B問題 計算テンプレート集¶
法規B問題(問10〜13)の計算パターンをステップバイステップでテンプレート化。 手順に沿って数値を代入するだけで解ける「再現性のある解法」を目指す。
1. 需要率・不等率・負荷率¶
なぜ出る?¶
変圧器容量や配電設備の経済的な設計に直結。過大設備=ムダ、過小設備=過負荷事故。
解法テンプレート¶
【Step 1】問題文から3つの値を特定
├─ 設備容量 [kW]
├─ 最大需要電力 [kW]
└─ 平均需要電力 [kW](または電力量と時間から算出)
【Step 2】公式を選択
├─ 需要率 = 最大需要電力 ÷ 設備容量
├─ 負荷率 = 平均需要電力 ÷ 最大需要電力
└─ 不等率 = 各負荷の最大需要電力の合計 ÷ 合成最大需要電力
【Step 3】複数負荷がある場合の合成最大需要電力
合成最大 = 各最大の合計 ÷ 不等率
※ 不等率が与えられている場合はこの式で合成最大を求める
【Step 4】変圧器容量の決定
変圧器容量 ≧ 合成最大需要電力 ÷ 力率
最頻出ミス
需要率と負荷率の分母を逆にする。覚え方:需要率の「需」=「設備をどれだけ需要してるか」→ 分母は設備容量。
2. 力率改善(コンデンサ容量)¶
なぜ出る?¶
力率が低い→電力損失I²R増大→電力会社の料金割増。コンデンサ設置は実務の基本。
解法テンプレート¶
【Step 1】問題文から抽出
├─ 有効電力 P [kW]
├─ 改善前の力率 cos θ1
└─ 改善後の力率 cos θ2
【Step 2】tanを求める
├─ tan θ1 = sin θ1 ÷ cos θ1(cos→sinは √(1-cos²θ) で変換)
└─ tan θ2 = sin θ2 ÷ cos θ2
【Step 3】コンデンサ容量を計算
Qc = P × (tan θ1 − tan θ2) [kvar]
【Step 4】単位と方向を確認
├─ Qc > 0 であること(改善前tan > 改善後tan は必ず成立)
└─ 三相回路なら P は三相有効電力 [kW]
速解テクニック
cos 0.6 → tan 1.333、cos 0.8 → tan 0.75、cos 0.85 → tan 0.620、cos 0.9 → tan 0.484、cos 0.95 → tan 0.329、cos 1.0 → tan 0。頻出値は暗記しておくと計算時間を大幅短縮。
3. 全日効率(変圧器)¶
なぜ出る?¶
変圧器は24時間通電。最大効率時だけでなく1日トータルの効率で経済性を評価する。
解法テンプレート¶
【Step 1】問題文から抽出
├─ 定格容量 [kVA]
├─ 鉄損 Pi [kW](無負荷損 = 常に一定)
├─ 銅損 Pc [kW](全負荷時の値)
└─ 負荷スケジュール: 各時間帯の負荷率 α と時間 t [h]
【Step 2】1日の出力電力量を計算
Wout = Σ (α × 定格容量 × 力率 × t) [kWh]
【Step 3】1日の損失電力量を計算
Wloss = 24 × Pi + Σ (α² × Pc × t) [kWh]
~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~
鉄損は24h固定 銅損はα²に比例
【Step 4】全日効率を計算
η = Wout ÷ (Wout + Wloss) × 100 [%]
最頻出ミス
鉄損を負荷に比例させてしまう。鉄損=磁束による損失=電圧が一定なら常に一定。銅損だけがα²比例。
4. 絶縁耐力試験電圧¶
なぜ出る?¶
新設・改修後の設備が絶縁性能を満たすか確認する法定試験。電圧値の計算が頻出。
解法テンプレート¶
【Step 1】最大使用電圧 Vm を求める
├─ 公称電圧 6,600V の場合: Vm = 6,600 × 1.15 ÷ 1.1 = 6,900V
└─ 公称電圧 × (1.15/1.1) が基本(7,000V以下の場合)
【Step 2】試験電圧を算出
├─ 交流耐圧試験: Vm × 1.5 [V](10分間)
│ 例: 6,900 × 1.5 = 10,350V
