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🧲 自己・相互インダクタンス

インダクタンスの問題は「自己か相互か、和動か差動か」を最初に確認する。それだけで±2Mの符号が決まる。

⚡ 5秒で思い出す

「和動は+2M(同方向で強め合う)、差動は−2M(逆方向で打ち消す)。インピーダンス変換は巻数比の2乗」


🧠 概念・趣旨

自己インダクタンス L

コイルに流れる電流が変化すると、その変化を妨げる方向に自分自身のコイルに起電力が発生する。この性質を表す定数が自己インダクタンス L。

  • 式の意味: 電流の変化速度(di/dt)が大きいほど、誘起される起電力 e が大きい
  • 単位: H(ヘンリー)
  • 公式: e = -L × (di/dt) [V]
  • エネルギー: W = (1/2) × L × I² [J]
  • 符号のマイナス: レンツの法則。電流変化を「妨げる」方向に起電力が生じるため負になる

ひっかかり No.1: eの符号を正にしてしまう

e = L × (di/dt) とプラスで書いてしまう誤りが頻出。

レンツの法則「変化を妨げる方向」= 逆向きに作用 → 必ずマイナス。

eの符号は常にマイナス。問題文の選択肢にプラスがあっても惑わされない。

相互インダクタンス M

2つのコイルが近くに置かれていると、一方のコイルの電流変化が他方のコイルに起電力を誘起する。この相互作用を表す定数が相互インダクタンス M。

  • 式の意味: コイル1の電流変化(di₁/dt)がコイル2に起電力 e₂ を生じさせる
  • 単位: H(ヘンリー)
  • 公式: e₂ = -M × (di₁/dt) [V]
  • 結合係数: k = M ÷ √(L₁ × L₂) (0 ≦ k ≦ 1)

結合係数 k の意味

  • k = 1(完全結合): 2つのコイルの磁束が100%互いに鎖交する。理想変圧器はこの状態。
  • k = 0(結合なし): 2つのコイルが完全に独立。磁束が全く干渉しない。
  • 0 < k < 1(部分結合): 実際のトランスや近接コイルはこの範囲に入る。

k は「何割の磁束が相手に届くか」の割合と理解する。


📊 コイルの直列接続

和動接続(磁束が同方向)

2つのコイルを直列に接続し、両コイルの磁束が互いに強め合う方向になる接続。

  • 合成インダクタンス: L = L₁ + L₂ + 2M
  • ドットマーク(・)が同側(両コイルで入力端側)にある場合が和動接続

差動接続(磁束が逆方向)

2つのコイルを直列に接続し、両コイルの磁束が互いに打ち消す方向になる接続。

  • 合成インダクタンス: L = L₁ + L₂ - 2M
  • ドットマーク(・)が異側(一方は入力端、他方は出力端)にある場合が差動接続

ひっかかり No.2: 和動・差動の±を逆にする

「どちらがプラスでどちらがマイナスか」を暗記しようとすると混乱する。

判断手順: 1. ドットマーク(・)の位置を確認する 2. 電流の向きと照らし合わせて磁束の向きを確認する 3. 磁束が同方向 → 強め合う → +2M(和動) 4. 磁束が逆方向 → 打ち消す → -2M(差動)

ドットマークの意味「電流がドットから入るとき、磁束はコイル軸の正方向に発生する」を押さえれば符号は自然に決まる。


📊 和動 vs 差動 比較表

項目 和動接続 差動接続
磁束の向き 同方向(強め合う) 逆方向(打ち消す)
合成インダクタンス L₁ + L₂ + 2M L₁ + L₂ - 2M
ドットマーク 同側 異側
値の大小 大きい 小さい

🧠 変圧器の基礎

理想変圧器(k = 1、損失ゼロ)における巻数比と各量の関係。

巻数比と電圧・電流の関係

  • 巻数比: a = N₁ ÷ N₂
  • 電圧比: V₁ ÷ V₂ = N₁ ÷ N₂ = a
  • 電流比: I₁ ÷ I₂ = N₂ ÷ N₁ = 1 ÷ a

