイメージすると物理的に区別できる。

なぜ条文に「せん絡」が並列されているか

高圧・特別高圧設備(電柱の架空線・変電所等)では、碍子表面のせん絡 が火災の主要原因の一つ。塩害地域・降雨時・凍結時に特に発生しやすい。低圧設備中心の漏電・短絡だけを列挙すると、高圧設備での実際の事故原因をカバーできないため、条文で並列されている。

出題で問われる方向性

  1. 穴埋め直接出題(R5上問2 (ア)): 「漏電、短絡、( ア )その他の電気的要因」→ せん絡
  2. 誤答選択肢混入: 「絶縁低下」「絶縁破壊」「閃絡(漢字)」が誤答に出る可能性。条文文言は平仮名「せん絡」
  3. 論述問題での説明: 「電気火災事故の電気的要因にはどのようなものがあるか」→ 漏電・短絡・せん絡 の3点を物理現象として区別して説明

出典

電気関係報告規則(昭和40年通商産業省令第54号、令和5年改正版)第1条 — eGov法令検索(lawid=340M50000400054)で全14号を一次照合。号番号と用語名は告示・改正により増減・改名がありうるため、最新版は eGov を参照。


3. 原文解析(ブロック分解)

第1項を意味ブロック単位に分解し、それぞれの試験ポイントを整理する。

原文ブロック 意味 試験のポイント
「この省令において使用する用語は」 適用範囲=本規則全体の用語 第1条以降すべての条文の用語に効く
「電気事業法(…以下「法」という。)」 上位法の 略称定義 本規則中の「法」=電気事業法
「電気事業法施行令(…以下「令」という。)」 施行令の 略称定義 本規則中の「令」=施行令
「電気事業法施行規則(…以下「施行規則」という。)」 施行規則の 略称定義 本規則中の「施行規則」=電気事業法施行規則(電技解釈とは別物)
「において使用する用語の例による」 用語例の継承(独自定義をしない) 「例による」=同じ意味で使う、新しく定義し直さない
セルフチェック: 「例による」と「準用する」の違いは?

「例による」=意味だけを借りる(適用関係は本省令の中で完結)。「準用する」=条文の効果まで借りる(他法令の規定が直接効力を及ぼす)。第1条第1項は前者で、上位法の 用語の意味だけ を継承し、報告規則は独立した省令として運用される。詳細は下の解説 3.5節 参照。

セルフチェック: 「電気事業者」の定義は報告規則の中に書かれているか。書かれていないとしたら、その意味はどこから来て、なぜそうなっているのか。

報告規則自体には「電気事業者」の定義はない。報告規則第1条第1項の「用語の例による」により 電気事業法第2条 の定義をそのまま借りて読む。報告規則側で重複定義しないのは、省令ごとに同じ語を定義し直すと語彙が衝突・矛盾する恐れがあるため。「定義の場所の暗記」ではなく"なぜ自前で定義しないのか(齟齬回避)"が核心。

3.5 「例による」vs「準用する」

第1条第1項の 「電気事業法等で使用する用語の例による」 は、法令用語として極めて重要な技術表現。試験で誤答選択肢に「準用する」が混ざることも多いため、両者の違いを正確に押さえる必要がある。

定義と効果の違い

観点 「例による」 「準用する」
借りるもの 意味・用語の使い方 だけ 条文の規定内容そのもの(権利義務・手続・効果)
適用関係 借りた意味を 本省令の中で 使う(外部法令は直接適用されない) 借りた条文が 直接効力 を持って本省令に組み込まれる
他法令との独立性 本省令は 独立した法令 として完結 本省令の中で他法令の条文が そのまま動く
改正の影響 元の法令で意味が変わったら本省令側でも意味が変わる 元の条文が改正されたら本省令にも直接影響
典型的な使用箇所 定義条文(用語のハブ) 手続条文(同様の手続を別の場面で使う場合)

具体例で理解する

「例による」の例(報告規則第1条第1項):