└─ 直流耐圧試験: 交流試験電圧 × 2 [V]
例: 10,350 × 2 = 20,700V
※ ケーブルの場合は直流で試験(充電電流が大きいため)
【Step 3】試験時間
├─ 交流: 連続10分間
└─ 直流: 連続10分間
実務の背景
なぜ1.5倍? 通常使用電圧+雷サージや開閉サージの過電圧を想定し、十分な絶縁マージンを確保するため。
5. %Z(パーセントインピーダンス)と短絡電流¶
なぜ出る?¶
遮断器の遮断容量選定や保護協調の基礎。工場の受変電設備設計の実務そのもの。
解法テンプレート¶
【Step 1】問題文から抽出
├─ 変圧器の %Z [%]
├─ 定格容量 Pn [kVA]
└─ 定格二次電圧 V2 [V]
【Step 2】定格二次電流を計算
In = Pn ÷ (√3 × V2) [A](三相の場合)
【Step 3】短絡電流を計算
Is = In ÷ (%Z ÷ 100) = In × (100 ÷ %Z) [A]
【Step 4】短絡容量を計算(求められた場合)
Ps = √3 × V2 × Is [VA] = Pn × (100 ÷ %Z) [VA]
【基準容量換算が必要な場合】
%Z' = %Z × (P基準 ÷ Pn)
※ 複数変圧器の並列や系統全体の計算では基準容量を統一する
最頻出ミス
基準容量を揃え忘れる。%Zは「定格容量ベース」で与えられる。異なる容量の変圧器を並列計算する際は、共通の基準容量に換算してから合成する。
6. 過電流継電器(OCR)の動作時間¶
なぜ出る?¶
保護協調=事故時に適切な遮断器だけが動作する設計。電力会社との協調も含めた実務的内容。
解法テンプレート¶
【Step 1】問題文から抽出
├─ CT比(例: 30/5)
├─ タップ値 [A]
├─ 事故電流 If [A](一次側)
└─ 限時特性曲線(レバー値・動作時間の関係)
【Step 2】CTの二次側電流を計算
I2 = If ÷ CT比 [A]
例: If=900A, CT比=30/5 → I2 = 900 × (5/30) = 150A
【Step 3】タップ倍数を計算
倍数 = I2 ÷ タップ値
例: I2=150A, タップ=5A → 倍数 = 30倍
【Step 4】限時特性曲線から動作時間を読み取る
├─ 倍数とレバー値の交点を読む
└─ 上位・下位の協調(時間差0.3秒以上)を確認
7. 水力発電¶
なぜ出る?¶
電気施設管理カテゴリの計算問題として頻出。R07上期問11(流込式)・過去5回以上の出題実績、再出題🔁が3件。「年間発電電力量・設備利用率・揚水総合効率」の組合せで出題され、今後の再出題確率が高い最重要計算カテゴリ。
共通基礎:公式と用語¶
P [kW] = 9.8 × Q [m³/s] × H [m] × η (位置エネルギー mgh から導出。ρ=1000、g=9.8 を代入し /1000 で kW 換算)
| 記号 | 日常語 | 試験での意味 | 単位ひっかけ |
|---|---|---|---|
| Q | 流量 | 単位時間あたりの水の体積 | m³/h なら ÷3600、L/s なら ÷1000 |
| H | 落差 | 有効落差(総落差 − 損失落差) | 揚水時は実揚程 H' を使う |
| η | 総合効率 | 水車効率 η_t × 発電機効率 η_g | ポンプ時は分母に η_pump |
時間軸: 1年=8760時間/1日=86400秒。式の左辺と右辺で「秒」か「時」かを揃えてから代入する。
3方式の判別フロー¶
flowchart TD
A[水力発電所のタイプは?] --> B{貯水池がある?}
B -->|なし<br>河川流量そのまま発電| C[流込式<br>=Run-of-river]
B -->|あり| D{揚水ポンプがある?}
D -->|なし<br>1日〜1週間の流量調整| E[調整池式<br>または貯水池式]
D -->|あり<br>夜間に汲み上げ昼に発電| F[揚水式<br>=Pumped storage]
C --> G[7-1: 年間発電電力量と設備利用率]