インピーダンス変換

一次側から見た二次側のインピーダンスは巻数比の2乗で変換される。

  • 公式: Z₁ = a² × Z₂

ひっかかり No.3: 電圧比と電流比が同じ比になると思う

巻数比 a = N₁/N₂ のとき:

  • 電圧は巻数に比例(V₁/V₂ = a)
  • 電流は巻数に反比例(I₁/I₂ = 1/a)

N₁ > N₂(一次側の巻数が多い)なら、一次側は電圧が高く電流が少ない。二次側は電圧が低く電流が多い。電力保存(V₁I₁ = V₂I₂)から導ける。

ひっかかり No.4: インピーダンスを巻数比そのままで変換してしまう

Z₁ = a × Z₂ とやってしまう誤りが頻出。

インピーダンスは「電圧/電流」の比。電圧が a 倍、電流が 1/a 倍になるから、インピーダンスは a × (1/a)⁻¹ = a² 倍になる。

インピーダンス変換は必ず巻数比の「2乗」。


🚨 ひっかかりポイント まとめ

混同 No.1: eの符号をプラスにする

レンツの法則により、自己誘導・相互誘導ともに起電力は変化を妨げる方向。 e = -L(di/dt)、e₂ = -M(di₁/dt) のマイナスは絶対に外さない。

混同 No.2: 和動・差動の符号を反転させる

ドットマークを見て磁束の向きを確認する手順を守る。 同方向 → +2M(和動)、逆方向 → -2M(差動)。

混同 No.3: インピーダンス変換を a 倍にする

インピーダンスは a² 倍(2乗)。電圧・電流はそれぞれ a 倍・1/a 倍。 3者の変換比を区別して覚える。


📝 頻出論点と落とし穴

  1. 🎯 結合係数 k の計算

    • M が与えられ k を求める問題:k = M ÷ √(L₁ × L₂) をそのまま適用。
    • k と L₁、L₂ が与えられ M を求める問題:M = k × √(L₁ × L₂) に変形して使う。
  2. 🎯 和動・差動の合成から M を逆算する

    • L和動 = L₁ + L₂ + 2M、L差動 = L₁ + L₂ - 2M の両式が与えられる問題では:
    • L和動 - L差動 = 4M → M = (L和動 - L差動) ÷ 4 で M を求められる。
  3. 🎯 変圧器の一次側換算インピーダンス

    • 問題文に「一次側から見たインピーダンス」とあれば Z₁ = a²Z₂ を使う。
    • 「二次側から見た一次側のインピーダンス」なら Z₂ = Z₁ ÷ a²。方向に注意。
  4. 🎯 エネルギー W = (1/2)LI² の単位確認

    • L の単位が H、I の単位が A であることを確認してから計算する。
    • 選択肢の単位が J(ジュール)か W(ワット)かで問われていることが変わる。

🧠 正答者 vs 誤答者の視点差

観点 ❌ 誤答者 ✅ 正答者
eの符号 e = L(di/dt) とプラスで書く レンツの法則からマイナスと即答。e = -L(di/dt)
和動・差動 ±2M を暗記しようとして混乱 ドットマーク → 磁束の向き → 同方向か逆方向かで判断
インピーダンス変換 a倍(巻数比そのまま)と思う 電圧×電流の変換比から a²倍と導ける
電圧・電流比 どちらも同じ比と思う 電力保存から電圧比と電流比は逆比と理解
M の逆算 和動・差動の式を別々に立てて計算 差をとって4Mで割る(L和動-L差動=4M)と一発

🔗 関連テーマ

  • 電磁誘導 — ファラデーの法則・レンツの法則の詳細。e = -N(dΦ/dt) との対応
  • 交流回路 — インダクタンスのリアクタンス XL = ωL。位相の遅れ

最終確認: 2026-04-14 | ステータス: v1.0 | バージョニング基準