「電気事業法、施行令、施行規則において使用する用語の 例による」

→ 報告規則の中で「電気事業者」「電気工作物」「自家用電気工作物」という言葉が出てきたら、電気事業法での意味と同じ と読む。ただし、電気事業法の 規定そのもの(事業許可・料金規制等)は報告規則には適用されない。借りるのは「言葉の意味」だけ。

「準用する」の例(一般的な法令の例):

「第○条の規定は、××の場合に 準用する」

→ 第○条で定めた手続・権利義務が、××の場面でも そのまま効力 を持つ。例えば「不服申立ての規定を、同様の処分に準用する」と書けば、不服申立ての全手続(期限・形式・効果)がその処分にも丸ごと適用される。

試験での見抜き方

シーン 適切な用語 誤って入れ替えると
用語の意味だけを他法令から借りる 例による 「準用する」だと他法令の条文効果まで及ぶことになり、独立した省令として成立しない
別の場面に同じ手続規定を適用 準用する 「例による」だと意味だけの借用となり、手続そのものが効力を持たない

暗記のコツ:『例=意味の借用/準=効果の借用』

  • 例(れい)→ "例えば" のニュアンス。意味の例として 用語を使う
  • 準(じゅん)→ "準じる" のニュアンス。効果に準じて 規定を適用する
  • 第1条第1項のように 定義条文 で使われるのは ほぼ 「例による」
  • 手続条文 で「○○の場合にも同じ手続が効く」と書きたいときは 「準用する」

誤答選択肢の頻出パターン

試験では「電気事業法、施行令、施行規則において使用する用語を 準用する」という選択肢が誤答として混ざる。条文文言は 「例による」 なので、「準用する」を選んだら誤り。条文の正確な暗記が必要。


4. 因果理解 — なぜ「定義条文」が冒頭に置かれるか

法令構造としての必然性

省令は 手続を簡潔に書く ことが要請される。手続条文(第3〜5条)の中で「電気火災事故とは漏電・短絡・せん絡…が原因の建造物火災である」と毎回定義していたら、条文が読みにくくなり、複数の手続で語彙が分散して齟齬を生む。そこで:

  1. 第1条で語彙を集約 → 全条文で同じ意味で使える
  2. 第3条以降は手続だけ書ける → 「電気火災事故が発生した時は…報告する」と書けば足りる
  3. 改正に強い構造 → 用語の射程変更(PCB基準値の改正など)は第1条だけ直せば全条文に波及

なぜ報告規則は「目的条文」を持たないのか

電気事業法・電気工事士法・電技省令は第1条が 「目的」 だが、報告規則は 「定義」 から始まる。これは:

  • 報告規則は 電気事業法第106条の権限を具体化する省令 であり、目的は上位法(電気事業法第1条=電気の安定供給と保安)から 継承 する
  • 省令は手続実装に特化するため、目的条文を別建てする必要がない
  • 同様の構造を持つ省令は多数(例:施行規則・各種告示)

ひっかけ:「報告規則第1条=目的」は誤り

第1条が 必ず目的条文である と早合点すると失点する。電気事業法・電気工事士法・電技省令などは確かに第1条が目的条文だが、少なくとも電気関係報告規則では、第1条は目的ではなく定義条文 である。法律や省令によって第1条の役割は異なるため、条文見出しは必ず一次ソース(eGov 法令検索等)で確認 する必要がある。本記事の旧版は誤って「目的」としていたが、本改訂で 「定義」 に訂正した(2026-05-09 eGov 一次ソース照合)。

第2項の14定義が事故報告に与える影響

第1条第2項の用語 第3条での使われ方
三号「主要電気工作物」 報告対象事故の発生設備の 範囲 を画定
四号「電気火災事故」 報告対象事故の 種別 として参照
五号「破損事故」 同上(電気的異常が原因か否かの境界)
七号「供給支障事故」 波及事故・停電事故の 上位カテゴリ
十/十一号「発電支障事故」「放電支障事故」 発電所・蓄電所の事故区分
十二/十三号「PCB含有電気工作物」 PCB漏油事故の 対象機器 を限定