E --> H[7-2: 1日の貯水と運用]
F --> I[7-3: 総合効率と所要電力量]
概念図(落差・流量・出力の関係)¶
7-1. 流込式:流量持続曲線で発電量を読む¶
対応過去問: R07上期問11(流込式水力発電所の年間発電電力量と設備利用率)/その他過去5回以上の出題実績
まず絵で理解:流量持続曲線(FDC)とは¶
「1年365日の流量を 多い順に並べ直した曲線」が流量持続曲線。横軸は日数、縦軸は流量。豊水期は左、渇水期は右に来る。
この絵で押さえるべき3点:
- 曲線下の面積 = 1年に流れる総水量。豊水期は線が高く、渇水期は線が低い。
- QH(最大使用水量)の水平線で頭打ち。線より上の流量は水車で処理できず捨てるしかない(捨水)。
- 使える水量=曲線とQH線で囲まれた下側面積。これに 9.8 × H × η × 24時間 を掛けて積分すれば年間発電電力量になる。
用語の翻訳辞書(問題文を読み解くカギ)¶
| 法規用語 | 何を意味するか | 試験での読み方 |
|---|---|---|
| 渇水量 Qd | 1年で 355日以上 確保できる流量 | 流量曲線の「右端 d=355」で読む値 |
| 低水量 | 1年で 275日以上 確保できる流量 | d=275 で読む値(出題は少ない) |
| 平水量 | 1年で 185日以上 確保できる流量 | d=185 で読む値 |
| 豊水量 | 1年で 90日以上 確保できる流量 | d=90 で読む値 |
| 最大使用水量 QH | 水車が処理できる 流量の上限=設備容量 | 曲線にQHの水平線を引き、頭打ち区間を作る |
| 使用水量 | 実際に発電に使う流量 | min(その日の流量, QH) |
問題文に「最大使用水量は渇水量の2倍」と書かれていたら、QH = 2 × Qd を曲線に水平線として描くだけ。あとは曲線とこの水平線の交点で日数を読むのみ。
なぜ QH は渇水量の 2〜3倍に設計するのか¶
| QH の設計値 | 設備利用率 | 年間発電量 | コメント |
|---|---|---|---|
| QH = Qd(渇水量と同じ) | 100% | 小さい(渇水量×365日分のみ) | 設備は遊ばないが発電量が伸びない |
| QH = Qd × 2〜3 | 60〜90% | バランス良 | 実機のセオリー・出題の典型値 |
| QH = Qd × 10 | 10〜30% | やや大 | 豊水期しか稼働できず設備が遊ぶ |
設備容量を大きくすればピーク発電量は増えるが、年間の大半は流量がそこまで来ないので遊休。発電量と稼働率の妥協点が「渇水量の2〜3倍」。試験ではこの倍率で QH が与えられる。
Step(3つに圧縮)¶
【Step 1】曲線から QH と Qd を読む
├─ Qd = 流量曲線の d=355 点(または問題で直接与えられる)
├─ QH = 問題文「渇水量の○倍」「最大使用水量◯◯m³/s」から確定
└─ QH の水平線を曲線に引き、交点の日数 d₁ を読む(QH以上の流量がある日数)
【Step 2】1年を2区間に分けて発電量を計算
├─ 区間A(0日〜d₁日): QH 頭打ち
│ W_A = 9.8 × QH × H × η × 24 × d₁ [kWh]
└─ 区間B(d₁日〜365日): 曲線に追従
平均流量 Q_avg を曲線から読む(中点の値 or 積分)
W_B = 9.8 × Q_avg × H × η × 24 × (365 − d₁) [kWh]
→ 年間電力量 W = W_A + W_B
【Step 3】設備利用率
P_max [kW] = 9.8 × QH × H × η (定格出力)
設備利用率 = W ÷ (P_max × 8760) × 100 [%]
最頻出ミス
「渇水量」と「年平均流量」を混同する。前者は355日点(曲線の右端)、後者は曲線下面積を365で割った値。問題文に「渇水量」と書かれていたら d=355 の値を使う。
速解テクニック
流込式の設備利用率は典型 60〜90%。30%以下や100%超は計算ミス。R07上期問11の正解 88.0% も典型値帯に収まる。
R07上期問11の鍵
流量曲線が Q = −0.05d + 25.5(d≥90日) の直線で与えられたら、QH の水平線との交点 d₁ は方程式 QH = −0.05d₁ + 25.5 を解くだけ。区間Bの平均流量も直線なので「両端の中点」で計算できる(積分不要)。
7-2. 調整池式:1日の貯水と放流サイクル¶
対応過去問: 調整池水力発電所の運転管理🔁/調整池式水力発電所の貯水量・発電電力🔁/調整池式水力発電の発電電力量と流量🔁
まず絵で理解:1日の流量と貯水量¶
河川は 1日中ほぼ一定の流量 で流れ込む(雨が降らない限り)。しかし電力需要は昼ピーク・夜オフピークで大きく変動する。調整池はこのギャップを吸収するバッファ。オフピーク時に溜めて、ピーク時に一気に放流する。
この絵で押さえるべき3点:
- 流入量 Q_in は1日中一定(青破線)。河川は人間の都合では変わらない。
- 放流量はピーク時間(昼9〜15時)に Q_peak で大きく、オフピークは小さい(赤い箱)。需要追従。
- 必要な調整池容量 V は「ピーク時に流入だけでは足りない分」=(Q_peak − Q_in)× ピーク時間 × 3600。オフピーク時間に溜める量と等しい(保存則)。
用語の翻訳辞書¶
| 用語 | 何を意味するか | 試験での読み方 |
|---|---|---|
| 河川流入量 Q_in | 1日中ほぼ一定で池に流れ込む量 | 1日平均流量と同じ |
| ピーク放流量 Q_peak | 需要のピーク時間帯に放流する量 | Q_peak > Q_in が前提 |
| ピーク時間 t_peak | 高出力で発電する時間(典型 3〜6時間) | オフピークは 24 − t_peak |
| 必要調整池容量 V | ピーク放流をまかなうために溜めておく必要のある水量 | (Q_peak − Q_in) × t_peak × 3600 [m³] |
Step(3つに圧縮)¶
【Step 1】1日の流入総量と放流総量を確認(保存則)
V_in_total = Q_in × 86400 [m³] (1日に流れ込む水量)
V_out_total = Q_peak × t_peak × 3600 + Q_off × t_off × 3600
※ 保存則: V_in_total = V_out_total(池の水位が1日で同じに戻る場合)
【Step 2】必要調整池容量
V = (Q_peak − Q_in) × t_peak × 3600 [m³]
※ ピーク時に「流入で足りない分」だけ池から取り出す
※ オフピークでこの量が再度溜まる
【Step 3】ピーク時発電出力
P_peak [kW] = 9.8 × Q_peak × H × η
最頻出ミス
時間と秒の混在。流量 [m³/s] × 時間 [h] では次元が合わない。t_peak が「3時間」なら必ず ×3600 で秒に直してから掛ける。
速解テクニック
保存則「1日の流入=1日の放流」を最初に書く。問題文で Q_peak または Q_off が抜けていてもこの式で出せる。
7-3. 揚水式:昼夜の電力サイクルと総合効率¶
対応過去問: 系統に接続する水力発電所の運用 タイプ
まず絵で理解:揚水発電所は系統の蓄電池¶
夜間(オフピーク):原子力・石炭火力などのベースロード電源が余る。この余剰電力でポンプを回して下池の水を上池へ汲み上げる。
昼(ピーク):電力需要が大きい。汲み上げた水を落として発電し、不足分を補う。
夜の安い電気 → 昼の高い電気 に変換する装置。系統運用の経済性を支える。
この絵で押さえるべき3点:
- 夜の余剰電力 W_p で揚水(青箱)→ 水のポテンシャルエネルギーに変換して上池に蓄える
- 昼のピーク需要に W_g で発電(赤箱)→ 上池の水を落として電気に戻す
- W_g < W_p(往復で必ず損失)。比率が 総合効率 η_total ≈ 0.65〜0.75(蓄電池でいう充放電効率)
用語の翻訳辞書(H_g と H_p の使い分けが命)¶
| 用語 | 何を意味するか | 注意 |