→ 第3条の論述問題で「○○事故とは何か」を答える際は、本条第2項の該当号の定義をそのまま引用 すれば足りる。

第1条第2項 → 第3〜5条 の語彙フロー(実務での参照経路)

flowchart TD
    A["第1条第2項<br/>14用語の定義(語彙ハブ)"]:::def
    A -->|三・四・五・七号<br/>事故区分の語彙| B["第3条<br/>事故報告"]:::proc
    A -->|十二・十三号<br/>PCB含有電気工作物| C["第4条<br/>公害報告"]:::proc
    A -->|三号<br/>主要電気工作物| D["第5条<br/>自家用工作物届出"]:::proc
    classDef def fill:#bbdefb,stroke:#0d47a1,stroke-width:2px
    classDef proc fill:#ffccbc,stroke:#bf360c,stroke-width:2px

実務での読み解き: 現場(保安規程に基づく 実務 運用)で事故が起きたとき、まず第3条の表で報告対象か判定 → 報告対象なら第1条第2項の用語定義に立ち戻り正式名称を確定 → 報告書に記載する流れ。実務 では第3条の暗記だけでは事故区分(破損 vs 供給支障 vs 発電支障)の境界判定で迷う場面があり、第1条第2項の定義精読が 実務 上の決定打になる。


5. 頻出ひっかけ・落とし穴

🔴 致命的(試験で実際に失点しやすい)

# ❌ 誤った認識 ✅ 正しい認識
1 報告規則第1条=目的条文 報告規則第1条=定義条文(目的条文は無い)
2 「報告規則は電気事業法に基づく」が第1条で明記されている 第1条本文に上位法明示の文言は 無い。基づくのは事実だが根拠は 電気事業法第106条(報告の徴収)と 本規則の制定経緯
3 第1条第1項で「電気設備技術基準」の用語例を継承 継承するのは 電気事業法・施行令・施行規則 の用語のみ。電技省令とは別系統

🟡 注意(出題の余地あり)

# ❌ 誤った認識 ✅ 正しい認識
4 「電気火災事故」は条文上未定義で実務通称 第1条第2項 四号で正式定義済み(漏電・短絡・せん絡その他の電気的要因による建造物火災)
5 「波及事故」は第1条第2項に定義されている 存在しない。波及事故は実務通称で、条文上は 七号「供給支障事故」 の一類型として整理される
6 PCB含有電気工作物は重量割合に関係なく一律規制 第1条第2項 十二号(含有)と十三号(高濃度=0.5%超) で区分。事故報告でも区分が異なる

🟢 軽度(知っていれば加点・実務で混同しない程度)

# ❌ 誤った認識 ✅ 正しい認識
7 第1条第2項十一号「放電支障事故」は 電力会社の放電現象 が対象 蓄電所 の電気工作物の故障による運転停止が対象(蓄電池系の事故区分。「放電」は蓄電所の動作モード)
8 第1項の略称定義「法/令/施行規則」は本規則限定の独自表記 多くの省令で同様の 略称定義パターン(法=事業法、令=施行令)が踏襲される一般慣行

H24 問3 の本当の論点

H24 問3「電気関係報告規則は何法に基づくか」の正解は 電気事業法。これは 規則全体の上位法を問う論点 であり、第1条そのものの論点ではない。

  • 第1条本文には「電気事業法に基づく」とは書かれていない
  • 上位法の根拠は 電気事業法第106条(経済産業大臣の報告徴収権限)にある
  • 報告規則は、この権限を具体化する 委任省令

H24 問3 を解くときの思考フロー

  1. 「報告規則」の根拠法は何か → 電気事業法(第106条が報告徴収の権限を定める)
  2. 「電気設備技術基準」「電気技術者法」は別系統 → 誤選択肢
  3. 第1条の 用語の例による という第1項表現が「電気事業法等を上位として認識している傍証」になるが、直接の根拠条文は第106条

6. 過去問チャレンジ

実問題1: R05上 問2(第1条第2項の用語定義 × 第3条の事故報告)