|---|---|---|
| 有効落差 H_g | 発電時、水が落下する有効な高さ | 上池-下池の差から 管路損失を引く。「使える落差」 |
| 全揚程 H_p | 揚水時、ポンプが水を持ち上げる総高さ | 上池-下池の差に 管路損失を足す。「実際に必要な持ち上げ高さ」 |
| 発電効率 η_g | 水の運動E → 電気E の変換効率 | 水車効率 × 発電機効率 |
| ポンプ効率 η_p | 電気E → 水のポテンシャルE の変換効率 | ポンプ効率 × 電動機効率 |
| 揚水総合効率 η_total | 同水量を循環させたときの W_g / W_p | (H_g × η_g × η_p) / H_p |
H_g < H_p が必ず成立(管路損失は引く・足すの両方で効くため)。
なぜポンプ時の効率は「分母」なのか¶
- 発電時:水のエネルギー × η_g = 電気エネルギー → 電気側は η_g 倍に減る(η_g を掛ける)
- 揚水時:必要な仕事 / η_p = 電気の入力 → 電気側は 1/η_p 倍に増える(η_p で割る)
「得る側に掛ける、消費する側で割る」が普遍ルール。揚水でも発電でも同じ。
Step(3つに圧縮)¶
【Step 1】発電時の電力量
P_g [kW] = 9.8 × Q_g × H_g × η_g
W_g [kWh] = P_g × t_g
【Step 2】揚水時の所要電力量(同じ水量を循環)
P_p [kW] = 9.8 × Q_p × H_p ÷ η_p
W_p [kWh] = P_p × t_p
※ ポンプは消費側なので η_p は分母
【Step 3】総合効率
η_total = W_g ÷ W_p
同水量循環時: η_total = (H_g × η_g × η_p) / H_p
最頻出ミス
H_g と H_p の混同。問題文で「発電時 H_g = 〇〇 m、揚水時 H_p = 〇〇 m」と分けて与えられたら必ず使い分ける。H_g に η_p を掛けて η_g を割る など、効率の対応も間違えない。
速解テクニック
総合効率 0.65〜0.75 は「夜の電気 1.5 kWh 使って、昼に 1 kWh 取り戻す」イメージ。0.5 以下や 0.9 以上が出たら計算ミス。
7-4. 流量の単位換算早見表¶
冒頭「共通基礎」で軽く触れた単位ひっかけの完全版。落差3用語(総落差・有効落差・実揚程)と効率3用語(水車効率・発電機効率・総合効率)は冒頭表に統合済み。
| 与えられた単位 | m³/s への換算 |
|---|---|
| m³/h | × (1/3600) |
| L/s | × (1/1000) |
| L/min | × (1/60000) |
| m³/日 | × (1/86400) |
問題文の単位が m³/s でない場合は 必ず冒頭で換算。式に代入してから単位だけ直そうとすると、後段の積計算で桁を踏み外す。
第3条 全日効率との関連¶
設備利用率は 第3条 全日効率の負荷率と数式構造が同じ:
- 負荷率(第3条)= 平均需要電力 ÷ 最大需要電力
- 設備利用率(第7条-1)= 平均出力 ÷ 最大(定格)出力
「最大需要」を「定格出力」と読み替えれば負荷率の式そのもの。発電所側の指標が 設備利用率、消費側の指標が 負荷率。
8. 太陽電池発電所(自家消費+系統連系)¶
なぜ出る?¶
電気施設管理カテゴリで再出題🔁が3件以上の頻出論点。R07上期問13(太陽電池発電所を設置した需要設備の電力需給)ほか過去複数回出題。再生可能エネルギー普及で出題頻度がさらに増す傾向。
まず絵で理解:1日の発電と消費の重ね合わせ¶
太陽電池の発電曲線は 昼に山を持つ三角形(または台形) 。一方、施設の消費は 時間帯ごとの階段状。両者を24時間軸で重ね合わせると、3つの領域が見える:
この絵で押さえるべき3点:
- 発電曲線(青) は太陽の高度に従い昼に山を持つ三角形(晴天理想)。雨天は台形・低め。
- 消費曲線(赤) は施設の利用パターンで階段状。ショッピングセンターなら開店から閉店までが高負荷。
- 3領域 がすべて。
- 緑(重なり下部)= 自家消費:発電を施設で直接使う
- 青(発電>消費の上)= 系統送電:余った電力を売る(売電)
- 灰(消費>発電の上)= 系統購入:足りない電力を買う
用語の翻訳辞書(問題文を読み解くカギ)¶
| 用語 | 何を意味するか | 試験での読み方 |
|---|---|---|
| パネル出力 P_max | 太陽電池が最大に発電できる定格出力 | 三角形/台形の頂点の値 |
| 発電曲線 P(t) | 時刻ごとの発電出力 | 「6時に立ち上がり12時で最大、18時に0」が典型 |
| 日負荷曲線 L(t) | 時刻ごとの消費電力 | 階段状で時間帯別に与えられる |
| 自家消費 | 発電のうち施設で使った量 | 緑領域の面積=min(P,L) の積分 |
| 系統送電(売電) | 発電のうち電力会社に売った量 | 青領域の面積=max(P−L, 0) の積分 |
| 系統購入(買電) | 消費のうち電力会社から買った量 | 灰領域の面積=max(L−P, 0) の積分 |
| 自給率 | 消費のうち自家発電で賄えた比率 | 自家消費 ÷ 総消費 [%] |
保存則: 総発電 = 自家消費 + 系統送電/総消費 = 自家消費 + 系統購入。問題文で値が抜けていてもこの式で出せる。
Step(3つに圧縮)¶
【Step 1】発電曲線と消費曲線を時刻区間で表化
├─ 発電・消費の値が変わる「時刻区間」に分割(典型 4〜8区間)
└─ 各区間で P(t) と L(t) を確認
【Step 2】発電 vs 消費の交点を特定し、領域分けして面積計算
├─ 発電>消費の区間: 系統送電 = ∫(P−L)dt(台形面積の和)
├─ 消費>発電の区間: 系統購入 = ∫(L−P)dt
└─ 重なり下部: 自家消費 = ∫min(P,L)dt
※ 発電曲線が直線なら方程式 P(t) = L(t) で交点時刻を求める
【Step 3】保存則チェック+自給率
発電量 = 自家消費 + 系統送電 ← 検算用
消費量 = 自家消費 + 系統購入 ← 検算用
自給率 = 自家消費 ÷ 総消費 × 100 [%]
最頻出ミス
発電曲線と消費曲線の交点(送電開始/終了時刻)の見落とし。発電が直線なら方程式で交点を求める(例: P(t)=100(t−6) と L=100 の交点 → t=7時)。グラフだけで目分量で読むと境界時刻を1時間ずらして送電量計算を全部間違える。
速解テクニック
保存則で検算: (総発電)−(系統送電) と (総消費)−(系統購入) は両方とも自家消費に等しい。両者の値が一致しなければ計算ミス。R07上期問13なら 3600−1300 = 5000−2700 = 2300 で確認できる。
R07上期問13の鍵
発電が三角形(6時0、12時600kW、18時0)なら傾きは ±100 [kW/h]。消費の階段(100→300→400)との交点は方程式で: - 100(t−6) = 100 → t=7時(送電開始) - 100(18−t) = 300 → t=15時(送電終了) - 100(18−t) = 200 ← 17時に消費が400に上がる前の参考。送電期間は7〜15時の8時間。
9. 接地工事と接地抵抗値(B種・D種)¶
なぜ出る?¶
法規B問題の 過去30年で最頻出論点(8回以上・🔁多数)。R06上期問13・H30問13・H22問10ほか、ほぼ毎回出題される。電気主任技術者の最重要実務(安全基準)と直結し、解釈第17条・18条の数値暗記+並列回路計算の混合論点。
まず絵で理解:混触事故時の電流経路¶
高圧側で1線地絡が起きると、変圧器の混触で低圧側の電位が上昇する。B種接地は変圧器中性点を低抵抗で大地に落として、電位上昇を抑える。さらに D種接地は機器外箱を接地して、漏電時の感電を防ぐ。下の絵で電流経路を追う。
この絵で押さえるべき3点:
- B種接地(R_B) は変圧器中性点と大地を結ぶ。混触時に低圧側の対地電圧が上がりすぎないよう 電位を引き下げる 役割。
- D種接地(R_D) は機器外箱と大地を結ぶ。漏電時に外箱の電位を抑え、人が触っても感電しない ようにする。