問題(令和5年上期 法規 問2 — 穴埋)

電気関係報告規則において、次の用語の定義を完成させよ。

  • 「電気火災事故」とは、漏電、短絡、( ア )その他の電気的要因により建造物等に火災が発生することをいう。
  • 「破損事故」とは、電気工作物の変形、損傷若しくは破壊により電気工作物の機能が( イ )低下又は喪失したことをいう。
  • 「供給支障事故」とは、破損事故又は電気工作物の誤( ウ )により電気の供給が停止することをいう。
  • 自家用電気工作物の事故が発生した場合、感電により死亡又は病院若しくは診療所( エ )した事故は報告対象となる。
解答
  • ア = せん絡(第1条第2項 四号「電気火災事故」 の電気的要因の例示)
  • イ = 直ちに(第1条第2項 五号「破損事故」 の機能低下/喪失の即時性)
  • ウ = 操作(第1条第2項 七号「供給支障事故」 の原因類型)
  • エ = に入院(第3条 報告対象事故の表 第1号・感電による死傷の閾値)
解説と復習導線

この問題の構造的意義

本問は 第1条第2項(用語定義)と第3条(報告手続)を一体で問う 法規分野の典型出題。3つの空欄が第1条第2項の三定義(電気火災事故・破損事故・供給支障事故)に直結し、1つが第3条の報告対象閾値。「第1条は出題されない」と思い込んで対策を怠ると失点する。第3条の暗記だけでは不十分 で、第1条第2項の各号定義を併せて押さえる必要がある。

誤答パターン: - (ア)「絶縁低下」: 電気火災事故の条文では使われない(漏電・短絡・せん絡が条文の3並列) - (イ)「制御できず」: 「直ちに」が条文文言。機能低下/喪失の 即時性 を表す副詞 - (ウ)「停止」: 「操作」が条文文言。「破損事故 又は 誤操作」で対句構造 - (エ)「で治療」: 「に入院した」が条文文言。外来診療は対象外

実問題2: 第1条第1項の用語継承(学習用補強問題)

問題(学習用構成問題)

電気関係報告規則 第1条第1項は、本省令で使用する用語について、( ア )、電気事業法施行令及び( イ )において使用する用語の( ウ )と規定している。

解答
  • ア = 電気事業法
  • イ = 電気事業法施行規則
  • ウ = 例による
解説と復習導線

「電気設備技術基準」「電気事業法施行細則」「準用する」は典型的な誤答。「例による」 は条文文言そのままで、「準用する」とは効果が異なる点に注意(→ 3. セルフチェック参照)。

出題実績のまとめ

  • 第1条第2項(用語定義): R05上 問2 で実出題実績あり(せん絡・直ちに・操作の3空欄)。第3条との複合形式で問われる
  • 第1条第1項(用語継承): 過去14年で単独穴埋め出題ゼロ。実問題2 は教育的補強として構成
  • R08 出題予測: 第1条第2項の 他の号(主要電気工作物・PCB高濃度=0.5%超・発電/放電支障事故)が新規穴埋め対象になる可能性あり。R5上問2 で四・五・七号が消化されたため、R08では十・十一・十三号(蓄電池・PCB高濃度)に出題シフトの余地
  • 過去問引用の改変有無: 実問題1(R05上問2)は denken-ou.com/denken.joho.info の解説と照合した一次問題文を 改変なし で掲載(空欄記号 (ア)〜(エ) のみ整形)。実問題2 は学習用構成問題(出題実績はゼロ)

✅ 数値検証 PASS(一次ソース照合済 2026-05-09)

本記事の数値は eGov 法令検索(lawid=340M50000400054 / 電気関係報告規則 令和5年改正版)で全件一次照合済(数値検証 PASS)。数値の論拠は以下の通り:

数値 出典条項 検証結果
第2項の定義号数 14号 第1条第2項 一号〜十四号 ✅ PASS(号番号と用語名すべて一次照合)
PCB高濃度=重量割合 0.5%超 第1条第2項 十三号 ✅ PASS(条文文言「100万分の5,000を超えるもの」=0.5%超)
電気事業法 第106条(報告徴収の権限) 電気事業法 第106条 ✅ PASS(本規則の上位法・委任根拠)
昭和40年通商産業省令 第54号 報告規則 制定根拠 ✅ PASS(eGov メタデータ照合)
第3条の速報24時間/詳報30日 第3条第1項 ✅ PASS(jiko-3.md で別途照合)

数値の根拠条項を全て条数で示し、暗記補助の概算値や教育的近似は本記事内に 含めない(混入時は当該箇所に !!! warning "教育的近似" ガードを併記)。


7. まぎらわしい選択肢と正解の違い

誤った記述 正しい記述 なぜ違うか
「報告規則第1条は本省令の 目的 を定める」 本省令で使用する用語の意義 を定める(定義規定) 本条は定義条文。報告規則は目的条文を持たない
「報告規則は電気設備技術基準に基づく」 電気事業法(特に第106条)に基づく 技術基準は施設基準、報告規則は手続規則で別系統
「波及事故は第1条第2項で定義されている」 波及事故は条文上の用語ではない。七号「供給支障事故」 の一類型として整理 実務通称と条文用語の区別
「PCB含有電気工作物の高濃度区分は重量1%超」 第1条第2項十三号で 0.5%超 数値の正確な暗記が必要
「第1条第1項は『準用する』と規定」 「例による」 と規定 「例による」は意味の借用、「準用する」は効果まで借りる別概念

3列翻訳テーブル — 日常語 ⇆ 法規表現 ⇆ 試験での意味

第1条第2項の主要用語を、日常語(普段の言い回し)/法規表現(条文上の語)/試験での意味(混同注意・正答に直結) の3列で対照する。試験本番では「法規表現」のまま選択肢に並ぶため、日常語からの言い換えで答えると誤答する。

日常語 法規表現(条文上の語) 試験での意味(混同注意)
火花が飛んで燃える 電気火災事故(第2項四号) 漏電・短絡・せん絡 その他の電気的要因 → 「絶縁低下」「絶縁破壊」は誤答
機械が壊れる 破損事故(第2項五号) 変形・損傷・破壊で機能が 直ちに 低下/喪失 → 「徐々に劣化」は条文外
停電する 供給支障事故(第2項七号) 破損事故 又は 誤 操作 が原因 → 「故障」「不具合」は誤答
電気を作る装置が止まる 発電支障事故(第2項十号) 発電所の電気工作物の故障で 発電設備の運転が停止
電池の充放電が止まる 放電支障事故(第2項十一号) 蓄電所 の電気工作物の故障で運転を停止 → 「蓄電池」「電力貯蔵装置」は誤答候補
大事な機械 主要電気工作物(第2項三号) 小規模発電設備+施行規則別表第三のうち 告示で定めるもの に限定
有害な絶縁油を含む機器 PCB含有電気工作物(第2項十二号) 別告示の機器で PCB含有絶縁油 を使用するもの
高濃度PCB機器 高濃度PCB含有電気工作物(第2項十三号) 絶縁油中PCB重量割合が 0.5%超(重量1%超は誤り)
ショート・つながる せん絡(四号内) 空中/表面の アーク放電(漏電・短絡とは別物)
同じ意味で使う 例による(第1項) 意味だけ借用(準用する は条文効果まで借りる別概念)

言い換えで答えない

記述問題で「電気火災事故」を「火花事故」「ショート事故」と書くと条文文言不一致で減点。条文文言(法規表現列)をそのまま再現するのが安全。


📒 解いたら記録 → 間違えたら間違えノートへ(PDCAを回す)

各過去問の「理解した/曖昧/間違えた」ボタンで解答結果を残せます

上の過去問の各ブロック下に出る 理解度ボタン(〇理解した/△曖昧/×間違えた) とメモ欄で、解いた結果がブラウザの localStorage に保存されます(Do→Check)。

👉 間違えノートを開く(法規Wiki/直前まちがいノート)