- 人体は外箱に触ったとき D種に並列。並列合成抵抗で人体に分圧される電圧を 60V 以下に抑えるのが設計目標。
用語の翻訳辞書¶
| 用語 | 何を意味するか | 試験での読み方 |
|---|---|---|
| B種接地 R_B | 変圧器低圧側中性点の接地 | 混触対策。基準は 150/Ig(緩和あり) |
| D種接地 R_D | 300V以下の低圧機器外箱の接地 | 感電防止。基準は 100Ω以下(緩和あり) |
| 1線地絡電流 Ig | 高圧側で1線が大地に短絡した時の電流 | 問題文で与えられる(5A・10Aなど) |
| 混触 | 高圧と低圧が誤って接触する故障 | B種接地が緩和する対象 |
| 自動遮断時間 | 地絡から遮断までの時間 | 短いほど R_B の許容値が 緩和 される |
| 許容触電電圧 V_safe | 人体が触れても安全な電圧 | V_safe = R_h × I_safe(典型 60V) |
数値早見表(電技解釈第17条・18条)¶
| 接地種別 | 基準抵抗値 | 自動遮断による緩和 |
|---|---|---|
| A種 | 10 Ω以下 | 高圧用(特高機器外箱・避雷器など) |
| B種 | 150 / Ig [Ω] | 1秒以内遮断 → 600 / Ig、1〜2秒以内 → 300 / Ig |
| C種 | 10 Ω以下 | 0.5秒以内遮断で 500 Ω |
| D種 | 100 Ω以下 | 0.5秒以内遮断で 500 Ω |
緩和の理屈: 速く遮断できれば対地電圧の継続時間が短いから、抵抗値を上げてもよい(短時間なら多少電位が上がっても感電しない)。
Step(3つに圧縮)¶
【Step 1】B種接地抵抗 R_B
├─ 自動遮断時間を確認 → 基準値 600/Ig(1秒以内)か 150/Ig(緩和なし)か
├─ 問題文の特殊条件(「許容値の1/3に維持」など)を反映
└─ R_B = 基準値 × 緩和係数
【Step 2】許容触電電圧 V_safe を計算
V_safe [V] = 人体抵抗 R_h × 許容流過電流 I_safe
例: R_h=6000Ω, I_safe=10mA → V_safe = 60V
【Step 3】D種接地抵抗 R_D の上限
並列回路解析: R_D || R_h を含む分圧式から外箱電圧 V_外箱 ≦ V_safe を解く
V_外箱 = V_電源 × (R_D||R_h) ÷ (R_D||R_h + R_B) ≦ V_safe
→ R_D の上限を導出
最頻出ミス
遮断時間の段階を見落とす。1秒以内・1〜2秒以内・2秒超で R_B の許容値が3段階に変わる。問題文に「0.8秒以内に自動遮断」とあれば 600/Ig、無記載なら 150/Ig。さらに「許容値の1/3に維持」のような追加条件があれば最後に掛ける。
速解テクニック
R_B = 600/Ig を最初に書く(典型的に最頻)。問題文に「○倍に維持」と書かれていればそれを掛ける。並列回路は「分圧で V_外箱 を出して V_safe と比較」の単純構造。
R06上期問13の鍵
Ig=5A、0.8秒以内自動遮断 → 基準 = 600/5 = 120Ω。「許容値の1/3に維持」→ R_B = 120 × 1/3 = 40Ω。
人体: V_safe = 6000 × 0.01 = 60V。並列回路で V_外箱 = 100 × X/(X+40) ≦ 60、X = R_D × 6000/(R_D + 6000) → 計算結果 R_D ≦ 60.6Ω → 60Ω。
横断チェックリスト¶
解答後に確認する共通ミス防止リスト:
- 単位は統一したか?(kW/MW、V/kV の混在に注意)
- 三相と単相を間違えていないか?(√3 の有無)
- 分母・分子が逆になっていないか?(需要率/負荷率/不等率)
- 「以上」「以下」「超える」「未満」を正確に区別したか?
- 答えの桁数・オーダーが常識的か?(短絡電流が数Aや数百万Aはおかしい)
関連ページ¶
最終更新: 2026-04-04 | v1.0(初版)