  • ×間違えた を押した問題は間違えノートに 自動集約 され、間違えた問題だけ抽出して再演習できる(Check→Act)
  • メモ欄に「なぜ間違えたか」を残すと、次回復習時に文脈ごと復元される
  • 同一オリジン(kfurufuru.github.io)配下なので、本Wiki/法規Wiki/理論Wiki のチェック記録は すべて同じ間違えノートに集約(横断PDCA)

8. 関連条文・関連ページ


監修ログ

監修ログ(2026-05-09 ゴールドスタンダード v2.3 準拠)

執筆: 編者 / Claude Opus 4.7(テンプレ準拠改修) 監修パス:

  • 典拠(一次ソース)照合: 実施 — eGov法令検索(lawid=340M50000400054)で第1条 ArticleCaption=「定義」を確認・第2項14号の用語と定義冒頭を全件照合
  • 重大訂正: 旧版 jiko-1.md(v1.0 2026-04-20)は本条を「目的」と誤記していた(条文番号・条見出しの一次ソース未照合事案)。本改訂(v2.0 2026-05-09)で「定義」に全面訂正
  • 既存wiki参照の独立検証: 実施(隣接 jiko-3/jiko-4/jiko-5/index.md/koji-shi-1.md の本条への参照表記を全件 grep し、誤記「第1条(目的)」を併修正)
  • 過去問実績: kakomon DB照合(v2.0 時点)— kakomon.yml では article=報告規則§3 と登録されているため第1条実績を当初見落とし。ユーザー指摘により再検証 し、R05上 問2 の実問題文(denken-ou.com/denken.joho.info で確認)で (ア)せん絡=第2項四号/(イ)直ちに=第2項五号/(ウ)操作=第2項七号 の3空欄が第1条第2項由来と判明。第1条は 複合形式で実出題実績あり が正確
  • 改正動向: 第2項十号「発電支障事故」十一号「放電支障事故」十四号「非化石電源」は近年の追加。蓄電所・再エネ普及に対応した改正
  • AI社員レビュー: 落合陽一・ひろゆき・ホリエモン3者で「slug 維持/H24論点の置き場所/隣接修正同セッション化」を3-0全員一致 + 2-1深掘り合意で承認

更新履歴:

  • 2026-05-09 v2.0: 旧「目的」誤記から「定義」へ全面訂正・テンプレv2.3準拠改修
  • 2026-05-09 v2.1: ユーザー指摘により R05上 問2 の出題実績を反映。出題頻度 ❄️→🔥🔥/重要度 C→B/6. 過去問チャレンジに R5上問2 の実問題を追加/2. 条文原文表に ⭐R5上 マークを付与
  • 2026-05-09 v2.6: 最新テンプレート(kijun/58.md ゴールドスタンダードv2.3 / wiki_quality_check.py v3.1 18項目スコアリング)と差分照合し不足項目を補強。追加事項:💡5秒で思い出す(I12)/数値検証 PASS 表(I02 +6点/PCB 0.5%・第106条等を一次照合)/改変なし明記(I10 +5点)/3列翻訳テーブル 日常語⇆法規表現⇆試験での意味(I13 +5点)/🟢軽度ひっかけ2件追加(I07 +2点)/第1条→第3〜5条 mermaid フロー図(I14 +2点)/実務イメージ加筆(I15 +2点)/重要度ランクB を bold 形式に整形(I17 +2点)。v3.1 総合スコア 73→97(B→S)/kijun/58.md S-rank 93 を上回る

最終確認: 2026-05-09 | ステータス: v2.6(テンプレ最新差分照合・S-rank 97/100 達成) | 条文番号: ✅ 一次ソース照合済(eGov 報告規則 第1条 ArticleCaption=「定義」) | 出題実績: ✅ R05上問2(穴埋・第1条第2項四・五・七号 + 第3条複合)を一次問題文で照合済(改変なし) | テンプレ世代: ゴールドスタンダードv2.3準拠 + wiki_quality_check.py v3.1 18項目評価 S-rank | バージョニング基準